「馬語を学ぶための第一歩。それは、ウマを『感じる』ことです。」で始まった「馬語手帳」(カディブックス/1320円)を販売し始めたのが、約5年前。

その後、「夜明けまえ、わたしは車に乗って、カディのところへ行きます。牧場に着くと、車の音を聞きつけて、あるいは名前を呼ぶわたしの声を聞いて、カディは森から出てきます。」と、カディと名付けられた馬と暮らし始めた日々を綴った「はしっこに、馬といる」(1870円)が出たのが4年前。

そして、ついに3作目「くらやみに、馬といる」(990円)が発売されました。最初の「馬語手帳」が出た時は、売れるかなぁ〜と思っていたのですが、これが大間違い。当店だけでも数十冊、30版というリトルプレスでは信じられない重版です。与那国島でカディと暮らす著者の河田さんの飾らない文章と、馬を見つめる視線に、心地よさを感じた人が多かったのだと思います。私も、何度も開いています。

「くらやみに、馬といる」は、前2作より小ぶりの装丁で、文章と馬の写真で構成されています。深い森の奥にいる馬たちに深夜、逢いに出かけた彼女の文章が素敵です。

「それにしても、馬とくらやみにいることの、このおだやかでしみわたるような喜びはなんなのだろう。人生で初めて経験する感情だった。私が暗闇のなかで、こんなにもくつろいだ気持ちでいられるのは馬がいるからだ。カディや私の知る馬たちがくつろいでいる、それを感じているから私もくつろぐことができる。」

この島に来るまで、彼女は東京で編集者として忙しく働いていました。おそらく、精神的にも肉体的にもかなりキツかったのでしょう。これからの人生に不安を感じた時、カディがこっちにおいでよと誘ったのかもしれません。島に渡り、カディブックスという出版社を立ち上げ、本を出しながらの生活。東京にいた頃より、経済的にはシンドイと思いますが、常に心は満たされているという、理想の生活を得たのかもしれません。以前の暮らしをこう書いています。

「あらためて観察してみると、普通の暮らしだと思ってやってきたことのいくつかは、思っている以上にたくさんのエネルギーを費やして成り立たせていたものだということがわかった」

ところがこの島では、ある日、風雨を避けるためカディと、よく見かける野良猫と一緒に雨宿りをする羽目になった時に、一人と二匹で過ごした時間は穏やかなのです。

「カディと猫と私でくらやみにいた。雷鳴と雨音に包まれながら、なにもしないでそこにいた。なんと豊かな時間だったことだろう」

彼女の本が多くの読者に支持されているのは、本当の豊かさを知っているのだけれど現実の生活に追われている人たちが、ほんのひと時、自分の心をゆっくりさせてあげようと思っているからかもしれません。

 

「あたたかいくらやみに、馬といる。頭上には空が広がっている。空と地面との境界がどこなのかわからない。風が頬をなで髪をゆらしている。風と自分の境界がどこなのかわからない。私は静かに拡散している。生と死のどちらにいるのかわからない。わかるのは、親しい存在がそばにいる、ということだ。」

彼女はカディと共に生きて、いつか訪れる死までも見つめています。

 

 

 

大阪の動物保護施設「ARK/アニマル・レフユージュ関西」が発行する2020年のカレンダー販売中です。壁掛けタイプ(1000円)。机上タイプ(800円)があります。売上は、全てARKにお渡しいたします。当施設に保護されている動物たちのために使われます。

 

 

 

「植物は楽しい」をテーマに掲げたミニプレス「ideallife with  plants」(660円)最新号(8号)の特集は「しょくぶつのえほん」です。

絵本専門店のオーナーが推薦する植物関係の絵本紹介と、インタビューが楽しいです。その中には、京都の絵本専門店「メリーゴーランド京都」の鈴木店長も登場します。彼女が推薦しているのは石井桃子作、初山滋絵の「おそばのくさはなぜあかい」です。

「冒頭『むかしむかしおおむかし、くさやきが、まだくちをきいていたころのおはなしです。』と始まります。そうか、昔はみんなしゃべっていたんだ!って、そう思わせるくらいのい説得力があります。」

そう言われると読んでみたくなるのですが、続いて絵本の価値をズバリと指摘しています。それは、

「子どもが本を読むってそういうことだと思うんです。開いた途端に自分の知らない世界に自然に入ってしまう」と。

これ、絵本が持っている魅力ですね。大人になっても、絵本を開いて、おおっ!と叫んでしまう時がありますよね。

また、横須賀で「うみべのえほんや ツバメ号」を運営されている伊藤さんは、私も好きだったバーバラ・クーニーの「ルピナスさん」を推薦しています。「子どものころからおばあちゃんになるまでのルピナスさんの人生をつづりながら、女性の行き方とルピナスの花をかさねて描いた本です。」本の中に出てくる「世の中をうつくしくする」という台詞は大人にも、子どもに響いてきます。

連載の「植物の和菓子特集」秋編は、イネ科の植物です。「花は地味で注目されないが、平行な筋状の葉脈を持つ、細長い線状の葉の姿が美しい」という言葉通りに、イネの形を盛り込んだ和菓子がズラリ。京都からは鶴屋吉信の「嵯峨野」が選ばれてますが、地味な稲やススキのお菓子は、抑えた色合いや風味が秋を感じる大人の雰囲気です。

「ideallife with  plants」はバックナンバーも販売しています。本好きには、ニンマリのミニプレスです。

なお、メリーゴーランドの鈴木店長が書かれた「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(アノニマスタジオ/古書1300円)も在庫しています。

 

 

絵本「ネコヅメのよる」でお馴染みの町田尚子さんの、ユーモア溢れるカレンダーを今年も入荷しました(2020年版540円)。

2019年版のテーマは映画でした。今回は音楽で、表紙はE ・プレスリーの扮装で踊る猫のピッピちゃんです。広げてみると、様々な音楽ジャンルでミュージシャンになりきったピッピちゃんが登場します。クラシック、ロック、ジャズ、ラップ、フォーク、パンクロックの音楽シーンでそれらしいスタイルで音楽を演奏したり、歌っている姿が楽しめます。相変わらずふてくされ顔でいるピッピちゃんの魅力満載です。彼女以外にも、ゆきちゃんとさくらちゃんの二匹の猫も花を添えます。

このカレンダーの売り上げの一部は動物愛護活動への寄付になります。町田さんは「身近に暮らし、私たちの友人であり家族である動物たちが幸せに暮らせますように。」と、このカレンダーを製作した気持ちを書いています。毎年店に貼っておくと、お客様のお問い合わせが多い人気のカレンダーですが、限定販売ですので、在庫無くなり次第終了します。(例年1ヶ月ぐらいでソールドアウトになりますので、お早めにどうぞ)

さて、高知県が出している無料のミニプレス「とさぶし」最新号は、本好きならゲットしたくなる「ノスタルジックな文学の世界へ」という内容です。高知県立文学館の資料を元に構成された、高知ゆかりの作家らが綴った文学作品の案内です。明治時代は中江兆民、幸徳秋水、大正時代は寺田寅彦、昭和になって登場するのは、倉橋由美子、安岡章太郎。そして平成には、山本一力、有川ひろなど。

明治時代、高知出身の黒岩涙香が創刊した新聞「万朝報」が大人気になり、帝都で発行部数第一位へと躍り出ました。黒岩は新聞だけでなく、外国小説を翻訳して、独自のアレンジを加筆して新聞連載し、サスペンス小説として読者を広げていきました。高知県立文学館の学芸員の福富さんが、非常に興味深い事実を指摘をされています。

「江戸川乱歩は、大正時代に涙香の描いた小説『幽霊塔』にいたく感銘を受け、リメイク版の『幽霊塔』を執筆しているのです。昭和時代に描いた乱歩の『幽霊塔』に憧れて、今度は宮崎駿が『カリオストロの城』を創っているんです。涙香がルーツとなって乱歩に繋がり、そして平成の宮崎駿へと繋がっていく。」

高知県は、なんとなく男性的なイメージの強い県だと思っていましたが、まだ男女差別が強かった昭和時代に、すでに「女流文学賞」を創設し、「執行猶予」の小山いと子、「婉という女」の大原富枝、そして宮尾登美子など一世を風靡した作家が登場します。

高知文学の話題満載の「とさぶし28号」は、読み応え十分で、今後の読書計画の参考にもなる一冊です。こちらも無くなり次第終了ですので、お早めにご来店ください!

正方形のスタイルがユニークな「歩きながら考える」最新9号を入荷しました。(1080円)

柴田元幸ファンは絶対買いです!彼の結構長めのインタビューが掲載されています。翻訳業の傍ら、柴田さんは全国各地で積極的に朗読会を行なっています。その仕掛け人のignition galleryの熊谷さんとの共同インタビューで、なぜ、今、朗読会なのかを語っています。

「都道府県はどこでもいいんだけれど、会場がインディーズだということがとても重要ですね。」と柴田さんのおっしゃる通り、個人経営の書店やギャラリーや店舗を中心とした活動です。

熊谷さんは、朗読会の良さを「その時を一緒に生きているというのが一番大きいんじゃないですか。一緒に物語を共有しているということは、その時間だけ、人々の想像力が一緒になって過去も未来もひっくるめた現在を生きていることだと思います。それはひとりで本を黙読しているのと違う。」と話されています。当店で宮沢賢治の朗読会をしていただいた澤口たまみさんの朗読を聴いた時、そんな風に感じました。

後半で、柴田さんが、アメリカには車に乗らない作家がいる、例えばリチャード・ブローディガン、ジョセフ・コーネル、写真家のソール・ライターなのですが、彼らについてこう指摘しています。

「車に乗らないということは、移動を含め、何でも自分の力でする、Self-Reliance(自立)というか、『自分で自分の世界を動かしていく』というアメリカ的な姿勢に背を向けているということ。」

アメリカでは圧倒的に少数派ですが、面白い見方です。

さて、もう一冊。横浜の酒飲み文化をひたすら紹介する「はま太郎」(1728円)の16号が出ました。凄いなぁ〜、自分たちの町と飲み食いのことをメインに16号まで出すなんて!!今回の特集は「横浜下町文化は南区にある」というディープな研究です。ここらあたりは、ヨコハマのヘソで、豆腐屋、うどん、そば、餃子などを販売する小さな食料品店、米屋さん等々、横浜を代表する商店街が集まっており、独特の文化が育っているのだそうです。南区に点在する和菓子屋の最中図鑑などという甘党好みの企画にも会えます。

横浜には市民酒場というお店があるらしい。これ、「横濱市民酒場組合」に所属する飲食店のことです。結成は古く、1938年。戦争末期、食料調達が難しくなってきた時に、「まっとうな料理と酒を、まっとうな価格」で提供することをモットーにしてきた組合です。組合結成の地が南区だっだことから、市民酒場が数多く存在しています。酒飲みにはこたえられない特集ですね。

その一方で、南区は美味しいナポリタンが味わえる店も多くあるようです。日本ナポリタン学会会長田中健介が「京急沿線は必ずといっていいほどに駅前によい喫茶店がある。つまりよいナポリタンにありつけることを意味する」と前置きして、紹介していきます。

トレンドなイメージの横浜とはまた違うイメージの地域紹介誌ですが、これはとても面白く、お腹も空いてくるし、ビールを飲みたくなってる一冊です。(バックナンバーも扱っています)味のあるイラストも健在です。

 

「『いやぁ〜亀岡から来はったん?』京都人から受ける理不尽な”カメハラ”」という表紙の文句だけで、吹き出しました。ご存じグレゴリ青山さんと、キリカメ7の「ナマの亀岡」(ミニプレス/300円)です。な、何だ「キリカメ7」って!?

これ、「かめおか霧の芸術祭」のイベントの中で、自分のことをキャラクター化して亀岡ネタで漫画を描くというグレゴリさんの教室に参加した人たちの、キャラと地元ネタの漫画があまりにも面白くて、本になったらしい。「かめおか霧の芸術祭」にちなんで、漫画を描いた六人を”キリカメ7”と呼んでいるのです。6人なのに7(セブン)としたのは、ゴロがいいから。

ヘェ〜、亀岡ってこんな場所、と興味が湧いてきます。亀岡市は京都府の中西部に位置し、宇治市に次ぐ京都府第三の都市。ここが霧の町だとは知りませんでした。「今工事中のサッカーズタジアム ただでさえ巨大すぎて非現実的なクレーンが深い霧につつまれると」「な、なんか世界が終わった後の景色みたい…….」なんてギャグも描かれています。京都市内に住む人から微妙にいじられる”カメハラ”満載。なお、当店販売分はグレゴリさんサイン入です!

 

もう一冊新着のミニプレスは、福井県小浜市から入ってきた佐藤実紀代著「はしはうたう」(HOSHIDO1296円)です。著者の佐藤さんは、福井市生まれのフリーの編集者です。編集などの本に関係する仕事をしながら、書店「HOSHIDO」を立ち上げ、この書店を通じて出版された処女作がこの本です。

著者の佐藤さんから、「レティシア書房のお客様へ」というメッセージに「『鯖街道』で結ばれている京都と福井県小浜市。小浜という小さな町で、人生をかけて作られて若狭塗箸の職人、的場さんの想いと作品を味わってください」と書かれていました。

500種類以上にもなる的場さんの作品から、ご本人によってセレクトされた16点の美しいお箸の写真。制作過程と、小浜市から少し離れた所にある谷田部という野山と田んぼに囲まれた村に生まれた的場さんの人生が、この本に詰まっています。若狭塗箸の伝統を継承しつつ、鮮やかな色彩でまるで芸術品のような職人技にため息が出てきそうです。

 

 

 

当店で開催中「僕らの界隈展」を主宰しているミニプレス「その界隈」から、初の小冊子「北海道と京都とワンダーランド」(1080円)が出ました。

2016年に発行を開始したタブロイド判の「その界隈」は10号まで発行されています。今回の小冊子では、「その界隈」周辺からの味わい深いコラムが並んでいます。

「京都駅は何と言っても駅全体に漂うアートの空気を満喫するのが、正攻法かと思われる。まぁ、構造そのものもアートなんだけれども、駅ビル随所に見られるアートの欠片を探して散策すべし。珍しいものでは「石の博物館」なんてものもあって」と京都駅クルージングを提案しています。

取材で来京されると、朝はホテルで朝食を取らず、散歩途中で見つけた喫茶店に入るのが習慣となっていると書かれています。素敵なお店で小一時間、過ごす幸せ。一方、北海道はどうかといえば、

「地方の駅前の喫茶店を探す。こちらはもう瀕死状態だ。クッションがへたってしまって沈み込む様に座るソファー。インベーダーゲームが故障したままで使われているテーブル。」

それでも、喫茶店好きの筆者はそこにまた惹かれるといいます。

京都の地名についてのコラムもあります。「東本願寺近隣にある『艮町』は、イラッとするぐらい読めそうで読めない」とこの町名を上げています。

「『艮』は中国の八卦という図象を示す言葉のひとつで、地名として使われている場合は、北東を示すとのこと。『丑寅』とも書くらしいからそれで読める人も多いだろう。京都の地名はこういった方角を示す言葉が使われるケースが多く、加えてその方角の基準地がどこなのか探るのも面白い。」

勉強になります。

「終着駅を味わう」と題したコラムには、なんと、阪急四条河原町が登場します。確かに、阪急電鉄の終着駅ではありますが、京都に住んでいてそう感じたことはなかったな….。この地下鉄の駅を撮影した写真が載っていますが、なんとなく終着駅の寂しげな風情が感じられるのも面白いところです。そして、叡山電鉄・出町柳駅、京福電鉄・四条大宮駅が「最も味わい深い終着駅として推奨したい」と書かれていました。住んでいるものには案外思いつかない様なところが面白いですね。その後に、北海道の終着駅が紹介されていますが、こういう最果て感が漂うのが終着駅だよねと、私たちは思ってしまいます。

⭐️「僕らの界隈展」は7月28日までです。28日朝10時15分より、「北海道と京都とワンダーランド〜ようこそ、リトルプレスの世界」と題したトークショーが、当店で開催されます。ご予約はNPO法人「京都カラスマ大学」まで

 

北海道発の京都紹介新聞「その界隈(北海道と京都と)」の10号発売記念として、「僕らの界隈展」が本日から始まりました。新聞の中から印象的な言葉が、大きくプリントアウトされて壁一面に張り出されて、なんかむちゃくちゃテンション上がります!もちろん新聞のバックナンバーは1〜10号までずらりと並びました。京都好きの北海道のお二人が「北海道と京都」について書いた、実に中身が充実した新聞紙形態のミニプレスです。京都に住んでいると見逃してしまうような面白い切り口と素敵な写真が満載で、オススメです。

今回の展示では、北海道津別町在住のアーティスト大西重成さんの「トッタン画」(トタンのコラージュ作品/33000円〜)と靴の木型のオブジェ(大16000円/小8000円)、札幌在住の写真家酒井広司さんの風景写真、京都からは「今宵堂」さんの可愛い酒器が並びました。

大西重成さんは、坂本龍一のレコードジャケットを手がけたデザイナーとしてご存知の方もいらっしゃると思いますが、モスバーガーが出していた「モスモス」というフリーペーパーの表紙担当をしておられました。伝説となった「モスモス」も今回販売されていますので、お見逃しなく。(1600円)

酒井広司さんの写真は、「その界隈」に毎号掲載されていて、いつも美しいなぁと思っていました。ミニ写真集「北海道の旅」(1200円)、ポストカードセット(800円)など販売しております。

「今宵堂」さんの酒器は2016年1月に「樽」という酒の雑誌展を開催した時、出展していただきました。ゆらゆら揺れるなんともほろ酔い気分のおちょこ(1296円)は、舞妓さんの風情でかんざしを付けて可愛い。おなじみの「成駒箸置」(540円)は裏面は皆「素面」と書かれていて、表面は「底無」だの「笑上戸」だの様々な言葉が書かれています。それぞれの酔った加減でお楽しみください。他にも「座興賽」(540円)泥酔お守り「酔ワン」(540円)なども。

京都は折しも祇園祭の真っ最中。北海道から来られた方々も、みなさん昨夜は宵山見物でいいお酒だったとか。このタイミングで北海道と京都の展覧会を開催できることは嬉しいです。暑い毎日ですが、お祭り見物の合間にお立ち寄りいただければ幸いです。なかなか見ごたえありますよ。ところで、大西さんの二つ並んだ木型のオブジェのあんまり可愛いので、結婚のお祝いにピッタリと思ったのですが、誰か結婚する人いないかな?(女房)

「僕らの界隈展」は7月16日(火)〜28日(日)月曜定休日 

  12:00〜20:00(最終日は18:00まで )

 

 

★恒例『レティシア書房夏古本市』は8月7日(水)〜18日(日)開催します。

 

「ideal life」は、2017年秋から、「植物はたのしい。」をテーマにしたミニプレスです。縦13cm横18cmの小さな本ですが、中身はぎっしり。快適に植物と暮らす企画を、毎回毎回編集しています。今月から、この雑誌の創刊号〜最新7号まで揃えました。

毎回「植物にまつわる本」というコーナーで、様々な本が紹介されています。私は、まずこれを全号読みました。各号のテーマに沿って、ムナーリの「木をかこう」、柳宗民の「柳宗民の雑草ノオト」等の王道を行く本もあれば、S・カニンガム「願いを叶える魔法のハーブ辞典」、森乃おと「草の辞典 野の花・道の草」といった実用書もの、さらにはリベラ著「月と農業ー中南米農民の有機農法と暮らしの技術」、白幡洋三郎著「花見と桜ー”日本的なるもの”再考」みたいな人文、社会学系の本まで網羅されています。当店でも販売している「種子のデザイン」(LIXIL出版)、「ENCYLOPEDIA OF FLOWSERS 2植物図鑑」(青幻舎)といったデザイン系まで押さえてあります。

和菓子好きには、「植物の和菓子」というコーナーが常設せれていて、クリ、アサガオ、アジサイ、キク、サクラという植物をイメージしたお菓子が紹介されています。「さくら」を特集した3号では、桜餅の解説があり、上方風「道明寺桜餅」江戸風「長命寺桜餅」が押さえてあります。

各号の特集はこんな感じです。

1号「イチョウ」、 3号「さくら」、4号「植物はおいしい」、5号「みちくさ」、7号は「あじさい」です。え?2号、6号はどうなってるの?と、ここが面白いのです。

先ず2号ですが「脱線2号」と裏表紙に書いてあり、ペラペラの冊子で、書いてあるのはシュトレンというケーキの特集です。後書きに曰く「主役は活版印刷のポストカード。この紙はおまけです」ーもちろんシュトレンが描かれています。6号は、「コタツ園芸のススメ」の特集で、やはりペラペラ。これ、園芸や植物に関する本を、コタツに入って読みふけり、机上妄想園芸を楽しむやり方です。この号は「りんご特別号」というもう一つの特集があり、りんごの冊子が付いていて、りんごの植物学、民俗史の情報が大盛りで読めます。りんごのバッチも付いています。(写真右)

この雑誌を主催する、いとうやすこさんは、 WEB系のお仕事を長年されている一方で、髪の雑誌を作ったことについて、HPでこう述べておられます

「長らくWebの仕事をしているのに、いや、しているからなのか、雑誌世代のわたしは「紙媒体」に強いあこがれがずっとあったようです。それがリトルプレス発行へとだんだんつながっていきました。植物の本に触れることで、本に触れてページをめくることがますます好きになったこともあるのかもしれません。自分でも、いつのまにか作りはじめていた、という印象を持っています。」

本好きのための「植物のミニプレス」というスタンスです。価格は1号、3号、4号、5号。7号は540円、脱線2号は324円、6号は648円です。一度手に取って、その楽しさを感じてください。

 

 

 

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手差ユニッツによるコミック「素晴らしき七番地」と、コミックの各章のタイトルに合わせた音楽を演奏するザ・ロスト・クラブのCDがカップリングされたミニプレスを、入荷しました。(ミニプレス1080円)

コミックの方は、何ということのない日常をすくい上げた脱力系。日常生活のありふれた一瞬を浮き上がらせる中に、これは上手い!と思わせる作品をいくつか見つけました。

Tシャツを着た青年が電車に乗ります。するとどこからか飛んできたトンボが、すっと青年のシャツに止まります。その様子を見ていた年配の女性が隣の乗客に「トンボですよ。じっとして 羽が好きとおってキレイです。」語りかけられた人が「それは、もう秋の話題だね」と答えると、トンボは青年のシャツを離れて飛んでいきます。6コマのたったそれだけのものなのですが、女性が語りかけた隣の人は、視覚障害者なのです。挽夏の昼過ぎの空気感と、秋の予感を切り取ったセンス、優しさが漂います。

 

あるいは、花火大会に行こうと思っていたカップルが、電車延着で間に合いそうにない状況になります。花火の音が聞こえてくる中、せっかくもらった花火大会の「指定席」が無駄になると電車を降りて、ふと見上げるとホームの向こうに打ち上げ花火が上がっているのが見えて、「自由席!」と二人は笑い合います。ほのぼの…..。

このコミックについている音楽も素敵でした。80年代の英国アコーステイックサウンドの切なさや、日本のシティーミュージック創成期の品の良さを、自分たちのモノにした音楽です。全7曲。自宅や車内でエンドレスに流しても邪魔になりません。

もう一冊、ほのぼのと笑わせてくれるのが、鶴谷香央理の「メタモルフォーゼの縁側1巻」(角川書店500円)です。75歳のおばあちゃんが立ち寄った書店で、手にした一冊の本。なんと、それはボーイズラブの漫画だったのです。このおばあちゃんと、書店で働くボーイズラブ大好きの女子高校生との交流を暖かく見つめていきます。一人暮らしのおばあちゃんと、周りのキャピキャピした環境に馴染めない高校生が、ボーイズラブの漫画を接点にして、新しい毎日を生きてゆくというのが物語の骨格になっています。マニアックな世界に閉ざされていたボーイズラブを、こんな風に何の衒いもなく出してきたセンスの良さに驚かされました。(現在3巻まで単行本化されています)

 

 

 

トーク&ライブのお知らせ  

7月13日(土)18時30分より 『澤口たまみ(語り)石澤由男(ベース)ライブ』

今年1月、当店で行われた「宮沢賢治愛のうた」(澤口たまみ著)出版記念イベントのお二人のトーク&ライブが再びやってきます。澤口たまみがさんが岩手のイントネーションで賢治作品を朗読。ベーシスト石澤由男が伴奏を添えます。 朗読作品は、岩手の自然を見つめ、野原や林からおはなしを貰ってきたという「鹿おどりのはじまり」他を予定。

●18時受付開始  18時30分より (2000円)ご予約ください。

 

小幡明(Obata Mei)さんは、2010年から手描きの「Papel Soluna」という新聞型ミニプレスを発行しています。レティシア書房でも人気の冊子です。世界を一人で旅して、そこで出会った人々、食べ物、風景、歴史、建物などが、絵と文で綴られていて、上手いな〜といつも思っていました。本人が好奇心いっぱい元気一杯で、初めてのことを楽しみながら描いているので、読む方も楽しい。

今回その原画が展示されています。ペンで輪郭を描き、色鉛筆で着色してありますが、細かい味のある線に改めて魅了されました。ミニプレスやグッズをあまりに上手に作られるので、そちらに目が奪われますが、彼女は素晴らしい絵描きさんだとつくづく思いました。お話を聞いてみると、大学で銅版画を専攻していたそうです。

そして「Papel Soluna」(330円)の全ナンバーがずらりと並びました。これまた壮観です。一つ一つに面白い体験が詰まっています。「Papel Soluna」ファンの方も、彼女の絵をご存知ない方も、ぜひご覧いただきたいと思います。最新号もご用意しております。ところで、「Papel Soluna」というのはどういう意味だと思います?Papelはスペイン語で紙。 SolunaのSolは太陽を意味し、lunaは月のこと。小幡さんの名前「明」を分解すると、なんと太陽と月。いわば小幡さんが楽しんで描くペーパーというわけです。

旅先から小幡さんがご両親に出したハガキ(写真右)も楽しいです。元気に旅している証拠に行く先々からスケッチを送られているのですが、表に貼ってある各国の切手も美しい。こんなハガキが外国から届いたら嬉しいでしょうね。彼女の作るミニプレスの原点のような気もします。

この展覧会では、手作りの陶器のブローチ(3780円〜)、手ぬぐい(1750円)、ミニノート(400円)、すごろくセット(2330円)、ポストカード(220円)の他に、台湾で仕入れたバッグや封筒など可愛いグッズを販売しています。「Papel Soluna」の雰囲気そのまま丸ごと展示したようなウキウキ感いっぱいの『世界ひとめぐり旅路録』をどうぞお楽しみください。

なお、展覧会中に旅のトークイベントを下記の通り予定しております。興味のある方どうぞお越しください。(女房)

★イベントのお知らせ

「世界ひとめぐり旅路録」展開催中の小幡明さんが、14日(金)19時半より、FMひらかたパーソナリティー久保有美さんと一緒に「小幡明の旅の話アレコレ」と題したトークショーを当店にて開催します。(参加費1000円/要予約)