九州の書肆侃侃房から、京都在住の歌人、林和清さんの新作「去年マリンバードで」(2052円)が入荷しました。理解できたような、できなかったようなアラン・レネのフランス映画のタイトルと同じ題名ですが、映画とは全く関係ありません。

個人的には歌集は、殆ど手に取ったことがないのですが、この出版社が出している「現代歌人シリーズ」が十数冊入荷したので、これを機会に読んでみようと思っています。

「二十七年前のクリスマスイヴの朝わたしのベッドで仔猫が生まれた」

幸せをもたらすようにやってきた猫の表情が、映画みたいなフレームの中に取り込まれています。

「家の中でどこをさすらっていたのだろう東山から月がのぼる」

ちょっとシュールな感覚ですが、なんとなく微笑んでしまう作品があるかと思えば、

「寒月に遠く清水寺が見ゆ死者からもこちらが見えているだろう」

という、ぞっとする視線を感じる作品もあります。映画のタイトルを作品名につけるだけあって、映画がお好きみたいです。例えば、「『タクシードライバー』のラスト五分は死んだあとの夢だよなんて気づかないんだ」など、映画タイトルを入れてある作品が何点かあります。

「旅に出れば旅の記憶がかぶさっていくつもの時を旅する」

という歌に出会うと、当ブログでも紹介した「メッセージ」という新感覚派のSF映画を思いだしました。

京都観光に来られた方には、

「寺田屋事件のあとは即座に血まみれの畳替え客を迎へしお登勢」などいかがでしょうか。

「現代歌人シリーズ」は、どれも素敵な装幀で、手に取りやすいシリーズです。気楽に歌集を開いて、沢山の言葉を楽しんでいただきたいと刊行作品すべて仕入れました。

その中で、岡井隆の「暮れてゆくバッハ」(2376円)の中にある「にがにがしい結末であるしかれどもそれに傘などかりてはならぬ」が目に止まりました。この歌、いいよなぁ〜と思える歌人を探してみてください。

ずらっと歌集が揃ったなぁ、と思っていたところへ、今度は京都で作り続けている御手洗友紀さんが歌集「こいのうた』(600円)を持ちこんでこられました。ミニプレスのコーナーで販売中ですので、こちらもご覧下さい。