私がアフリカに興味を持ったのは大学時代に観た、羽仁進監督、渥美清主演の「ブワナトシの歌」でした。ドキュメンタリーのような、ドラマのような映画でしたが、アフリカ的時間の流れが居心地よく過ごせました。

それから、多くのアフリカの音楽を聴いてきました。TVなどで紹介されるアフリカの音楽は楽しそうですが、いざ、CDを買うと、素人さんは大失敗します。もう、退屈で、単調なサウンド(実際は複雑に変化しているのですが)に散々、高い授業料を払ってきたので、断言します。

でも、Jenaguruの”Zimbabwe”(2000円)は、ぜひ聴いていただきたい音楽です。これ、ジンバブエ在住の高橋朋子さんからのご紹介です。彼女はレゲエミュージックを代表するボブ・マーリーが「ジンバブエ」というこの国の独立闘争を歌った歌に感銘を受け、なんとジンバブエに移住。92年に文化伝承の拠点「シャグナルアートセンター」を設立、コンサートに音楽教室、そして日本でのライブツアーと活躍中の女性です。ご縁があって、店に商品を設置させていただくことになりました。CDの売上げは、このセンターの活動資金として運営されます。(写真はCDを持つ高橋さん)

バンド名Jenaguruは日本語に直すと、「明るい月」です。その名のとおり明るい満月の星の下、穏やかな風の吹き抜ける草原で踊っているイメージです。彼等の音楽の優れているのは、土着の音楽の深い精神性に支えられながらも、全く違う文化圏の、例えば盆踊りや、演歌のリズムで育ってきた私たちが聴いても、いいと思うインターナショナルな感覚でしょう。真っ黒な身体に、鮮やかな色合いの民族衣裳を付けたこの国の人達のダイナミックな踊りの美しさが見えてくる様な曲もあれば、ふと、遠くから心地よい風が吹いてくる予感に捕われそうな曲も入っています。

私たちはアフリカについて全くと言っていい程無知です。でも、本を閉じて、ちょっと暗くした部屋でこのサウンドに身を委ねると、向うから、やぁ〜やぁ〜と人懐こい笑顔が現れそうに感じるから不思議です。

高橋さんは彼等の音楽をこう表現しています。「すべすべになった川底の石のよう」と。この言葉を聞いて、私は宮沢賢治の短篇「やまなし」を思いだしました。川底に住む二匹の蟹のお話ですが、透明感あふれ、太陽の光がキラキラ差し込む川底の美しさ。

朝、このCDを聴きながら、カーテンを開けて太陽の光を浴びたら、おっ、幸せ!と感じる音楽の持つ最大の魅力を味わえます。

アフリカ南部のジンバブエにピアノをプレゼントするためのチャリティーコンサートが、今年の6月、京都で行われました。この国は音楽が盛んで、楽器を充実させることで、音楽人口を増やそうという試みです。

企画されたのは、矢沢永吉のバンドでデビューして、現在ジャズピアニストとして活躍中の河野康弘さんです。河野さんには、十数年前になりますが、「起きろピアノ!」というイベントでお会いしました。これは、使われずに眠っているピアノを活用するというもので、最後には一緒にピアノを弾かせてもらいました、と言ってもデタラメに鍵盤を叩いただけですが。日本中には眠っているピアノが沢山あるそうです。そういえば、身近にもみたことあるな〜。河野さんはピアノのあるところへ、出前演奏もされています。

さて、このコンサートでは、先ず現地の「ジャングルアートセンター」の子どもたちが、パーッカションのリズムに合わせて、ダンスを披露します。アフリカの音楽がらみのコンサートや、映画は積極的に観てきましたが、国ごとに、リズムも踊りのステップも微妙に違うんですね。この子どもたち、実にリズム感が良く、大地を踏みしめている様が伝わってきます。

子どもたちの演奏の次は、河野さんの登場です。オリジナル「四万十川」の美しいメロディーでスタート。その後、スタンダード「マイ・フェイバリット。シング」へと続きます。この曲のテーマが出てくるまでの、叩き付けるようなイントロは血湧き肉踊ります。

このDVDは2000円です。収益はジンバブエにピアノを送る搬送費用に使用されます

アフリカの文化を知る本は沢山出版されていますが、一冊ご紹介しておきます。「ブラックアフリカの映画」(彩流社・初版1500円)です。出版されたのが1987年と、やや古い本ですが、アフリカ各国の映画事情はもとより、文化的状況、文学との関わりまで解説されています。