「カラスの『カ』は喉のおくにひっかかって出てこない。」

吃音があって、学校でうまく話すことができず、辛い毎日を過ごしていた少年。

そんな息子を川に連れて行ったお父さんが、肩を抱き寄せて言います。

「ほら、川の水を見てみろ。あれが、お前の話し方だ。」見ると………川は泡立って波をうち渦を巻いて砕けていました。

ジョーダン・スコット(文)シドニー・スミス(絵)による「ぼくは川のように話す」(偕成社/新刊1760円)は、とても素敵な絵本です。

少年は、川を見つめます。泡だったり、波打ったり、渦を巻いたりしています。「川だってどもっている。 ぼくとおなじように。」そして、彼は大いなる川の流れに支えられ、顔を上げて一歩を踏み出していきます。

流れる川とそこにキラキラと反射する光、堂々と流れる水の音までをあますところなく描いたシドニー・スミスの美しい絵は、少年の心情を映し、最後まで読む者を捉えて離しません。心の中に染み込んでくる絵本です。大人にこそ読んでほしいと思いました。

滑らかに話すことを求められる世界にいる吃音の子供達の怯え、悲しみを、波立ち、渦巻きながら流れてゆく川の力が解き放ってゆく物語でありながら、あらゆる人の人生がいつも流れるように進まないことを暗示しているように思えます。

「朝、目をさますと、まわりは、言葉の音であふれている。ぼくは学校へ行き、みんなのまえにでて、世界でいちばんすきな場所のことを話す。 そう、あの川のことを…….」

少年の自立への第一歩を川は微笑んで見守っているようです。