京都シネマで上映中に見逃した、ベネディクト・エルリングソン作品「立ち上がる女」(アイスランド映画)。DVDを購入してをやっと見ることができました。

雄大な自然が広がるアイスランドの田舎町に住むハットラは、セミプ口合唱団の講師をしています。
しかし、彼女は一方で、過激な環境活動家でした。地元にできたアルミニウム工場が自然を破壊するとして、一人で果敢な戦いを繰りかえすうちに、マスコミが正体のわからない犯人を「山女」と命名し、政府から目の敵にされるようになります。映画は、そんな彼女の生活を描きます。

ある日、彼女が以前に申請していた養子の件で、通知が来ました。ウクライナで戦火で両親を失った女の子を迎えることが認められます。母親になるという夢の実現のためにも、ハットラは、最後の戦いを挑んでいきます。と、こう書いてしまうと、なんだか厳しい映画だなぁ〜と思われる方もおられるかもしれませんが、この映画、笑えるのです…….。

一つには、劇中音楽を演奏しているブラスバンドと女性3人の合唱隊が、画面に割り込んでくるのです。ハットラが何か行動を起こす時、急に彼女の後方でドンチャカ、ブンチャカ楽器を演奏し始めるのです。え?何これ?? これはあくまでお話ですよ、というために伴奏しているのかと思いましたが、段々とこの音楽が彼女への応援歌に聞こえてきます。彼らが登場すると、こちらも一緒に彼女の行動を応援しているのです。

音楽にのって、ハットラが、自分で決めて自分で動き出した人生が新たな展開を見せていきます。登場人物たちも、個性的です。破壊活動の後、軍隊に追いかけられるシーンの盛り上げ方も、お見事で、サスペンス映画のお手本です。

滅多に映画のコメントを出さない梨木香歩が「楽しい日常と、孤独な戦士であることは両立するのだ。
守るべきもののために、決して屈しない彼女の不撓の精神と肉体は、大地アースの女神の化身のようだ。」という文章を寄せています。その通り、彼女は二つの自分を生き、さらに養子をもらい、もう一つの人生を生きます。幸せを手に入れるために躊躇なく行動する自由で強い女性像を監督は作り上げました。

ラスト、女の子を迎えに行った帰りのバスに乗っていたハットラは、異常気象のせいか大雨で水没した道路を、娘となった女の子を抱いて歩いてゆきます。人生なんでもどんとこい!気合十分の後ろ姿で映画は終わります。ヒロインを演じたハルドラ・ゲイルハンズドッテイルも実にカッコいい!

アイスランドは、男女平等度で十年連続一位を保っている国だそうです。だからこそ、映画の中で男も女も力強く自由な感じに生きているのでしょうか。

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