「ワンコイン古本フェア」いよいよ明日で最終日です。本日も、これは!という本をご紹介します。

海外文学好きな方に、シーグリッド・ヌーネス「友だち」(新潮社)はオススメです。最も信頼し心許した男友達が命を絶ち、喪失感を抱え込んでいた女性作家。そこに彼が飼っていた大きな老犬が転がり込んできました。飼い主を失った犬と、愛する人を失った女性の孤独がお互いを結びつけてゆく。と書くと、ドラマティックですが、アポロという名の犬以外の、主だった登場人物には名前すらなく、ひたすら「わたし」の脳裏によぎる様々な思いが日誌のように語られていきます。静かに言葉を紡ぐ作家と、それを受け止める老犬。「思索を促す小説」と江國香織が推薦の言葉を寄せている通りの長編小説です。

短編小説の名手アリス・マンローの「イラクサ」(新潮社)は、完成度の高い九つの短編が収録されています。「アリス・マンロー・カントリー」とまで呼ばれるようになったカナダの一地方を舞台にして、ある意味とても地味な短編を書き続けてきた彼女が幅広い読者を獲得できたのは、人間をその表層だけでなく、奥底まで描き出したことにあります。物語の巧みさに唸らされます。

「性悪猫」「しんきらり」などでお馴染みのやまだ紫は、2009年5月に亡くなりました。やまだが辿り着いた新境地とでも言えるのが、唯一の詩画集でもある「樹の上で猫がみている」(思潮社)でした。本書は、短い詩と、猫を中心としたイラストで構成されています。

「夕暮れの帰りを 外の足音に耳をそばだてて 猫が玄関で待っている 鍵をかけて出て行ったあと ずっと玄関で丸くなっていたのか 帰るのを察知して玄関へ来るのか じっと待つのは苦しいだろうに 猫は相変わらず待っている 人も何かを待っている 今日と同じ明日を 今日と違う明日を」

この「あした」という詩には、ふと顔を上げた猫が描かれています。人が生きるということの一瞬の輝きと影を見事に表現した作品集です。なお、この本について、つげ義春、佐野洋子らの書評を集めた小冊子が付いているのも在庫しています。こちらは1700円(絶版)です。

☆古本フェアは明日31日(日)まで!

ワンコイン古本市フェア三日目です。

全集の端本ですが、須賀敦子全集の第七巻「どんぐりのたわごと/日記」と第五巻「イタリアの詩人たち」(河出書房新社)。5000円以上した本ですが、価格だけでなく、内容が充実しているのでお買い得です。第七巻は、著者が日本の友人向けに作り続けたミニコミ誌「どんぐりのたわごと」と、後半には1971年の日記が収録されています。

第5巻にはウンベルト・サバの詩集をはじめ、彼女が生涯読みつづけた五人の詩人たちを巡るエッセイ、日本帰国後初の翻訳とされている「ミケランジェロの詩と手紙」など貴重な作品が収められています。須賀ファンなら、持っていてほしいですね。

「イタリアの詩人たち」で解説を担当しているのは池澤夏樹。彼の著書「母なる自然のおっぱい」(新潮社)と「ぼくたちが聖書について知りたかったこと」(小学館)の2冊が出ています。「母なる自然のおっぱい」は1992年発行の本ですが、強靭で明晰、一貫した論理にあふれたネイチャー評論は、初めて読んだ時、強烈な印象を受けた一冊でした。もともとここに集められている文章は、新潮社が出していたネイチャー雑誌「Mother Nature’s」で読んでいたのですが、まとめて読むと迫力が違いました。池澤は、多くの科学系評論、エッセイを出していますが、初期の傑作です。

「ぼくたちが聖書について知りたかったこと」は、題名どおり聖書ってどんな存在なの?という疑問を、宗教学者秋吉輝雄との対話から探り出す本です。「乙女のマリア」がなぜ「処女マリア」に変化していったのか、そもそもエデンの園って、本当に楽園だったのか等々、聖書の世界で聞いてみたかったことに応えてくれます。但し相手は宗教学者なので、聞いた事のない地名や人の名前がふんだんに出てきて、行きつ戻りつ読むところもありました。

多くの人に読まれている「気まぐれ美術館」の著者、洲之内徹の美術エッセイ集「絵のなかの散歩」(新潮社)も、美術ファン必読の一冊です。当店でも人気の画家、松本竣介について「彼は絵かきとしての生涯の初めから終わりまで都会を描き続けた画家である。都会というもの以外にはひとつもモチーフを持たなかった、と言ってもいい。」と書いています。

そして「東京を東京らしくなく、東京から東京らしさを抜き去って、一種の抽象的な都会風景にしてしまうことで、結果的には無性格が性格であるような東京の街を奇妙に巧く捉えている。」と分析しています。松本の作品を見るたびに、思いだす言葉です。

今回、須賀敦子、池澤夏樹、洲之内徹の著作5冊を紹介しましたが、明確で凛とした日本語を堪能できると思います。

☆古本フェアは31日(日)まで!

 

 

昨日より始まった「ワンコイン(500円)古本フェア」は、初日雨にも関わらず多くの方にお越しいただきました。

「世界の夢の本屋さん」(X-Knowledge)は、30cm×22cmの大きさで厚さが3cmもある本に、世界中の素敵な本屋さんがぎっしりと詰まっています。歴史を感じる店、最先端の建築デザインを導入した店、クラシカルな趣きのある店など。写真だけでなく、そこで働く店長やスタッフへのインタビューもあり仕事への熱い思いが語られています。本屋好きのための豪華な一冊です。ちなみに発売時の定価は3800円(税別)です。

書評家の岡崎武志は沢山の本を出していますが、「上京する文学」(新日本出版社)は特にオススメの一冊です。「私は1990年に大阪から東京へ出てきた『上京者』である。」という著者が、東京へと向かった多くの文学者の足跡を調べて、その思いを書いています。漱石、啄木の古典派から、寺山修司そして村上春樹までと幅が広く、その中に向田邦子が登場するのですが、彼女って東京育ちだと思っていました。ところが、50年代に杉並区久我山に落ち着くまでに、何度も住居が移り変わっています。「久我山の家は生まれてから十二番目。地方への転居と上京を繰り返す二十年だった」と著者は書いています。

亡くなった後も人気のある、イラストレーターで作家の安西水丸の本も一冊あります。「ちいさな城下町」(文藝春秋)は、旅好きの安西が各地の城下町を巡り、その印象をイラストと文章で描いた素敵な本です。

「城址に立つと『兵どもが夢の跡』とでもいうのか、ふしぎなロマンに包まれる。なまじっか復元された天守閣などないほうがいい。わずかな石垣から漂う、敗者の美学のようなものがたまらない」そんな城下町愛溢れる素敵な旅エッセイです。

旅といえば、つげ義春の「貧困旅行記」(晶文社)も持っていたい一冊。自分のファンが九州にいて、彼女と一緒になるつもりで列車に乗る、しかし、つげは彼女と一度も会ったことがなく、数度手紙のやり取りをしただけ。

「とにかく結婚してしまえば、それが私を九州に拘束する理由になると考えたのだった。そしてマンガをやめ、適当な職業をみつけ。遠い九州でひっそり暮らそうと考えた。」そして、有り金抱えて列車に乗るのだが………。漂泊の旅の記録のような本です。つげ式旅行術の真髄をお楽しみください。なお、つげの本では「隣の女」と「必殺するめ固め」が函付きで出ています。ひと昔前は、価格の高い古書でした。

☆古本フェアは31日(日)まで!

絵本の解説本や、書評本は沢山出版されていますが、本日ご紹介する寺村摩耶子「絵本をたべる」(青土社1200円/出品・ハニカムブックス)も、そのジャンルの一冊です。芸術系雑誌「ユリイカ」を出している青土社から、絵本の解説本が出ていることは知りませんでした。2010年11月発行の「ユリイカ」で特集された「100万匹のねことともにー絵本のなかの猫たち」が本書の原型になっているとのことです。かと言って、ねこの絵本の紹介本ではありません。「夜」「感覚」「森」「動物たち」「変身」「祝祭」「ねむる」という”ユリイカ”らしいタイトルに分けて、絵本が紹介されています。「感覚」の項目では、どんな本が選ばれているのかと見てみると、雨、風、雪、夕日などの子供にとって身近で不思議な自然現象を捉えた作品が紹介されています。書影も載っていますので、絵本探しに役立ててください。

ノルウェイーの児童文学の傑作トールモー・ハウゲン「夜の鳥」(河出書房新社700円/出品・マヤルカ書房はオススメの一冊です。ハウゲンは73年に最初の小説を発表、75年に出した本作は高い評価を受け24カ国語に翻訳され、いまだに読み継がれているロングセラーです。

アパートに潜む悍ましい秘密や家庭の不安におびえる少年ヨアキムの繊細な心理を抒情的で印象深い文章で描いています。ノルウェーの風土はきびしく、人々の暮らしも、そんなに裕福ではありません。そんな大人たちの日々の厳しい生活が、子どもたちの世界にも密接に反映されていきます。明るい未来なんてどこにあるのかという世界なのですが、それでもヨアキムは一日一日を生きていかなければなりません。

「ぼくは自分の生徒たちが怖いんだ」とヨアキムの父親は、しばらく先生の仕事を休むことになります。そしてときどき、夜中にふらりと、いなくなってしまいます。探しても見当たらない。父親はどこへ……..。そんな時、あの鳥が、ヨアキムの夜を覆います。北欧の美しい自然を背景に、心の病に悩む父親に小さな胸を痛める少年の不安を、ファンタジーとリアリズムを融合させた手法で描いていきます。表紙の絵は酒井駒子です。

 

 

「飛ぶ教室」等で、我が国でも人気の児童文学作家、E・ケストナーの「家庭薬局」(かど書房1000円/出品・半月舎)は、ケストナー作品では異色であり、かつ重要な作品です。ご承知のように、ナチス政権誕生後チェコで出版された本書は、その他の自由主義的作家の作品と共に、好ましからぬ著作とされました。独特の着想、風刺、諧謔、パロディーが渾然一体となった詩が集められています。しかし、ケストナーが一番訴えたかった反軍拡、反戦、平和主義的メッセージは割愛されました。そこで本書では、巻頭に「平和が脅かされてきたら」という本にはないものを付け加えています。険悪な政治的情勢と暗く退廃的な世相の渦巻く中で、ケストナーが本当に望んだものが、ここにはあります。

 

★女性店主による『冬の古本市』2/16(日)まで。12:00〜20:00  (最終日は18:00)

神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください.

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。

 

 

 

 

本日ご紹介するのは、お買い得コミックです。伊図透「銃座のウルナ」(エンターブレイン全8巻2300円/出品・ヴィオラブックス)です。主人公は、太陽の光が届かないような風雪の島リズルで狙撃手として戦場に立ち向かうウルナという女性です。魑魅魍魎正体不明の敵と戦う彼女の原動力はどこから来るのだろうか。宮崎駿の漫画版の主人公ナウシカを思い出してしまいます。蛮族による繰り返される残虐な行為にひるむことなく、撃退するウルナに待ち受ける過酷な運命。スケールの大きな物語、躍動する画面に釘付けになるコミックです。美しい故郷を捨てて、戦線に参加するウルナの愛国心って何?という物語の奥にあるテーマも見逃せません。

日本文学愛好者に人気の高い、小山清の傑作「落穂拾ひ」のオリジナル初版が出ています(筑摩書房 昭和28年発行5000円/出品・本と雑貨「福」)。小山は明治44年生まれの小説家で、太宰治の門人でした。昭和28年発表の本作で、私小説作家としての地位を確立しました。「小山君の小説は、どれを読んでも心暖まるものばかりだ。」と語ったのは亀井勝一郎でしたが、貧しい階級の生活を愛情深く描いた短編を送り出しました。本書にも七つの短編が収録されています。

「僕はいま武蔵野の片隅に住んでいる。僕の一日なんておよそ所在ないものである。本を読んだり散歩をしたりしているうちに、ひが暮れてしまふ。」だから、どうなんだ!と初めて「落穂拾ひ」を読んだ時、全然面白くなくて投げ出したものですが、数年前読み返した時、この作家が見つめる庶民への眼差しに心地よさを感じました。

歴史書を一点ご紹介、と言ってもこれは、キッチンの歴史です。ビー・ウィルソンの「キッチンの歴史」(河出書房新社2000円/出品・榊翠簾堂)です。サブタイトルに「料理道具が変えた人類の食文化」とあるように、古代ギリシャや中世の料理道具の変遷を辿りながら、現代的な最新の料理道具まで紹介していきます。歴史的事実の羅列に終始することなく、時にはユーモアを交えた文章で読者を食文化についての考察へと導いてゆきます。長い料理道具の歴史を論じた最後に登場するのが、著者の母親が作ってくれたオムレツの話です

「台所は素敵なことが起こる場所だと初めて私に教えてくれたのは母なのだから。」というのが最後の一文です。

 

 

★女性店主による『冬の古本市』2/16(日)まで。12:00〜20:00  (最終日は18:00)

神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください.

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。

 

今も人気の高い画家の金子國義。1960年代後半「O嬢の物語」の翻訳者である澁澤龍彦の依頼で挿絵を手がけ、翌年「花咲く乙女たち」で画壇デビュー。世紀末的デカダンの雰囲気が漂よう女性像を描きました。加藤和彦のアルバムジャケットや、多くの本の装丁でお馴染みで、古書でも高い値段が付いています。今回、一冊だけ金子の本が出ていました。「青空」(美術出版社2500円/出品・星月夜)は、油彩、水彩、ドローイングなどを収録した画集です。冒頭には「青空の部屋」と題した篠山紀信による写真も収録されています。金子國義自身による文章もあり、貴重な一冊です。

 

一冊だけだと思っていたら、金子がらみの本を見つけました。高橋睦郎「詩人の食卓」(平凡社1500円/ 出品・徒然舎)です。詩人、高橋睦郎のエッセイ集。7月から翌年6月まで…「海 – 生命の呼び声」「市 – 世界を糶る」「土 – 偶然の恵み」「森 – 自然の両義性」「水 – 自然を買う」「火 – 美しい日日」「厨 – 暗い 明るい」「店 – 食べると食べさせると」「茶 – 生の極み」「薬 – 病気に親しんで」「器 – 腹も身の内」「旅 – 歌と肉片」というテーマで綴られた文章は、古今東西の文化や出来事に想いが馳せられ、選び抜かれた言葉 … さすが詩を書く人のエッセイだなという感じを受けます。金子國義の挿絵は、先の「青空」に収録されている作品などが、モノクロで入っていて、それが際立ってしゃれています。

 

 

翻訳家の青山南の著書「ホテル・カリフォルニア以後」(晶文社1430円/出品・バヒュッテ)は、70年代アメリカ文学の内容のある解説書です。様々な混乱を起こしたベトナム戦争が終結し、アメリカ文学が新しい方向性を模索し始めた70年代を、著者はリアルタイムでレポートしていきます。ティム・オブライエン、レイモンド・カーヴァー、ジョン・アーヴィングなどわが国でも人気の作家が紹介されています。日本では、最近ほとんど名前の上がらないフィリップ・ロスにも言及されています。

ロスの原作を元にした映画「さよならコロンバス」に感激して、原作を読んだものの、その良さが全然理解できなかった大学時代を思い出しました。その後、「素晴らしいアメリカ野球」(在庫あり)も読んだのですが、”毒の強さ”にまいりました。

 

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください.

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。

 

 

 

 

洋書ですが、ベン・シャーンの画集が出ています。1906年移民としてアメリカに渡ってきたベン・シャーンは、 NYブルックリンで石版画職人として生計を立て、肉体労働者や失業者など当時のアメリカ社会の底辺にいる人々と接し、彼らに共感を持つようになっていました。やがて、社会の現実を描くリアリズム画家として戦争、貧困、差別、失業などをテーマにした絵画を描き始めました。悲惨な境遇の中で、しぶとく生きる人たちを力強いタッチで描いていて、個人的に大好きな画家です。

“Ben Shahn by james.T.Soby”(3000円/出品・花森書林)にも、多くの作品が収録されています。1939年に描かれた"Handball"は、ジャズのアルバムジャケットにもなった人気の一枚です。

リチャード・フラナガンの大作「奥のほそ道」(白水社900円/出品・Viola書房)は、映画「戦場に架ける橋」でも知られている泰麺鉄道建設に従事した一人のオーストリア兵が主人公です。第二次世界大戦の最中、日本軍はビルマ、タイ間を結ぶ鉄道建設に多くの捕虜を投入していました。捕虜の扱いを決めた国際条約を無視した軍部は、捕虜たちを容赦のない突貫工事に従事させ、多くの人間が惨死していきました。著者の父親アーサーは、その地獄から奇跡的に生還した一人でした。父親の実体験を元に、過酷な日々の中に浮き上がる生命の重みを400ページの長編にまとめあげたのが本書です。戦場の悲惨な日々をただ描いたのではなく、多くの登場人物の視線の交差を通して、変遷する世界の多様性を描いたという評価ゆえに傑作になったのでしょう。

日本美術を鑑賞する上で欠かせないテキストが赤瀬川原平の「日本美術観察隊」(講談社二冊セット3000円/出品・旅猫雑貨店)です。「この本では日本の美術作品を観察している。美術というものは本来鑑賞するものだけど、古典的な日本美術になると、素直に鑑賞しにくいものがあり、まずは観察するということになる。」と赤瀬川は、本書のスタンスを書いています。親しみにくいと思われる古典的美術を取り上げて、赤瀬川らしい観察で作品を解体していきます。山本芳翠の「浦島図」(二巻に掲載)を見て、「変な絵である。はじめて見て、うわっ、と思った。何だこの絵は。」という第一印象は私も一緒です。そんな一般人的感性で展開してゆくところが面白いところです。

「この本は、日本美術への近づき方のテキストだと思っている。近づいてしまえば、日本美術をどうつかまえるかは、各人の興味と力量にかかわってくることだろう。」

ぜひ、それぞれの近づき方を学んでください。

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください.

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。

 

 

 

97年に国内版が出た時にかなり方々で取り上げられて、人気の高かった美しい絵本が出ています。フレデリック・クレマンの「アリスの不思議なお店」(紀伊国屋書店2000円/出品・明楽堂)です。フレデリック・クレマンが、自分の娘の誕生日のためにつくったプレゼントを書籍化したとの事ですが、素晴らしい発想とセンスです。オブジェ、イラスト、コラージュ、が渾然一体となって読者を不思議な世界へと誘ってくれます。眺めているだけで嬉しくなってしまうような本です。外箱も洒落ています。

戦前から活躍し映画評論家の大御所、飯島正の「試写会の椅子」(時事通信社・上下2巻セット/出品・半月舎2000円)は、貴重な書物です。上巻「旺んなる青春1895-1952」、下巻「様々な出発1953-1972」とサブタイトルが入っています。「ぼくは1902年の生まれである。映画は1895年の生まれである。その差はわずかに7年である。」と書かれている通り、映画創世記から映画館に通っていた人です。植草甚一が「フランス映画はもちろんのこと、イタリア、スペイン、メキシコ、ハンガリーあたりの文学のおもしろさを原書や英訳で読む機会を与えてくれた。この本にはそういう思い出がいっぱいで」と著者との交流を語っています。映画青年には必読。

丸山太郎のことは、私も今回出品された「松本そだち」(秋櫻舎3000円/出品・甘夏書房)を手に取るまで知りませんでした。

柳宗悦の民芸運動に影響され、自らその運動に身を投じた人物です。昭和11年に駒場の日本民芸館を訪ね、雑器の美しさに触れたことがきっかけに民芸運動に開眼します。以来、柳宗悦を師と仰ぎ、松本の民芸運動の中心的存在としてすぐれた民芸品を蒐集。昭和37年に松本民芸館を開きました。本書は、「吾が家の歳時記」と「ちきりや閑話」の二つに分かれていて、前者では、著者の育った松本の町暮らしが静謐な文章で描かれています。後者は、見識を積んだ美意識で様々のことを語っています。文章が優しい。著者の品性が出ているのでしょう。

「松本民芸館は、私の生命をかけて作った館である。ただ入館料をもらうからということで、簡単にすまされない私の意地がある。私の見る眼と、観者の見る眼と合致した時の喜びは最高といってもよい。」と、自らが建てた民芸館について語っています。本の後半には、著者の初期木版画作品がたっぷり掲載されています。

 

 

 

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐野洋子の私家版的な本ですが、「女の一生・1」(トムズボックス3000円/出品・徒然舎)は、セックスをして、人が生まれるという事を、かなりストレートな言葉と佐野らしいタッチのイラストでまとめた本で、限定998部という少量出版物です。佐野自身が「人類の始めから、この世に出現するには、男と女がみんなあれをしたのである。何くわぬ顔とは人類全ての顔だと思うのである。」と書き残しています。エロスと生の息遣いに満ちた小さな本です。これって、多分大手出版社からは出せなかったのでしょうね…….。

美術家の永井宏は、亡くなった後も若い世代に人気のある作家です。今回出品されている「雲ができるまで」(リブロポート1100円/出品・ba hutte)は、90年代初頭に永井が葉山にオープンさせた「サンライト・ギャラリー」を支援してくれた人たちに捧げられた本です。彼の活動を手助けした人たちが登場します。それにしても永井の文章っていいですね。こう、爽やかな風が体を吹き抜けるとでも言えばいいのでしょうか。ふと振り返った一瞬の光景を捕まえるのが、上手い。吉田篤弘のようなシニカルさはないけれども、好きになったら離れられない作家です。

 

あぁ〜、この本もこんなに安く出たか……。「村上春樹翻訳全仕事」(中央公論新社600円/出品・雨の実)。これの何が凄いって、村上が翻訳した全てのオリジナル海外版と翻訳版の書影と、その本への村上のコメントを収録しています。絵本作家オールズバーグの全作品を一堂に見ることもできます。さらに、「翻訳について語るときに僕たちの語ること」と題した柴田元幸とのロング対談が掲載されているのです。マッカラーズの「結婚式のメンバー」を翻訳したときに、「『心は孤独な狩人』がやはり最高作だと思うし、いつか翻訳したなと思っている」と書いてますが、彼の翻訳を読んでみたいと心待ちにしているのは、私だけではないと思います。

 

 

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。


寒い中、古本市の初日から多くのお客様にご来店いただきありがとうございます。

さて本日最初にご紹介するのは、洋書です。かなり前に公開されたフランス映画「赤い風船」(1956年)。少年と風船のお話ですが、映画をご覧になってなくても、この映画を元にいわさきちひろが60年代後半に絵本にして、ベストセラーになったので、それでご存知の方も多いはず。

今回出品されているのは、その英語版”The Red Balloon”(1500円/出品・徒然舎)です。モノクロの映画のシーンがふんだんに組み込まれています。50年代の古き良きフランスの姿を捉え写真集としても貴重な一冊なのですが、さらにページをめくると、この本の持ち主が翻訳をしたのだろう?と思われる原稿用紙に書かれた訳文が入っているのです!少し古風な日本語ですが、なかなか素敵です。この一冊にだけ付いている翻訳文なのです。

古本好きにファンの多い、詩人、天野忠の短文集「耳たぶに吹く風」(編集工房ノア/1500円出品・マヤルカ古書店)を見つけました。「古いノートから」と題された短文集(1976年〜1983年)と自筆年譜の二つに分かれています、軽妙洒脱なユーモアに富んだ文章が収録されています。例えば「フランスの諺に『寺の鼠のように貧しい』というのがあるそうだが、現在の日本では『寺の鼠のように肥えている』という諺が出来そうだ」。こんな感じの文章が楽しい。天野ファンはぜひ!

1960年代後半からほぼ15年間放送され続けたラジオ深夜番組「パック・イン・ミュージック」。聞いていた方は多かったはずですね。昭和が生んだラジオ深夜放送革命とまで言われた「パック・イン・ミュージック」の製作関係スタッフ、パーソナリティー、そして投稿者たちへの綿密な取材、調査をベースに書き上げられた伊藤友治+TBSラジオ編著「パック・イン・ミュージック」(DU BOOKS/600円出品・ママ猫の古本屋)は、貴重な一冊です。ユーミンも吉田拓郎も、ここで聞いた!と思い出した方もおられると思います。ラジオ深夜放送は、混沌としていた昭和時代に生まれて多くの若者に指示されて育ってきた社会現象です。この番組が終了した時、なんと「パック・イン・ミュージック終了絶対反対」という横断幕を掲げたデモまであったのです。たかが深夜放送、されど深夜放送です。全500ページにも及ぶ大著ですが、あの時代の熱っぽさを垣間見せてくれる一冊です。しかし、安すぎる……….。

個人的には、高石ともやの「自衛隊に入ろう」「受験生ブルース」そしてフォーク・クルセイダーズの名曲を聴いたことが、高校時代の深夜放送の思い出となっています。

 

 

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などの女性店主の選書です。ぜひお立ち寄りください

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。