昨日のブログは吉田健一と娘、暁子との「父娘もの」でした。続いて、本日は、娘の朱女(しゅめ)が、父である日本画家、沢 宏靱(さわ こうじん)との生活を描いた「飯場と月」(ヒャクジツコウ舎1350円 新刊)を紹介します。

明治38年生まれの日本画家、沢 宏靱は、戦後「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」と宣言し、秋野不矩、上村松篁らと「創造美術」を結成しました。

昭和46年、住み慣れた京都市内から、比叡山山腹に移り住みます。朱女さんは、この時代の父と家族のこと、そして家の周りに広がる風景を叙情的に描いていきます。彼女はプロの文筆家ではありませんが、その情景がありありと浮かんでくるような文章です。「孤高の画家」と称され、自分の画業追求のために画室に籠った父親を見つめる優しい眼差しが、読む者を穏やかな気持ちにしてくれます。

タイトルにある「飯場」は、彼女が引っ越した時、まだ家が建ってなくて、住んでいた飯場同然のプレハブ小屋のこと。本来なら、えっ?こんな場所に住むの!?なんですが、子どもであった天真爛漫な彼女は、「だけど、あたしには毎日が夢のようだった。あたしは生涯一幸せだった。だって楽しいんである。毎日が、キャンプだよ。家族全員で」と嬉々として暮らします。

そして、あの頃を振り返って「遊びに遊んで、ひとかけらの心残りもない。あの絶大な幸福感は、いまも私のなかに満ちわたっている。たぶん、生涯の涯まで。」家族の愛情の中で、羨ましくなるくらい伸び伸びとした少女時代。

昨今は夏といえば、「酷暑」「猛暑」とネガティブなイメージですが、私たち世代(彼女は10歳ほど年下ですが)、夏は子どもにとって天国でした。

その嬉しさはこうです。「きりりと冷たい高原の朝のラジオ体操 ヘブンだったプール! 着替えのパンツを忘れてスースーするお尻の帰り道 日没を待ちかねて山々から降り注ぐ蜩の声 漆黒の空から舞い降りる星々の光り」

思いだします、幼かった夏の日々を……。

この家には、TVがなかったそうです。で、食事時間は様々な話に花が咲きます。その中で、前の戦争のことが話題になります。戦争中、日本軍が何をしてきたかを彼女は父から聞かされました。亡くなったお兄さんが「親爺が毎日さもいやそうにゲートル巻いて工場にいくんや」と言っていたと、戦争嫌いの姿も描かれています。このお兄さんも生涯反戦を貫いたという気骨のある一家でした。

ところで、彼女は小さい時「しめちゃん」と呼ばれていて、へんな名前!と父に訴えると、いやいや、狂言師の茂山さんも「七五三」と書いて「しめさん」と読むんやとのお答え。茂山さん(後の千作さん)は父親のあそび友だち。「沢宏靱を偲ぶ会」で狂言を演じてくれた関係です。その茂山さんも、平成14年5月、この世を去りました。今頃は天国で、やあやあとお酒をくみ交わしているかもしれません。

私がこの本で最も好きなフレーズはこれ。

「むかし、元日の朝の空気は『お正月の匂い』がした。幾つくらいまでだが、毎とし。」

最近はそんな匂いもなくなりましが…….。

ところで、朱女さんは水彩画、銅版画の制作をする作家で、一昨年、当レティシア書房ギャラリーで個展を開催(左写真)、今年は10月11日より第二回目の個展をお願いしています。またここでご案内します。

 

2010年4月から1年間、産経新聞地方版に連載されたコラムで、高橋マキさんの京都の喫茶店50軒を一冊にした「珈琲のはなし」(1000部限定/1296円)が入荷しました。

デカい顔で街中にあるチェーン店のカフェではなく、ひっそりと、マスター自慢の珈琲を提供しているお店が登場します。最近は週末には並んでいる人もいる寺町三条の「スマート珈琲店」、かつて私の友人も勤務していた四条河原町をちょい上がった所にある「インパルス」、先斗町の北のどんつき「吉田屋」、クラシック音楽が流れる出町柳の「柳月堂」、クラブサンドイッチが絶品の丸太町七本松の「シーシーズ」、マスターとジャズ談義していた出町柳の「ラッシュライフ」、そして、当店ご近所「月と六ペンス」まで、私自身何度か足を運んだお店が並んでいます。BWで撮影された写真が、それぞれのお店の雰囲気を伝えてくれます。どの店にも静かな時間が流れている感じがします。

そして、店主達は、それぞれに珈琲への思い、考えを持って店を運営されています。例えば法務局そばの「かもがわカフェ」マスター、高山さんは喫茶店とカフェの違いについてこう語っています

「喫茶店は、すでに日本独自の文化。一方、カフェはフランスでは立派な文化だけれど、まだ日本においては文化として未熟でなにも確立されていない。だからこそ『日本のカフェ』というものが文化になるかもしれない何年か後まで、店を続けてみたいなあと思うんです。」

著者の高橋さんは、取材で店主と話をしたり、その店のお客様の雰囲気を見たりしながらコラムを書き、一杯の珈琲がもたらす、小さな幸福感を届けてくれます。彼女自身が語る喫茶店のささやかな物語を聴く一冊です。

ところでご近所「月と六ペンス」マスターの柴垣さんが、店に雰囲気に合わない客に「帰ってくれ」と昔の頑固オヤジみたいに言いそうになった経験を語られていますが、なんと彼のお父様も上賀茂で古い喫茶店を営んでおられるとか。

「父の背中に憧れたわけではないんですが、やっぱり血を受け継いでいるんですかね」って、なんかいい感じです。

なお、最初の発行が2010年のために、閉店されたお店もあります。この本を読まれて行きたいなぁ〜と思った方は、事前にご確認を。

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。

 

 

日本地域情報振興協会主催の日本タウン誌・フリーペーパー大賞2016の有料誌部門大賞を、長崎発の「樂」が受賞しました。おめでとうございます。

この雑誌は、2008年から季刊誌として発行されています。当店では、2013年あたりから取り扱いさせていただいています。2013年発行の22号は「長崎の本棚」という特集で、諫早出身の野呂邦暢を取り上げていたこともあって、早々に完売しました。その後もユニークな企画で毎号楽しみな雑誌です。装幀、内容共に全国流通の雑誌に引けを取らない作りではないでしょうか。

2016年春号(Vol31)は「長崎で走る、長崎を走る」という特集を組んでいて、長崎バス80年の歴史を様々な側面から描くという、地元ならではの企画です。人気のない「名串バス停」の写真を見た時、どっかで見たなぁ〜という気がしていましたが、宮崎駿の「となりのトトロ」で、トトロと少女たちが初めて出会うバス停に似ているんですね。こんな所なら、トトロも待っているはずです。

最新号ではシーボルトが取り上げられています。ドイツ人医師フィリップ・フランツ・バルタザール・シーボルトは、1823年、オランダ商館の医師兼自然調査官として長崎に着任します。それから6年間、西洋医学を伝えると共に、日本の自然、文化についての調査を行い、膨大な資料をヨーロッパに送り届けました。特集では、貴重な資料やインタビュー、シーボルトが長崎の町に残した足跡を駆使して、この町を愛した彼の全貌に迫ります。日本女性初の産科医、楠本イネはシーボルトの娘だったことも紹介されています。彼女の生涯は漫画家奈華よし子によって「楠本イネの生涯」というタイトルで作品化されています。

NHK「ブラタモリ」気分で、シーボルトに関して長崎のあっちこっち楽しめる特集ですが、最も面白かったのが「シーボルト事件」です。シーボルトが江戸に送った1つの小包から事件が始まるという、サスペンス小説ばりの展開です。彼と親交のあった幕府の書物奉行、高橋景保が持ち出し禁止の資料を彼に渡し、海外へ持ち出そうとしていたというのが事件のあらましですが、数十人が逮捕され、死罪、永牢、身分剥奪と処罰され、シーボルトもスパイとして国外追放処分になりました。彼は本当にスパイだったのかまで検証されていて興味尽きないレポートです。

バックナンバーの中には売切れもありますが、ご注文も可能です。これを機に一度「樂」を手に取って下さい。長崎歴史博物館では2月18日から4月2日まで「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」展も始まるそうです。

 

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。


食品産業の大手、ハウス食品の文庫ってご存知でしたでしょうか。昭和63年に「ハウスポケットライブラリー」として5点発行されました。編集はエッセイストの向笠千恵子。カバー裏には発行理由がこんな風に書かれています。

「日ごろおなじみの料理および素材にあらためてスポットをあて、独自の取材調査をもとに、『食』をさらに楽しくいろどる話題を提供させていただきたいと存じます。」

出版されたものは「水の美味帖」、「わさび讃歌」、「グラタンの食卓譜」、「唐辛子遍路」、「ゼリーぷるるん論」です。昭和60年代の本なので、料理本としては少し古い部分があるのは否めませんが、内容的には面白い読み物が一杯で、貴重な写真もありそうです。

例えば「水の美味帖」では「水と日本人と日本語と」というテーマで、水に恵まれた日本人の生活の中での、「水」を使った多くの言い回しが紹介されています。「関西の水事情」では、京都市の南にある御香宮の「御香水」が取り上げられていますが、ここの初詣姿はちょっと変わっていて、水の入るポリタンクや鍋など持参してお参りに来られます。水を汲んで、その水でお雑煮を炊くのが習わしだとか。今もその習慣って残っているんでしょうか?

「唐辛子遍路」は、唐辛子を巡る世界史、日本史、そして内外の地理を知ることができる一冊です。日本では江戸中期に全国に普及。平賀源内の著書「番椒譜」には、多くの七味唐辛子の品種があったことが記載されています。(その図案も見ることができます)また、この時代、江戸の街角で商いをしていた唐辛子売りの商売道具を入れた「かつぎ函」の貴重な写真を見ることができます。この号の後半は、国内外の唐辛子を使った料理のオンパレード。思わずビールが欲しくなってきます。昭和末の食文化を知るのには最適な文庫かもしれません。(各々500円)

そして、素敵な食文化を伝えるミニプレス「1/f」の3号が入荷しました。特集は「祝いと食卓」。「お祝いごとには、いつも食卓の風景が一緒です。その習慣やかたちは人それぞれ。いろんな場所から祝いの風景を切り取ったとき、食卓はどんな風景を見せているのでしょう。」という思いから、両者の関係を改めて見つめ直していく企画です。

その中に楽しそうなエッセイを見つけました。鈴木容子さんの「国分寺クッキーミュージック」。国分寺のある中央線沿いの面白い店が集まっている駅に降りてはウインドウショッピングをして、そしてリッキー・リー・ジョーンズ、ヴァシュティ・バニヤン、ノラ・ジョーンズなどの女性シンガーを聴いていた頃の思い出です。私も大好きなシンガーばかりなので、機会があったら彼女たちの音楽を聴きながら中央線に乗ってみたいです。

 

 

★レティシア書房 年末年始休業のお知らせ

12月29日〜2017年1月4日まで休業いたします。新年は1月5日から平常通り営業いたします。


 

 

 

 

 

本に関する、面白い企画や話題満載のミニプレス「BOOK5」が、本日発売の22号をもって終了することになりました。レティシア書房オープン時から、お世話になり、毎号楽しみながら読んできました。古書店初心者だった私には、学ばせてもらうことも多かった雑誌です。

最終号の特集は年末恒例の「今年のアンケート」です。毎回、豪華メンバーで岡崎武志、世田谷ピンポンズ、林哲夫、萩原魚雷、山川直人、南陀楼綾繁、宇田智子、内堀弘、島田潤一郎、木村衣有子、そして銀閣寺「善行堂」まで、本好きなら知っている人のオンパレードです。

今年出た本のベストではなく、その人の読んだ本のベストなんで、多種多様な、出版された年代もバラバラなものがあげられています。

岡崎さんが、夏葉社の「移動図書館ひまわり号」をベスト3の一冊に上げておられます。「フロンティア精神と『図書』魂の美しい結合。」と評されていますが、同感です。

私が読みたい本として購買リストに入れている、宮田昇「小尾俊人の戦後 みすず書房出発の頃」(みすず書房)は人文出版社みすず書房の戦後を描いたノンフィクションです。推薦者の南陀楼綾繁さんは「小さな出版社や書店を経営している(もしくはこれからはじめようとしている)人にはこの本を読んでほしいと」と書かれていますが、出版社立ち上げの情熱がひしひし伝わってくる本だと思います。

ミニプレス「のんべえ春秋」や「コッペパンの本」で、当店でもお馴染みの木村衣有子さんは、「福島第一原発廃炉図鑑」(太田出版)を上げていましたが、彼女は今、東京と福島を行ったり来たりの生活らしいです。福島第一原発の仕組み、周辺の見所を真正面から描いた本とのこと。興味ありますね。

で、私のベスト3は、よくここまで自分をさらけ出したと感心した山下賢治「ガケ書房の日々」(夏葉社)、泣いてはいけないと思いながらページを捲った河崎秋子「颶風(ぐふう)の王」(角川書店)、没後20年を記念して出版された湯川豊「星野道夫 風の行方を」(新潮社)です。

「BOOK5」の特集では、本以外で印象に残ったことを取り上げるコーナーもあります。その中で、岡崎武志さんがNHKドラマ「夏目漱石の妻」を評価しながら、大河ドラマで関川夏央&谷口ジローのコンビによるコミック「漱石とその時代」を取り上げるべきだとおっしゃってますが、いや、それは是非是非ドラマ化してもらいたいものです。

なお「BOOK5」はバックナンバーも在庫しています。

 

 

★レティシア書房 年末年始休業のお知らせ

12月29日〜2017年1月4日まで休業いたします。新年は1月5日から平常通り営業いたします。

新しいミニプレス「季刊25時」が届きました。

「一日の終りでもあって、始まりでもある25時。好きなお店に立ち寄ったとき、ちょっとページをめくりたくなる。そんな雑誌があってもいいんじゃないかという思いから生まれた冊子です。」という主旨で大阪の(株)経堂福島出版社が発行。

「自分の時間に楽しめて、新しい発見やちょっとした教養に触れる酒場雑誌」というのですが、もちろん酒場に行かなくても、ポケットに入れて、通勤、通学の帰り時分に読むのにいいかも。中身はこんな具合です。

1号「歌謡曲、大好き」

巻頭インタビューは、元祖ご三家の一人、西郷輝彦です。代表作「星のフラメンコ」はかっこ良かったです。インタビューによると、65年当時なんと、1年間にシングル13枚をリリースとか。さらに玉置宏の流暢なMCで始まる「お口の恋人ロッテ提供、ロッテ歌のアルバム」(50代以上の方には涙ものですな)の他、すべて生放送の歌番組に出演し、ヒットした歌を直ぐに映画にする「歌謡映画」まで主演と、超多忙な日々。歌謡曲黄金時代の話満載の号です。

 

2号「ぼくたちの大好きな伊丹十三」

こちらの巻頭インタビューは、伊丹と親交の深かったフードコラムニスト、門上武司さんが、私もぜひ行ってみたい松山市にある「伊丹十三記念館」を巡りながら、マルチな才能を発揮した伊丹の魅力に迫っていきます。どの分野でも豊富な知識と蘊蓄を持つ伊丹ですが、それが嫌味にもキザにもならない。そのことを門上さんはこう考えています。

「知識がどこかからの受け売りではなく、一度自分のなかで吟味して咀嚼して、血肉化したあとの発言であること。最後は、経験というのかな、実績というのかな、伊丹さんが生きてきた時間や世界が圧倒的なので説得力の度合いが違いますね、だからでしょうね。」

究極のスタイリスト伊丹十三の魅力が詰まった一冊です。

8号「加点主義で行こう」

ん?加点主義って何だ?平たく言えば、人の悪いところを積み重ねて、その人の価値を減点してゆくよりも、良いところを加点していこうよという考え方で、当雑誌の編集者でもあるタレントの松尾貴史と、脳科学者茂木健一郎との突っ込んだ対談を通して、読者に提示していきます。茂木は、人の評価の仕方はもっと多様であってほしい、しかし、この国にはそういう流れがなくなってきている、と危惧しています。

この対談のあとに「加点して生きてゆく人への応援歌」として各界の著名な人達の言葉が採録されていて、どれも説得力があるのですが、その中から写真家、土門拳の言葉

「気力は眼にでる 生活は顔色にでる 年齢は肩にでる 教養は声にでる」

或は、水木しげる「少年よ、がんばるなかれ」

そして意味深なタモリの言葉「わたしもあなたの作品の一つです」と、フムフムの連続です。「25時」は各500円(税込み)。

「TIME TRAVEL」(1080円)というミニプレスが創刊されました。創刊号の特集は「HAWAI’I」です。旅行情報誌と思われる方、大ハズレです。歴史的アプローチから、ハワイに渡った日本人の歴史とその歩みを見つめるのがテーマです。でも、堅苦しい歴史書ではありません。

ハワイに日系人が誕生したルーツを探り、先の世界大戦をどう戦ったのかを、現地での取材を含めてルポしていきます。戦時中、アメリカ軍として戦闘に参加した日系人部隊は、正面から日本人と衝突する太平洋方面ではなく、ヨーロッパ戦線に駆り出されていました。しかし、一部対日戦争に駆り出されて、諜報の仕事に就いていた日本人がいました。ハワイで生まれ、沖縄で育ち、ハワイに戻り、戦争に巻き込まれ、沖縄戦では塹壕を回って、投降を呼びかけた経験を持つ比憙武二郎さんのインタビューは鮮烈でした。

本好きには「郷愁から発信へ 日本語書店の変化」というレポートをぜひお読みいただきたい。ショッピングモールに入居している「博文堂」は、なんと1910年創業の日本語書店です。空路、東京から毎日、本や雑誌が届けられていて、日本と発売日はほぼ同時だそうですが、日本での価格よりは割高になっています。一方、再販価格制度(定価販売で値引きしない制度)がないので、ディスカウントされた新刊本が並んでいます。1940年代ホノルルには、日本語書店は13店舗あった記録が残っています。

しかし戦後、日本語を使う人々が減るに従って、減少し、現在のあるのはこの「博文堂」のみとのこと。そんな事実も、この本で教えてもらいました。

ところで、ハワイに平等院があることはご存知ですか。移民100年を記念して建立されたものですが、この写真(右)だけでは、よもやハワイとは誰が思うでしょうか?

時間を遡って、この魅力溢れる島と日本人の関係を語り尽くした希有な本ではないでしょうか。次号は沖縄特集です。こちらも期待しています。

Tagged with:
 

瀬戸内沿岸の人々の暮しを見つめるミニプレス「せとうち暮らし」最新号は、このエリア一帯の本に関する特集です。

先ず、京都の古書善行堂店主が、壷井栄について書いたコラムで始まりです。「壷井栄を読むと、心はいつも小豆島に」なんて上手いなぁ〜。ここで紹介されている「坂道」を読みたくなりました。

次に紹介されているのは、瀬戸内が舞台の本です。私のお気に入りの、瀬戸内の島を舞台に繰り広げられるサスペンス一杯の池澤夏樹「アトミックボックス」は、もちろんリストアップされています。村上春樹の「海辺のカフカ」もここが舞台だったんですね。そして、小豆島を舞台にした角田光代「八月の蝉」。著者のインタビューも載っています。

60年代から80年代、瀬戸内の島々を巡り、本を届けた「文化船ひまわり」は、日本で唯一の船の図書館だったのです。この船のことを初めて知りました。就航から引退までの物語の前に、見開きでnakabanさんのイラストが目に飛び込んできますが、これがいい!港に着いた船に向かって一直線に、坂道を女の子が走って下りて行きます。本を読みたくてワクワクしている女の子の気持ちが伝わります。

次は、島のブックカフェ、街の本屋さんの紹介と、必読の特集が続きます。高松の「なタ書」、岡山の「451BOOKS」、松山の「トマト書房」、広島の「DEADAN DEAT 」等々、行ってみたい本屋さんのオンパレードです。「トマト書房」の写真を見ると、書架の前にズラリとアナログレコードが並んでいるのが見えます。これだけで、もうこの店には行かなあかん、と血が騒ぎます。

さらに、島旅の達人、編集者、画家、古本屋店主達が、瀬戸内の島めぐりをする時に、読んでおいて欲しい本を各5冊選んでくれます。森山大道「何かへの旅1971−1974」、吉村昭「海も暮れきる」、内田麟太郎「みさき」など、店に置いておきたい本もありました。

年末年始に、ぶらり島巡りなんて行ってみたいものです。そんな時、この本はきっと役に立ちそうです。

★なお、2009年に誕生した「せとうち暮らし」は、次の21号から「せとうちスタイル」へと名前が変わります。乞うご期待!

Tagged with:
 

渋い雑誌「雲遊天下」を出しているビレッジプレスから、「ヒトハコ」が創刊されました。特集は「一箱古本市の楽しみ」。しかも、なんと京都は長岡天神で開催されている「天神さんで一箱古本市」が徹底的にレポートされています。さらに、そのレポートを書いているのが「古書ダンデライオン」の中村さん、となれば本好き京都人マストの一冊です。中村さんは、先ずこの古本市の始まりから書かれています。

「不忍ブックストリートの一箱古本市の波が、京都にも2000年代後半にやってきたが、継続的なものはなく、そこにひょっこり現れたのが、榊翠簾堂(サカキスイレンドウ)さんだった」

元気の塊みたいな榊翠簾女史が獅子奮迅、周囲の人間を巻き込んで、11年11月に天神さんでの古本市がスタートしたのです。その後は、年2回、 春(5月)と秋(11月)に開催され、出展者もお客様も増えています。

なお、今年秋の開催は11月19日(土)10時からです

中村さんは「フツーに出展者を募り、フツーに開催し、フツーに一箱古本市を楽しんでいる。そうやって続けて来た天神さんという場所からは、多くのものが生まれて、育っていき、繋がっていった。」と締めくられています。私も第一回目から客として行っていますが、この古本市で、多くの人達との交流が生まれました。。そうして、当店の古本市にも榊翠簾堂さんはじめ、出店してもらっている方もたくさんいらっしゃいます。

特集はさらに続きます。200回も一箱古本市に参戦した強者、レインボーブックスさんへのインタビューやら、各地の主催者の思いを綴った「なんで一箱古本市やってるの!?」等々、古書への愛着一杯の記事ばかりです。

 

「放浪書房」の富永君が、オリジナルの箱を披露。旅先で、軒先やら道端で旅の本を売りさばく”人力移動式の旅絵本専門店”放浪書房も、もう十年なんですね。寒い寒い冬の日、鴨川で開店したこの本屋でコーヒーを飲んで温まった記憶が甦りました。富永君は、2012年3月、当店開店の日にネットで開店の日の様子をライブ放送してくれましたっけ。

ところで、富永君との交流を切っ掛けに、実店舗「ひらすま書房」を開いた本居淳一さんの開店までの記録を読む事ができます。「本にはなぜかわからないが、いろんな力があると思う。何かのきっかけになる本をひらすま書房で見つけてもらえれば、それほど嬉しいことはない。」と店主は結んでおられますが、全く同じ気持ちです。

最後のページに16年1月〜8月までの全国の一箱古本市の記録が載っています。こんなに開催されてるんですね!おっ、8月のところには、当店の市も載ってるではありませんか。ありがとうございます。来年もがんばります!

Tagged with:
 

出町柳にある旅情報ステーション「風の駅」が発行するミニプレス「気になる京都」の最新号が店頭に並びました。

昨日夜、印刷所から上がってきた本に、紐をかけ、オリジナルの栞を挟み込み、号外の「風のエクスプレス」を封入して、まっ先に持って頂きました数年前から販売を開始した「気になる京都」は、いまだに売れ続けていて、200冊以上のセールスという、ミニプレスらしからぬ販売記録を持っています。

第3号の特集は二つあります。第一特集は「あのパンを探して」という京都のパン屋さん特集号です。表紙は、以前何度か、当店でもパンの販売をしていた「はちはち」さんが表紙です。西陣から引っ越した新店舗が表紙を飾っています。(写真左)

パンの消費量日本一を誇る京都ですから、パン屋さんは山ほどあります。その中からピックアップされた数十店のお薦めのパンが紹介されています。出町柳に住んでいた頃、よく通った「ベーカリー柳月堂」も載っていました。この店、2階は名曲喫茶になっていて、ゆっくりと音楽が楽しめます。

二つめの特集は「やさしい風景」。「風の駅」さん近辺で、ひっそりとお商売されてるお店にお邪魔する企画です。出町柳付近の路地の奥にあるランチ屋さん、卵販売店、或は京大の南側吉田東通りに面しているたこ焼き屋さん、浄土寺近くの紅茶専門店等々。静かに時間が流れるお店の雰囲気が伝わってきます。この卵屋さん、昔住んでいた家のすぐ側らしいけど、全然知りませんでした。

「いい人が集まる店は、きっといい店なんですよ」

という台詞がでてきます。良いお客様に恵まれている当店も頑張らねば…..。

特集ではありませんが、「風の駅」さんが、盛岡出張時に、地元の方に教えてもらったカフェが載っています。緑に覆われた外観だけで、行ってみたい!と思わせる素敵な場所です。ちょっと鴨川近辺の風景に似ている感じがします。ところで、この雑誌の売上げの一部は今まで、福島の三陸鉄道復興のために寄付されていましたが、本日発売の3号は熊本震災の被害者復興に回されます。

「京都で美味しいパンと隠れ家の旅をすることが、熊本県とつながるきっかけになったなら・・・嬉しいです」

と編集後記に書かれています。ぜひ手に取ってみてください。

 

★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

★★10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。