「かんしゃになろうよ。こころで」(発行ホホホ座1620円)は、1990年、大阪に生まれたダウン症の、佐藤春菜ちゃんの作品集です。

彼女は、生後2週間目にダウン症であることをつげられますが、小学校4年生の時から父親と交換日誌を始め、同じフレーズを毎日のように書きだします。77年、知的障害のある人達の「アトリエひこ」に参加します。2003年、かんでんコラボ・アート21審査特別賞受賞を皮切りに、詩集を発表しています。

ケント紙にマーカーで、ズラリと歌のタイトルを160個並べた作品を見ていると、この単語を描いている時の、彼女の想像力がどこまで飛翔しているのか、聞いてみたくなります。彼女の底知れない豊かさを垣間みた気がします。

「ドンドンドンドンドララララドララララみんなでもりあがっていくぞー。ドシャドシャドシャドンバドンバドンバとらペットとらペットらららとららら。」という踊るような文字を見ていると、身体がリズムを刻み踊りそうになってきます。思いのまま書いていく文字は、意味を超えて絵として面白い。右の写真は、「お買得品」と書いたセールの札に単語を書き並べ、貼ってあるユニークな作品。

東北の震災の後、「地震のひとへ」というタイトルで数多くの詩を綴って、なお現在進行形です。

「やまになろうよ。やまびこさん、おげんきですか。かわったかたちの石になろうよ。まんぞくになろうよ。みんなで、にんげんになろうよ。なつやすみをかんじでいこうよ。にんげんになって、げんきにいこう。からだに、しあわせをつくろう。」

彼女は今も「じしんのひと」のことを気にしています。コンピュータが変換して出て来た文字ではなく、個性いっぱいの彼女の文字で楽しんでもらいたいと思います。

裏表紙には、正方形の小さい紙に「OK」と書かれたものが散らばっています。自分は大丈夫とでも言い聞かせているようでもあり、こちらも元気づけてくれる作品です。

このステキで力強い本を発行したのは、ご存知ホホホ座さんです。山下店長がわざわざ配達してくれました。これからも、いろんな本を出されるはず。がんばって売りますよ、店長。

売れ行き急上昇中(といっても小さな店ですんで、そんなに冊数は多くない)の2冊、つばた英子、しゅういちご夫婦の「ときをためる暮し」「ふたりからひとり」(どちらも自然食品通信社1944円)が、「人生フルーツ」というタイトルでドキュメンタリー映画として今月末に京都シネマで公開されます。この本については、以前に店長日誌にて取り上げましたが、「暮らす」ということの理念が平易な文章で語られている、どの世代にもお薦めできる中身です。

一方、帯広発のミニプレス「スロウ」最新号(905円)にも、つばたさん夫妻と同じように、日々の暮しを丁寧に紡いで生きる歓びを見出している宮本さん夫妻が紹介されています。

札幌で暮らしていたご夫婦が、子供たちの独立を切っ掛けに、田舎暮らしを考え始めたのが2003年。それから試行錯誤の後、なんとログハウスを自分で建ててしまったのです。そして、畑をやりながら、二人で質素だけれども、豊かな暮しを楽しんでおられます。面白かったのは、付箋がベタベタと貼付けられた図鑑類の写真です。ご主人曰く、引っ越してきた時は、山菜の名前も、キノコの種類も、ましてや野鳥の名前なんかも全く知らなかったとか。この記事を書いた記者はこう想像しています。

「すっかりボロボロになった何冊もの図鑑にはたくさんの付箋が貼られていて、いろいろな書き込みがされていた。動植物の名前をひとつづつ知ることも、大きな楽しみになっていることだろう。」と。

スマホ、ネットではなく、紙に図鑑というところが嬉しいですね。鳥の図鑑には、その鳥が庭に訪れた日時が書かれていて、使い込まれた図鑑の写真には親しみを感じました。

創刊50号を迎える「スロウ」は内容盛り沢山で、すべて紹介したいぐらいですが、興味深い記事をご紹介します。それは、「たねたね交換会」です。

野菜の産地は気にするものの、それらの種の産地は気にしないでいいのか、という疑問から始まった交換会は、種の物々交換の場であるばかりでなく、食に対する価値観を分かち合う場所になっています。ルーツを探れば海外からの輸入種であったり、農薬付けだったりする事もあるとか。本来、百姓という言葉には「百の仕事ができる」という意味があり、農家は種取りができて当たり前でした。しかし、今は種苗会社がその仕事をしていて、農家は外されています。だからこそ、種から選び、自分たち育てたいものを作ることで、本当に安全なもの、本当に美味しいものが出来上がる。そんな価値観を持った人達が情報を共有し、より広いネットワークを形成することを目的にしています。

「スロウ」は北海道発信の情報誌ですが、しっかりと暮らしを見つめた本で、誰が読んでも納得がいくと思います。

 

★レティシア書房臨時休業のお知らせ 4月17日(月)18日(火)連休いたします。

おいおい、これ無料か?商売の邪魔するの?? と、言いたくなる程立派な雑誌が創刊されました

発行元は長崎県文化観光国際観光振興課。お役所発行のミニプレスで、タイトルは「SとN」。「S」は佐賀県、「N」は長崎県を表しています。創刊号の特集は「トコトコ列車で会いにいく」。佐賀県有田から長崎県佐世保まで走る松浦鉄道に乗って、沿線を散策する特集です。この2両編成の列車、きっと鉄ちゃんには人気があるんでしょうね。

この路線は日本最西端の「たびら平戸口駅」も擁しています。ここの女性駅長さんのインタビューはじめ、沿線で、様々な商売や仕事をされている方を取材しています。定期船の船長をされている、強面のおっちゃんが、大のボブ・ディランのファン。ひょっとして、この船ではディランの曲が流れている?なんて興味も湧いてきます。甘党のアナタなら、北佐世保駅にある「毎日饅頭店」は見逃せません。看板商品のほこほこの「甘酒饅頭」はぜひ食べてみたい。お値段もご近所価格で、安い!

高知発のミニプレス「とさぶし」18号も入荷しました。森林率日本一の高知で、山に生きる人達を特集してあります。地元の人達の山の楽しみ方や、高知、徳島に棲息するツキノワグマのことなど興味深い記事を読むことができます。四国八十八カ所霊場のひとつ東明院善楽寺山主、島田希保さんも登場します。高知県札所で唯一の女性住職は、年に二度、大祭と花祭りに美しい声でご詠歌を歌い、多くの人がお参りに来られるそうです。

同じく、四国徳島発の「あおあお」も新しい号が入荷しました。特集は「藍がある」。かつて天然藍染料”すくも”の産地として栄えた徳島で、すくもを使って、作品を生み出す藍染作家たちが暮らしています。特集もさることながら、裏表紙にど〜んと載っている「フィッシュカツ」が食べたくて仕方ありませんでした。それにしても、どこへ行っても美味しそうなものが多くて、それだけのために旅にでたくなります。

さて、こういった地方の文化発信のミニプレスばかりだけでなく、本好きには大人気の「BOOKMARK」の最新7号も入荷中です。「眠れない夜へ、ようこそ」というテーマで、ゾッとするホラーや、怪奇話満載の小説が紹介されています。

最近映画化もされた「高慢と偏見とゾンビ」などは読んでみたい一冊です。ジェイン・オースティンの傑作「高慢と偏見」にゾンビを持ち込んだというウルトラC級の小説。「8割はジェイン・オースティンの原文をそのまま持ってきて、隙あらば血みどろのゾンビの世界をもぐり込ませ」るという離れ業を敢行し、さぞかし天国のオースティンも真青というお話です。作者はジェイン・オースティン&セス・グレアム=スミスの二人になっています。

どの本も数量に限りがありますので、お早めにどうぞ。

 

 

 

 

大和郡山の古書店「とほん」さんが「ブックレットホン」(648円)を創刊しました。店長の砂川さんとは、開店される前に何度かお目にかかっているのですが、まだお店には伺っていません。素敵なお店だという噂はあちこちから聞えてきています。

さて、創刊号の特集は「奈良と本」。

先ずは「本と一緒」。これは奈良で本に巡り会える場所の案内です。吉野郡の杉木立に囲まれた場所にある私設図書館「LuchaLibro」。大学講師と図書館司書のご夫婦が始められた図書館です。爽やかな風が吹き込みそうな山里の一軒家で、館長は猫の「かぼす」氏、主任は犬の「おくら」氏とか。猫語、犬語の勉強もお忘れなく。

ギャラリー「日+月+星」さんで、不定期に開催されている「夕暮図書室」は「夕暮の図書室のような落ち着いた本のある空間を」を目的としたイベントです。「とほん」さんが本を提供して、一緒に珈琲店や、CDショップ等が参加して、楽しい一時を演出されているみたいです。写真で見ると、寝転んで読書したりできそう。天文学者石田五郎の文庫が、吊り下げた箱にセットされている写真がありましたが、「とほん」さんのセンスの良さが見えてきます。

次の特集は、「文人と奈良」。奈良と言えば「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の正岡子規が有名ですが、「夫婦善哉」の織田作之助が、正倉院展について書き残しています。これ、真っ向からこの展覧会に噛み付いています。私小説こそ小説という当時の風潮に馴染まず、「未来に向かう人間の可能性を描く可能性の文学」を提唱していた織田が、当時、奈良住まいしていた私小説の神様、志賀直哉に反撥していたのが原因だったかもしれません。

最後の特集は、今活躍中の作家が描いた奈良を訪ね歩く企画です。もう、これは万城目学の「鹿男あをによし」が代表でしょう。TVドラマされましたが、面白かった記憶があります。奈良在住の森見登美彦のファンタジー小説「ペンギンハイウェイ」が奈良の新興住宅地をモデルにしてるとは知りませんでした。マジメな小学生が通学途中でペンギンの群れに出会うというお話。

私の好きな作家津島記久子著「ポースケ」が、奈良のカフェ「コハルカフェ」を舞台にしていて、「とほん」店主がそのカフェを訪問した時のことも書かれています。

特集以外では、個性的なお店の店主が薦める本の紹介が面白い。薦める本のテーマは「記念日」です。その中でH.A.Bookstoreの松井さんが高浜寛の「イエローバックス」を取り上げていますが、やるなぁ〜。私もこの本大好きで、店に置いてます(600円)。

そして、最後を飾るのは、「休日は本屋さんへ」というコーナーで、阪急水無瀬駅前の「長谷川書店」が紹介されています。この書店は、新刊書店の面白さ抜群です。本の森に迷い込んだ錯覚に陥る、本好きには、”あぶない”お店です。つい、買ってしまうんです。無茶苦茶に並んでいるのか、店長の美意識に基づいて並んでいるのか、いやはや、こんな店が有るとは。

次号は5月末発売とか。楽しみにしています。もちろん、当店でも続いてお取り扱いしていきます!

★「ブックレットホン」(648円)創刊号発売中

 

山形おきたま発のミニプレス「nda nda!」(750円)が届きました。

特集は「本でつながる人、店、まち」。山形県の置賜(おきたま)エリアで開催されているブックイベント「Book! book! Okitama」を紹介した一冊です。このイベント、会場の川西町フレンドリープラザを中心に近隣の市町村を巻き込んで、数十カ所の会場で本に関する企画を行うという、本好きなら行ってみたい催しです。

日々イベントを開催することで有名な東京の書店「B&B」オーナー、内沼晋太郎とブックカフェ「6次元」オーナー、ナカムラクニオの本で繋がる人と店、そして町をテーマにしたトークショーが採録されています。

そして、当店でも人気の高野文子著「ドミトリーともきんす」(中央公論新社900円)の編集者、田中祥子が、その制作過程を振り返るトークショー「『ドミトリーともきんす』漫画で読み解く詩と科学が交わるころ」に呼ばれた時のことを語ります。

トークショー「装丁家が語る本のあれこれ」に登場した装丁家、桂川潤が、出版危機という言葉に右往左往するよりも、「『本のある風景』が広がりつつある現実」を見つめることの方が大事だと語っていますが、その通りです。

「『本のある風景』に、わたしの生業とする装丁も含まれています。わたしたちは本を手に取り、本をとおして人とつながり、暮らしと地域を見つめなおしていきます。」

これが、あるべき姿だと思いました。

一箱古本市発案者、南陀楼綾繁も登場します。彼はトークショー「ナンダロ〜ド本の旅あるき」とワークショップ「自分新聞を作ってみよう」に参加しています。小さい時、45回転のEPレコードをブーメランよろしく片っ端から投げた話、オレもやったなぁ〜とあの時代を思いだします。LPレコードはあまり飛びませんでしたね。

と、なんだかとても楽しそうなイベントだらけですが、2014年からスタートしました。この本はその3回目をレポートしています。全国発の企画「図書館宿泊」レポートに、読書にピッタリの置賜地方のおやつの紹介など盛り沢山な内容です。

本の危機を叫ぶ一方のマスコミのばかりの中で、地方都市でこんなステキなイベントをやっていることを忘れてはいけないと思います。

置賜で商いをする方々がすすめるこの一冊というコーナーまであって、なんだかそこで暮す人達と、知り合いになれた気がするミニプレスです。

 

★レティシア書房は20日、21日と連休いたします。22日(水)から高原啓吾作品展『ねこのように』が始まります。

 

 

昨日のブログは吉田健一と娘、暁子との「父娘もの」でした。続いて、本日は、娘の朱女(しゅめ)が、父である日本画家、沢 宏靱(さわ こうじん)との生活を描いた「飯場と月」(ヒャクジツコウ舎1350円 新刊)を紹介します。

明治38年生まれの日本画家、沢 宏靱は、戦後「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」と宣言し、秋野不矩、上村松篁らと「創造美術」を結成しました。

昭和46年、住み慣れた京都市内から、比叡山山腹に移り住みます。朱女さんは、この時代の父と家族のこと、そして家の周りに広がる風景を叙情的に描いていきます。彼女はプロの文筆家ではありませんが、その情景がありありと浮かんでくるような文章です。「孤高の画家」と称され、自分の画業追求のために画室に籠った父親を見つめる優しい眼差しが、読む者を穏やかな気持ちにしてくれます。

タイトルにある「飯場」は、彼女が引っ越した時、まだ家が建ってなくて、住んでいた飯場同然のプレハブ小屋のこと。本来なら、えっ?こんな場所に住むの!?なんですが、子どもであった天真爛漫な彼女は、「だけど、あたしには毎日が夢のようだった。あたしは生涯一幸せだった。だって楽しいんである。毎日が、キャンプだよ。家族全員で」と嬉々として暮らします。

そして、あの頃を振り返って「遊びに遊んで、ひとかけらの心残りもない。あの絶大な幸福感は、いまも私のなかに満ちわたっている。たぶん、生涯の涯まで。」家族の愛情の中で、羨ましくなるくらい伸び伸びとした少女時代。

昨今は夏といえば、「酷暑」「猛暑」とネガティブなイメージですが、私たち世代(彼女は10歳ほど年下ですが)、夏は子どもにとって天国でした。

その嬉しさはこうです。「きりりと冷たい高原の朝のラジオ体操 ヘブンだったプール! 着替えのパンツを忘れてスースーするお尻の帰り道 日没を待ちかねて山々から降り注ぐ蜩の声 漆黒の空から舞い降りる星々の光り」

思いだします、幼かった夏の日々を……。

この家には、TVがなかったそうです。で、食事時間は様々な話に花が咲きます。その中で、前の戦争のことが話題になります。戦争中、日本軍が何をしてきたかを彼女は父から聞かされました。亡くなったお兄さんが「親爺が毎日さもいやそうにゲートル巻いて工場にいくんや」と言っていたと、戦争嫌いの姿も描かれています。このお兄さんも生涯反戦を貫いたという気骨のある一家でした。

ところで、彼女は小さい時「しめちゃん」と呼ばれていて、へんな名前!と父に訴えると、いやいや、狂言師の茂山さんも「七五三」と書いて「しめさん」と読むんやとのお答え。茂山さん(後の千作さん)は父親のあそび友だち。「沢宏靱を偲ぶ会」で狂言を演じてくれた関係です。その茂山さんも、平成14年5月、この世を去りました。今頃は天国で、やあやあとお酒をくみ交わしているかもしれません。

私がこの本で最も好きなフレーズはこれ。

「むかし、元日の朝の空気は『お正月の匂い』がした。幾つくらいまでだが、毎とし。」

最近はそんな匂いもなくなりましが…….。

ところで、朱女さんは水彩画、銅版画の制作をする作家で、一昨年、当レティシア書房ギャラリーで個展を開催(左写真)、今年は10月11日より第二回目の個展をお願いしています。またここでご案内します。

 

2010年4月から1年間、産経新聞地方版に連載されたコラムで、高橋マキさんの京都の喫茶店50軒を一冊にした「珈琲のはなし」(1000部限定/1296円)が入荷しました。

デカい顔で街中にあるチェーン店のカフェではなく、ひっそりと、マスター自慢の珈琲を提供しているお店が登場します。最近は週末には並んでいる人もいる寺町三条の「スマート珈琲店」、かつて私の友人も勤務していた四条河原町をちょい上がった所にある「インパルス」、先斗町の北のどんつき「吉田屋」、クラシック音楽が流れる出町柳の「柳月堂」、クラブサンドイッチが絶品の丸太町七本松の「シーシーズ」、マスターとジャズ談義していた出町柳の「ラッシュライフ」、そして、当店ご近所「月と六ペンス」まで、私自身何度か足を運んだお店が並んでいます。BWで撮影された写真が、それぞれのお店の雰囲気を伝えてくれます。どの店にも静かな時間が流れている感じがします。

そして、店主達は、それぞれに珈琲への思い、考えを持って店を運営されています。例えば法務局そばの「かもがわカフェ」マスター、高山さんは喫茶店とカフェの違いについてこう語っています

「喫茶店は、すでに日本独自の文化。一方、カフェはフランスでは立派な文化だけれど、まだ日本においては文化として未熟でなにも確立されていない。だからこそ『日本のカフェ』というものが文化になるかもしれない何年か後まで、店を続けてみたいなあと思うんです。」

著者の高橋さんは、取材で店主と話をしたり、その店のお客様の雰囲気を見たりしながらコラムを書き、一杯の珈琲がもたらす、小さな幸福感を届けてくれます。彼女自身が語る喫茶店のささやかな物語を聴く一冊です。

ところでご近所「月と六ペンス」マスターの柴垣さんが、店に雰囲気に合わない客に「帰ってくれ」と昔の頑固オヤジみたいに言いそうになった経験を語られていますが、なんと彼のお父様も上賀茂で古い喫茶店を営んでおられるとか。

「父の背中に憧れたわけではないんですが、やっぱり血を受け継いでいるんですかね」って、なんかいい感じです。

なお、最初の発行が2010年のために、閉店されたお店もあります。この本を読まれて行きたいなぁ〜と思った方は、事前にご確認を。

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。

 

 

日本地域情報振興協会主催の日本タウン誌・フリーペーパー大賞2016の有料誌部門大賞を、長崎発の「樂」が受賞しました。おめでとうございます。

この雑誌は、2008年から季刊誌として発行されています。当店では、2013年あたりから取り扱いさせていただいています。2013年発行の22号は「長崎の本棚」という特集で、諫早出身の野呂邦暢を取り上げていたこともあって、早々に完売しました。その後もユニークな企画で毎号楽しみな雑誌です。装幀、内容共に全国流通の雑誌に引けを取らない作りではないでしょうか。

2016年春号(Vol31)は「長崎で走る、長崎を走る」という特集を組んでいて、長崎バス80年の歴史を様々な側面から描くという、地元ならではの企画です。人気のない「名串バス停」の写真を見た時、どっかで見たなぁ〜という気がしていましたが、宮崎駿の「となりのトトロ」で、トトロと少女たちが初めて出会うバス停に似ているんですね。こんな所なら、トトロも待っているはずです。

最新号ではシーボルトが取り上げられています。ドイツ人医師フィリップ・フランツ・バルタザール・シーボルトは、1823年、オランダ商館の医師兼自然調査官として長崎に着任します。それから6年間、西洋医学を伝えると共に、日本の自然、文化についての調査を行い、膨大な資料をヨーロッパに送り届けました。特集では、貴重な資料やインタビュー、シーボルトが長崎の町に残した足跡を駆使して、この町を愛した彼の全貌に迫ります。日本女性初の産科医、楠本イネはシーボルトの娘だったことも紹介されています。彼女の生涯は漫画家奈華よし子によって「楠本イネの生涯」というタイトルで作品化されています。

NHK「ブラタモリ」気分で、シーボルトに関して長崎のあっちこっち楽しめる特集ですが、最も面白かったのが「シーボルト事件」です。シーボルトが江戸に送った1つの小包から事件が始まるという、サスペンス小説ばりの展開です。彼と親交のあった幕府の書物奉行、高橋景保が持ち出し禁止の資料を彼に渡し、海外へ持ち出そうとしていたというのが事件のあらましですが、数十人が逮捕され、死罪、永牢、身分剥奪と処罰され、シーボルトもスパイとして国外追放処分になりました。彼は本当にスパイだったのかまで検証されていて興味尽きないレポートです。

バックナンバーの中には売切れもありますが、ご注文も可能です。これを機に一度「樂」を手に取って下さい。長崎歴史博物館では2月18日から4月2日まで「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」展も始まるそうです。

 

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。


食品産業の大手、ハウス食品の文庫ってご存知でしたでしょうか。昭和63年に「ハウスポケットライブラリー」として5点発行されました。編集はエッセイストの向笠千恵子。カバー裏には発行理由がこんな風に書かれています。

「日ごろおなじみの料理および素材にあらためてスポットをあて、独自の取材調査をもとに、『食』をさらに楽しくいろどる話題を提供させていただきたいと存じます。」

出版されたものは「水の美味帖」、「わさび讃歌」、「グラタンの食卓譜」、「唐辛子遍路」、「ゼリーぷるるん論」です。昭和60年代の本なので、料理本としては少し古い部分があるのは否めませんが、内容的には面白い読み物が一杯で、貴重な写真もありそうです。

例えば「水の美味帖」では「水と日本人と日本語と」というテーマで、水に恵まれた日本人の生活の中での、「水」を使った多くの言い回しが紹介されています。「関西の水事情」では、京都市の南にある御香宮の「御香水」が取り上げられていますが、ここの初詣姿はちょっと変わっていて、水の入るポリタンクや鍋など持参してお参りに来られます。水を汲んで、その水でお雑煮を炊くのが習わしだとか。今もその習慣って残っているんでしょうか?

「唐辛子遍路」は、唐辛子を巡る世界史、日本史、そして内外の地理を知ることができる一冊です。日本では江戸中期に全国に普及。平賀源内の著書「番椒譜」には、多くの七味唐辛子の品種があったことが記載されています。(その図案も見ることができます)また、この時代、江戸の街角で商いをしていた唐辛子売りの商売道具を入れた「かつぎ函」の貴重な写真を見ることができます。この号の後半は、国内外の唐辛子を使った料理のオンパレード。思わずビールが欲しくなってきます。昭和末の食文化を知るのには最適な文庫かもしれません。(各々500円)

そして、素敵な食文化を伝えるミニプレス「1/f」の3号が入荷しました。特集は「祝いと食卓」。「お祝いごとには、いつも食卓の風景が一緒です。その習慣やかたちは人それぞれ。いろんな場所から祝いの風景を切り取ったとき、食卓はどんな風景を見せているのでしょう。」という思いから、両者の関係を改めて見つめ直していく企画です。

その中に楽しそうなエッセイを見つけました。鈴木容子さんの「国分寺クッキーミュージック」。国分寺のある中央線沿いの面白い店が集まっている駅に降りてはウインドウショッピングをして、そしてリッキー・リー・ジョーンズ、ヴァシュティ・バニヤン、ノラ・ジョーンズなどの女性シンガーを聴いていた頃の思い出です。私も大好きなシンガーばかりなので、機会があったら彼女たちの音楽を聴きながら中央線に乗ってみたいです。

 

 

★レティシア書房 年末年始休業のお知らせ

12月29日〜2017年1月4日まで休業いたします。新年は1月5日から平常通り営業いたします。


 

 

 

 

 

本に関する、面白い企画や話題満載のミニプレス「BOOK5」が、本日発売の22号をもって終了することになりました。レティシア書房オープン時から、お世話になり、毎号楽しみながら読んできました。古書店初心者だった私には、学ばせてもらうことも多かった雑誌です。

最終号の特集は年末恒例の「今年のアンケート」です。毎回、豪華メンバーで岡崎武志、世田谷ピンポンズ、林哲夫、萩原魚雷、山川直人、南陀楼綾繁、宇田智子、内堀弘、島田潤一郎、木村衣有子、そして銀閣寺「善行堂」まで、本好きなら知っている人のオンパレードです。

今年出た本のベストではなく、その人の読んだ本のベストなんで、多種多様な、出版された年代もバラバラなものがあげられています。

岡崎さんが、夏葉社の「移動図書館ひまわり号」をベスト3の一冊に上げておられます。「フロンティア精神と『図書』魂の美しい結合。」と評されていますが、同感です。

私が読みたい本として購買リストに入れている、宮田昇「小尾俊人の戦後 みすず書房出発の頃」(みすず書房)は人文出版社みすず書房の戦後を描いたノンフィクションです。推薦者の南陀楼綾繁さんは「小さな出版社や書店を経営している(もしくはこれからはじめようとしている)人にはこの本を読んでほしいと」と書かれていますが、出版社立ち上げの情熱がひしひし伝わってくる本だと思います。

ミニプレス「のんべえ春秋」や「コッペパンの本」で、当店でもお馴染みの木村衣有子さんは、「福島第一原発廃炉図鑑」(太田出版)を上げていましたが、彼女は今、東京と福島を行ったり来たりの生活らしいです。福島第一原発の仕組み、周辺の見所を真正面から描いた本とのこと。興味ありますね。

で、私のベスト3は、よくここまで自分をさらけ出したと感心した山下賢治「ガケ書房の日々」(夏葉社)、泣いてはいけないと思いながらページを捲った河崎秋子「颶風(ぐふう)の王」(角川書店)、没後20年を記念して出版された湯川豊「星野道夫 風の行方を」(新潮社)です。

「BOOK5」の特集では、本以外で印象に残ったことを取り上げるコーナーもあります。その中で、岡崎武志さんがNHKドラマ「夏目漱石の妻」を評価しながら、大河ドラマで関川夏央&谷口ジローのコンビによるコミック「漱石とその時代」を取り上げるべきだとおっしゃってますが、いや、それは是非是非ドラマ化してもらいたいものです。

なお「BOOK5」はバックナンバーも在庫しています。

 

 

★レティシア書房 年末年始休業のお知らせ

12月29日〜2017年1月4日まで休業いたします。新年は1月5日から平常通り営業いたします。