「植物は楽しい」をテーマに掲げたミニプレス「ideallife with  plants」(660円)最新号(8号)の特集は「しょくぶつのえほん」です。

絵本専門店のオーナーが推薦する植物関係の絵本紹介と、インタビューが楽しいです。その中には、京都の絵本専門店「メリーゴーランド京都」の鈴木店長も登場します。彼女が推薦しているのは石井桃子作、初山滋絵の「おそばのくさはなぜあかい」です。

「冒頭『むかしむかしおおむかし、くさやきが、まだくちをきいていたころのおはなしです。』と始まります。そうか、昔はみんなしゃべっていたんだ!って、そう思わせるくらいのい説得力があります。」

そう言われると読んでみたくなるのですが、続いて絵本の価値をズバリと指摘しています。それは、

「子どもが本を読むってそういうことだと思うんです。開いた途端に自分の知らない世界に自然に入ってしまう」と。

これ、絵本が持っている魅力ですね。大人になっても、絵本を開いて、おおっ!と叫んでしまう時がありますよね。

また、横須賀で「うみべのえほんや ツバメ号」を運営されている伊藤さんは、私も好きだったバーバラ・クーニーの「ルピナスさん」を推薦しています。「子どものころからおばあちゃんになるまでのルピナスさんの人生をつづりながら、女性の行き方とルピナスの花をかさねて描いた本です。」本の中に出てくる「世の中をうつくしくする」という台詞は大人にも、子どもに響いてきます。

連載の「植物の和菓子特集」秋編は、イネ科の植物です。「花は地味で注目されないが、平行な筋状の葉脈を持つ、細長い線状の葉の姿が美しい」という言葉通りに、イネの形を盛り込んだ和菓子がズラリ。京都からは鶴屋吉信の「嵯峨野」が選ばれてますが、地味な稲やススキのお菓子は、抑えた色合いや風味が秋を感じる大人の雰囲気です。

「ideallife with  plants」はバックナンバーも販売しています。本好きには、ニンマリのミニプレスです。

なお、メリーゴーランドの鈴木店長が書かれた「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(アノニマスタジオ/古書1300円)も在庫しています。

 

 

子どもの本専門店「メリーゴーランド京都」店長、鈴木潤さんの「絵本といっしょに まっすぐまっすぐ」(アノニマスタジオ1620円)が発売されました。

鈴木さんとは、レティシア書房が店を始めた時からのお付き合いで、開店間もない頃に、店内でウクレレのライブもしていただきました。メリーゴーランド京都は、併設されているギャラリーも面白い展示が多く、いつも覗かせてもらっています。今回、発売された本は、彼女のブログを一冊にまとめたものです。最初から読んでいくのもいいですが、巻末に、この本で紹介された本の一覧が掲載されていますので、それを見ながら、興味ある本を探しながら、ページを捲るのも面白いかも。

例えば、モーリス・センダックの「うさぎさん てつだってほしいの」(冨士房600円)を見つけてページを開きます。

お母さんへのプレゼントの悩む女の子に、うさぎさんが適切なアドバイスを与えるという絵本です。本の紹介と、鈴木さんの思い出話がありました。小さい時、弟たちが母の日プレゼントに、八百屋できゅうりとお豆腐を選んだことを思いだして、こう書かれています。

「あの時は『はずかしい』と思ったのに、今は『誇らしい』と思います。」と。

あるいは、歯医者とそこへ治療にやってきたワニ君の抱腹絶倒のコメディー(私は歯医者の待合室で読んで、大笑いしました)を描いた五味太郎の「わにさんどきっ はいしゃさんどきっ」(偕成社400円)では、息子さんの口元から「こりこり こりこり」という不思議な音が聞えてきた、と書かれています。口の中には何もない?? そこで鈴木さんはもう一度、覗き込みます。

「あれあれ、上の歯ぐきから白いものが顔を出していたのです。『こりこり』の正体は歯ぎしりだったのです。」

おかあさんになられて、絵本の世界がまた一回り広がったような感じが素敵です。

そして、写真と詩をミックスした「子どもたちの遺言」(校成出版社800円)。谷川俊太郎が詩を書き、田渕章三が写真を撮った本です。赤ちゃんから青春真っただ中の若い人たちの横顔が次々と登場します。

「わたしは幸せです。でもわたしが幸せなだけでは、世界は良くならないと思うのです。違いますか?」と、図書館で本を読む少年が問いかけてきます。宮沢賢治が突きつけた永遠の課題を、この少年も背負っている、そんな風に見えてきます。この本の後書きに谷川は、「うまれたばかりの赤ん坊に遺言されるような危うい時代に私たちは生きている。そう感じているのは私だけだろうか」と書いていました。

おかあさんとして、鈴木さんが意識している今という時代の危機を感じました。

この街に、しっかりとした考えとセンスで本を選び、こどもたちに提供している本屋があることは、私にとって本当にありがたいことです。