岐阜に本拠を置くサカダチブックスの新刊が入荷しました。

「地方に住みはじめました。<岐阜市編>」(702円)です。東京から岐阜に越してきた女性が、縁のなかった一地方都市で、面白い暮らしかたを見つけてゆく本です。

「岐阜を全く知らなかった読者のみなさんが、少しでも岐阜に興味を持ち、せめて『岐阜』という字を間違えずに書けるようになりますように。それから、全国にある『岐阜』のような『地方』で暮すことを、ちょっとおもしろいかも、と感じていただければ嬉しいです。」という編集方針で、岐阜散策が始まります。

住みはじめて出会ったいい店のトップを飾るのは、「古書と古本の徒然舎」です。レティシア書房で年2回催す古本市にいつも出店してくださる常連さん。何度か伺ったことがありますが、程好い心地良さに満ちた古書店です。3年前に美殿町に移転して、店をスケールアップされました。この特集の面白いところは、お店の紹介記事のあと、「このあと、どこ行く?」という小コーナーがあって、周辺の素敵なお店を知ることができるのです。徒然舎に始まり喫茶ヨジハン文庫まで、個性的なお店がズラリ並びます。

今、地方都市の元気の無さが取り沙汰されていますが、きっとどこの街にも、新しい感覚でオーナーの個性を生かした店が誕生していると思います。岐阜の街をぶらぶらしたくなりました。

 

大阪発の出版社BOOKLOREから濱田久美子「Guide to Plants」(1944円)が入ってきました。この本は、一言で言ってしまえば、草木の切り絵集です。著者が心寄せる人たちと過ごした時間を、その庭に生えている草木を切り取ることで記録したとでも言えばいいのでしょうか。

「草木の切り絵は、庭で過ごした印象深い時間の記録でもあり、出会った人々をイメージして切り出したものがいくつかります。」

取り上げられているのは、作家永井宏さん、ソーイングテーブルコーヒーの玉井健二さん、恵美子さんご夫婦、そして、小さい頃過ごした母の、それぞれの庭にあった草木が集められています。大切な人達の日常を見続けてきた草木たちが、本の中で静かに佇んでいます。

巻末には、それぞれの草木の名前と、庭の持ち主との思い出話が載っています。読みながら切り絵を眺めたら、ゆったりした時間が流れるようです。

もう一点、海外文学好きにはお馴染みのフリーペーパー「BOOKMARK」の最新号も入荷しています。今回の特集は「やっぱり新訳」です、古今東西の文学、児童書、エンタメ小説の新訳本の紹介です。ゲストとして町田康が「気合と気合と気合」というタイトルで、自らが現代語訳した「宇治拾遺物語」のことを書いていますので、町田ファンなら見逃せません。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。

個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

 

先日、東京のSUNNY BOYBOOKS さんから連絡がありました。

イラストレーター、タダジュンさんの作品集「Dear,THUMB BOOK PRESS 親愛なる親指へ」(2376円)を出版したので、挨拶に伺いたいという嬉しいお話。タダジュンさんと言えば、ヘミングウェイの「こころ朗らなれ、誰もみな」、クッツェー「鉄の時代」等の海外文学や、中川ワニ「ジャズブック」のカバーデザインでお馴染みの作家です。そして、映画ミニプレス「Kinebus」にも、毎回素敵な作品を書かれています。(もちろん当店にも置いてます!)

恵文社一乗寺店での個展と誠光社のイベントのために京都に来られたので、うちにも寄ってくれました。新しい作品集「Dear,THUMB BOOK PRESS」は、本好きならニンマリするに違いありません。

巻頭に柴田元幸の「サムが愛した本について」という序文にこうあります。「サムが独自の装幀本を作成した20冊のリストは大変興味深い。」そして、次のページからサムが装幀した本がズラリと並んでいます。ナバコフ、カフカ、ブコウスキー、ヘミイグウェイ、ウォールデン、そして谷崎の本まで、独特の世界観に満ちた作品が並びます。

えっ?この本ってタダジュンの作品集じゃなくて、サムとかいう人の作品集なの?

実はサムなんて人物は実在せず、タダジュンさんがサムという架空の装丁家に扮して、装幀した本が載っているという趣向なのです。

ご丁寧に SUNNY BOY BOOKSオーナーの高橋和也さんが、「THUMB BOOK PRESS」と印字された「星の王子様」のフランス語版を持っていた思い出まで書かれています。さらに、タダジュンさんがサムに扮して公園に佇む写真まで載っているという凝りようです。

でも、どの本もずっと見つめていたい、という気持ちになります。こんな本があれば、一日中触っていたいと言う程に、愛情が溢れた装幀です。

紹介されている文学作品について、それぞれコメントが付いています。私が気に入ったのはバージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」の紹介文です。装幀に合わせて、それぞれの方が、架空のサムおじさんへの思いを語ってくれます。空想の書物に触れ、書物を読む楽しみを味わってください。(素敵なサインを本に書いていただきました!)

タダジュンさんの参加されている「Kinebus」最新号(100円)もお持ちいただきました。たった一枚の新聞紙の大きさのペーパーですが、映画への愛に溢れています。

猛暑の京都にお越し頂き、ありがとうございました。

左京区の個性派書店ホホホ座が出版した「焙煎家案内帖 京都編・一」(1000円)を、山下店長自らお届けいただきました。

ページを開けると、「焙煎」「焙煎の方法」「焙煎の度合い」等々、焙煎コーヒーに関する基本的用語の解説が載っています。知ってる人も、知らない人もここを読んでから紹介されているお店に進みましょう。

「京都編・一」で取り上げられているのは、六曜社、swiss coffee plants、ガルーダコーヒー、Hifi Cafe、Windyの五件の店主さん達です。当店のお客様で、いつもレコードを買っていただいているHifi Cafeオーナー吉川孝志さんが登場!Hifi Cafeは、当店から歩いて十数分の所にあり、民家そのままをカフェにしてオーナーの趣味で集められたレコードが整然と並んでいるお店です。オーナーは、本当の深煎り豆の珈琲の味を求めて日夜研鑽されています。

「深く煎った珈琲っていうのは、酸っぱくない。酸味が飛んで苦みが増すんですけども、同時に甘味も増すんです。その苦みと甘味が拮抗して飲めるギリギリのところっていうのを目指すんですけど、それはある程度の濃度も必要なんです。それはペーパーでは落とせなくて、ネルでゆっくり落とさないといけない。」

職人さんの話を聞いている感じです。たかが珈琲、されど、その珈琲一杯に真剣勝負をしているオーナー達の姿が伝わってきます。ガルーダコーヒーのきたむらゆかりさんは、インタビューの最後でこう語っておられます。

「コーヒーは機会操作と化学変化が理解できれば誰でも焼ける。フライパンでも焼ける。だからこそ、誰がどんな思いで焼くかが大切なんじゃないですかね。」

「誰がどんな思いで」って、どんな商いでも、最も大切なことだと思います。

さて、コーヒーの香りの次は、ドーナツです。ドーナツの穴に関して、各界の気鋭の学者たちが論じる「失われたドーナツの穴を求めて」(さいはて社1944円)という本を入荷しました。ある種、オタクの極みの一冊ですが、いや立派です!

実際のドーナツ屋が登場して、ドーナツ屋に実情を語り、英国史の研究者がドーナツの歴史を紐解き、その一方で中国史の研究者が中国とドーナツの関係から東洋におけるドーナツの穴について論じ、果ては経済学者がドーナツの穴の経済的な価値を述べるという、もう四方八方に論考が飛んでゆくという内容です。

この本を作ろうと思い立った言語学者の芝垣亮介さんは、「ドーナツとドーナッツの違い」を検索したところ、画面に夥しい数の「ドーナツの穴」についての項目が出てきました。そこから、彼は「ドーナツの穴制作委員会」を立ち上げ、多くの学者をメンバーとして、不可思議な存在のドーナツの穴の解明に向かいます。その集大成がこの本です。

芝垣さんはこの本の目的を「今、そこにある謎を、今そこにある『知りたい』を探求する、その喜びと幸せを共有すること」だと書かれています。学問って、こういうところから発生するのかもしれません。

気合い十分の本書は、装幀にも力が入っています。本の右上にドーナツの穴らしきものがパンチされていて、本を貫いています。そして曰く「すべての穴はドーナツに通ず」。

知的好奇心の旺盛な人にはワクワクする本です。。

 

ミニプレス「1/f」(エフブンノチ)の1号が出たのは、昨年の8月。「おやつの記憶」という特集でした。編集者が直接届けてくれたのですが、どれだけ売れるか予想がつかないまま、取りあえず販売スタート。ところが、あっという間に持ち込みの数冊完売!追加分もやはり売れていきます。その後、2号、3号と、順調に売上げを伸ばしてきて、今回4号が昨日入荷しました。

4号の特集は「乙女のあそび」。いにしえのお姫様の遊びとして、「貝あわせ」「石名取」、「ことばあそび」「耳香」などが紹介されています。後半は、大正時代京都で活躍したデザイナー、小林かいちの特集です。西洋的なものと、京都的なものを融合して、細身の女性がうつむき加減で佇んでいる姿の作品を、三条新京極にあった土産物店「さくら井屋」が発行し、全国から観光で集まって来る乙女たちの手に渡りました。谷崎潤一郎の「卍」の登場人物たちが交わす、手紙を入れた封筒の意匠が、かいちのデザインに酷似していることを、編集者が指摘していて、なかなか読み応えがありました。

現在、「1/f」は1号からすべて揃えています。1〜3号は734円。4号は885円です。

 

えっ、そんなに早く売れたの??と、驚いた(失礼しました)のが、出版ユカコが出した「別人帳」(600円)です。「あなたの今日これから(あるいは近日中)の一日を、『最良の一日』になると仮定して教えてください。フィクションを交えてくださって構いません。起こりうる範囲での理想や希望を交えて、ご自由にお答えください。なお、個人的な興味により、食べるものについてはとくに執拗にお伺いします。」という質問に答えた方々が、匿名で原稿を寄せた、全く写真のない文章だけの本なのですが、即売り切れ! すぐに追加発注し、昨日再入荷しました。こういうアプローチの食の本は珍しいですね。

いまがわゆいさんの「ドーナツのあな2号」も出ました。たまたま、著者が当店に遊びに来られていて、1号を置く事になりました。可愛い!と表現するしかないミニプレスなのですが、ファンがおられたみたいで初回完売。2号も順調に販売中です。当店のみの限定ペーパー付きです(1200円)。2号と一緒に「おきらく書店のまいにち」(800円)も出ました。こちらは、いまがわさんが仕事されている大型書店での日々を描いています。休日も書店回りを欠かさない、本好きの女性です。

というふうに、女子たちのミニプレス新刊がただいま元気です。

日曜日に、千葉からのお客様が寄って下さいました。お膝元のミニプレス「房総カフェ」の事を、少しお話しながら、そう言えば、ここ暫く音信がないなぁ〜、新しい号出てないのかなぁ〜?と思っていました。そうしたらその日の夜、ひょっこりと「房総カフェ」(暮ラシカルデザイン編集室)の人が、新作の案内でご来店!おもしろいこともあるもんです。

なんと、「房総カフェ」3号、4号そして「房総のパン」(すべて税込み880円)と、一挙に3作続けて発売です。

「房総カフェ」3号の特集は、「それぞれの食のシーン」で、自らの畑で収穫した野菜を経営するカフェで食材として使っておられる方々が登場します。元ソフトウェアエンジニアだった栗田さんが始めた「Kiredo」。キッチンカー「キレドカー」で、自分の思いを載せた野菜料理を提供し、ついに奥様が切り盛りする「Kiredo VEGETABLE  Atelier」をオープンしました。「野菜の一生を見ること」という言葉が強く印象に残ります。

4号にも「記憶の履歴書」という副題で、素敵な人たちが沢山登場します。創業100年を誇る町の金物屋さん。その記念すべき年に生まれた女の子に両親は「百子」と名付けました。彼女は両親の思いの一杯詰まった実家のお店をカフェとして再建しました。名前は「ミナモ」。

「カフェをやりたいなと思っている時に母が亡くなって、オープン準備をしている時に父が亡くなって、親孝行ができなかったけど、こうして一生懸命お店をやってゆくことが、親孝行になるのかな。紆余曲折ありましたけど、時間がかかってよかったかなと思います。」

と百子さんの言葉には泣かされます。

さて、「房総のパン」というタイトルでお目見えした新雑誌は、「南房総という生き方」という特集を組んでいます。新しい雑誌だけに気合い十分です。単なるパン屋さんの紹介みたいな、大手雑誌がやるお手盛り企画ではありません。パンを通して、これからの生き方を見つめる内容です。山のパン屋を営む木村優美子さんが、出来立てのパンを抱えて、相棒のヤギ君と一緒に写っている写真を眺めるだけで、その魅力が伝わってきます。「私のパンは発酵がゆっくりなんです」と、何でも簡単に、速くというこの時代に流されない「ゆっくりさ」を重視されています。

「特別なものを買ったり、特別な技術を使ったりしなくても暮せる。手間と時間をかけて、身の回りできることをやってゆく。自然のまま、普通の暮しで。それが私の生き方」

消費経済の片棒を担いできた多くの雑誌と、真逆の立場で雑誌を作り続けるミニプレス全般に相通ずる考え方です。

京都の現役大学生たちが、様々な世界で活躍する職人さん達へのインタビューをまとめた「想いのしおり」(1000円)を創刊しました。念珠職人、陶芸家、金箔職人、西陣織、竹屋さん、畳屋さんなど総勢16名が登場します。

不器用な私なんかと、最も縁遠い所にいる職人さんたちの話は、どれも興味津々でした。「引彫」、「染匠」、「綴織」など、どんな仕事をするのか知らない世界に生きる人たちの、日常を垣間みることができました。

また「職人」=「堅苦しい」というイメーですが、そんな常識に違和感を唱える念珠職人。片岡正光さんは、どちらかと言えば、オープンに楽しくやりたいというスタンスです。

「一生懸命仕事しながら楽しく仕事したいと思っています。話していて『えっ、職人さんですか?こんな仕事しているんですか、嘘でしょ?本当に職人さんですか?」と言われるほうがいいと。職人さんが無口だというのは、こちらの思い込みですよね。

また、初心者のために技術説明という項目も設置してあって、助かります。例えば、引彫職人の伊藤肇さんのコーナーでは、「私の工場では、昔は突彫(つきぼり)をやっていました。でも、今は、引彫(ひきぼり)をやっています。引彫は、ビニールを敷いた上に地紙を置き、手前に向かって掘ってゆく方法です」と伊藤さんは説明されています。

そして「技術説明」コーナーでは「和紙を柿渋で貼り合わせた『地紙』と呼ばれる紙に様々な図柄を彫刻し、布地の染色に使われるのが型紙。江戸小紋や型友禅につかわれてきた。」とフォローしてあります。

この本はインタビューの読みやすさもさることながら、職人さんたちの現場を捉えた写真がいいです。彼らの生命線でもある手先の表情が上手く捉えられています。華やかさはないですが、当たり障りのない京都紹介本よりは、はるかに優れた雑誌です。

因みの個人的にベストショットは「戸田畳店」店主戸田和雄さんが畳を縫うところを捉えた一枚です。あ、職人さんの躰だ!という写真です。

 

2011年の福島原発事故以来、住宅の省エネルギーへの関心は大きくなっています。

でも一体、冷房に頼らない夏の住宅環境を実現する、なんてことが可能なのか?電気に依存しすぎる生活を、どうやって考え直せばいいの?それになんだか、スマートハウスと銘打つ「省エネ」などは、機械設備に頼りすぎてはいないか?

そこで「パッシブデザイン」という定義。「建物のあり方に工夫して、建物の周りにある自然エネルギー(太陽・風・地熱)を最大限に活用・調節できるようにし、高い質の室内環境を実現させながら、省エネルギーに寄与しようとする、建築設計の考え方とその実際的手法。」なんです。

で、これをもうちょっと、目で見てわかるように展示しようじゃないの!というわけで、小嶋雄之さん渾身の模型を展示しました。家を三つに縦割りにしたものが模型になっていて、風の通り具合や、床の蓄熱の工夫など、見ることが出来ます。図面だけで見ると難しそうでも、模型にしてみて、お話を伺ったりすると、環境抜きに家を考えることはできないことに改めて気付かされます。この家なんとなくいい感じだな〜、と思うことができれば、省エネの第一歩かも。

家というのは、住んでいくうちに、住む人によって変化していくものだと思います。完成品に人をはめこむわけではありません。そういうことを、ずっと前から発信していたのが、「もじゃハウス」の干潟裕子さんです。干潟さんの作っているミニプレス「House “n”Landscape」は、第1号からレティシア書房で扱っていますが、彼女が提唱している、植物でモジャモジャした家こそは、住む人が育てるものです。

干潟さんは、造園を学んだ後、ランドスケープ設計士として公園などのデザインを手掛けて来られたのですが、緑でモジャモジャの家に住みたいと、建築士になりました。彼女自身が、緑に癒されて励まされたということで、植物の持つ力を信じ、植物の成長とともに生きる家の設計を目指し、その宣伝のためにミニプレスを作ってきました。第4号発行が、今回の展覧会に間に合ったので、バックナンバーと共に販売しております。(1号のみ完売・在庫なし)

住むこと、生活することを考え直すきっかけになるかもしれない、この展覧会『もじゃハウスプロダクツ&小嶋雄之設計事務所によるフレンドリー建築ショーin京都』にご来場をお待ちしています!(女房)

『もじゃハウスプロダクツ&小嶋雄之設計事務所によるフレンドリー建築ショーin京都』は5月21日(日)まで

 

「murmur magazine for men(マーマーマガジン・フォー・メン」第3号(972円)が入荷しました。特集は「中島正思想入門」。え?誰それ??

雑誌に紹介されているプロフィールによると、

1920年岐阜生まれ。学生時代、自然主義文学に傾倒。兵役で海外へ出向き、終戦を台湾で迎え帰国。1954年より自然循環型自給自足農業の一環として自然卵養鶏を開始。平飼いによる自然卵養の技術を確立します。自給自足の暮らしを実践しながら、農耕と自然を頼りとする暮らしの重要性を説いてきた思想家です。

マーマーマガジン編集長の服部みれいは、中島の著書「都市を滅ぼせ」で「脳天をかち割られるような読書体験だった」と書いています。都市の豊かさなんて、ほんとの豊かさではなかったことを痛感させられ、今こそ本気で「本当の豊かさ」を見つける時だと、その思いを実践するために、彼女自身美濃に移住しました。

中島は、人間を「不耕の民」と「直耕の民」に分け、都市の実体を明らかにしようとしました。「不耕の民」が集まる都市とは何なのか、究極の都市化がもたらす破壊、あるいは文明の崩壊を防ぐために「一人ひとりが直耕の民となり、自給自足の小農を営むこと。独立し農民=みの虫となること(都市と絶縁し、自給自足の暮らしに突入)。その暮らしの集積が、社会の変革をもたらしていく」と論じています。

日々、都市の便利さに慣れきっている私には、なかなか出来そうもないのですが、「みの虫」になるという意見には耳を傾けるべきです。本の中に、編集部が制作した「みの虫生活のためのAction Plann11」というチェックリストが付いていますので、一度トライしてみてください。

さて、「murmur magazine for men」の名物(?)座談会「ハゲと薄毛」では、森岡督行(森岡書店店主)、阿部直樹(天然素材・手仕事の衣服店「えみおわす」代表)、服部福太郎(マーマーマガジン)、服部みれいのおしゃべりがヒートアップしています。ハゲのことを、禿げている本人が語るというのはなかなか勇気のいることにちがいありません。若い頃に、ハゲていくことの恐怖と戦った話、涙ぐましい努力も語られるのですが、最後は、歳と共に落ち着くということのようです。髪の毛がないことを受け入れるんだ、という説は、なんでもそうだろうな、と思いました。自分には◯◯はない、ということを受け入れる、無い物ねだりはしない、それこそが楽に生きるコツだと。なかなか奥の深い(根の深い)、そしてかなり面白いハゲ談義は、これからも続きそうです。

 

住宅のもじゃ化(緑化)を推進する設計事務所「もじゃハウスプロダクツ」が作る、「House “n”Landscape」の最新4号がリリースされました。ちなみに「もじゃハウス」というのは、緑でもじゃもじゃした家のことです。

今回、初の海外取材?ということで、フィリピンのもじゃハウス一泊体験記が、大きな特集が組まれ、気合いの入った写真がたくさん掲載されています。

マニラ市内にお住まいのダニーロさんご一家。古民家付きの土地を買い上げ、増改築を重ねた家は、つる植物が巻き付くフェンス越しからは、家の外観は判別できません。まるで、森の中にある家、いや、家の中の森?とでも表現したらいいのでしょうか。3階の屋根を突き破って伸びるスターアップルの木の写真には驚かされます。

一年を通して常夏の国なので、こんなに緑があれば、蚊がワンサカと出てくるのでは、と恐怖に捉われますが、それほど被害はないとのこと。庭との仕切りの建具にはガラスが入っておらず、風が通り抜けて、極めて涼しいらしい。写真を眺めていると、晴れの日もいいけど、雨の日もいいだろうな、という気分にさせられます。

その後、取材班は、フィリピンから台湾に移動して、緑に覆われた家を探索。台湾には、本屋や図書館に行けば、「緑建設」というジャンル(エコロジーな建築と言う意味があるらしい)の棚があるぐらい、ポピュラーな存在になっているのだとか。もじゃハウスの干潟さんは、思わずここに事務所を構えたい、とつぶやきます。レトロなビルの屋上からだらりと伸びている植物は、まるでビルを侵蝕しているみたいです。次から次へと飛び出すもじゃ建築!

「もじゃハウス豊作状態の台湾!日本だと、もじゃもじゃ過ぎて近隣住民から距離を置かれそうなほどの植物たちとその主を、多くの方が抵抗なく受け入れていらっしゃるこの国は、まさにもじゃハウスにとってのユートピアです。」とコメントが書かれています。

で、もじゃハウスプロダクツが進めようとしている「みどりと共に生きる家」ってどんなん?という疑問に答えるべく、そのモデルプランが、今号の肝です。建物の上に植物が自生する大地を作ることが基本コンセプトで、都会にある20〜40坪のの四角い土地に立つミニマムなもじゃハウスを、具体的に図面で示しています。

眺望が良くて、庭が広くなきゃ植物と共に暮らせないなんてことはない。住まいの広さではなく、視点を変える事で、日々の暮らしに緑の楽しみを見つける。そんな家がこのプロジェクトの理想型です。

一例として、10坪のもじゃハウスの図面を提示しています。「読書好きのインドアな夫婦が2人で暮すには」という設定ですが、家の正面と奥、二階のベランダに木を植えることで、将来、家が緑が囲まれるというのです。読書に疲れた時、視線を見上げた時飛び込んでくる木は、目にも心にも優しそうです。まるで音楽が気持ちよく流れる空間みたいです。イギリスのトラッド系フォークか、アメリカのルーツミュージック系ロックか、チェロ主体のクラシックか、いや、レゲエもいいな〜と、勝手に想像してしまいました。

きっと幸せな空気が満ちた空間であることはまちがいありません。

 

★レティシア書房では「もじゃハウスプロダクツ」の展覧会を開催します。

『フレンドリー建築ショーin京都と題した、もじゃハウスと小嶋雄之建築事務所による建築展です。建築業界一匹狼系の二人が、どんな提案を展示されるかは、見てのお楽しみ!です。新築を考えている方も、全然その気がない方もお気軽にお越し下さい。

会期 5月10日(水)〜21日(日)レティシア書房にて

   (5月15日(月)は定休日です) 

「かんしゃになろうよ。こころで」(発行ホホホ座1620円)は、1990年、大阪に生まれたダウン症の、佐藤春菜ちゃんの作品集です。

彼女は、生後2週間目にダウン症であることをつげられますが、小学校4年生の時から父親と交換日誌を始め、同じフレーズを毎日のように書きだします。77年、知的障害のある人達の「アトリエひこ」に参加します。2003年、かんでんコラボ・アート21審査特別賞受賞を皮切りに、詩集を発表しています。

ケント紙にマーカーで、ズラリと歌のタイトルを160個並べた作品を見ていると、この単語を描いている時の、彼女の想像力がどこまで飛翔しているのか、聞いてみたくなります。彼女の底知れない豊かさを垣間みた気がします。

「ドンドンドンドンドララララドララララみんなでもりあがっていくぞー。ドシャドシャドシャドンバドンバドンバとらペットとらペットらららとららら。」という踊るような文字を見ていると、身体がリズムを刻み踊りそうになってきます。思いのまま書いていく文字は、意味を超えて絵として面白い。右の写真は、「お買得品」と書いたセールの札に単語を書き並べ、貼ってあるユニークな作品。

東北の震災の後、「地震のひとへ」というタイトルで数多くの詩を綴って、なお現在進行形です。

「やまになろうよ。やまびこさん、おげんきですか。かわったかたちの石になろうよ。まんぞくになろうよ。みんなで、にんげんになろうよ。なつやすみをかんじでいこうよ。にんげんになって、げんきにいこう。からだに、しあわせをつくろう。」

彼女は今も「じしんのひと」のことを気にしています。コンピュータが変換して出て来た文字ではなく、個性いっぱいの彼女の文字で楽しんでもらいたいと思います。

裏表紙には、正方形の小さい紙に「OK」と書かれたものが散らばっています。自分は大丈夫とでも言い聞かせているようでもあり、こちらも元気づけてくれる作品です。

このステキで力強い本を発行したのは、ご存知ホホホ座さんです。山下店長がわざわざ配達してくれました。これからも、いろんな本を出されるはず。がんばって売りますよ、店長。