さて、何か文学に親しもうかなぁ〜と思った時、側に置いておくと良い(或は悪い?)のが岡野宏文と豊崎由美二人のコンビによる「百年の誤読」(ぴあ、海外文学編、日本文学編 各800円)です。本読みのスペシャリスト二人が、古今東西のベストセラーを丸裸にしていく楽しい文学案内です。武者小路実篤の「友情」を、岡野が「とりあえず文章のこんな雑な作家はいないだろう」と言えば、豊崎が「その珍妙さを丸ごと受け入れるとこから実篤くんの味わいがスタートするんだもの」と受け答えして、軽妙な実篤論が始まります。或は、「けた外れの怠け者」「駄目男ぶり爆裂」などと言いながら絶賛するのは、佐藤春夫の「田園の憂鬱」。ここまで言うなら読んでみようか、という気になってくる本が満載です。

モンゴル出身のバーサンスレン・ボロルマーが描くモンゴル遊牧民の四季を追いかけた絵本「ぼくのうちはゲル」(石神社700円)。宿営地のゲルで生まれた男の子ジルが、家族や家畜と共にモンゴルの大地を駆け巡るお話です。ゲルというのは、モンゴルの人達の組立て可能の移動式住居です。ゲルに住まいしながら、春夏秋冬、宿営地を羊とめぐっていく彼らの姿が、東洋的なタッチで描かれます。緑の大地に建つゲルの絵を見ていると、そこを駆け抜ける風が通過してゆくのが見えてきそうです。

 

 

淡谷のり子、と言われてもお若い方には??かもしれませんが、ある年代以上には、あの顔は、一度知ったら絶対に忘れられないと思います。1907年青森生まれの歌手で、日本シャンソン界の草分けであり、また、◯◯のブルースという題名の歌を連発して、『ブルースの女王』とも言われました。1937年に「別れのブルース」が大ヒット、スターダムへ登りつめます。ブルース的雰囲気を醸し出すため、吹込み前の晩は、酒・タバコを呷り、ソプラノの音域をアルトに下げて歌っていたそうです。また、戦時中の慰問には、もんぺを履かず、禁止されていたパーマをあて、ドレスに身を包み、禁止されていた英語の歌や、恋愛の歌を歌った根性の坐った女性でした。その彼女が自分の半生を物語った「ブルースのこころ」(新日本出版社900円)は、彼女が生きた昭和という時代が浮き彫りにされています。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!暑い日が続きますが、ぜひお立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


「夏の古本市」も残り、4日となりました。下鴨糺ノ森の「古本市」は本日で終了ですが、こちらは日曜日までがんばります。

本日ご紹介するのは、工作舎が出した「怪奇鳥獣図巻」(2000円)です。江戸時代に書かれた作者不明の、一巻ものの不思議な絵巻物が残っています。そこには、奇怪でグロテスクな鳥獣76種類が登場します。例えば、「帝江」。解説にはこうあります。「天山にいる神。姿は黄色い袋のようで、口も眼鼻もないノッペラボウの怪物、しかも足が六本で四つの翼がある。」

ここに登場する動物達は、どう見ても生れは日本ではありません。江戸時代よりはるか昔、中国で描かれた「山海経」に、そのオリジナルが登場します。中国の奥地に住む怪物たちが日本に伝わり、江戸時代、極彩色になって甦ってきたのです。きっと、当事、多くの人が、怖い!と思いながら見入ったのでしょうね。

長崎県諫早出身で、故郷を舞台にした小説でファンの多い野呂邦暢。個人的にはベスト1は「鳥たちの河口」(文藝春秋1800円)だと思っています。失業中の中年男が河口に集まる鳥の観察する日々との無為に流れる時間を描いた中編小説です。「河口の湿地帯はまだ夜である」で始まる小説は、灰色の冷たい空気がラストまで流れています。一地方都市の河口の物語なのに、何故か白黒のフランス映画の香りが漂っているような気がしてきます。冷たい風が海から吹き付ける荒涼たる風景は、そのまま男の心象風景へと繋がっていきます。

世界24か国を巡って集めた、30家族、1週間分の食材600食を撮影した写真ノンフィクション「地球の食卓」(TOTO出版2000円)は、見ているだけで楽しい一冊です。ある家族に密着して、1週間に使う食材をレポートし、その食事風景をルポし、合わせてその家族の自慢のレシピまで見せる豪華な本です。殺風景な昨今の食卓と違い、家族が集まり美味しいものをいただくという、言わば人間の幸せの一場面を集めた本と言えるでしょう。お国変われば、食卓も変わる。でも、愛する人達と共に食べる幸せだけは変わりません。パラパラ捲っているだけで、その幸せの一部を頂戴できる素敵な本です。

食べることの幸せを書かせたら、やはり平松洋子に勝る人ってそういないと思います。愛用の調味料から、旅先で出会った美味まで、これは!と思うもののためにひた走る姿を描いた「おいしいごはんのためならば」(世界文化社500円)は、お薦めです。彼女のエッセイのいい所は、いかにも食通っぽい描写がないところです。

「右手に豆腐。左手に豆乳。ずしっと確かな持ち重りに頬も緩む。うちを出てお豆腐屋さんまでほんの二分。どくだみの露地で道草して、十分。さあ今日も一日が始まる」

なんて文章読めば、お豆腐食べて、今日も頑張ろうって気分ですね。                                                         

 

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!

 

暑い日が続きますが、ぜひお立ちよりください。

 

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レティシア書房・夏の古本市」も、いよいよ後半に突入。本日はワンコインのお買い得本のご案内です。

え?これ500円なの?というのが内堀弘「古本の時間」(晶文社)です。著者は詩歌専門の古書店「石神井書林」のオーナーです。「ボン書店の幻ーモダニズム出版社の光と影」という名著で知られていますが、こちらは2013年に出版された、本に関するエッセイをまとめたものです。

「古書の世界には、誰にとっても理解できる希少性とは別に、その人の中でしか息づかない、つまり他の誰かにとってはどうでもいいようなものの中に、身を賭すように分け入っていく想いがある。どんな時代であっても、そんな無名の憧れや想いが、この世界を支えているのだと思う。森は横に広がり、樹は上に伸びている、ということか。」

という文章に出会った時、古書の持つ価値の深さを知りました。

作家三木卓は、「路地」「素足と貝殻」等の小説でお馴染みですが、個人的には児童書「イヌのヒロシ」が好きです。三木が1949年から2000年まで、鎌倉の仕事場からみた見続けた日常をまとめた日記「鎌倉日記」」(かまくら春秋社)という本が出ていました。なんとも言えない味わいがある本が、500円とは驚きです。日記文学マニアには外せませんね。

ムフフと笑いながら、文楽の世界を堪能させてくれる三浦しおん「あやつられ文楽鑑賞」(ポプラ社500円)もワンコインなら安い買物です。文楽なんて、まるで知らないド素人だった著者が、この古典芸能に染まってゆくプロセスをユーモアたっぷりに描いています。端正なたたずまいの三味線奏者、鶴澤燕二郎さんの楽屋にインタビューに行った時のこと、最初に口から出た言葉が「あの、足を崩してもいいでしょうか」。その理由が「足が痺れて、立った拍子に三味線に突っ込んだりしたら」というのが傑作です。でも、自分の好きなものを見つけて、どんどんその魅力に取り憑かれてゆく様は、読んでいて、爽やかな気分にさせてくれます。

翻訳家として、小説家として活躍中の西崎憲が選んだ英国短篇小説選集「短編小説日和」(ちくま文庫500円)は短編アンソロジーとして、この翻訳家の英国小説への深い理解と愛情溢れる文庫です。18世紀半ばから20世紀半ばに書かれた膨大な短編小説から、大物ディケンズ、グレアム・グリーン、そして日本では全く評価されていない作家まで網羅し、様々な英国らしさの側面を切り取っています。巻末には著者による短篇小説論が収録されています。英国的なるものを知る手がかりとして読むのも面白いかもしれません。

 

 

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!

暑い日が続きますが、ぜひお立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


珍しい絵本アートのシリーズが出品されていました。立風書房が80年代に出版していた「幻の絵本館」シリーズです。そのシリーズの中でも、ナサニエル・ホーソーン作、アーサー・ラッカム絵による「ワンダーブック」(3000円)とウィリアム・M・ティムリン作絵(翻訳は船崎克彦)の「星の帆船」(3000円)は貴重です。ネットでいい物なら、4000円ぐらいの高値です。下鴨の古本市(今年も開催中)で、一昨年、「星の帆船」を発見しましたが価格を見たら5000円でした。(しかも表紙が汚れまくりでした!?)

さて、「ワンダーブック」ですが、作者のナサニエル・ホーソーンは、我が国ではアメリカ文学の古典「緋文字」で有名です。この絵本は、ギリシャ神話、伝説の再構成なのですが、「ほとんど創作に近い」と児童文学者の吉田新一は、あとがきで書いています。「白鯨」「嵐が丘」と共に19世紀三大復讐小説として評価される「緋文字」という暗く、重たい(私は途中で投げ出しました)小説を書いたホーソンが、子ども向けにこんな陽気で明るい話を作り上げています。

絵を担当したアーサー・ラッカムは、絵本黄金時代を代表するイラストレーター。絵本好きならご存知ですね。「クリスマスキャロル」「マザーグース」など多くの作品で使われています。因みにW・ディズニーの長編アニメ「白雪姫」に参加して、背景のデザインを担当していました。

「星の帆船」は、やっと巡り会った一冊です。原作者ウィリアム・M・ティムリンは、建築家で作家ではありません。殆ど無名に近い人物ですが、極めて高度な質を持った本を書き上げました。昨今のファンタジー文学の原点とも言える絵本です。「ゆくてにはイルミネーションをぶちまけたような天の川の光の帯がせまっています。」という文章で船は宇宙の大海原に出航していきます。これって、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と同じ世界観です。ティムリンも賢治も理工系の理論家。だからこそ、こんな美しい物語を描き出せるのかもしれません。

このシリーズは、全10作品でリリースされており、今回9作品が集まっています。その中には岸田矜子訳、ケイト・グリーナウェイの「遊びの絵本」(2000円)なんて楽しい一冊もあります。ゆっくりとご覧下さい。これだけ、揃って出るのは、ホントに珍しい。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


古本市には、本屋さん関連の面白い本が、何点か必ず出ます。

沖縄の商店街にある「市場の古本屋 ウララ」の店主宇田智子が、お店を始める決心から、開店そして店頭での日々を綴った「那覇の市場で古本屋」(ボーダーインク600円)。店の隣りは漬物屋さんと洋服屋さん、前は鰹節屋さんで、店の大きさは畳三畳という、日本でも狭さではトップではないかと思える小さな店です。メインに扱っているのは沖縄関連の本。元々、大手書店の人文書担当の彼女が、自ら望んだ転勤で沖縄に来たことが発端です。力まず、ナチュラルに生きてゆく姿が眩しい一冊ですね。沖縄に行ったらぜひ訪ねてみたいお店です!

次は、我が国の多くの島々に点在する本屋さんを訪ね歩いた朴順梨の「離島の本屋」(ころから900円)。笠原諸島、伊豆大島、礼文島、奄美大島等、全部で22島の本屋が紹介されていきます。本屋さん紹介の本というよりは、島と本屋さんの日々を見つめる旅行記と言った方がいいかもしれません。旅行気分を誘ってくれます。凄いなぁ、と唸ったのは奄美大島にある「本処あまみ庵」。なんと奄美沖縄の本専門店で。イカ釣りの本から、島尾敏雄、昭和初期の軍事雑誌「日本週報」まで、店主が集めた本が並んでいます。本屋を目指して、22の島を回ってみるのもいい旅になりそうです。

一時、話題になった「痕跡本のすすめ」(太田出版850円)は、愛知県で古書「五っ葉文庫」を営む古沢和宏が集めた痕跡本を巡る本です。古書業界では、本に線を引いたり、何か書き込んだりした本は価値が下がります。しかし彼は、価値がないとされたそんな本に目を向け、想像力と妄想力で、本の持ち主が、なぜこんな書き込みをしたのかを語ります。この本を読んでから、痕跡本に出会うと、思わず見入ってしまう癖がついてしまいました。ここでは、多くの痕跡本が写真で紹介されていますが、まるでアートみたいなものさえあるのが面白いですね。

最後にもう一点。これは小説です。紀田順一郎著「古本屋探偵の事件簿」(創元推理文庫400円)。神保町にある古本屋「書肆・蔵書一代」主人が出した「本の探偵ー何でも見つけます」という広告に惹きつけられてやってくる、奇妙な依頼人達の姿を描いたもので、三つの中編と一つの長編が収録されています。推理小説好き、本探し好きの興味をそそるお話ばかり。本屋をめぐる内容ではありませんが、古書業界の事が色々登場してくるので、是非ご一読を。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

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柴田元幸は、翻訳家であり、作家でもあります。今回の古本市でも、数多く出ていますので、ファンの方は是非チエックしてみてください。

彼自身の本で、「97年夏場所現在、舞の海は見事幕内復帰を果たし、わがことのように嬉しい」とおよそ、海外文学の翻訳家らしからぬ内容でスタートする「愛の見切り発車」(新潮社400円)は、軽妙な文章で海外文学の紹介をしてくれる一冊で、私も愛読しました。

ちょっと変化球的なアンソロジーとしては、ここ20年間ぐらいの間に発表されたアメリカの幻想文学を集めた「どこにもない国』(松柏社400円)もお薦めです。ヨーロッパの凝った文体のその手の小説に比べると、ストレ−トな文体ですが、日常生活にふとしたズレや、奇妙な空間を描き込んでいます。柴田が編集を務める雑誌「MONKEY」も500円で8冊程出ていますので、お早めにどうぞ。

イラストレーターの安西水丸が、1982年に宝島から出した「普通の人」(1000円)は、探しておられる方もあるはず。へたうまタッチで繰り広げられる4コマ漫画の世界。サブカル雑誌の先陣を走っていた雑誌「月刊宝島」に相応しい捩じれたギャグ満載のコミックを集めた一冊。この本、アマゾンや、日本の古本屋でもヒットしない商品なんですよね……。

がらりと変わって、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」関連で一冊。キャロルの原作に、チェコの映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルが絵を付けた「不思議の国のアリス」(国書刊行会1800円)は最近のアリスものでは優れた一冊です。シュヴァンクマイエルが、この本のために描いたイラストレーションは、最初に「不思議の国のアリス」の挿画を手掛けたジョン・テニエルへのオマージュだと語っています。そして、彼自身、アリスこそが自分にイマジネーションの源泉だと言い切っていて、それほど彼にとっては、大切な一冊なのです。(すいません、ブログ書き上げた途端売れました)

あんまり、最近見なくなったなぁ、と思ったのが岡崎武志の「雑談王」(晶文社1800円)です。2008年発行で、まだ絶版にはなってないはずですが、新刊書店でも見かけません。この本は書評家としての岡崎の本ではありません。映画、音楽、落語など彼が若い時からワクワクしてきたものをズラリと並べてあります。とりわけ同じ関西人として面白いのが、第四章「私設おおさかお笑い図書館」です。笑福亭仁鶴に始まり、漫才コンビいとし・こいしまで、かつての関西の芸達者を論じた演芸論です。

「生きている間の名前がニワトリ。死んだら戒名がカシワ」といういとし・こいしの十八番を久々に読んで、あったなぁ〜そんな漫才、となつかしく思いだしました。

 

 

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


恒例の夏の古本市です。今回は28店ご参加いただきました。さてどんな本が出ているか、最終日まで紹介していきます。

京都在住のエッセイスト、山田稔の本は必ず一冊は出品されます。今回も「太陽の門をくぐって」(編集工房ノア3000円)がありました。アンダルシア、シチリア等ヨーロッパ各地を旅した時のエッセイ集です。ふとした風景や、街中の雑踏を見つめる山田の文章は、技巧を凝らしたものではありませんが、魅力的です。

この人の紀行文も、魅力に溢れています。池内紀の「小さなカフカ」(みすず書房800円)です。これ、カフカの周辺をぶらりぶらりと巡りながら、等身大のカフカに迫ってゆく趣向の文芸エッセイでもあります。カフカと宮沢賢治が同世代で、二人とも、数多くの動物物語を書き残していたという指摘から、二人の作家の本質に向かう「動物物語」には驚かされました。

さて、かつて「フォーククルセイダーズ」という才気溢れるフォークバンドがありました。「帰ってきたヨッパライ」や「イムジン河」等のヒット曲を残して解散しました。そのメンバーの一人で、現在は精神科医の北山修が、昭和46年に発表した詞詩集「ピエロとサム」(ブロンズ社500円)は、珍しい本です。巻頭には、ヒットした「白い翼に乗って」、「青春のわかれ道」、「戦争を知らない子供たち」等が譜面付きで掲載されています。オジさん、オバさん歌えますね?

変わった雑誌も出ています。「グラフィックマガジン 世界の秘境」(双葉社700円)です。「最後の秘境ニューギニア」、「世界の海底に秘められた財宝」、「漂流船その戦慄の記録」、「裸族 大アマゾンの謎を探る」など、各号度肝を抜かれそうな特集です。発行されていたのは昭和40年代。今は「未開人」なんて呼称は、使えませんね。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


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昨日に続き、8月9日(水)からスタートする恒例「レティシア書房・夏の古本市」に出品される本の紹介です。

先ずは、老人の写真集を2冊。

ダンサー田中泯が、インドネシアの各地で行ったパフォーマンスを中心にして撮影された「ウミヒコヤマヒコマイヒコ」(デザイニングジム1100円)。村々で、ひたすら自己の舞踏を繰り広げる田中と、なんか変なおっさんやなと遠巻きに見ている人達との、境目がふっと消滅する瞬間が捉えられています。

もう一冊は、古賀絵里子「浅草善哉」(青幻舎2000円)。明治45年生の平田はなさんと、大正10年生の中村義郎さんという老夫婦の写真集です。二人は昭和32年結婚。それからの長い人生が、一枚一枚の写真に刻み込まれています。表紙がかっこいいですね。残念ながら、義郎さんは2008年に87歳で、はなさんは2010年に98歳でこの世を去られました。

さて、文庫にもこれはゲット!と思われるものがあります。例えば、映画監督の今村昌平企画による「村岡伊平治自伝」(講談社文庫1200円)。誰?村岡伊平って?? これが、とんでもない怪物です。明治中期に海外で一旗揚げようとシンガポールに渡り、女郎屋を開業。その後、東南アジア各地に進出。お国のために女を売るのだと、国内から数多くの娘を連れ出すは、本人は多くの現地妻を持つという、今なら犯罪的な人物です。さらに、日露戦争勃発と共に、各地に愛国婦人会を組織するという明治ナショナリズムを具現化したような男です。時代が作り出した怪物を読む一冊です。

画家、香月泰男の「海拉爾通信」(新潮社/初版/函1200円)が、昭和18年春から20年の終戦まで満州、ソ連で兵役に付いていた時、日本の妻に送った書簡をまとめた本です。書簡と共に、彼が書いた絵葉書も数点挿入されています。香月ファンなら、持っていたい一冊です。

私もいつか買おうと思っていた「佐藤泰志作品集」(クレイン2200円)がありました。名作「海炭市斜景」に始まり、芥川賞候補「きみの鳥はうたえる」、映画化もされた「そこのみにて光輝く」等の代表作から、詩、エッセイまで収録した分厚い一冊です。「佐藤泰志作品集に寄せて」という小冊子には岡崎武志さんが『「海炭市斜景」について』という小論を書いています。

こんな本も出ますよ。「名古屋モーニング図鑑」(LD&KBOOKS400円)。名古屋独特の食文化とも呼べる、モーニングの粋を集めたガイド本です。名古屋に行かれる時にお持ち下さい。「うどんモーニング」なんてのもありますよ。

 

 

 

 

 

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

★休業のお知らせ 8月7日(月)8日(火)は古本市の準備のため連休します。 

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


8月9日(水)より「レティシア書房・夏の古本市」がスタートします。(その準備のため7日、8日は連休いたします)近畿エリアだけでなく、関東、中部、山陽から28店舗がご参加くださいます。で、本日より、その一部を紹介していきます。

先ずは、出品者も「お薦め!」と販売カードに書かれているブルーノ・ムナーリ作、須賀敦子訳の「木をかこう」(至光社1000円)です。

ムナーリが描く様々な木々に、須賀敦子の簡潔な翻訳文が載っている絵本です。シンプルな線で描かれた木々を見ていると、散歩に出かけたくなります。この本の側に、詩聖タゴールの寓話詩とベンガルの女流画家の書き下ろしの絵本「ベンガルの苦行者」(未知谷1000円)、スペイン文学を代表するラファエル・サンチェス・フェルシオの処女作にスズキコージが絵を付けた「アルファンウイ」(未知谷1000円)等のイマジネーション豊かな文学作品が出てきました。これは楽しそうです。

さらに、オォ〜久しぶりに見ました、ウィリアム・コッツウィンクルの「ドクターラット」(河出書房新社800円)。動物達が一斉に人間に暴動を起こした時、たった一人(いや一匹)味方をしたのが、大学の実験室で滅茶苦茶にされた結果、何故か人間並の知性を持ったネズミ「ドクターラット」でした。グロテスクで、悪意に満ちた幻想文学です。「コロニーで、わたしはドクター・ラットと呼ばれている」という出だしから分かるように、全編一人称でクールにドライに描かれていくところが面白い小説です。ただ、ラストの残酷なところは、まぁ………….?

さて、少しクラシカルな本にも目を向けてみると、1982年に発行されて重版を重ねてきた茨木のり子の「寸志」(花神社700円)がありました。「うんと冷えたの ぐっとやれた さぞかし天国だろう」というフレーズの入った「冷えたビール」なんてこの季節にピッタリですが、ラストはシニカルです。

人気翻訳家、柴田元幸ファンなら持っていて当たり前の「つまみぐい文学食堂」(角川文庫300円)、「紙の空から」(晶文社800円)、そして、私も初めて見ましたノーマン・ロック著「雪男たちの国」(河出書房新社700円)。病院の地下で発掘されたスコット探検隊の生存者の手記を巡り、これ真実?、妄想?はたまた幻想?・・・と錯綜するお話です。

と、昨日届いたお店の出品の一部を紹介しただけですが、どれも読みたくなってきませんか?

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

★休業のお知らせ 8月7日(月)8日(火)は古本市の準備のため連休します。 

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


 

いよいよ、古本市も残り3日となりました。連日、多くのお客様にご来店いただきありがとうございます。さて、本日は、へぇ〜、こんな本があるんだ〜というものを紹介します。主宰者として、出店されている方々の本から、新しい知識や情報を得る事ができるのが何より楽しいです。

先ずは、稲泉連著「復興の書店」(小学館文庫250円)。東日本大震災で被災した書店の数、391店舗(岩手、宮城、吹福島)という壊滅的な数字でした。しかし、三月末早くも再開にこぎ着けた書店が仙台に何店かあります。日々の生活もままならないのに、本屋が必要か??しかし、開店した途端、ななんと長蛇の列!。そうか、本は生活必需品だったのか!その開店までを追いかけたのが本書です。震災直後、流通ルートも大混乱している最中、「生きている本屋も殺す気か」と、煮え切らない大手取次ぎ業者に言い寄り、流通を再開させた地元書店の社長の話など、およそ本に携わる者、紙の本を愛する者は読んでおかねばならないと思いました。

この作家は知りませんでした。著者の名は木原音瀬。調べてみるとBL(ボーイズラブ)系の作家として有名な方だとか。講談社文庫から出ているのが二冊ありました。「美しいこと」(200円)、「箱の中」(200円)です。どちらも表紙に描かれているのは男の子なのですが、とてもステキなセンスだったので、パラパラと読んでみました。。「美しいこと」は、簡単に言えば、才色兼備の女装男子と極めてダサい無能な草食男子のプラトニックラブストーリーで、BL業界語で言うと「ヘタレ攻め」ものに区分されるそうです。もう一方の「箱の中」は、痴漢のえん罪で刑務所に収監された男が、そこにいた殺人犯の男の愛情と優しさに救われてゆく話です。こちらの解説は三浦しおんが書いていて、木原の作品は「真実の愛が、いかに人間を救い、そのひとの生を豊かで深いものにするか」を繰り返し描いていると評しています。

次の紹介する作家の文章の一部を、とあるジャズ喫茶のノートで見ました、それは

「目をとじるんじゃない、耳をふさぐんだ。耳なんかに惑わされるんじゃない。必ずしも耳で音を聞くとは限らないのだ。目をしっかり開けておくことだ。そして、音を視ることだ。」

大音響で響き渡るジャズ喫茶で、こんな文章を書くなんて、カッコイイなんて思ったんでしょうね。その文章の最後のあった清水アリカという作者の名前から、この言葉が「革命のためのサウンドトラック」だったことを知り、早速購入して読みましたが、ワカラン……と、放り投げた作家です。清水の事を調べてみると、同志社大学卒業後、広告業界で仕事を執筆を続け、この小説で「すばる文学賞」を受賞するも、2010年47歳の若さで、この世を去りました、遺した小説はわずか4冊。彼の全小説と未刊行作品、遺稿等をまとめたのが「清水アリカ全集」(河出書房2200円)です。中上健次風のところもあるのですが、あの濃密感はなく、もっとスマートです。もう一度トライしてみようかな。

★古本市は19日(日)までです。20(月)21(火)は連休いたします。