マスコミ報道、TVニュースで「イスラム」という言葉が、飛び交っています。そして、受け取る側は、あんまりイスラム人に近づきたくないイメージを持ちがちではありませんか。

しかし、そのイメージがいかに誤ったものであるかを、はっきりと極めて分かりやすく教えてくれるのが、内藤正典「となりのイスラム」(ミシマ社/新刊1723円)です。世界の人口の1/4にあたる15〜6億人がイスラム教徒といわれているのですから、彼らと関わることなく生きてゆくのが困難になってきています。

「イスラムにはキリスト教の『原罪』という感覚はありません。単純な話で、『生まれてきた赤ん坊に罪なんかないだろう』ということです。キリスト教では生まれながら人間は『原罪』を背負っていることになっていますが、イスラムにはそういう”辛気臭さ”はありません。」

ミッション系の大学に通学していたので、「宗教原論」が必須でした。その講義で、のっけに出た言葉が「原罪」です。なんじゃ、それっ???の状態でしたが、この本に出会ってすっとしました。

イスラム教は、利子を禁じていることをご存知ですか。私は池澤夏樹の著書で、彼がそのことに賛同していたことから覚えていました。「簡単に言ってしまえば、眠っているあいだに金が増えたり減ったりするということがダメだという意味です。」何もしないのに、お金が増えているっておかしいですよね。高い利子に目がくらみ、無謀な投資を行い、すってんてんになった人の話はそこら中にあります。ちゃんと汗かいてお金儲けしようよっていうのは、当然の教えではありませんか。

著者はイスラム教徒の本質をこう見ています。

「他人を騙すようなことは決してしない、他人を見下さない、自分の家族を含めて、何が正しいことなのか、いつもそれを考えて行動する。」

だから、イスラム圏に旅すると、安心と平安をもたらすと感じるそうです。キリスト圏の国に旅した時には感じない、だらっ〜としたリラックス感に満たされるのだとか。そういうことを、著者自身の体験を交えて書いています。そこから、実際にイスラム教徒とお付き合いする時に、どうすべきかが丁寧に解説されています。お役立ち情報満載です。

さて、そんなイスラム教徒のイメージが凶悪なものになってしまったのは何故なのでしょうか。暴力組織として恐れられている「イスラム国」最大の問題は、「イスラム千四百年の『共存の歴史』に学ぶつもりがさらさらないということです。寛容であり、共存のために積み重ねてきたイスラムの伝統や知恵を、完全に無視してしまうことなのです。」

一方で、先の大戦で西欧列強が、今の中東・イスラム世界をずたずたに分割し線引きをし、植民地支配を続け、あげくにイスラム文化よりもヨーロッパ文化が上であると考え、無理矢理欧化させようとしたことが、イスラム国の暴力化に火を付けたのだといいます。フランスでは公教育の場から、イスラム教徒の女性が身につけているスカーフやヴェールの着用を禁止しました。彼女たちにとって、髪の毛やうなじは性的な羞恥心の対象です。だからスカーフなどで隠しているのです。例えば、ミニスカートをはくのが恥ずかしい人は、パンツルックにするとか、ロングスカートをはきます。何を着るかは、本人が決めることであって、国家があれこれ指示することではありません。イスラム文化が劣っているから、優美なフランス文化を教えてあげようというゴーマンフランスの姿なのです。

「これは国家をあげてセクハラを働いているようなものではないか。髪の毛をあらわにしてヴェールをとれば女性が解放されて自由になるとでも思っているのかもしれないが、それはミニスカートをはけば女性が自由になるといっているようなもの。逆に女性の側からいえば、性を商品化する行為そのものだ」と、著者は欧州評議会でぶち上げたそうですが、反応は,,,,,,,,,だったようです。

イスラムを学ぶことで、世界を違う角度から見ることが出来る書物です。

私は左ききです。我々の時代は、字を書く時は、右手で書くように矯正されましたけれど。小学校の時には「左ぎっちょ」などと笑われたりしましたが、そのことで虐められることはありませんでした。野球で左バッターボックスに入ると、女子の応援が一段と大きくなったものです。(そんな気がしていただけかも)

だから「左利きの女」(1000円)というミニプレスの案内をもらった時、即決で販売しますと言ってしまいました。早速、創刊号と第2号が到着。毎回、左利きの女性が一人登場し、彼女の写真と、ロングインタビューで構成されています。表紙の、左手にペンを持った若い女性は、仙台出身、国立大学でスウェーデン語を専攻しています。

「わたしたちの時代は、左利きを右利きに矯正する文化というか、そういうのはほとんどないですね。」とインタビューに答えています。ただ、マイノリティーであることを感じたのは、体育の時間で左利きと右利きに分かれる時、左利きの列は少数だったこと。基本的に手が左利きなら、足もそうなります。(私ももちろんそうです)

彼女も言っていますが、習字の授業が嫌でした。左手で筆を持って半紙に書くことは、かなり難しい作業です。おそらく私の両親も、その辺りのことを知っていたので筆記だけは右手に矯正したのでしょう。ただ、どんな風に左から右手に持ち替えて文字を書いたのか、実は全く記憶にありません。私は知りませんでしたが、女性のアクセサリーなどは右利き仕様みたいで、ネックレスとか苦労されているみたいです。

2号に登場するのは、神戸育ちで、設計事務所に勤める女性です。彼女が、フツーのカッターナイフ(即ち右利き仕様)を左手に持って作業しているところを、分解写真風に並べたページがあります。「カッターナイフは左利きの敵だ!」という言葉と裏腹に、器用に使っています。ご本人も左利きだという実感が全くないそうです。私は、趣味で卓球をやっていますが、左だと有利な展開になることさえあります。

今はフツーに生活していたら、左利きの人の存在って、ほとんど気にならないのですが、こんな風にインタビューを読み、写真を眺めていると、そうかオレも左利きだったんだと思い直しました。左利き女子フェチ風の匂いも漂わせながら、生き方にまで入り込むインタビューが、独特のスタンスを保っています。番外編で「左利きの男」出してくれないかなぁ〜。

サウスポーの人、必読です!!

 

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フォーク・クルセイダーズのこの歌詞で、あぁ〜あの時代かぁ、と思い起こされる方は、まぁ50代以降の方ですね。深夜ラジオの「受験生ブルース」聞いて、寝ぼけた顔で学校に行っていたことを思い出します。

そんな世代の方に、ドンピシャの本が出ました。フリーペーパー「半径500メートル」を出している出版社union.aの、インタビュー集「京都のフォークソング」(山岡憲之著2160円)です。登場するのは、きたやまおさむ、杉田二郎、ばんばひろふみ、中川五郎、豊田勇造、瞳みのる(タイガース)、松本隆らのミュージシャン。そして60〜70年代にKBS京都で多くの音楽番組を担当し、高石ともや、フォーク・クルセイダーズ等を見出した河村輝夫等々、多彩なメンバーで、京都が関西フォークの拠点だった頃を懐古します。

中心にいたのは加藤和彦、きたやまおさむ、はしだのりひこの「フォーク・クルセイダーズ」でした。「帰ってきたヨッパライ」、「悲しくてやりきれない」、そして自主規制で放送できなかった「イムジン河」など、このバンドを知っている世代なら、今でも歌えますよね。

きたやまおさむは、本書でフォークをこう語っています。

「まずはフォークソングという思想。自然を歌うことや、『民衆が作った歌』っていうフォークの特徴、意味通り、それが思想として実体験とともに入ってくるわけだよ。『お前たちは自分たちの歌を歌えばいいんだ』みたいな話ですよ。」

普遍的なラブソングだけじゃなく、その時どんな風に時代を見つめていたのかが、重要になってきます、それが見事に昇華されたのが、北山修作詞/杉田二郎作曲「戦争を知らない子供たち」だと、私は思っています。

当時は、学生の数が圧倒的に多く、岡林信康や高田渡など多彩な才能を持ったミュージシャンが京都に集まり、そのうえ円山野外音楽堂や京都会館第二ホールのような受け皿がありました。歌う側にも、聞く側にもあった連帯感。京都の町はそれを支えていたのです。

豊田勇造が面白いことを言っています。「京都は京都の音楽を作ってた。東京のほとんどは、マイク眞木に代表される、スマートやけどあんまり現実味のないカレッジフォークでしたよ」

マイク眞木と言えば「薔薇が咲いた」。無味乾燥な音楽でしたね。KBS京都の河村輝夫も「東京はだいたい恋したの、夢だの、星だの、きれいすぎる世界を歌っていたけど、そういう歌詞は無難やね。」と振り返ります。

しかし、フォークの世界にも変化が起こります。「僕の髪が肩まで伸びて・・・」で始まる吉田拓郎「結婚しようよ」の発売です。この本の中でも、何人かがこの歌が変わり目だったと答えています。そして、時代はフォークからニューミュージックの時代へ。ユーミン、山下達郎、ハッピーエンド達が時代を引っぱります。アメリカンポップスの影響を大きく受けた彼らの音楽に、私もすぐさま飛びつきました。彼らの音楽の方が若く輝いていたと、今でも思っています。

 

★ 勝手ながら10月22日(月)23日(火)連休いたします。

 

 

 

 

岡山で写真を撮り続けてる松本紀子さんが、写真集「そのかわり、その代わりに」(book+CD2300円)をリリースしました。シンガーソングライターのヤマモトケイジさんの素顔を中心にして、街の風景を捉えたものが写真集になっています。被写体となったヤマモトさんのCDは「青図点描集」というタイトルの4曲入りミニアルバムです。ギター一本の弾き語りで、ゆっくりと心に染み入る声が切ないアルバムです。音がノスタルジックに響いてくるのは、録音場所が高松中学校だからでしょうか。写真集発行を記念して、来年2019年9月10日(火)〜15日(日)まで当店ギャラリーで個展が決まりました。調整中ですが上手くいけば、ヤマモトケイジさんのライブも計画しています。(CDは試聴可能です)

 

詩と絵の作品を何冊か出している古井フラさんが、新しいミニプレスを二つ持ってこられました。新作「さみしい君に」は詩とクロッキーを一緒にしたもので、生き生きした手のクロッキーが数多く収録されています。リズミカルで、詩と合っています。もう一つの「雨」は、灰色の雲に覆われた街に落ちてくる雨粒、その雨粒のなか、静かに佇む街が、詩のように描かれています。(どちらも300円)。こちらもいつか個展をしていただきたいものです。

北海道発の京都情報誌「その界隈」(540円)は、今回もユニークな特集です。編者の最近の夢は「市営バス206号系統に、一日中乗り続けること。」だそうです。この系統は京都市内を、北大路通り〜東山通り〜千本通り〜京都駅と、中心部をほぼ一周しています。一周約2時間、なにも考えずに窓の外を見ながら乗っているのも楽しいかもしれません。鷲田清一著「京都の平熱」は、この206号系統の路線を切り口にしていますので、読みながら乗ってみましょう。

丹後半島奥の間人(何て読むかおわかり?)を旅する記事も面白い!私の父が、ここの保健所に数年間勤務していたので、夏になれば蒸気機関車に乗って海水浴に行った思い出が甦ります。「聖徳太子のお母さんに会いにゆく」と書かれていますが、詳しくは本文をお読み下さい。

250円という低価格ながら、本にまつわる楽しいお話満載の「本と本屋とわたしの話」の最新14号は、神戸元町の名物古書店「トンカ書店」の話から始まります。この書店の魅力は店主。彼女の笑顔と楽しい会話が楽しみで行くのです。「分け隔てのない店主の性格もあり、トンカ書店には本以外の物も沢山集まってくる。年季がかかった牛乳箱やミシンが本棚に溶け込み、子供のおもちゃが至る場所に置かれていて、それらは何だか、生活の匂いが少し残っているようにも思える。」と、この記事を書かれた清水さんの言葉通りの不思議な楽しさに満ちたお店です。

★「奈良・町家の芸術祭はならあと2018」パスポートチケット500円発売しています。

★先週京都新聞読書欄に掲載されていた「たたみかた2号/男らしさ 女らしさ」(アタシ社1836円)在庫あります。

 

 

★釧路ヒッコリーハウスオーナー安藤誠の「ネイチャートーク」が決定しました。

10月27日(土)19時スタートです。参加費は2000円です(要予約)

 

 

 

 

 

 

大阪にあるBOOKLOREから、「耳の人」(1620円)、「言の森」(1575円)など数冊の詩集を出している詩人、西尾勝彦が編集「旅人と詩人の雑誌 八月の水」の最新5号(BOOKLORE/1296円)が入荷しました。

この雑誌が作られたのは、東北大震災と、その後の世間の混乱が切っ掛けでした。これからどんな時代になってゆくのかという不安を越えて、こんな時代になってほしいという思いを雑誌という形にしたものです。

創刊の言葉にこうあります。「『旅人』と『詩人』が見直される時代になってほしい、と思ったのです。目先の利益ではなく、はるか遠くをみつめる『旅人』と『詩人』の存在が、今後、重みを持つはずだと思ったのです。彼らのまなざしの強さ、そして優しさによって、少しでも時代がおだやかになればと希望しています。」

その思いで5号まで発行されてきました。詩を中心にしたミニプレスはあまり動きが良くないのですが、例外的にこの雑誌はほぼ完売します。飾らない文章とシンプルな本作りがいいのだと思います。「ホホホ座」の山下店長が、毎回素敵な詩を発表されていて、今回も三作掲載されています。「おおみそか」という短い詩の後半が、いい雰囲気です。

「師走気分の人も、関係ないという人も 子どもだったおおみそかをよぎらせ 寒さを顔にたくさん受けて 冷たいほほの街

よいお年を ノーサイドの言葉で 皆 家路を歩く」

今年5月レティシア書房で紅型染めの個展をしてくださった、絵本作家ほんまわかさんも、毎号寄稿されています。絵本の仕事のこと、そして沖縄の市場のことを書いています。住まなくてはわからない沖縄の面白さが伝わって来ます。

紀行エッセイでは、大西正人の「ターナー島」が本好きにはお薦め。伊予鉄高浜線の最終駅、高浜に降り立った著者と妻は、そこでターナー島を見つけます。ターナー島とは漱石の「坊ちゃん」に登場する島です。そこから小説「坊ちゃん」の世界に入るのですが、松山を舞台にしたこの小説、「実際作中に出て来る地名などは、そのほとんどが実在しない。」と著者は指摘します。松山が舞台とは言っても、これは漱石が作った架空の松山なのです。それは、知りませんでした。

さらに、著者が再読して驚いたのが「『マドンナ』が実はほとんど登場しないという点である。登場する場面も少なければ。一言の声すら発しない。まちがいなくキーパーソンの一人でありながら、当人はほとんど現れないのだ」という事なのです。

そうだったか?とお思いの方、「坊ちゃん」を再読しては如何でしょうか。

なお、「八月の水」は2号〜4号まで各1冊づつ在庫がございます。

毎年人気の「ARKカレンダー2019」 入荷しました!! 

大/1080円 小/864円

売上げはARKに寄付いたします。よろしくお願いします。

カレンダーの犬や猫たちついては、撮影者の児玉さんのブログに上がっています。

 

 

 

2012年12月、出町柳商店街を特集した「気になる京都1号」が発売されました。

当初、こちらの感覚ではそんなには売れないかもなぁ〜、とちょっと思ったりしてました。が、そんな杞憂など吹き飛ばす売行きで、15年には三条商店街を特集した2号を出版、翌16年にはパン屋さん特集の3号が出ました。どの号も未だ売れ続け、ミニプレス平台の一等席を占拠し続けています。

そして最新号はカフェのモーニング特集です。

「近所のおじちゃんは今日もあの席に座っている。トーストを食べ終えて、週刊誌を読みながら珈琲を飲んでいる。そんな喫茶店の『モーニング』風景。」

この本を一人で編集した太貫まひろさんは、市内のカフェを週末の楽しみに回りました。掲載されているどの店のモーニングも、実に美味しそうです。

レティシア書房のご近所さん「COFFEEポケット」は、通る度に気になっていました。雑穀パンを使用したサンドウィッチは、すぐにでも噛りつきたくなります。また、あっという間に無くなる「Cafe廻廊」のモーニング。太貫さんは「ほどなく運ばれてきたトーストは、宝石のように美しかった。」と表現されています。だいたいトーストと珈琲という献立ですが、それぞれ個性的です。

太貫さんは、さらに足を伸ばし、モーニング発祥の地と言われる愛知県一宮市に出向きます。一宮商工会議所が中心となって作成したモーニングマップを手にして、向かったお店は「グリーンカフェ」。ドリンク代のみで、モーニングサービスが6種類も用意されているのだとか。彼女が選んだのはサラダセット。「ホットコーヒーだけの値段で何が出てきたかと言えば、サラダ、コーンスープ、ゆでたまご、ポテトサラダ、オレンジ、クロワッサン!ここまでサービスして頂けるとは・・・。さすが発祥の地、これはまごうかたなき『文化』である。」と大満足だったみたいです。

約101件のモーニング情報が掲載された「おさんぽMAP」も付いていますので、この地図を参考にしながらモーニング巡りはいかがでしょうか。

ところで、この号の最終ページに紹介されている喫茶店は、店の名前、場所はシークレットになっています。フットボールが好きな店主が、このスポーツに因んだ名前を付けたとか。美味しそうなサンドウィッチが目を引きます。さて、どこの店なのでしょうか?

「気になる京都」1〜3号は864円、4号は950円です。

 

奈良の古書店、「とほん」さんが製作されているミニプレス「ブックレットホン」の3号(648円)が発売されました。特集は「空と本」です。本好きには、楽しいことこのうえない仕上がり。

「空を読む」というコーナーは「いろいろな空の意味を思い浮かべつつ、空と本というテーマでいくつか本を紹介していきたい」と様々な本が取上げられています。「空」を見上げて思い浮かぶ「まどみちお詩集 こんなにたしかに」、「夜空」なら最果タヒ「夜空はいつまでも最高密度の青色だ」、「星空」の名文は石田五郎「天文屋渡世」、「雪空」は中谷宇吉郎「雪を作る話」、角田光代「学校の青空」と素敵な本が並んでいます。「空」を「から」「くう」と読めば、「架空」「空想」「空白」「空欄」という言葉にはまる本も紹介されています。

出版社、書店員が「空」というお題で、この一冊をセレクトするコーナーは、ミシマ社さん、徒然舎さん、ブラックバードブックスさん等、個性的な面々が集まっているだけに、選んだ本もユニークです。ブラックバードブックスさは谷川俊太郎の「空に鳥のいなくなった日」(サンリオ/古書700円)から「空に小鳥のいなくなった日 空は静かに涙ながした 空に小鳥がいなくなった日 ヒトは知らずに歌いつづけた」というフレーズを抜き出しておられましたが、これはいい。私も好きな詩です。

「本は何を読んでも、面白い。それは、どんな人にでも面白いと思える箇所があることと似ている。本屋は一冊の本を愛するというよりは、本そのものが持つ『空』に惹かれる人種なのかもしれない」と書いているのは、書店titleの辻山さん。選んだ本は、「わたしの名前は『本』」。辻山さんがどのような意味合いで「空」と言っているのかわかりませんが、無限に広がってゆく空間とでも解釈すれば、たしかに本屋は、果てしなく広がってゆく様々な世界の彼方を愛する人種なのかもしれません。

さて毎回、奈良の魅力的なお店紹介が楽しいのですが、今回紹介された靴屋さん「NAOT NARA」さんは、出版も開始されました。「ループ舎」という版元を立上げ、いしいしんじ、大竹昭子、広瀬裕子等が参加した「靴のおはなし」(ループ舎/ミニプレス1404円)がそれです。靴屋が出した靴の本って魅力的です。当店でも販売中です。

「ブックレットホン」には「休日は本屋さんへ」という連載があります。今回、なんと当店を載せていただきました。音楽好きのとほんさんらしく、CDコーナーの写真を使われています。是非、お買い求めくださいませ。

★レティシア書房恒例「夏の古本市」は、8月8日(水)〜19日(日)開催です。

 

盛岡発のミニプレス「てくり26号」は、「文学の杜にて」(648円)という特集です。盛岡で俳人、歌人として活躍する工藤玲音さんが、市内の高校の文芸部に所属している学生たちと語り合います。

各校とも文芸誌を出していて、17年の全国高校文芸コンクールでは、発行している文芸誌が盛岡第三高校が最優秀賞を、盛岡第四高校が優秀賞を受賞しています。石川啄木や宮沢賢治が若き日々を過ごした盛岡ならではですね。

盛岡には「さわや書店」という有名な書店があります。手書きPOPやパネル展示、果ては本全体を手書きのカバーで覆って中身をわからなくして販売した”文庫X”まで様々なアプローチでベストセラーを生み出した書店です。

「最近、世の中じゃあ軽い言葉しか聞かれなくなった。これはハードボイルド小説が読まれなくなったことと無関係ではないだろう……….。真に重い言葉は沈黙のなかにあるべしと識るべし」

こんな店長の作ったポップがズラリ並んだ楽しい書店です。この書店に勤務する方々5人が集まって、文学をテーマにした座談会が掲載されています。「よくわからないものが、文学なんだ!」なんていう意見も飛び出す楽しい座談会。全国的に文芸書の売上げ不振で、各書店の文芸書の在庫比率が下がっている中で、さわや書店は「うちも文芸書の比率は低いですが、文芸書は『顔』、花形だと思っていますから、しっかり棚をつくっているつもりです」と頼もしい。

一方、2017年オープンのセレクトショップ「BOOKNERD」、本とコーヒーとワークスペースのある古書店「ponobooks&time」も紹介されています。どちらも盛岡へ行ったら、お邪魔したい居心地の良さそうなお店です。

現在の「盛岡の文学」を語る上で、欠かせない二人が、沼田真祐と木村紅美です。盛岡在住の沼田は「影裏」で第158回芥川賞を受賞、盛岡に実家のある木村は「雪子さんの足音」で第155回芥川賞候補に選ばれた若き文学者です。

二人が、それぞれターニングポイントになったという作家の話から、興味深い文学論へと突入していきます。オーソリティのある文学者の対談よりも、若手のスリリングなトークの方が格段に面白いと思いました。

ところで、昨年の総務省の統計で、盛岡の書籍購入額は全国の県庁所在地・政令指定都市の中で第一位でした。読書への意識の高い都市なのですね。毎回読み応えのあるミニプレス「てくり」が26号も続いて来たのも土地柄と無関係ではないのかもしれません。

★レティシア書房恒例「夏の古本市」は、8月8日(水)〜19日(日)開催です。

山形県、置賜(おきたま)地方で、、開催されたブックフェス「Book!Book!Okitama」。そのイベント関係者のお薦めの一冊や、ゲスト参加した高橋みどり、甲斐みのり、永江朗等のエッセイを収録したミニプレス「ndanda!(んだ・んだ)2」(750円)を入荷しました。

「Book!Book!Okitama」で開催された一箱古本市に、出店した方々が選ぶ「わのおすすめ、この一冊」が、面白いです。岡崎武「古本道入門」みたいな、いかにも古本好きならではのセレクトもありますが、ウンベルト・エーコ&ジャン=クロード・カリエール「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」という、本屋がドキリとする本も登場します。この本を推薦された装丁家は、日本語装幀が素晴らしいと書かれていますが、私も手に取った時にそれは感じました。

さすがだと思ったのが、南陀楼綾繁さんがお薦めの「山熊田」という写真集。山熊田は、新潟県村上市の地区名で、マタギの村。写真集は、ここで暮す人達を撮っています。以前に写真集を手に取った時、その迫力に驚かされました。東日本大震災時の地元新聞社の人々の悪戦苦闘を伝える「河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙」が登場するのは、東北ならではです。

後半、置賜に住む人達のこの一冊というコーナーがあって、景山民夫「遠い国からきたCOO」を推薦されている方がいました。自然破壊の問題、人と動物のコミュニケーションなどのテーマに挑んだ海洋冒険ファンタジーで、感動しました。小説の面白さをよくわかっていた作家だったと思います。

今年も、9月22日から10月7日の16日間にわたって、このイベントが開催されます。なんだかとても、楽しそうなブックイベントです。

 

★連休のお知らせ 7月2日(月)、3日(火)

★夏の一箱古本市8月8日(水)〜19日(日)まで店内にて開催

NHK朝の連ドラ「半分青い」の舞台になっている岐阜から、素敵なミニプレスが届きました。タイトルは「Edit Gifu」(864円)。

内容は盛り沢山ですが、本好きなら、古書店「徒然舎」の記事を先ずお読みいただきたいです。当店の一箱古本市にも、毎年面白い本を選書して出してもらっている素敵なお店です。『「古書と古本 徒然舎」をめぐる4人の考察』と題して、数ページに渡る特集が組まれています。4人の方々が「徒然舎さんで購入した印象深い本」の解説をされています。探していた、向田邦子の愛読書「酒吞みのまよい箸」(浅野陽)を見つけた方、田村隆一の「スコッチと銭湯」をゲットした方など、それぞれ「徒然舎」との思いを語っています。

「徒然舎さんはどんな場所?」という質問に「ゆっくりと、本に向き合える場所」と答えた方がおられましたが、こんな風にいわれたいものです。店主夫婦の素敵な笑顔のツーショットや、店内の写真が並んでいるのを見て、ご無沙汰しているのでぜひ行ってみたくなりました。

デザイン事務所「リトルクリエイティブセンター」を中心にして、3人の若者が、様々な活動をしている街中のビルがあります。1Fは、内外の文房具を販売する「ALASUKA BUNGU」。2Fは、出版社「さかだちブックス」。ここから出版された「私的岐阜観光案内」(350円)、「地方に住み始めました 岐阜市編」(702円)は当店でもお取り扱いしています。そして、3〜4Fがデザイン事務所。ここを運営する3人のロングインタビューが載っています。等身大に、無理をせずに、地道にやったきた彼らのヒストリーを読むことができます。

一つ面白い場所を見つけました。昭和の名作を”フィルム”で上映する珍しい映画館「ロイヤル劇場」です。1作品1週間交代で上映とか。古いフィルムを取り寄せると、痛みが激しく、フィルムをつなぎ合わせる作業が待っています。でも、そんな作業すら、支配人は喜々としてされているみたいです。今や、デジタル上映全盛の時代、こういうフィルムに拘る映画館は貴重です。今、上映されいるのは、昭和38年日活映画「アカシアの雨がやむとき」。西田佐知子(知らない人も多いかも。関口宏さんの奥さんです)のヒット曲を元にした、典型的な歌謡曲映画。こんな作品まだ残っていたんですね!観たいなぁ〜。

美川憲一のヒット曲「柳ヶ瀬ブルース」で有名な夜の柳ヶ瀬やら、スウィーツやら、食の情報も満載の「Edit Gifu」です。これをお供に岐阜へ行きましょう!

★「Edit Gifu」の挿絵が大好きです。(女房)