「レティシア書房・夏の古本市」の開催中ですが、その間もどんどん本が入荷しています。今日は、その一部のご紹介です。

鳥の絵を描かせたら右に出る者がいない薮内正幸は、多くの絵本、児童書に素晴らしい作品を提供してきました。1973年には(財)日本鳥類保護連盟と、サントリー(株)による愛鳥キャンペーンの新聞広告で、朝日広告賞第二部第グランプリを受賞しました。薮内の「ペン画集 野鳥の四季」(講談社1800円)が入荷しました。日本の四季折々の鳥の姿が、精密に描かれています。何点かカラー作品も収録されていて、木に止まっているつぐみの姿などは、惚れ惚れします。

「海からの贈り物」で多くの読者を得た、アン・モロウ・リンドバーグの娘であるリーブ・リンドバーグが、自分の母親の最後を綴った「母の贈り物」(青土社900円)。帯には、「海からの贈り物」を翻訳した落合恵子が、こんな素晴らしい推薦の言葉を寄せています。

「アン・モロウ・リンドバーグは、本書の著者の母であると同時に、彼女の著作を深く愛し、自立と内反の豊かな『個独』を学んだ世界中の読者のたちの、偉大なる『母』ともいえるだろう。その『母』の最後の日々を描いたこの作品は、人生の午後を生きる人、そして愛するひとの最期の時空に寄り添うすべての人々への、もうひとつの贈り物になるはずだ。」

もう一点。こちらは、当ギャラリーで個展をされた写真家、呑海龍哉さんが海外の各地で撮影した写真と、宿泊したホテルの”実測スケッチ”を一緒にした「ホテルから始まる夢の旅」(2592円)です。アジア、アフリカの各地の日常風景を捉えた写真と、滞在したホテルの部屋を実測して、解説を加えたという、あまり他に類を見ない一冊に仕上がりました。成る程、この国のこんな部屋か、と覗き見している気分が楽しい旅の本です。面白い企画です!

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


呑海(どんかい)龍哉写真展、本日より開催です。(2月5日まで)

呑海さんは、自称「お散歩フォトグラファー」。昨年、京都のあちこちの日常風景を撮った自身の写真集「京都夢物語」を持って来店されたのですが、せっかくなのでオリジナルの写真展を企画しました。

某関西私鉄電車の、ホームにズラリと並んだ舞子さんを撮影した宣伝がありますが、同じテイストの上りエスカレーターに並んでいる舞妓さんを捉えた作品がユーモラス。タイトルは「ひよっこ舞妓」。そして、愛くるしい女の子が、自宅の魚屋さんでお店番をしている「いらっしゃいませ」(写真左)。懐かしいような、微笑ましい一瞬が切り取られています。

写真集「京都夢物語」(1944円)の表紙を飾る、唐草模様のスカーフを巻いた子いぬを捉えた「室町の若旦那」(写真右下)は、入口の最初に飾られました。なんとも愛くるしい。

以前、この写真集のことを紹介したブログで、京都大学の合唱団の部室の前で、チェロを弾く楽団員を捉えた大学の静かな情景をとらえた作品を取り上げました。こちらも、部室の前に広がる日だまりがなんとも優しい雰囲気を伝えています。練習している彼女の演奏が、聞こえてくるような素直な風景です。

映画のワンカットみたいな「それぞれの人生」(写真左)はどこかのお寺の山門に腰掛けた二人のご老人が談笑しているとことを背後から撮った作品です。山門の前に広がる木々の若さと人の老いとの対比、時間の流れを感じる構図です。

「いらっしゃいませ」もそうですが、少女のちょっとした表情を捉えた叙情性に、作家の個性があるように思います。虚無僧を見上げる興味津々な少女の姿「何してるの」、疎水べりを手紙を読みながら歩く女の子の軽やかな姿を撮った「パリからの手紙」(写真右下)、傘をさした少女を真正面から捉えた「雨あめ降れふれ」など。

京都の観光案内や、美しい風景写真集では出会う事のない、ゆっくり散歩して見つけた京都の町を観に、ぜひ足をお運びください。なお、作品は全て販売しています。

呑海龍哉写真展は、2月5日(日)まで

 

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。


 

 

 

 

Tagged with:
 

“お散歩”フォトグラファー、呑海龍哉さんの写真集 「京都夢物語」(DOM・PHOTO1944円)が入荷しました。

「若旦那」という名前の、唐草模様の手ぬぐいを撒いた子いぬが扉から外を覗いている表紙からして、微笑ましい。花街に出没するサギを捉えた「予約のサギですけど」という作品のお隣には、祇園祭のサギ舞の写真が並べてあるセンスも面白く、次の写真をとページを捲りたくなってきます。こんな風に、ユーモア、ペーゾスを交え、京都のごく日常の姿を捉えていて、いかにも、ザ・京都的な写真はありません。

時代劇さながらの雰囲気で尺八を吹く男を捉えた「さすらいの尺八奏者」、静かな朝チェロの練習を、クラブのボックスで一心不乱にする女子学生の姿を捉えた「練習中」、あぁ〜今日も客が来ねえなぁ〜、とため息混じりの飲み屋の親爺の後ろ姿を撮った「今日も坊主」等。私が思わず笑ったのは、「気分は銅像」。これ、三条大橋にある銅像につながれたワンちゃんの微笑ましい姿をおさめたもの。もうひとつ、横転した車を起こそうと、必死になっている警官たちを捉えた「よっこいしょ」も、「頑張れ」と声を掛けたくなります。

さて、もう一冊京都関連本のご紹介。絵本「市電22番」(文理閣1800円・初版)です。タイトルにあるように、京都市内を走っていた市電22番系統を主人公にした絵本です。市電に乗って、通学、通勤された方には、あのパンタグラフ、つり革、正面から見た面構えなど、懐かしいなぁ〜と思われるのではないでしょうか。

表紙をめくると北大路橋を往く市電と、鴨川で遊んでいる子供たちを捉えた写真が載っています。かつてここにも市電が走っていたんだなぁ〜という感慨に耽ってしまいました。絵本は、交通渋滞の一因にもなりかねない市電の撤去を描いています。

「バスのほうが好きや 早いもん そやかておいこせるやん 電車はレールの上 走ってるしおいこせん なんで しでんなくなるや 車はしるのに じゃまになるしかな」

という子供のモノローグ通り廃止になりました。ラストカットは、どしゃぶりの雨の中を、遠くに消えてゆく市電を描いてあります。市電が泣いていたのかもしれません。

なお、この絵本ほ発行は1978年。一応ビニールで保護していますが、表紙カバーに破損があることをご了解下さい。

呑海龍哉さんの写真展は、2017年1月31日(火)〜2月5日(日)レティシア書房にて開催予定