レナード・コーエンは、1934年カナダに生まれ、2016年、82歳で亡くなりました。詩人、小説家としてそのキャリアをスタートさせましたが、67年歌手としてデビューしました。

もう、かなり前の話ですが、初めて彼の歌を聴いた時の感想は、「なんだ、この覇気のない、投げやりな歌い方は!!あぁ〜うっとおしぃ!!!」とレコードを蹴り飛ばしてしまいました。

その後暫く私の中では、絶対に聴かない歌手という位置づけでした。けれど、人間って変化するんです。それなりに人生経験を経て、「あぁ〜、オレって未熟、未熟!」と、ぐちゃぐちゃな気分のまま、酒場で意気消沈していた時、コーエンの歌が側に寄ってきたのです。なんて素敵なんだ!と、我ながら今までの自分の音楽センスの無さに茫然としました。

コーエンの歌は、しんどい時やさみしい時に、元気をつけてくれるわけではありません。その歌に勇気をもらいましたとか、元気づけてもらいました、とかいう意見をよく聞きますが、その逆です。しんどい時は、無理に元気なんか出すな、一緒にどよ〜んと意気消沈しましょう、みたいな音楽です。生きることは自己嫌悪の繰り返しだけど、まぁ、ちょっとは良いこともあるわなぁ〜、というようなコーエンの声が妙に心地良くなってくるのです。

中年の彼は、声も姿も男の色気に満ちていました。そして、老境に達してもなお、その色気が輝いていました。CD”Popular Problems”(写真右)のジャケの写真は80歳の時のものです。かっこいい!かくありたいものものですね。(輸入盤1400円)

因みにコーエンのCDは、当店の売上げナンバーワンです。センスの良い方が沢山おられるのか、はたまた人生に疲れた方が多いのか、とにかく、これからも頑張って仕入れます。

 

●レティシア書房のお知らせ●

 年始年末 12月29日(金)〜1月4日(木)休業いたします。


 

 

 

 

 

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昨日、二人の歌手の死去の報に接しました。りりィと、レナード・コーエンです。

「わたしは泣いていますベッドの上で/わたしは泣いていますベッドの上で/あなたに会えて幸せ」で始まる「私は泣いています」がヒットしたのは1974年でした。

元々、彼女が自分で作曲、英語詞を付けたものを日本語に直して歌ったところ、97万枚という大ヒットになった曲です。しゃがれた声でブルース感覚に溢れた歌い方は、あの当時異色でした。シングルを購入して、こんな歌い方ができる日本人がいるんだ、と思いながら聞き込んだ覚えがあります。

その後、女優として、多くの作品に登場しました。驚いたのは井筒和幸監督が撮った、素人のど自慢大会のドタバタを巡る喜劇「のど自慢」で、最後まで歌わない役柄で登場した時でした。「あ、リリィや!」と劇場で叫びそうになりました。

享年64歳、肺がんでした。年齢的にあまり変わらない人の死に接すると、自分ももういつ死んでも不思議ではない年齢になったんだな、と思ってしまいます。

もう一人のレナード・コーエンは、カナダ出身のシンガーソングライターです。詩人、小説家でもあり、その第二作「嘆きの壁」は日本で翻訳されました。(当店にもありましたが、現在売切)また、臨済宗の和尚(?)でもあります。

若い時は、もの哀しい歌い方を敬遠していましたが、年を重ねるに従って、その深い味わいに惹かれていきました。

年をとって飄々とした感じになる人はいます。作家で言うなら、永井荷風であり、俳優で言うなら笠智衆みたいな。しかし、コーエンは、かぶさってくる老いに耐えきれず、倒れ込みそうになる一歩手前で、己を支えて、人生の孤独をサラリと歌いきってしまうのです。力が入っているという雰囲気ではなく、フワッと、しかし、ぐっと心に染み込んでくる妙味。

一度虜になると離れられません。50歳の時リリースした”Various Positions”(国内盤1200円)も傑作であることは間違いありませんが、78歳の時にリリースした”OLD IDEAS”(輸入盤LP+CD 3000円)の枯れた味わいをぜひ聴いていただきいものです。享年82歳でした。

 

 

★他店のイベントお知らせ

銀閣寺「古書善行堂」にて。11月13日(日)「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の小山力也さんが来店されます(12時〜17時)。古本を巡るお話が出来そうです。何やら、特典も有りそう。詳しくは善行堂075−771−0061まで

浄土寺「ホホホ座」で開催中の「PANKICHI個展『本屋と女の共犯関係』」展には、PANKICHIさんが書いた本屋さんのイラストと物語が一緒になった作品展です。その本屋の中に当店も入れて頂きました。13日(日)まで開催です。

明日は、善行堂→ホホホ座→レティシア書房という本屋巡りで決まり(!?)ですね。