柴田元幸は、翻訳家であり、作家でもあります。今回の古本市でも、数多く出ていますので、ファンの方は是非チエックしてみてください。

彼自身の本で、「97年夏場所現在、舞の海は見事幕内復帰を果たし、わがことのように嬉しい」とおよそ、海外文学の翻訳家らしからぬ内容でスタートする「愛の見切り発車」(新潮社400円)は、軽妙な文章で海外文学の紹介をしてくれる一冊で、私も愛読しました。

ちょっと変化球的なアンソロジーとしては、ここ20年間ぐらいの間に発表されたアメリカの幻想文学を集めた「どこにもない国』(松柏社400円)もお薦めです。ヨーロッパの凝った文体のその手の小説に比べると、ストレ−トな文体ですが、日常生活にふとしたズレや、奇妙な空間を描き込んでいます。柴田が編集を務める雑誌「MONKEY」も500円で8冊程出ていますので、お早めにどうぞ。

イラストレーターの安西水丸が、1982年に宝島から出した「普通の人」(1000円)は、探しておられる方もあるはず。へたうまタッチで繰り広げられる4コマ漫画の世界。サブカル雑誌の先陣を走っていた雑誌「月刊宝島」に相応しい捩じれたギャグ満載のコミックを集めた一冊。この本、アマゾンや、日本の古本屋でもヒットしない商品なんですよね……。

がらりと変わって、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」関連で一冊。キャロルの原作に、チェコの映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルが絵を付けた「不思議の国のアリス」(国書刊行会1800円)は最近のアリスものでは優れた一冊です。シュヴァンクマイエルが、この本のために描いたイラストレーションは、最初に「不思議の国のアリス」の挿画を手掛けたジョン・テニエルへのオマージュだと語っています。そして、彼自身、アリスこそが自分にイマジネーションの源泉だと言い切っていて、それほど彼にとっては、大切な一冊なのです。(すいません、ブログ書き上げた途端売れました)

あんまり、最近見なくなったなぁ、と思ったのが岡崎武志の「雑談王」(晶文社1800円)です。2008年発行で、まだ絶版にはなってないはずですが、新刊書店でも見かけません。この本は書評家としての岡崎の本ではありません。映画、音楽、落語など彼が若い時からワクワクしてきたものをズラリと並べてあります。とりわけ同じ関西人として面白いのが、第四章「私設おおさかお笑い図書館」です。笑福亭仁鶴に始まり、漫才コンビいとし・こいしまで、かつての関西の芸達者を論じた演芸論です。

「生きている間の名前がニワトリ。死んだら戒名がカシワ」といういとし・こいしの十八番を久々に読んで、あったなぁ〜そんな漫才、となつかしく思いだしました。

 

 

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。


岡崎さんの詩集「風来坊ふたたび」(善行堂1000円)が、著者のサイン付きで入荷しました。

ストレートに心の有様を描いた詩が多いのですが、読んでいるといろんな役者の顔が浮かんでくるのは、私だけでしょうか。例えば「海が見える窓」。電車に乗っていたときに、前に坐っている男のことを描いています。

「通路を挟んで 向かいに坐る男がいて 商人らしかったが ふと『こっちへお坐んなさい』と 俺に向かって手招きする 何事だろう? 思案していると 『こっち側の窓の方がよござんすよ』と言うのだった。

これは、渥美清。あの寅さんの人懐っこい笑顔がとびこんできそうな情景です。

「雨に濡れた地図」という作品の最後、「目の前の石ころ一つ蹴飛ばして 止まらぬ雨を前に ただ途方に暮れている 雨に濡れた場所で」で思い起こすのは、”ショーケン”こと荻原健一の顔です。

そして、最後に収録されている長編詩「猫またぎ」は、もう高倉健です。ある宿に泊っていた男のことを描いています。

「旅立つ陽 風が強い朝でした 風に誘われるみたいに あの道をまっすぐ歩いていかれましたよ あれ以来 村にあんな強い風が吹いたことはない 私いつまでも見ていました あの人のこと 遠ざかる後ろ姿が それはそれは きれいでしたよ」

ジャンパーに手を入れて、立ち去る健さんが目に浮かびました。

と、こんな感じで楽しんだ詩集です。なお発行元は、銀閣寺の古書店善行堂です。2冊目、3冊目も企画中とか、もちろんずーっと応援しまっせ!(写真は善行堂店主山本さんと岡崎さんです)

ところで、「風来坊」というタイトルは、はっぴいえんどの名曲「風来坊」を思いだします。

「朝から 晩まで 風来坊 風来坊 風来坊 風来坊」というフレーズで始まる名曲ですね。「ふらり ふらり ふら 風来坊」の歌詞の如く、岡崎さんが町を彷徨している様が詩になっています。

 

岡崎さんの「気がついたらいつも 本ばかり読んでいた」(原書房2000円)も古書で入荷しました。相変わらず本への愛情一杯で、本屋さんに、古本市に出かけようという気持ちにさせてもらえる一冊です。店で仕入れる本の参考にもさせていただきました。

書評家の岡崎武志さんの新刊「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」(原書房)を読んでいたら、こんな記述にぶつかりました。

「蓮實重彦を代表とする映画の高踏的ファンのあいだで、フランシス・レイが好き、というのは、文学好きのあいだで、相田みつおが好き、というぐらい勇気がいる。しかし、好きという気持ちはどうしようもない。」

岡崎さんは、映画「男と女」のサントラを担当したフランシス・レイのことを賞賛しているのですが、ロマンティシズムとリリシズム一杯の、あの音楽を誉めるのは、気が引けるのかもしれません。私は大好きです、このサントラは。

これほど冬にピッタリの音楽はないと思います。もしかしたら夏にかけたら、うざい!と再生を止めてしまうかもしれません。ところが晩秋から冬にかけて聴くと、これほど季節に寄り添った音楽は、ないでしょうね。映画界に革命をもたらした「男と女」は、その後多くのTVコマーシャルでパクられる程有名でしたが、映画を知らなくても、雪の降った日にエンドレスで流しておけば、見慣れた街の風景が全く違ってみえてくるかも。

映画音楽というのは、もちろん映画に属しているのですが、「男と女」は完全に独立した力の持った音楽でありながら、映画の世界を深く語るだけのサウンドを持つ希有なアルバムです。店にはレコード2000円、CD1400円を置いています。どちらも、オリジナルの映画ポスターをジャケットに使用しています。

このサントラで歌っている歌手であり、出演者でもあったピエール・バルーが昨年82歳で亡くなりました。歌手であり、俳優であり、レコードレーベル「サラヴァ」の創設者であるという、多面的な活動をしていました。彼のデヴュー作品、フランシスとコラボしたアルバム「VIVRE」(1800円)も、これまた冬に聴くべき音楽だと思っています。梅雨時分に聴くと、ドロドロと心が溶けてしまいそうなので御注意ください。

モノクロームな光景とアンニュイな雰囲気、そして孤独感。フランシスのアコーディオンがそっと寄り添うところがニクイですね。ピエールはこんな風に冬を歌っています

「冬のある日、光を浴びて君が目覚めた とまどう冬 冬の太陽 君が見つめている僕だけの心が目覚めた 鳥は僕の夏に向かって鳴いた」

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。

 

 

 

 

書評家の岡崎武志さんの「ここが私の東京」(扶桑社1100円)が入荷しました。関西での青春時代を経て、東京への憧憬を捨てきれず、上京して20数年。東京暮らしの高揚と失意の繰り返しの中で読み続けた多くの作家と、彼らが生活した東京の様々な場所を歩き、追想しています。

東京の地理は全く頭に入っていませんが、岡崎さんに連れられて、この場所、あの場所と、一緒にブラブラした気分になります。取り上げられる作家は、佐藤泰志、出久根達郎、庄野潤三、司修、開高健、藤子不二雄、石田波郷、富岡多恵子の作家と友部正人、松任谷由実の二人のシンガー&ソングライターです。

この中で、石田波郷だけは全く知りませんでしたが、それもそのはず、現代俳句を代表する俳人の一人だったのです。若くして(昭和7年)上京し、俳人として活動を始めますが、召集され戦地へ。しかし結核を発病し入院し、その後、再発と入院を繰り返します。そして、死を見つめた暮らしが始まります。

「私は絶望はしない。然し手近に掴めそうな希望はもたなかった。希望がなくても生きてゆける、一日一日の生を噛みしめて味わうような生き方を求めた。それはものを深く視つめてそこに己れを徹れせることであった。」という石田の言葉に対して、岡崎さんは

「こういう境遇を、健常者が得ることは難しい。死の谷に歩み行った者のみが、地に触れてつかみ得るひとくれの砂のごとき、苦いが確かな感触であった。」と書いています。

石田は昭和32年、読売新聞に「江藤歳事記」という俳句+写真+随筆というユニークな連載を始めました。その晩年を描く岡崎さんの文章が素敵です。

「長い人生の一部を切りとって、人生の一瞬を永遠にして描き出すことを『スライス・オブ・ライフ』と言う。手法こそ違え、写真と俳句はその店でよく似ていた。上京して二十五年、東京でようやく得た春のような日々であったが、病はいつしか進行し、波郷に残された人生はあと十年あまりしかなかった。」

 

友部正人、松任谷由実については、明日ご紹介いたしますので、お楽しみに。

蛇足ながら「江東歳事記」は「江東歳事記・清瀬村(妙)−石田波郷随想集」として講談社文芸文庫から出ていました。絶版ですが、近日入荷します。

 

本好きの人には、ちくま文庫は特別な存在です。他の大手出版社の文庫ファンって、滅多に聞きませんが、ちくまファンは新刊、古書問わず数多くおられます。内容も、装丁も本を出す側に愛情が詰まっているから、支持されているのでしょう。

「ちくま文庫」といえば、先ず文庫全集ですね。宮沢賢治、夏目漱石、内田百間といった文学から、つげ義春のマンガまで、充実しています。内田の全集は全24巻というボリュームで、これだけですべて読めそうです。カバーデザインは「クラフトエヴィング商会」の吉田篤弘。

文学色が強いのですが、みうらじゅんの「ムカエマの世界」「カスハガの世界」「いやげ物」(各300円)と、サブカル系も揃っています。

そしてこの文庫には、本に関するものが多いのも特徴です。書評家岡崎武志が、昭和の生活を回想した「昭和三十年の匂い」(650円)。映画専門の古書店主の喜怒哀楽を綴った中山信如「古本屋おやじ」(500円)、せどり屋さん(古書店で安く買った本を他の古書店に転売する職業)を主人公にした奇想天外な物語が展開する梶山季之「せどり男爵数奇譚」(400円)といった傑作が揃っています。

もちろんこれらの本は面白く読みましたが、私にとって最も楽しませてもらったのは、川本三郎「東京おもひで草」(400円)、「東京の空の下、今日も町歩き」(400円)、「東京つれづれ草」(300円)の三冊の”町をぶらぶら”本です。

私は生粋の京都人なので、東京山の手やら下町は、ご縁のない場所なんですが、川本さんの描き方が絶妙で、一緒に町歩きをしている気分で、ウキウキしてきます。彼が読んだ多くの本、観た映画の感想と共に、東京の、今まであまり紹介されていなかった場所へと誘われます。

町歩きの本など、もう無限大に出版されていますが、彼の本は、やはり文学と映画が色濃く絡んでくるので、好きです。個人的に信頼できる映画評論家だと思っていて、新作映画の評には目を通すようにしていますが、それ以上に、ぶらぶら歩きの方に魅かれてしまいます。

「十一月の末に房総をひとり旅した。 成東にある伊藤左千夫の生家を訪ね、次に九十九里浜の真亀海岸にある高村光太郎の『千鳥と遊ぶ智恵子」の詩碑を見に行った。その晩は、勝浦の海辺の小さな旅館に泊まり、朝 勝浦名物の朝市をながめて東京に戻った。」

どうです、豪華でも、贅沢でもない旅ですが、幸せ感一杯に見えませんか?

少しずつですが、「ちくま文庫」が揃ってきました。現在150冊ぐらいです。なんとか300冊ぐらいまで集めてみたいと思っています。

 

 

 

新刊書店員だった頃の話です。

2003年、「あらすじで読む日本の名著」なる本が出ました。これが、大ヒット。他社からも出るわ出るわ、文芸書の平台が埋まってしまうこともありました。あらすじだけ知ってたらええんか!と出版者の人に怒鳴り散らしていました。

岡崎武志の「読書の腕前」(光文社知恵の森文庫500円)を読んでいたら、岡崎さんも同じことを考えておられたみたいです。この手の本が、中高年に受けていることを知って、書かれていました。

「本を読む楽しさをすっ飛ばして、形骸としての結果だけを得ようとする。人生の辛酸をなめ、頭に白いものが混じろうという年齢の人たちが、いまさら『風たちぬ』のあらすじだけを知ってどうしようというのか。そこに感じるのは、とにかくいますぐ答えの得られるものを求めようとする拙速主義だ。」

こういう本を先を争って出す、売る。出版業界も終わりかな、と当時思ったものです。岡崎さんの300ページ足らずの読書指南のこの文庫は、様々なことを教えてくれます。とりわけ、ベストセラーは何年も経ってから読むと、面白さ倍増と書かれている部分は、成る程と思わせます。

その例として、70年代に出された、歌手弘田三枝子の「ミコのカロリーBOOK」を上げています。これ、今日にまで至るタレントのダイエット本の元祖で、150万部の売上げの大ベストセラーでした。ところが、痩せてきれいなった弘田は人気低迷し忘れられていき、出版元の社長夫人が国政選挙に出たたために、溜め込んだ印税をすべて叩いてしまった等々の事実が、今だからこそ判ってくるのです。本読みのスペシャリストが語る、体験的読書論としてお薦めの一冊です。また、本を読もう、買おう、という気持ちになること間違いなしですね。

「BOOK5」最新号は、その岡崎さんも参加している「年末恒例アンケート、今年の収穫」(トマソン社648円)です。個性的な面子による今年読んだ本で印象に残った作品の大特集で、京都からは、「ホホホ座」の山下店長、「古書善行堂」の山本さん、「誠光堂」の堀部さん等、京都の書店界をリードしている方々の今年の本の収穫を読むことができます。

この中で、畠中理恵子さんが、荒川洋治の「文学の空気のあるところ」(中央公論新社1300円)を「文学への愛を感じる」とコメントされていますが、そんな言葉がピッタリの一冊です。同じ著者の「黙読の山」(みすず書房1300円)もお薦めです。

蛇足ながら、私のベストは松家仁之の三冊「火山のふもとで」「沈むフランシス」「優雅どうか、わからない」、黒川創「京都」。独立系出版社なら、黒田三郎「小さなユリと」(夏葉社)、原民喜「幼年画」、そしてミシマ社発行の雑誌「ちゃぶ台」でした。

こういう話題が出ると、今年もあとわずか・・・。

 

 

岡山出身の小説家で、「耳学問」等でファンの多い木山捷平の紀行文学「日本の旅あちこち」(永田書房・初版3000円)が、今回、講談社文芸文庫から「新編 日本の旅あちこち」というタイトルで文庫化されました。

木山が訪れた北海道、東北、上毛・武蔵、甲斐、伊豆・三河、大和・紀伊、三陽、そして九州の各地を描いた紀行文学の優れた一冊です。まるでNHKの旅のドキュメントを読んでいるかのような的確な表現は、作家と一緒にその街を歩きまわっている錯覚に陥ります。今どき、こんな書き方をする人はないだろうと思うのは、その土地の人と交わした問答をそのまま、載せている部分です。

例えば、北海道の美国町の役場の人との問答はこんな感じ。

「私。シャコタンというのはもともとアイヌ語なのでしょうか。

係長。アイヌ語です。シャコは夏、コタンには部落とか村とかいう意味があります」

なんて具合に話が進みます。

木山が、この紀行文を書き出したのは昭和30年代後半。彼は晩年に差し掛かっていました。大げさな文章や、華美な表現は全くありませんが、暮れ行く街の淋しさ、穏やかな温泉の暮しなどが綴られて、列島改造で国土も人もズタズタにされてしまう前の、この国の美しかった断面を見ることができます。

ハードカバー版の表紙をめくると、トレンチコートに傘を持った、ニコニコ顔の作家自身のイラストが載っています。きっと、こんな楽しそうな雰囲気で日本全国を旅してたのでしょうね。

文庫本の解説を岡崎武志さんが書いています。

「元版の単行本は今や希少で、古書通販サイト『日本の古本屋』でも二冊しかヒットしない。古書価は五千円と八千円とけっこうな値段。」

でも、当店では3000円です。(カバー一部破損しています)ただし、文庫化された方には未収録の旅の随筆も収録されているので、お買い得かもしれません。

 

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夏葉社の島田さんと、書評家の岡崎武志さん、そして装丁家和田誠さんが組んで、庄野潤三のアンソロジー小説集を作りました。「親子の時間 庄野潤三小説撰集」(夏葉社2592円)です。

今どき、函入りの本を、しかも庄野潤三のような地味な作家のアンソロジーなんて、大胆ですね。

庄野潤三は1921年大阪生まれ、朝日新聞社に勤務する傍ら、小説を発表してきました。自分の家族とその周囲のことのみを、ひたすら描いてきた作家です。そういう意味では、家族の冠婚葬祭を描き続けた小津安二郎と並んで、極めて珍しい作家です。

編者の岡崎さんは、「夕べの雲」(講談社文芸文庫)に収録されている「山茶花」だけを例外として、現在入手可能な文庫には収録されていない作品を選んでいると、後書きで述べておられます。その理由が、彼が高校二年の時に、あっけなく亡くなった父親の死を認められない自分にあり、その時に読んだ「山茶花」で救われたことによると前置きした上で、

「親子の一方が退場すれば、それは二度と取り戻せない時間であることを『山茶花』は教えてくれた。私はあの時の体験で、ようやく父の死を直視できたし、その日から、庄野潤三がかけがいのない大切な作家となった。」と書かれています。

自分の家族の日々だけを見つめたという意味では私小説の極みになるのですが、このジャンルの小説に色濃く覆われている陰鬱な、破滅的なイメージからは遥か彼方にいる作家です。庭に差し込む柔らかな太陽の光、窓辺のカーテンを揺らす風、畳の香りが安らぎを与えてくれます。私もそんなに沢山読んではいませんが、手放したくない作家の一人です。和田誠さんの表紙の、暖かな家の門構えの絵が、すべてを語っています。

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書評家としてお馴染みの岡崎武志さんが、昨年11月に東京両国で挿画展をされました。図録で、いきさつを書かれています。

「この図録は2013年11月13日から30日まで、東京・両国にあるフリースペース『縁壱』で開催された『岡崎武志展』の記録である。私は自分の連載や著作の挿絵を、たいてい自分で描いてきた。その挿絵原画を中心に、新たに描いた作家の似顔絵などを、ここで展示即売することになった」

大阪出身だけあって、上方芸能の人や、TV「てなもんや三度笠」などの挿画もあります。また映画「東京物語」なんかの日本映画のワンカットを描いたものもあります。小津映画がお好きらしく、小津映画常連役者のポートレイトは、どれも素敵で、絵を見ているだけで、その映画のワンカット、その時の台詞が飛び出してきそうです。「彼岸花」の佐分利信なんて「そんな、結婚不賛成だね」と言い放った瞬間の仏頂面が蘇ります。

ページをめくると、自分の本に描かれた挿画が、ズラリと載っています。彼の書評が載っているわけではありませんが、なんとなくほんわかした気分になって、横になって本でも読もうかという気にさせる図録です。300部限定で税込み864円です。お早めにどうぞ

個人的には、岡崎さんの本では「古本でお散歩」と「女子の古本屋」がベストだと思っています。

さて、この図録を配給しているのがトマソン社。一緒に同社発行の本好きに人気のミニプレス「BOOK5」12号(税込み735円)も入荷してきました。

今回の特集は「All That’s学参」です。「学参」即ち「学習参考書」。本の雑誌で学習参考書の特集なんて、まぁ、まずないでしょうね。学参書がいかにして出来るかを学研教育出版の方にインタビューやら、現場の書店さんの実際の販売活動のことまで載っています。

懐かしいなぁ〜、Z会の参考書では苦労したなぁ〜とかつての職場を思いだしました。

 

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