図録、美術関係の本がどっさりと入りました。ポピュラーなものから、レアーなものまで様々。「フェルメールからのラブレター展」(900円)や「藤田嗣司展」(2000円)などよく知られた豪華な図録も、改めてページをめくっていると楽しいものですが、今まで知らなかった作家にぶつかるとワクワクします。

ルフィーノ・タマヨ。

彷徨する獣の作品の上に「TAMAYO」とだけ書いてある「ルフィーノ・タマヨ展」(2500円)に、こう解説されています。

「1920年代以降、後期キュビズム的な純粋主義からも、単なる直裁的なシュルレアリズムからも、民族的な土着主義や社会主義リアリズムからも離れた、新しい様式を目指す立場を明確にし始めた」

確かにキュビズム的な色合いの濃い作品もありますが、ギラギラした情欲に満ちたものもあれば、グイグイと押し出す力強さに溢れた作品、思わず吹き出しそうなユーモアにあふれた大らかな作品もあって、とにかく魅き込まれる画家です。「ヌードのピカソ」というピカソを丸裸にした作品は、美しい色合いで、なんか可笑しくて、ピカソに対する親愛を感じます。

図録は、資料として展覧会の時に購入したりしますが、往々にして、そのまま書庫で眠ってしまうことが多いものです。でも、展覧会にも行ったことのないタマヨさん(タマヨさんって呼んでしまう親しみのある名前です)の作品集は、側に置いて毎日めくりたくなります。それは、彼の作品から音楽が聞こえてくるように思えるから。

「ロックンローラー」なんて作品は、まるでジェイムズ・ブラウンが腰をくねらして卑猥な歌詞をシャウトしているみたいで、踊り出したくなってきます。或は、「フルート奏者」でフルートを吹く人物を描いた作品は、もうジャズです。表紙を飾る彷徨する犬(写真左上)も、オレは歌うぜえぇ〜と叫んでいるみたいです。

メキシコの風土が持つ、自由で、大らかな雰囲気に育まれた画家のリズムが作品に投影しているのでしょう。同じタマヨさんの洋書「TAMAYO」(4000円)も入荷しています。踊って、歌って、拍手して、メキシコのど暑い熱風を受けながら、冷えたテキーラでも飲んで気分最高って画集です。1993年、京都国立近代美術館に来ていたのに、知らなくて、本物に出会えなかったことが残念です。

メキシコがらみで、もう一点珍しい本があります。石崎忠司の「メキシコの刺繍」(徳間書店2000円)です。1968年、何の知識もなく日本を飛び出し、インディオと暮らして土着民の衣裳と染織を研究した著者の紀行文学としても面白い読物です。「メキシコインディオの衣裳」という図版が付いています。この本、ネットで検索すると高い価格で取引されていますが、入荷したものは残念ながらカバーがボロボロです。なので、2000円で販売しています。