いよいよ、古本市も残すところ4日となりました。多くのご来店誠にありがとうございます。まだまだあるある面白い本を最終日まで、しつこくご紹介していきます。

1887年大阪に生まれた画家、小出楢重。昭和前期の洋画界に新風を送り込み、若手の先駆者となった画家ですが、文章も巧みで、岩波文庫から出ていた「小出楢重随筆集」(絶版)は、当店でも入荷する度に売れていました。

小出楢重関連の本が二点出ています。一つは「大切な雰囲気」(1500円/出品・徒然舎)。彼の死後、刊行されたエッセイ&作品集で、大阪人独特のリアリスト的視線とお笑い精神で、読者を楽しませてくれます。ページを捲ったところにある、ヨーロッパの街並みを描いた作品は素敵です。もう一点は、お孫さんの小出龍太郎が、祖母重子や、父親の泰弘などの聞き語りを中心にして、祖父楢重像をまとめ上げたのが「聞書き小出楢重」(500円/出品・徒然舎)です。素顔の小出が浮かび上がってきます。

1917年生まれのラジオパーソナリティー&エッセイストの秋山 ちえ子「十年目の訪問」(800円/出品・古本ハレクモ)は、彼女がかつて訪れた様々な場所を、再訪問した時の印象を書き綴ったエッセイです。その中に、「京女の手仕事」という項目があり、訪ねた場所が京都市下京区高倉通り六条下るの「江南」と書かれてあります。レティシア書房の前の通りが高倉通ですが、それをずーっとかなり南に行ったところ。ここに「指物師 真田紐 江南」という二百年の伝統を持つ指物師の家がありました。ここでは夫の作った桐箱にかける真田紐は、嫁が作るのだそうです。和田ふささんの手仕事「真田紐」を巡る物語です。古い家、しかも伝統的な職人の家に嫁にいった苦労話を経て、著者は「夫たちは五代目、六代目の『京指物師』として脚光をあびるが、妻たちの組紐作りは、いつも脇役。しかし内助の功を貫く女たちが、一家の実力者的存在であることは明白である」と結んでいます。因みに「江南」は場所を東山区に変えて、十五代目が店を守っておられます。

 

1885年鳥取県に生まれた俳人、尾崎 放哉は、種田山頭火と並ぶ自由律俳句の著名な人物です。東大を卒業後、出世コースを進み、豪奢な生活を送っていたエリートでありながら、突然、それまでの生活を捨て、無所有を信条とする懺悔奉仕団体一燈園に住み、俳句三昧の生活に入りました。その気ままな暮らしぶりから、周囲とのトラブルも多くありましたが、その自由で力強い句は高い評価を得ました。最後は小豆島で極貧の暮らしをしながら、俳句に捧げた一生を終えました。瀬戸内を本拠にするサウダージブックスが出した「『一人』のうらに 尾崎 放哉の島へ」(800円/出品・本は人生のおやつです)は傑作ノンフィクションです。私もこの本を読み、酒と流浪に費やされた彼の人生に興味を持ちました。尾崎 放哉の「随筆・書簡」(文庫400円/ 出品・本は人生のおやつです)も出ています。