本2冊とビデオテープ2本セットの豪華な「資生堂宣伝史」(8000円)は、おそらく企業内で出され、関係各位に配布したと思われる企業内出版物ですが、さすが資生堂と言いたくなる程の美しい出来栄えです。発行は1992年。編集は資生堂宣伝部。

本の一冊目は「資生堂宣伝史 総合編1979〜1991」巻頭に、当時の福原義春社長のこんな言葉が載っています。

「時代ごとに永遠の美しさを追求したことは、決して商業活動を超える目的を持つものではなかったが、そのうちのあるものは歳月の荒波を経て、芸術作品とも比較される評価を得るようになり、時代の変節が繰り返される中で、文化の一部を担ってきたのではないかと考えてみたいのです。」

本書では、1979年から1991年までの12年間の間に資生堂が送り出してきた宣伝ポスターや商品を一堂に集めることで、その時代その時代の美意識、ライフフスタイル、この会社が作り出そうとしてきた新しい美を知ることができます。

1980年、同社はフランスに進出します。その時にイメージクリエーターとして起用されたのがセルジュ・ルタンスです。彼の広範囲にわたるクリエイティブ活動によって、ヨーロッパにおける同社のイメージが飛躍的に向上しました。セルジュ・ルタンスが担当したポスター、その他の宣伝素材を集めたのが「セルジュ・ルタンス編」という本になっています。

文字の配列、モデルの仕草、全体の色合い等、細部まで徹底的に考えられた作品群は、社長が言うように「芸術作品とも比較される評価を得るように」なったのですね。

資生堂の宣伝といえば、起用される女優に注目されがちですが、こんな男性も出ていたのですね。映画監督の森田芳光、ジャズピアニストの山下洋輔、作詞家の阿久悠、そして安西水丸も。新聞広告に登場するのですが、ピアノの前にジャージ姿で座っている山下の横に「僕はオジサンだ」のコピーが入っています。いいなぁ、この山下!

付属の2本のビデオは、「1960〜1976TV・CM編」、「セルジュ・ルタンス作品/TV・CM編1977〜1991年」です。