森雅之の「ポケットの中の唄」(青林工藝舎/新刊1320円)を読んでいると、なごみます。

筆者は後書きで、「毎回毎コマ、同じ構図同じ画で、物語も無くただポツポツと歩くだけの漫画ですが、それでも『描きたい』と思ったのは『何かあったのだろう』と、自らをうなずかせる他ありません。『何かあったのだろう』と読んでください。

さて唄の漫画です。前述のように、読んだ人の胸の中に、何かひとつでも小さな唄が浮かんでくれることがあれば、この本に関わってくれた全ての人にとって、最上の出来です。」と書いています。

森雅之自選集「夜と薔薇」(復刻版/絶版・古書2500円)もそうなのですが、特別なドラマはありませんし、漫画全体の構図も古風でキャラも個性的というわけではありません。あえて言えば、「歩く人」の谷口ジローが描いたような人生の哀感に似ているかもしれませんが、谷口作品はもっと綿密に物語を紡いでゆきます。けれども森の漫画の登場人物を見入っていると嬉しくなり、ホロリとなるのは何故でしょう。

どこにでもいる人たちの日々の一瞬を、四季の移ろいを背景に描いています。例えば「クリスマス」というタイトルのお話。

「クリスマスの唄 好きなのに 少し、せつなくなるのは なぜだろう? クリスマスにもらったオモチャ。 あんなにうれしかったのに、あんなに大好きだったのに、いつの間にか無くしてしまった。 無くしたことを忘れてしまった。 クリスマスの唄を聞くと、無くしたオモチャを 思いだす。」

と、雪空を見上げながら家路を急ぐ青年が描かれます。たった9コマに過ぎません。センチメンタリズムと言ってしまえばそれまでなのですが、今時、そんなセンチな世界を堂々と描いてしまう作家はいません。作家が「何かひとつでも小さな唄が浮かんでくれることがあれば」と読者に期待している通り、ラストのコマで、皆さんの心の中にある唄がきっと浮かんでくると思います。

この「クリスマス」でわたしの心に聞こえてきたのはサイモン&ガーファンクルがニュースラジオのアナウンサーの言葉を背景に歌う「きよしこの夜」でした。曲が終わり、アナウンサーが最後に”good night”と言います。これが、とても切なくて、ちょっぴりホットな気分にさせてくれます。そんな唄が聞こえてくる一作でした。

本日はクリスマス。”good night”

 

★レティシア書房年始年末のお休み 

12月29日(日)〜1月6日(月)

新年は1月7日(火)から通常営業いたします。ギャラリーは「本づくりへの願い 版木とともに」(by法蔵館)です。よろしくお願いいたします。


 

 

 

 

次週9日(火)から始まる「女子の古本市」に出る本のご紹介第二弾です。

酒井駒子が表紙の絵を担当した、岩瀬成子著「そのぬくもりはきえない」(偕成社650円)。彼女らしいデッサンの少女「波」ちゃんと、静かに佇む愛犬「ハル」を描いて、この長編小説の世界を表現しています。とある家に飼われている犬の散歩を任されたことから始まる事件を通して、少女の葛藤を描いていきます。駒子ファンなら持っていて欲しい一つです。

この著者のものでは、「朝がだんだん見えてくる」を読んでいました。この小説、70年代初頭、岩国にあって、ベトナム戦争拒否の兵士たちの支援をしていた、べ兵連(ベトナムに平和を!市民連合 作家の小田実が代表)の活動家が、経営していた喫茶店「ほびっと」をモデルにしています。岩国出身の作者は実際にこの喫茶店に出入りしていて、その体験を元に、中学生の女の子の意識の変化を描いた小説です。物語の構成が巧みで読ませる作家です。

同じく、犬が登場するのがクリスティーン・ハリスの「ジャミールの新しい朝」(くもん出版450円)です。トルコの小さな町に一人ぼっちで暮らす少年が、ある日、やせっぽちの犬に出会います。徐々に犬と心通わす少年。しかし、大地震が彼らを襲います。地震というスペクタクルを利用しながら、それまで周囲に対して頑に心閉ざしていた少年の心の変化を描いていきます。ラスト、救助に駆けつけたおじさんが、少年に向かって、この犬は誰のものと問いかけ、少年はこう答えます

「ぼくの犬だよ、ぼくの大事な友だちなんだ。」

爽やかな幕切れ。どちらも子供向けの小説ではありますが、心がボキッと折れそうな時にこそ、大人の貴方に読んでいただきたい作品です。読んだ後は、飾っておいても。

やはり、ホッとさせてくれるのが、坂崎千春の「クウネルがゆく」(マガジンハウス500円)ですね。緑の星グウタラ星の住人、クウネル君の日常を描いた脱力系イラストですが、こんな文章に出会いました。

「郵便局(小さくてもいい)、本屋さん(中くらいがいい)、パン屋さん(もちろんおいしくなくちゃ)、公園(芝生と噴水があれば申し分ない)、この町にはクウネル君が必要とするものが、ちゃんとそろっています」

これって、幸せを感じさてくれる町の定義ですよね。こちらも部屋に飾っておくには良さげな一冊です。

鬱陶しい気分の日々を慰めてくれる本を探してみるのも、この古本市の楽しみですよ。しかも安い!!

 

「女子の古本市」 2月9日(火)〜21(日) 15日(月)定休

 

もうすぐ12月。クリスマスらしい雑貨や絵本、音楽が揃ってきました

先ず、兵庫県でリースやツリーを制作されている加藤暁子さんからは、クリスマス用のリースが届きました。値段は600円から1400円とリーズナブルです。自身の作品を集めた作品集「COUNTRY DOLPHINリースとツリーの本」(1900円)も素朴な味わいのある作品ばかりです。

九州からは、自転車の2枚組ポストカードや、封筒とカードをセットにした雑貨、そしてオリジナルフォントで作られてシンプル極まりない出来具合の卓上カレンダーを制作、販売している「MONAKA」の作品も届いています。(価格は400円〜500円、カレンダーは1080円です)

そして、今年の夏に作品を展示してくれた地元の「art studio pulp」の、メッセージカード(Mサイズ80円 Lサイズ120円)、ポストカード(120円)、そして新年用のぽち袋(100円)等を展示販売しています。(夏に続いて好調に売れています。来年7月1日〜12日までギャラリーでの個展も決まりました)

来春最初の個展(1月6日〜18日)が決まっている絵本作家の村上浩子さんの自費出版クリスマス用のオリジナル絵本も数種類販売しています。プレゼントにいかがでしょうか(特典としてオリジナルカードが付いています)

 

そして、昨日、福井県の陶芸家吉田さんが「Smile Koboshi」を持ってきてくれました。来年の干支にちなんだ羊の作品(白1500円/赤1000円)二種と天使(1800円)と題された陶器のおきあがりこぼしを販売中です。彼の作る赤い羊は、素朴でほんとに愛らしいのですが、新しい白い羊と天使は、わざわざ当書房に合わせた色合いに作っていただいたレティシアバージョンです。ぜひご覧ください。

CDもクリスマス用のものが数点揃っていますが、お薦めはジェリー・ラファティーの”life Goes On”(120

0円)です。クリスマス用のアルバムではありませんが、1曲目の透明感のある静かな曲からスタート、2曲目は大自然のドキュメンタリーにぴったりのスケールの大きさを楽しみ、4曲目でアカペラでビートルズの名曲“BECAUSE”をそっと聞かせ、ラストで「サイレントナイト」で幕を閉じます。(クリスマス以外でも聴きたいナンバーです)

全くの蛇足ですが、ずっと以前、日活ロマンポルノで、敢えて名前を出しませんが、今や引っ張りだこの役者さんが、「ジングルベル」の曲を、「××××××××××」と卑猥な歌詞にして、最後まで歌いきりました。とても、ここで文字に出来る内容ではありませんが、そのあっけらかんとした歌いっぷりには拍手でした。だから、今だに、この曲が流れると、あの替え歌を思いだします。

 

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昨年夏、初の個展を当ギャラリーで開いたKotohanaさんの「ペーパークイリング作品展X’mas Quilling」が始りました。私が言うのもなんですが、昨年の展覧会より、表現力も技術力も格段に上がった力作がそろいました。

「ペーパークイリング」って何?という方のために簡単に説明しますと、中世ヨーロッパで、聖書を製本した時に出る切れ端を、一つ一つ巻いていき、それで宗教画や宗教道具を飾ったのが始まりといわれている長い歴史を持つアートです。様々な色の、細い紙を巻いて、巻いて、巻いて、膨大な時間を費やしてできる作品ばかりです。壁面に飾られている作品を、近くで見てください。溜め息が出ます。そして、私など、出る言葉といえば

「こんな事、ようやるなぁ〜」です。

力作「夏の伊吹山山頂」という作品に収めらている山頂の花々は。遠くから見ると、咲き誇った花々の一番美しい時をフレームに取り込んでいます。で、これが、葉っぱ一つ一つ、花びらの一つ一つまで、紙を巻いて作っているわけですね。

壁の作品は非売品ですが、小さな作品や、ギフトにピッタリな雑貨など、これからの季節に最適のグッズが溢れています。また、ちょっとやって見よう!という方のために、お試しのキットも販売中です。

お祝い事や、メモリアルデイのための大きな作品ご希望の方には、ご注文も承ります。先ずは、この細かい作業の数々をご覧下さい。

 

 

 

古本屋ですから、クリスマスシーズンなどあんまり関係ないし〜と思っていました。

と言いながら、先日の店長日誌でも「プレゼントにいかが?」的な本を並べてしまう始末で、なんだか浮き足立っています。街に流れるクリスマスソングのせいでしょうか。

それにギャラリーでは、このシーズンにドンピシャの「リースと苔玉」展です。本を見に来られたお客様も、壁に飾ってあるリースに目がいって、「そうだ!クリスマス!」と思いだされた(かどうか)のか、手に取って下さいます。

はじめの1週で、作家の今川さんには、苔玉と可愛い多肉植物たちの補充に何度も足を運んでもらって、ほぼ最初に並べたものは売り切れました。ちょっとしたプレゼントに買っていただく方や、お正月に玄関に飾りましょうという方(小さな松や、赤い実のもの)など、それぞれ楽しんでいただきました。それも日曜日で終了。古本屋にも予想外のクリスマスシーズン到来でした。

そこへ、またまたプレゼントにピッタリの本が入荷です。6日朝のNHK朝イチで紹介されたパラパラ本です。

いつもお世話になっている青幻舎さんの、パラパラ本は、以前も置いていましたが、直ぐに完売。なにしろとてもよく出来ているのです。今回も見本を見せて頂いた時「むしくいさま」というのが面白いな〜思っていたら、案の定、朝イチで取り上げられていました。あとひとつ「クリスマスの足音」というのも持ってきて頂きました。スミマセンが、クリスマス企画続きます。

来週からはギャラリーは、ペーパークイリング作家のクリスマスカードが沢山並びます。(女房)

騒がしいジングルベルの季節になりました。

新刊書店時代は、それこそクリスマス小品コーナーなんて作って盛り上げていましたが、古書店ではしません。(因みにそのクリスマス小品コーナーの売れ行きはイマイチでした)

でも、古書ならではの楽しさに溢れた魅力的な本は、プレゼントにいいかもしれません。夏にも一度販売して、大好評だった「猫の庭」のポストカード(150円)も再入荷しました。このカードと一緒に、高田宏「我輩は猫でもある覚書き」(1400円)、や舟崎克彦「夜猫ホテル」(1400円)などはいかがでしょう。

凝りに凝った装幀がプレゼント向きの、辻信太郎「海のメルヘン」「湖のメルヘン」(どちらも800円)は、おっと!思われるかも。装幀好きには、栃折久美子「モロッコ革の本」(1100円)や「本の美術誌」(1500円)はプレゼントマストアイテムですね。

クリスマスに冬の星座を見ながら、野尻抱影は外せません(?)が、ここでは、ちょっと珍しい彼の未刊随想集「山・星・雲」(1500円)なんていかがですか。また、判型が「別冊太陽」と同じ大きさボリュームの「産報デラックス」シリーズの、「星座と神話」「星座と占い」(各600円)なんかもページをめくる楽しさに溢れています。

喧噪の街中に背を向けるなら、なつかしい「大草原の小さな家」全6巻の文庫セット(1000円)などもあります。この文庫に収録されているイラストはアメリカで最初に発行されていたものを使用していて、一巻の表紙は静かなクリスマス風です。そんな時間ないワ、というお方には、直球勝負で、風間賢二セレクションによる「クリスマス・ファンタジー」(300円)。セレクトされている作家が凄い一冊です。

ケッ、クリスマスなんか!派のあなた、思い切って、かとうちあき「野宿入門」(500円)を読んで、野宿してやり過ごすか、はたまた中村安希「インパラの朝」を読んで、ユーラシアアフリカ大陸をほっつき歩くのも一考かも。

来週からは、ギャラリーはペーパークイリング作家Kotohanaさんの「X’mas Quilling」が始まりますので、可愛い小物と古書を選ばれるのもいいですよ〜〜(って、今日のこれ、クリスマスコーナーやん?)

 

★「X’mas Quilling」展は12月10日〜22日

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11月、三条京阪近くの、器&ギャラリーのお店「nowaki」さんにあった犬のサンタさん。木の温かな感じとちょこんと座っている犬の風情がなんともステキで、買いました。といっても、手彫りなので注文です。2週間足らずで届きました。

小さな古本屋だけれど、少しだけクリスマスっぽくディスプレイしたかったので、間に合ってよかった。

やってきた日からウィンドウに行儀よくおすわりしてくれました。大きさは5センチほど。

絵本のコーナーには、プレゼントにもなりそうな可愛い冬の絵本など飾りました。

その中に「サンタクロースっているんでしょうか?」という美しい表紙の本がありました。

22日の夕方、若い女性がその本を手に取り、レジに持って来られたので、「プレゼントですか?」と聞くと

「わたしに。」といって微笑んで、

「私、この本さがしてました。6年間クリスチャンの学校に通っていたんですけど、毎年クリスマスになると、この本を読んでくださる先生がいらしたのです。だから毎年聞いていたけど、見るのは初めて。これ、頂きます。」

こういうの、クリスマスの奇跡って呼んでいいかな?

本屋の留守番は、その時とっても幸せな気持ちになりました。

メリークリスマス!素敵な贈物をありがとうございました。

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