京都に本拠を置く出版社ミシマ社が企画した、ユニークな展示「ミシマ社と京都の本屋さん展」が始まりました。

ミシマ社は、大手出版社の編集者だった三島邦弘さんによって、2006年11月に設立された出版社です。「自由が丘のほがらかな出版社」をスローガンに掲げ、「一冊入魂」をモットーにして、書店と出版社を繋ぐ「取次ぎ」と呼ばれる流通業者を介さず書店と直接取引を行っています。

つまり、ミシマ社の本を積極的に販売してくれる書店にだけ卸すという姿勢です。

数年前、レティシア書房のわりと近くに京都オフィスを構えられて、京都の個性的な書店が広がっています。もちろん当店もミシマ社コーナーを作って、積極的に販売してきました。そのコーナー横に、ミシマ社のイラストレーターさんが描いた、レティシア書房付近の地図を貼付けていましたが、「可愛い!」と評判だったので、なら、この地図を壁いっぱいに展示しようよ、というところから、今回のこの企画になったというわけです。南は京都駅近くのイオンモール「大垣書店」から、北は北山の「アミーゴ北山店」まで、手描きの地図が貼り出されました。開店はしましたが、まだまだ制作進行中(写真左)。賑やかな展覧会となっています。面白いですよ!これからの出版社の在り方、本屋さんの進むべき方向、そして読者の選書のヒントなどが詰まりに詰まった企画展です。もう、ミシマ社スタッフも、お店も爆発寸前です!

個人的に、この出版社のベスト5を上げるなら吉田篤弘「京都で考えたこと」(1620円)、安田登「あわいの力」(1836円)、山口ミルコ「似合わない服」(1620円)、木村俊介「善き書店員」(1944円)です。

これからの社会のあるべき姿、世界の見方、そして個人の働き方に至るまで、私たちが生きる指針になってくれそうな本ばかりです。

 

「ミシマ社と京都の本屋さん」展は、4月22日まで。(月曜定休日)12時〜20時

 

 

 

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11月12日のブログで疋田千里さんの”traveling with Spices”という写真集を紹介しました。そこに掲載されていたインドのタラブックス。この出版社の発行したハンドメイド本をまとめた「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」(ブルーシープ2400円)が発売されました。

インド南部のチェンナイを拠点に活動するタラブックスは、40人程の社員で、芸術や教育の本を高品質で送り出しています。

出版社の活動として、2000年初頭から、インド各地の部族に伝承されている民族芸術を取り上げて本にしており、その中で、インド中央部に暮らすゴンド族のアーティストと組んだ作品群は注目を浴びました。手漉きの紙に、絵や文字をシルクスクリーンで印刷して、すべて手製本で仕上げられた本は、多彩な魅力に溢れています。

夜の間に別の姿を見せる木の物語「夜の木」は、現在8か国語に翻訳されていて、タラブックスの代表作と言えます。日本語版も発行されましたが、現在絶版で、古書価格は決して安くはありません。

今回の「世界を変える美しい本」には、代表作「夜の木」を始めとして、タラブックスが挑戦した様々な本作りが、写真と解説で紹介されています。本の電子化が加速する出版業界にあって、紙の本に徹底的に拘り、センス溢れるクリエイターとの共同作業で、大げさではなく「世界」を「変える」に相応しい美しい本を作り続けています。

イタリアのボローニャで行われているボローニャ・チルドレン・ブックフェアに2008年「夜の木」が出品されました。商業出版される児童書の世界的見本市に、無名の民族作家の、しかも一冊一冊手製本されたものでありながら、手頃な値段で購入できることに、集まった世界中の編集者が驚愕しました。「世界を変える美しい本」の巻末には1994年から2015年までに発行された書籍のリストがカラー写真で紹介されたブックリストが収録してあります。ゆっくり、時間をかけて本を作ってゆくというタラブックスの姿勢が見えてきます。

この美しさと内容で2400円は安い!紙の本を作る人達の 愛情に満ちた一冊です。現在、東京の板橋区立美術館で開催中のタラブックス展のDMも届いていますので、お持ち帰り下さい。