夏葉社を営む島田潤一郎さんが起こした新レーベルの岬書店から、本に関する書籍が二冊発売されました。二冊共面白い!そこで、本日と明日の二回に分けてご紹介します。

まずは「ブックオフ大学ぶらぶら学部」(1430円)。多分こういうアプローチでブックオフ書店を論じたものは無かったと思います。「ブックオフ大学ぶらぶら学部」代表の島田さんが、書店主やライターなどに、ブックオフについて書いてもらいました。

ライターの武田砂鉄が「ブックオフにあり、新刊書店や目利きのいる古本屋には無い点とは何か。『本のことをよくわかっていない人が、これはたぶんこっちじゃないかと並べてみちゃった感じ』である」と、その特徴をピックアップしていますが、いっときのブックオフはそんな感じがありました。私もよくブックオフに仕入れに行きましたが、なんでこの本がこんな所に?しかもこの価格で出すかな?とニンマリしながら、買った時がありました。

さらに「新刊書店は体調が悪くても楽しめるけれど、ブックオフは体調が悪いと楽しめない」と書いていますが、正解ですね。膨大な量を納めた棚を見つめるには体力と集中力が必要なのです。

京都「ホホホ座」の山下店長も参加してます。4〜5時間ブックオフで楽しむことができる筋金入りの人です。「最近いちばんよかったのは、あれですよ。向田邦子のエッセイを岸田今日子が朗読しているCD。めちゃくちゃいいですよ。」

きっと、均一価格のCD棚で見つけたんでしょうね。私も500円コーナーはじっくりチェックしますが、280円コーナーまではとてもとても身が持ちません。

「ぼく、ブックオフがつぶれたらほんとに困るんですよ。あそこはとにかくほっといてくれるし、広いし、多様性があるし、生活と地続きな感じがあるし。居てて安心するんです。ぼくみたいな『オッサン』がいつまでもいてていい場所ですからね」

この意見には同感です。オッサンが100円文庫棚を真剣に見つめている様はなんかホッとさせてくれます。ところで、ブックオフ店内で携帯電話片手に本のバーコードを読み取っては、店内のカゴに本を山盛り入れている人物、ご存知でしょうか。いわゆる”せどらー”さんです。バーコードリーダーで価格を読み取り、ネット上の販売価格と比較して、安ければ買って、高く売るという商いをされている方々です。

「ブックオフで仕入れた本を、Anazonで売ることによって、差益を得る人種」と、便宜上ここでは、せどらーを定義しています。私もたまには仕入れにゆくので、その時はせどらーになるわけです。(Amazonでは売りませんが)本書では、このせどらーの生態と、日々の業務?についてかなり詳しい解説が付いています。いやぁ〜凄いですね。これで生活している人がいるんですから。せどりのハウツー本まであるんです。

最後にぶらぶら学部代表の島田さんが、2000年代前半のブックオフの状況を「お金がなくて、時間だけがある文化系の若者たちはこぞってブックオフに足を運んだ。」と振り返っています。

「ブックオフはまるでセーフティネットのようだった。社会に行き場のない人たちが集い、カルチャーをなんとか摂取しようとしていつまでも粘る場所。」であり、105円出せば、なんらかの本をゲットでき、新しい文化、芸術を知ることができる場所であったのです。

最近のブックオフは粗視化され、すべての本がデータ化されたため、おっ!この本がこの価格!という驚きは無くなりました。でも、何時間いても文句も言われずに本に出会える場所であることは間違いありません。

本書の裏表紙に、ブックオフそっくりの価格表が付いています。ブックオフへの愛着一杯のシールです。