「田村寫眞館」の田村泰雅さんは、懐かしいフィルム写真で、依頼された方の写真を撮影しています。彼の名刺には「おだやかな幸せを写真にします」と書かれています。

そしてもう一つ、田村さんがずっと続けているのが、パン屋さんの働く姿の撮影です。パン好きが高じてパン屋の撮影にのめりこみ、何度も個展を開き、ついに「京のパン屋さん」シリーズ第一弾として「大正製パン所」(660円)を出版しました。

大正製パン所は、京都市上京区今出川通千本を東に行ったところにあります。私も何度か買いに行きました。名前の通り大正8年創業の古いパン屋さんです。

 

「店頭に並ぶパンたちは、どれも懐かしい顔ぶれだ。あんぱん、ジャムパン、クリームパンなど。その形や風味は昔のパンと変わらないのだろうか。私はカメラのファインダーを通して、大正製パン所のある風景をみつめることにした」と書いています。パンを見ていると、懐かしい味の記憶が蘇ってきそうです。

三代目の店主夫婦の日々のパン作りの現場を、田村さんの写真を通して私たちは見ることになります。パン職人の手つきのしなやかさ、力強さが伝わってきます。

「京都のメロンパンは、マクワウリ型の生地の中に白餡が入っているものを指す。『サンライズがメロンパン』という意見もあるが、京都ではこちらがメロンパン。発酵したパン生地の上に、オムライスをつくる時に使う方をのせて焼き上げる。香ばしく焼きあがったメロンパンの表面には、うっすらと筋が入る。」

そうです、サンライズではなくこの写真のメロンパンこそメロンパンですね。京都には、新しい感覚のパン屋さんが沢山あります(レティシア書房の近所にもいっぱいあります)が、懐かしい形と味を提供してくれるパン屋さんも少なくありません。

田村さんは大学卒業後、給食会社で働いていました、ある時ふと、パン屋さんはどんなふうにパンを作っているのだろうという疑問と興味が湧き上がり、白衣を脱ぎ捨てて、カメラを手にパン屋に飛び込んだ方です。

「『京のパン屋さん』シリーズには、パン職人に対する敬意と憧れ、そしてファインダーの奥に潜むおだやかな幸せが写っております。」と書かれています。

さて、次はどこのパン屋さんに行くのか楽しみです。因みに、本書を持って大正製パン所でパンを買うと、5%offになるチケットが付いています。