1973年メキシコ生まれで、現在イタリア在住のイラストレーター、ガブリエル・パチェコが描いた「白鳥の湖」(エディション・エフ/新刊2200円)。バレエでおなじみの物語を大胆なタッチで絵画にしています。詩的で、繊細、幻想的なパチェコの画風は、海外で高く評価され、数々の国際コンクールに入賞しています。

チャイコフスキー初のバレエ音楽「白鳥の湖」は、森に住む悪魔ロットバルトによって、朝になると白鳥の姿になり、夜には人間に戻るという呪いをかけられたオデット姫と、彼女に恋するジークフリード王子の物語です。

意に染まない結婚を勧められた王子は狩に出かけた時に、白鳥から人間の姿に戻る姫を目撃します。白鳥の手足が人間になった姿の白鳥が描かれます。グロテスクではなく、シャープにデフォルメされた姿や色彩がとても美しく、このページだけでも額に入れて飾りたいと思いました。

二人はいつしか手を取り合って舞い始め、やがて恋に落ちていきます。しかし、悪魔ロットバルトは、邪悪な企みで、王子を窮地に追い込みます。誰もが知っている物語に新しい息吹が吹き込まれたこの絵本は、夢のように美しい……。

 

ガブリエル・パチェコは、影響を受けた画家としてヒエロニムス・ボスやシャガールなどの名前を挙げています。

これまで30冊以上の絵本が世界各地で出版されていますが、日本では、この本と「水おとこのいるところ」(岩崎書店/古書・絶版1950円)が発売されています。こちらは、イタリアの作家イーヴォ・ロザーティの物語で、不思議で、ユーモラスな感覚に満ちた一冊です。深いブルーの色彩が印象的で、奥行きのある幻想的な絵本です。