「LIL BACK」というダンサーのドキュメンタリー映画が、UPLINK京都で上映されています。おススメの一本です。

暴力と貧困が常に身近にある街メンフィス。ティーンエイジャーになったらギャングになってゆくのが当たり前というこの街から、とんでもない男が飛び出しました。チャールズ・ライリー(愛称リル・バック)。メンフィス発祥のストリートダンス”メンフィス・ジューキン”にのめり込み、努力を惜しまず実力をつけ、チャンスを着々とものにしていきます。ジューキンがどんなダンスかを説明するのは、私には難しいのですが、マイケル・ジャクソンのムーンウォークをもっと複雑にして、うねるようなヒップホップサウンドにのって踊るような感じ、とでも言ったらいいでしょうか。

映画は、ストリートで踊る、彼だけではなく多くの若者たちの独自のジューキンダンスをとらえます。若者の投げかけた言葉が衝撃的。

「俺たちは人殺しになるよりは、ダンスがしたい」

リル・バックも、ひとつ間違えば拳銃をぶっ放す危ない男になっていたかもしれない。そうならなかったのは、ジューキンダンスと、母親の愛情があったからです。ストリートで、誰もいない駐車場で、深夜の街中で踊るダンスには、酷い境遇を突き抜けようとする強靭な力が表れています。

リル・バックが凄いのは、ダンスのテクニックを磨くために、臆することなくクラシックバレエに挑戦してゆくところ。アメリカには、才能のある子供たちに奨学金で教える学校があり、彼もこの学校で表現力に磨きをかけます。そして、やがてクラシックバレエの名曲「白鳥」をジューキンダンスで踊ります。

そのビデオを世界的チェロ奏者ヨーヨー・マが見て、こいつは面白いと感じて自分のパーティに呼びよせます。ヨーヨー・マのチェロに乗せて踊るリル・バックを、たまたまその場に居合わせた映画監督のスパイク・ジョーンズが携帯で撮影し、動画を流したところ、大反響を呼び彼のダンスが一気に広がってゆくのです。人の出会いと、その千載一遇のチャンスをしっかり掴んだリル・バックに感動しました。

メンフィスの硬いコンクリート路面上で踊り続けた男が、メンフィスの希望の光になったのです。そして、彼に追いつけ追い越せと、多くの若者たちが今も踊り続けているのです。その高みを真剣に目指している間は、ギャングになったっりして道を踏み外すことはないでしょう。

ひたすら好きでいること。好きな事のために努力をし続けること。それは、こんなにも人生を大きく変えることにもなる。かっこいいよなぁ〜。 YouTubeで「LIL BACK」と検索すれば、彼の魅力一杯のダンスを見ることができます。いいなぁと思われたら、いい音を出してくれるUPLINK京都でぜひご覧ください。

 

●北海道のネイチャーガイド安藤誠さんのトークショーを今年も開催します。10月24日(日)19時スタート(2000円)要予約