スパイアクションシリーズ「ジェイソン・ボーン」は、大好きな映画です。TVで放映される度に何度でも観てしまいます。スタイリッシュな切れ味が最高。

だから、このシリーズの監督ダグ・リーマンが、イラク戦争に派兵されたアメリカ軍兵士を描いた新作「ザ・ウォール」は、きっと面白いに違いないろうと、勇んで劇場に駆けつました。

しかし、痛ぁ〜い!咽喉が猛烈に乾く!そして得体の知れない恐怖を持ったまま、冷えきった映画館で、冷えきった身体と心のまま帰路に着くという映画でした。お薦めしたいような、したくないような…….。

登場人物は二人の兵士と、最後まで顔を見せない敵側スナイパーの三人のみ。舞台は砂漠のど真ん中。「ジェイソン・ボーン」みたいなアクションは皆無です。

どこからか狙ってくるスナイパーに一人が撃たれ、残された一人は孤立無援の状態になります。スナイパーは抜群の射撃能力で、この兵士の膝の、しかも止血しにくい部分を撃ち抜き、さらに所持していた水筒を、無線のアンテナを、破壊します。彼は猛烈な乾きに襲われて、傷口もふさがらず、救援も呼べない状況で一人ぼっちにさらされます。それだけではありません。スナイパーは英語が堪能で、アメリカ軍の無線を持っていて、兵士と会話を始めます。「なんで、イラクに来たんだ」とじわり、じわり追い詰められていき、精神の崩壊寸前で気絶してしまって、ふと痛みを感じて目を覚めると、なんと烏が銃撃された膝を啄んでいるという、イタァ〜イ世界。

戦場の恐怖を、ここまで描き込んだ映画は珍しいかもしれません。ハリウッドの資本家が泣いて喜ぶヒット作連発の監督が、もう殆ど低予算の、インディーズ映画みたいな作品を製作したことに驚きました。イラク戦争時、クリント・イーストウッドが「アメリカンスナイパー」で、戦場にいる恐怖を彼なりに描きましたが、ダグ・リーマンは、あれは甘い!と思ったのかもしれません。どこから撃たれるかわからない恐怖に晒されることのみを、映像化したのですから。

さて、映画は、救援にきたヘリに載せられて脱出となるところでクライマックスを迎えるはずだったのですが………。ゾクリとする悪寒を抱えたまま、なんの開放感もなく劇場を後にする始末。しかし、戦場に放り出されるとは、きっとこういう事なのです。

先程「お薦めしたいような、したくないような…….。」と書きましたが、戦争をしたがっているかの国や、この国のお偉いさんには、ぜひ見ていただきたいと思います。

 

★安藤誠ネイチャートークショー「安藤塾」今年も開催決定しました。

北海道のネイチャーガイドで、釧路ヒッコリー・ウインドオーナー安藤誠さん(写真左・愛犬キャンディと)のトークショーを10月25日(水)19時30分より開催します。(要・予約 レティシア書房までお願いします)