きらめく野生の一瞬を切り取った、安藤誠写真展「Ordinary Miracle」本日より開幕です。

このブログでも何度も紹介していますが、安藤さんは北海道在住のネイチャーガイドで、カメラマン。レティシア書房では、毎年秋に一日だけ、講演会をしてもらっています。安藤さんのお話は、自然に対する畏敬と親愛があふれていて、講演を聴いたお客様の中から何人かは、必ずと言っていいほど北海道へ旅立たれます。

彼の写真「Kimn Kamui」(左)を初めて観た時、この熊の目線の物悲しさに心打たれました。

害獣として「俺たちは、何故殺されなければならないのか」 そんな台詞が聞こえてきそうでした。その後、何度か、この作品に接しているうちに、いやそれだけじゃないと思えるようになりました。今、この視線が伝えてくるのは、すべてを包み込む優しさです。あらゆる感情の爆発をす〜っと回避させるようなとでも言えばいいのでしょうか。いつも、そばにいて見守ってくれるような存在に思えます。

同じように、「Fox Dream」というキタキツネの眼差しを捉えた作品にも、やはり同じような優しさを感じることができます。この作品は、北海道の病院の待合室に飾られているそうです。患者を励まし、癒す効果があるのかもしれません。

一方、サクラマスの遡上の一瞬を捉えた「Never Give Up」は、生きる力すべてを振り絞って川を上がる姿が見事に表現されています。安藤さんはこう書いています。

「写真には、凛とした彼等の清楚な美しさ。己の使命を果たすべく遡上を続ける果敢さ。そんなエネルギーを切り取り、封じ込めたいと思った。」

タイトルに相応しい作品です。そんな力強い作品の一方で、素敵な夢を見ているに違いない子狐の横顔を捉えた「Dreaming Fox」や、新緑の北の大地で、あくびするエゾフクロウの微笑ましい姿を捉えた「Treasure Smile」など、フフフと笑えてきそうなユーモラスな作品や、幻想的な風景の中に佇むタンチョウを捉えた「Soft Silence」「Blue Crane River」などシンと冷えた情景の中の美しさを見つめた作品もあります。

お時間があれば、素敵な北国の仲間に会いに来て下さい。

「安藤誠写真展」は15日まで 

 CD付きミニ写真集も販売中です。

 

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北海道のネイチャーガイドで写真家の安藤誠さんの、トークショーを10月23日夜に開催しました。

狭い店内に、多くの方にお集り頂きありがとうございました。

当日朝、静岡県焼津から「今から京都へ向かいます」と連絡があり、夕刻無事到着。今年で4回目になりますが、常連さん、初参加の方など我々を含めて、18名が、スライドを使った安藤節に酔いました。

北海道の大自然に生きる動物達の写真をメインにして、自然大系の微妙なバランス関係の事、「危険な動物」というレッテルをマスコミによって貼られた野生の熊のこと、毎年アラスカで見るオーロラツアーの事など、興味深いお話でした。

私たちは、人間だけが、食とは関係なく他の生物を殺す。動物は、ただ食べるためにだけ補食すると思っていますが、そうではありません。例えば、シャチのグループは、クジラを追いかけ殺害することがあります。一つには、狩りの訓練のためですが、ここにはもう一つ大きな意味があって、クジラが増えすぎて、主食するオキアミの量が極端に減らないようにするためだ、というのです。別にシャチにそんな意識があるのではなく、太古の昔から、そうやってバランスを保ってきたのです。聞けば聞く程、自然大系の深さに驚きます。

さて、数多い安藤さんの作品の中で、昨夜一番受けた写真は、これ(下)。

ルンルン気分で、上がってきたアカリスの目の前には、なんと大きなアメリカワシミミズク。リスはやばい!と思ったに違いないのですが、ずーっとここに泊っていたミミズクの方は満腹だったみたい(何しろ補食関係です)で、命拾いしたアカリスでした。カメラを構えていた安藤さんも、おもわず吹出したそうです。

自然の中ににこそ学ぶべきことが沢山ある、という思いで一杯になった夜でした。

この作品の入った作品集「Ordinary People」最新号(CD付き2200円)は、11月3日から始まる彼の写真展で販売します。写真展では、北の大地に生きる動物達の力強い姿を楽しむことができます。

安藤誠写真展は11月3日(火)〜15日(日)

 月曜定休日 12時〜20時  レティシア書房にて

 

 

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野生のクマの写真で、星野道夫を越えてゆくのは、なかなか出現しないだろうと思っていましたが、やはりさらに前に向かう者っているんですね。

雑誌「ライフスケープvol.1」(ブテッィク社1100円)で特集を組まれている前川貴行の作品を観た時、星野とは違うアプローチで、野生に切り込む写真家の鋭い視線に魅了されました。それは、彼の「道を拓いた一枚」と題して紹介された写真で、2002年秋、南アラスカで撮影された、サーモンを口にくわえたブラックベアーを捉えた作品です。

血の滴るサーモンを頬張るブラックベアーの表情。目には狩猟する者としての深い悲しみさえ感じさせてくれます。

もう一点、クマではありませんが、2012年ウガンダで撮影されたマウンテンゴリラを正面から捉えた作品。ジャングルの神に相応しい威厳と洞察力、そして優しさを漂わせた一枚です。出来うるならば、彼の前に座って長きにわたる森の話を聞かせてもらいたいものです。

彼は動物写真家として歩み出した頃、鬱蒼とした獣道で、ばったり一頭のシカに出会います。その時の気持ちをこう書いています

「宇宙人にでもばったり遭遇したような、動物が動物を越えた何物かであることをその瞳に感じた。そしてシカと僕は同じ大地に立ち、今を生きる命としてあくまで対等な一個と一個であった。」

彼の作品に登場する動物達の特徴は、彼等の目を捉えていることでしょう。星野が、すべての外界の情報を取り込む彼等の鼻に着目していたように、前川は視線にすべてを注ぎます。お互い、対等な存在として見つめあっているように。

彼の作品集は何点か出ていますが、ひとつだけ古書で見つけました。「Bear Worldクマたちの世界」(菁菁社3200円)です。北海道で撮影されたヒグマの親子の仔グマが、「うん、何か用?」とでも言いたげな視線は傑作です。

 

 

ところで、当店のクマがらみの企画をご紹介いたします。

●11月3日(火)〜15日(日) 安藤誠写真展 北海道在住のネイチャーフォトグラファーの写真展。

2014年「ネイチャーズフォトグラフィージャパン」で鳥部門凖グランプリ、動物部門入賞されました。その記念すべき写真展です。安藤さんのクマを捉えた写真も、同じく「ネイチャーズフォトグラフィージャパン」の動物部門で入賞されています。今回の写真展にもクマが登場するかは、お楽しみです。

 

●2016年5月24日(火)〜6月5日(日)すずきまいこ作品展。

札幌在住の鈴木麻衣子さんの絵本「ぼく生きたかったよ」(かりん舎)の原画展。これは戦時中に、動物園から逃げると危険との理由で殺処分にされたクマの話です。因みに京都市動物園もクマ、ライオン等14匹を処分しています。

決して明るいお話ではありませんが、戦争好きの首相にも、この絵本をぜひお読みいただきたいものです。

なお、こちらの絵本は近日販売を開始します。

 

 

 

 

月曜日定休の店をやっていると、美術館にゆっくり行けないのがちょっと不便です。なので、たまに連休を頂くと、その火曜日を利用して、美術館へ、というのが目下の楽しみです。

今回は、愛知県立美術館で開催されている「片岡球子展」に行ってきました。長寿だった日本画家、片岡球子の作品は初めて実物を観たのですが、鮮烈な色彩、大胆な構図、パワフルな線に圧倒されました。静かに佇む富士山が、彼女にかかると、今にも噴火するぜ!という勢いです。

若い頃に、阿波踊りに興じる男たちを描いたものがありましたが、彼等の太い腕、逞しい足の動きが、踊っている真っ最中の楽しさを表現していて、好きな作品です。

80代後半になって取り組んだ裸婦像にも、その力強さは顕著に表れていました。真っ直ぐに伸びた足、ぐっと組合わさった両手。みずみずしい裸婦像です。また、古典芸能をテーマにした作品も手掛けており、歌舞伎、能、雅楽などの舞台を描いた作品も見ることができました。

一時「ゲテモノ」扱いされていたみたいですが、日本画家、小林古径に「今のあなたの絵はゲテモノに違いないが、ゲテモノと本物は紙一重の差だ… あなたの絵を絶対に変えてはいけない…」と励まされ、自分の画風を貫きました。モダンな画風は、今なら歓迎されるところでしょう。

足利尊氏のこの肖像画など、かなりデフォルメされていますが、笑っている様な、どこか寂しそうな、そして、ちょいお疲れ気味の雰囲気は、室町時代を築いた将軍の威厳こそありませんが、なんだかとても親しみやすい人物に見えてきて素敵です。横に並んでいた義満像、義政像もとてもユーモラスでした。

愛知県立美術館は、ビルの10階にあるのですが、全館アートのためのビルで、様々な企画を行っているみたいです。B2には、アート系専門書店があり、充実した品揃えでした。

さて、この美術館の近く、三越専門店「ラシック」で開催されている安藤誠さんの写真展に向いました。彼は、北海道の宿「ヒッコリーウインド」のオーナーで、今秋11月3日(火)〜15日(日)、レティシア書房で写真展の開催を予定しています。その下見も兼ねて観ておこうと足を向けました。

おしゃれな人たちが行き交う専門店の一階に、北海道の大自然に息づく動物や、広大な風景が飾られていました。多くのショッピングの途中の方々が、足を止めて写真を観ておられました。写真に力があるということなのですね。

まだ、はっきりとは決まっていませんが、写真展の直前に、3回目となるトークショー「安藤塾」も行う予定です。詳細はまたHPでご紹介していきます。ぜひご期待下さい。

 

昨日午后7時半より書房内で、北海道のネイチャーガイド、安藤誠さんの「安藤塾」を開催しました。今年で3回目ですが、満席となりました。狭い店内で、窮屈な状態の中ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

北海道の野生のスライドと、安藤さんの軽妙なトークに、初参加の方も、常連の方もきっと楽しんでいただけたと信じています。フクロウ、鷲、隼、丹頂鶴を中心にセレクトされた鳥達のダイナミックな写真はどれも見事でした。猛禽類のグッと睨んだ視線には、こちらの心の中を射抜かれている気分になります。一方、細やかな感情を表現する丹頂鶴の求愛ダンスの仕草は、まるでモダンバレエのワンカットを見ているようです。

今回は、女性を画面に入れた「夕暮れのフローラ」や、蜘蛛の巣に絡み付いた水滴を捉えた「小宇宙」とか、ご本人曰く、「芸風を変えた」作品も続々登場しました。もちろん、知床で撮影された熊の親子の作品も健在です。北海道の自然の素晴らしさを訴える安藤さんですが、毎年企画しているアラスカツァーで撮影された、オーロラの不思議な魅力の写真も披露してもらいました。

店内に北国の自然の中にあるんじゃないのと錯覚させる1時間でした。CD付き写真集「Ordinary Miracle 」最新版の即売会も盛況のうちに終了。音楽好き、本好きのご本人は大量のCDと本をゲットして、次の講演地の大津に向かわれました。また、来年もお願いします、安藤さん!

ところで、店内には安藤さんが文章を寄せられた「探鳥見聞録」(文踊社1200円)を在庫していますが、本人撮影による蝦夷フクロウのポストカードをレティシア書房特典としていただきました。森の仙人というイメージの素敵な写真です。

安藤さん夫妻経営のロッジ、「ヒッコリーウインド」のオフィシャルパンフレットもありますので、興味のある方はお申し出ください。

北海道発の雑誌「スロウ」別冊の「スロウな宿を訪ねて」(1645円)では、「ヒッコリーウィンド」が紹介されています。

 

 

今年も北海道から、北国の自然の事、アラスカのオーロラの事などを魅力的に話してくださるネイチャーガイドで、釧路鶴居村のロッジ「ヒッコリーウィンド」オーナー、安藤誠さんの講演が決まりました。

10月25日(土)夜7時30分からです。(有料、要予約)

昨年は、日本の野生の熊の危機的状況や、アラスカの大自然の美しさを熱心にお話いただきました。さて、今年は何について語られるのか、今から楽しみです。

レティシア書房開店の年から、毎年講演をお願いしていて、今年で3回目。いつも店内の本棚を楽しげに見ておられますが、とりわけネイチャー関連の棚は熱心です。今年も彼好み?の本を揃えています。もちろん、お客様にも気に入ってもらいたくて、こちらも気合いが入ります。

北海道と言えばアイヌ民族のことは外せません。で、「先住民族の本」という棚を拡張しました。従来の在庫に加えて、人類学者の山田孝子がアイヌの言葉が形成する宇宙と自然を解説した「アイヌの世界観」(講談社900円)、萱野茂がアイヌ民族に伝わる数多くの昔話を紹介する「ひとつぶのサッチポロ」(平凡社1300円)などが新しく加わりました。

アイヌ民族だけではありません。イヌイット、ネイティブアメリカンへと、先住民族というカテゴリーに捕われることなく、アジア、アフリカ等で暮らす人々を見つめた本もターゲットにしています。

例えば、ギニア出身の作家カマラ・ライエが自分の少年時代を振返った自伝的小説「アフリカの子」(偕成社600円)、トルコ遊牧民と共に暮らした記録をまとめた新藤悦子「羊飼いの口笛が聴こえる」(朝日新聞社500円)、写真家稲垣功一がぐるりアジアを巡った経験を文章と素晴らしい写真で構成した「アジア視線」(毎日新聞社600円)等々入荷しました。

本だけではありません、ロシア、モンゴルに囲まれた小国ブリヤード共和国の遊牧民の女性ナムガルの、或は西サハラの難民キャンプ生まれの女性アジサ・ブラヒムのエモーショナルに響く歌声の詰まったCDが入荷しています。この音楽に関しては、また別の機会に詳しく紹介いたします。

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『これ、アイヌの言葉で「こんにちわ」ですが、その言葉の中には「あなたの心に触れさせて下さい」という意味が含まれています。』

と、こんな感じで、20日(日)夜、北海道のネイチャーガイド安藤誠さんに、昨年に続いてトーク&スライドショーをしていただきました。安藤さんは釧路鶴居村のペンション「ヒッコリーウィンド」のオーナーでもあります。15名程のお客様でぎっしりの狭い店内、ミュージシャンでもある彼が、古いギターで弾く「アメイジンググレイス」で開幕。

憧れていた職業は森林警備隊で、シートン動物記などに夢中だった少年時代。そんな心底森を愛する彼の撮影した、北海道、アラスカの自然の写真は、ダイレクトに心に響いてきます。

毎年行われているカナダでのオーロラツアーの時の写真を見せながら、実はオーロラという言葉は海外では通じなくて、正確には「ノーザンライツ」(星野道夫の本にも同タイトルの著書があります)という事や、何故オーロラが発生するか、またオーロラの研究では日本が世界屈指だということなど、みなさん「へぇ〜」連発の90分でした。

昨年は、主に日本のクマの現状を憂う話でした。今年は、ボンクラ首相の画策する危険な政策の話や、そしてその事をきちんと報道しないTV、プレスへの怒りなども交えながら、嘘のない自然の中にもっと入ろう、それこそが未来の真実を見つめることになるのではないか、という話でテンションあがりっぱなし。ユーモアを交えながら、大切なことは直球勝負の話しっぷりが実に気持ちいい。

野生動物の鋭い眼光と対峙すると、お前はそれでいいのかと問われます。最初に安藤さんのガイドで、ハヤブサをファィンダー越しに見た時、痛烈に感じました。今回も、まっすぐな眼差しを向けるヒグマ、鋭い視線の白頭鷲に、やはり同じ気持ちになりました。これらの写真を見て、何も感じなくなったら、警戒警報です。

翌日は、京都安藤塾第2弾。一乗寺のレストラン「猫町」で、トークと食事会。私と女房が参加していることを念頭において、見事に話の構成を変化させて、またまた堪能させてもらいました。その後は猫町さん特製の、丁寧に作られたお料理で大満足。良い話とおいしい食べ物で栄養補給して幸せな時間でした。

ところで音楽好きの安藤さんに合わせて、店には好みのCDを沢山用意して、そこかしこにワナ?を仕掛けました。そして、まんまとかかっていただきました。「くやしい!」と言いながらも「仕入れる方も、買う方も真剣勝負だしね」と言われたのは、嬉しいかぎりでした。さて、また来年のために今から作戦開始です。 力が湧きます!

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