「線と情事」取り扱いを始めました。

誌名がなかなか抽象的です。表紙は湯船から、虚ろな視線を投げかける女性。そして、創刊号の特集は「猫」です。猫マンガあり、俳句あり、エッセイありとバラエティに富んだ内容です、さらに、「猫」を感じる曲13曲を収録したCDと「nekofan」というタイトルのミニコミ1〜6号をおまけにつけて1000円で創刊されました。あくまで「文芸誌」なんで、猫の特集でもキャ〜可愛いなんて記事はありません。

「お台場もアウトレットショッピングモールも苦手だ。いくら長居しても身体がその場所に馴染まない。目的もなくダラダラ歩いたってあまり楽しい気分にはなれない」

お、私も同感。しまおまほさんの日々の雑感「冬雑記」は好みです。竹籠で昼寝を楽しんでいるこのお宅の猫もそう思っているでしょう。

そして、ん〜と唸ったのは、佐野洋子の「百万回生きたねこ」の発展型とでも言える「百万一回いきたねこ」です。作は傷彦さん。百万回までは、元ネタ通りに進行します。そして、+1回目で、新しい展開。原作を知っている人には、ちょっとドキドキの展開です。

あるいは、林岳彦さんの詩の中から。「新譜」という詩の最後はこうです。

「われわれの全ての日々は 新譜である」

すくっと立ち上がって前を向いている詩です。イメージとしては犬的ですが、別に猫派、犬派に関係なく楽しめます。写真と文章、マンガが程よくブレンドされた新感覚の文芸誌です。さて、今後この新しさをどう展開してゆくのか、次回に期待。

いち早く、この本を買われたお客様が、「線と情事」って、イギリスの守護神「セントジョージ」かな?とおっしゃっていましたが、さもありなん。

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食べることをテーマにしたミニプレス「PERMANENT」2号(500円)が入荷しました。

とある農家で行われている体験学習の後で、皆が持ち寄ったおかずを囲んでの昼食会の写真を見ると、食卓のおかずが楽しそうに、皆に食べてもらうのを?待っているように思えます。なんと、贅沢な食卓なんだろう。

あるいは、若い夫婦とお子さんの三人家族の朝食風景。このご家庭は共働きのため、夕飯時には揃って食事を取れない事もあるので、皆が揃う毎朝6時0分には、全員で「いただきます」です。朝早くの食卓って、気持ちいいものです。「早寝早起きは三文の得」とはよく言ったものです。ただ単に気持ちいいだけではなく、お子さんが、この時間に色んな事を話したがるようになったとか。家族との時間を共有したいという願望なのでしょう。正しい食事の姿です。これまた贅沢な食事です。

この中で紹介されている食べ物は、特別高価なものではありません。けれど、人が食べることで幸せになることを教えてくれます。「バベットの晩餐会」という北欧の映画がありました。ラストで、料理人が丁寧に調理したお料理を食べた人達は、星空の下、あまりの幸せに踊り出してしまいます。とても豊な気分にさせてくれました。この小さな本もしかり。「つくる、たべる、かんがえる」がこのプレスのコンセプトですが、その先には「しあわせになる」があるはず。「しあわせになる」ために「つくる、たべる、かんがえる」でしょう。

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「本と本屋とわたしの話」4号入荷しました。

今回も本好き、本屋好きにはたまらない一冊です。第一話は中二階のあった四国の古書店。映画のワンシーンになりそうな話です。ラスト4行は、哀しくもあり寂しくもある、しかし心にぐっと沁みいる一節です。

第二話は、プラハの古書店のお話。灰色がかった雲の隙間から降る冷たい雨が、何故か似合う街角の古書店。ラストに登場する「プラハ地方裁判所」のシールと、店にいた若者の影。これまた映画のワンカットです。

第三話は、本と本屋を巡る四コママンガ。寝床の読書の至福が感じられます。

そして第四話は尼崎の古書店店主と、そこに通っているうち古書店を始められた著者の話。時計の音だけが響いてきそうな静かな古書店で、ゆっくりと時がすぎてゆく情景が目に浮かびます。再開発される前の、町の中の小さな木造の古書店。穏やかな店主との、つかの間の交流が描かれています。

この冊子の編集者、宮井さんが、古書店について書いた知り合いの文章を引合に出されています。

「路地裏の小さな古本屋が全くといってよいほど消滅して、淋しい限りです。その店で買った本はふしぎなほどよく覚えていて(店のたたずまいも)我ながら感心します」

懐かしく、そして愛おしい話が詰まっています。100円!すぐ無くなりますのでお早めに。

 

♥当店で人気の詩人、豊原エスさん(詩)と足田メロウさん(画)のコラボによる「手ぬぐい」(600円)入荷しました。昨日、「一日中ミシンをふんでたんです」と言って持って来られたホヤホヤの新品は、二種類あります。

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先日、東京から3人の若者が、新しく出版するミニプレス「THE WORLD YOUTH PRODUCTS」略して「WYP」の営業に来られました。大学が一緒で、今はそれぞれ違う職場で働きながらミニプレスを発行されることになったそうです。

タイトルは「WYPVol.0 働きながらインドを探る」(700円)。表紙を開いて先ず目に飛び込んでくるガンジス川(と思う?)に佇む人達の写真がとても気に入りましたので、店での販売開始決定。インドと言えば、デリーとかになりがちですが、彼らはグジャラート州ナヴサリという、日本人は誰も知らない田舎へと取材に向かい、そして、この農村に住む若者達に仕事や夢について尋ね歩きます。やはり、ここでも村の工場や、若者の写真が素敵です。

かつて沢木耕太郎は「深夜特急」でアジア、中近東を旅する魅惑を語り、それに影響を受けた多くの若者達がバックパッカーとなって海外へ飛び出しました。このミニプレスは、これからの時代を生き抜く若者たちが、異国の若者たちに「働く」ことを問いかけるために、飛び出した、その結果報告書です。「真摯に生きる」ことをテーマに雑誌を作るとこんな感じになります。

インドの取材後、日本で慶応大学武田教授に「インドのIT人材論」というタイトルで話を聞きに行っているのが、今を感じさせます。

WYPのHPには、こんな文章が載っています。

「共感してくれた友人二人と『THE WORLD YOUTH PRODUCTS』というフリーペーパーを作ることにしました。テーマは、「学べるフリーペーパー」です。

フリーペーパーというと圧倒的にカルチャー色が強いですが、このフリーペーパーでは、ごくごく真面目に経済の話だったり社会問題についてを取り扱っていきたいと思います。」

フリーペーパーからもう一歩、雑誌へと新しいステップを上がったWYPを応援しようと思います。

 

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当店で人気の、本に関するミニプレス「本のある部屋Vol.3」(500円オマケ付き)本日発売です。

3号の特集は「ぼくの、わたしの『変身』」。先ずは新刊書店員さんが調べたカフカ「変身」が何種類出ているかを調べたレポート。なんと、文庫、新書、漫画で7種類もありました。漫画化されているというのは驚きでした。

そして、「へんしんがいっぱい」という変身をテーマにした古今東西の本が紹介されています。大正時代に書かれた児童文学、武井武雄の「ラムラム王」から始まるというのは、くすぐりますね。変身ものと言えば、川上弘美の「蛇を踏む」などは、私は好きでした。

さらに、「マンガにおける『変身』」へと続きます。これはコミックのお得意分野でしょう。藤子不二雄の「パーマン」が取り上げられていますが、私にとって変身ものコミックの原点は「8マン」です。映画、文学でもお馴染み吸血鬼は、なんといっても萩尾望都の「ポー一族」がすごい。

怪優岸田森が演じた「幽霊屋敷の恐怖血を吸う人形」に始まる和製吸血鬼も忘れられません。未見ですが、時代劇に吸血鬼が登場して、お坊さんに退治されるというもう無茶苦茶な設定の作品もあるとか? 「不完全な変身」では「寄生獣」が上げられています。これは傑作コミックでした。右腕に寄生した宇宙から来た生物と少年のお話で、右腕だけが変身します。

と、面白い記事が続いた後、大阪の古書店「本は人生のおやつ」の店主坂上友紀さんが、自分の店舗の新しい物件探しのことを書いておられます。これから、古書店やろう〜、なんて奇特な方は必読です。

 

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兵庫県豊岡発のミニプレス「弁当と傘」(600円)3号発売開始です。

3号の特集は「私たちが出会いたかったひと」。素晴らしい特集です。

最初は、芹沢銈介のお弟子さんだった型染め作家寺口敬子さんです。内弟子時代に本物を見る目を養った話が書かれています。

「美の奥深くにある風情というものを知った。内面から出てくる感覚を大切に、ものの見方を育てる。技術はもちろんかけがえのないものづくりの精神を培った。」

とはご本人のお言葉です。ご本人の作品や、お住まい、工房の写真がたくさん載っているのですが、どの空間にも気持ちよさが溢れています。

次に登場するは「ナチュラルキッチンジネンアン」を営む岸本ご夫妻。わずか200人足らずの小さな集落にある地産地消を旨とするお店です。店内にはハンモックが掛かっていて、ランチの後ここでうつらうつらできれば幸せでしょうねぇ。

とこんな感じで、行ってみたい場所、会いたい人が目白押しです。生活環境は異なっても、みんな笑顔がとてもいい表情です。きっと心地よい春風が吹き抜けているにちがいありません。

 

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先ずは、この詩をお読みください

「どうして人の体からは/きたないものばかりが出てくるんだろう/うんこやおしっこ/汗やフケや洟や垢や膿やおならや言葉/出しても出しても/またわいてくる/どこに/こんなにつまっているんだろう/

まるで汚物のかたまりみたいだな

すべてを吐き出し終えて/ひとは自分の命を終える/ぼくもまた/いつかどこかで糞を出しつくして死ぬだろう

空に/風船があがってゆく

春の土手に座って/こどもといっしょにそれを見ながら/思う/死ぬ時は/ちょうどあんな具合に帰っていくかもしれないな/初めてこの世に出てきた日のように/ぼくらを/元通りの空っぽにして」

これは、夏葉社から復刊された高階杞一の詩集「早く家に帰りたい」(1890円)です。4歳の誕生日を迎える直前に難病で世を去った息子さんへ、様々な思いを詩というスタイルで綴ったものです。1995年偕成社より刊行され大きな反響を呼びました。そして、今回、いつも素敵な本を出版する夏葉社からめでたく復刊されました。

夏葉社は島田さんという方がお一人でされている出版社です。謙虚で実直、笑顔の素敵な彼の出す本はすべて在庫しています。いつも店に置いておきたい本ばかりです。手触りのいい装丁も魅力です。夏葉社の本をきちんと陳列している店に出会うとその店が好きになるのは、きっと彼の本が醸し出す優しさと暖かさでほわ〜んとなるからでしょうね。

 

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京都発文芸誌APIED最新号(630円)入荷しました。特集はアンデルセンです。あっ〜「マッチ売りの少女」、「人魚姫」の作家ね、という方もいらっしゃるかと思いますが、なかなか奥が深い。

多彩な執筆者が、それぞれの「アンデルセン」を語っています。

管ゆかりさんの「人魚姫へ」という項では、「しゃべれない人魚姫へ手話を教えてあげたい」と書かれておられます。声を無くした姫が最も言いたかった言葉を、手話に置き換えて「嵐(暴風+雨)夜 私 あなた 救った」と単語を並べればいいという指摘には説得力がありました。

あるいは、森鴎外の翻訳で名を上げた「即興詩人」と、SF小説の傑作「夏への扉」(ロバート・A・ハインライン)との類似点から論じる千野帽子さんの「チープで通俗なアンデルセンの魅力」は刺激的でした。また、見事な色彩で製作された映画「赤い靴」は原作以上に有名ですが、原作には踊りを止めない足を、その赤い靴ごと切り落としてしまい、松葉杖をついた主人公が教会の前で、赤い靴だけが踊っていることを引合に出して、「赤い靴」の世界観を語る砂岸あろさんの文章では、アンデルセン観を引っくり返されました。

で、改めて店にある岩波文庫版の「絵のない絵本」を読んでみました。お月さまが、夜な夜なやってきて主人公のまずしい若者に、様々な話をするというお話ですが、気分はダークファンタジーです。なんと、多くの死者が登場することか!

アンデルセンさんごめんなさい。もう一度読み直します。

 

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新しい豊かさを模索することをテーマに掲げたミニプレス「shuku shuku」の2号(800円)が入荷しました。テーマは「いい服」。

部屋を片付けたとき、いらない服を前にして思う事をこう書いてあります。

「山積みになったいらない服を友達にあげたり、フリマで売ったり、やむなく捨てたりしながら、心に湧いて来るこの疑問……..」

「いい服ってなんだろう」

そこから、この雑誌は3人のデザイナーと2人のセレクトショップオーナーに話を聴き、服について深く考えることを始めます。「記号」としてのファッション(消費材としてのファッション)ではなく、服を着ることを生きることの一部として展開するブランドオーナーや、陶器のボタンを使用したシャツを作るショップオーナーの話など、いわゆるファション雑誌とは、全く違った視点で「服」を捉えていきます。

後半で、哲学者、國分功一朗の「浪費としてのファッションは可能か」という刺激的な論考もあります。「衣服哲学」という初めて聴く言葉が登場して「浪費」と「消費」の差異を教えてもらいました。

1号では、誌面作りに未熟な部分もあって、それが初々しく感じたのですが、2号になると写真の配置や、全体のレイアウトも格段にスマートになって読みやすくなっています。スマートになったからと言って、もちろん内容が薄められたわけではありません。

ファッション関連の本では、山田登世子「モードの帝国」(筑摩書房1400円)、海野弘「ココ・シャネルの星座」(中公文庫200円)、秦早穂子「シャネル20世紀のスタイル」(文化出版局1200円)、ソニア・リキエル「裸で生きたい」(文化出版局600円)等、少数ですが置いています。

 

 

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「日々」、今回の特集は「籠が好き」です。大体こういう特集の巻頭を飾るのは、ちょっと可愛らしい女の子が、いかにも手づくりの籠を持ったポートレイトですが、さすが「日々」です。なんと、「かご男子」の特集からスタートです。それぞれ素敵な男子ですが、おっ!と思ったのは「食堂アンチへブリンガン」オーナーシェフの大久保さん。自転車に乗って籠をぶら下げて築地へお買い物。行った事がないけどお店の雰囲気まで見えてきそうです。気に入ったのはお店の名前。小津安二郎の映画「秋日和」に登場する架空の薬の名前で、このクスリを巡って楽しいやりとりが映画で観る事ができます。

籠を巡る楽しい記事は続きます。伊藤まさ子さんや、飛田和緒さんがお気に入りの籠を持たれている写真や、日本の籠、外国の籠といろんなジャンルに分けた写真、素材別の籠、さらには籠の多種多様な使い方の写真まで、籠の魅力に満ちた号です。945円です。

 

一方、津発の「kalas」19号のコンセプトは「幸せな孤立」。地方から発信しているつもりが、いつの間にやら画一的な言葉でモノ、ヒト、マチを語っている自分に気付いた時、その画一化の危険に対峙しつつ、いかに新しい発想で見つめるかをコンセプトにした特集です。この雑誌の優れた点は、先ずコンセプトを決めて、それに沿って津の町に生きる人達を探し求めることです。精肉屋さん、タオル屋さん、大工仕事の傍ら、版木製作に打ち込む職人、そして詩人と、この町で、それぞれの言葉で、それぞれの方法で生きている人達が紹介されています。

津発の雑誌ですが、津に拘ることなく、ほんとカラスみたいに方々へ飛んで行きます。岐阜へ、尾道へと「わが町」に生きる魅力的な人、場所を求めて移動します。岐阜で開催の「ハロー!やながせ」にも注目。メインイベントの「一箱古本市」のスタッフでもある愛すべき古書店「徒然舎」の廣瀬さんの写真も載っていました。可愛らしいカラスの栞付きで600円です

ところで、農文協が発行している雑誌「うかたま」で「津的なモノ巡り」という特集でkalas×うかたまのコラボ記事が読めます。

特報!!

公共施設をめぐるミニプレス「しのそのへ」の最新号は、ついに京都です。巡る場所は、京都市動物園そして、後二箇所。これが、オ〜〜〜〜と、京都人でもあんまり行かない場所でした。さて、それは??発売まで、もう少しお待ち下さい。

 

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