と、書くといかにも難しいテーマです。しかし、そこを巧みに映像化して、彼らの国から遥か彼方に住む日本人にも、内容を理解させてくれたレバノン映画「判決、ふたつの希望」(ジアド・ドゥエイリ監督作品)はお薦めです。

レバノンで自動車修理工をしているトニーは、ささいな事で住宅補修の現場監督ヤーセルと喧嘩を起こし、罵り合うちに民族差別用語を口にし、ヤーセルに殴られます。謝れ、謝らん、とお互いエスカレートし、裁判沙汰になっていきます。

トニーはレバノン人で、愛国的キリスト教徒。一方のヤーセルは戦火を避けてレバノンに逃れた難民です。最初は二人の喧嘩を仲裁する裁判が、やがて政治色を帯び、裁判所に詰めかけたレバノン人とパレスチナ難民が対立する騒ぎにまで進展してしまいます。怒りっぽく、猪突猛進なトニーに対して、なんとか戦争から逃れてこの国で細々と暮らしているヤーセルには、悲しさが付きまといます。だから、暴力を加えたヤーセルにシンパシーが湧くようになります。しかし、後半トニーの秘密に迫るあたりから、映画は、どちらが加害者でどちらが被害者なんだ、と観客に迫ります。法廷シーンが中心となりますが、サスペンスの重ね方が見事で、画面から目を離せません。

トランプのアメリカ第一主義にしろ、ヨーロッパ各地で起こる難民排斥の動きにしろ、我が国のヘイト・スピーチにしろ、「俺たちが正義だ、お前達は悪だ」と一方的に決めつけ、排除しようとする動きに、おい、ちょっと待て、ほんまにそうか?と問いかけてきます。

ラストは100%めでたしで終るわけではありません。しかし、ほんの僅かな希望を残します。現実はあまりにも苛烈だ、しかし映画には希望を残しておきたい、という監督の思いが伝わりました。感動的です、あの微笑みは。

ところで、裁判が政治的になって収拾がつかなくなった時、レバノンの大統領が登場し、二人に和解するよう説得します。その時、トニーが言うセリフが凄い!「お前は公僕だろ。オレの権利を回復しろ!!」(写真右。左側から大統領、トニー、ヤーセル)

一般人が国の最高権力者に向かって、公僕やったら、人民のために仕事せんかい!と詰め寄るんですからね。安倍さんにも、トランプさんにも是非見て頂きたいものです。

 

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カレンダーの犬や猫たちついては、撮影者の児玉さんのブログに上がっています。