“お散歩”フォトグラファー、呑海龍哉さんの写真集 「京都夢物語」(DOM・PHOTO1944円)が入荷しました。

「若旦那」という名前の、唐草模様の手ぬぐいを撒いた子いぬが扉から外を覗いている表紙からして、微笑ましい。花街に出没するサギを捉えた「予約のサギですけど」という作品のお隣には、祇園祭のサギ舞の写真が並べてあるセンスも面白く、次の写真をとページを捲りたくなってきます。こんな風に、ユーモア、ペーゾスを交え、京都のごく日常の姿を捉えていて、いかにも、ザ・京都的な写真はありません。

時代劇さながらの雰囲気で尺八を吹く男を捉えた「さすらいの尺八奏者」、静かな朝チェロの練習を、クラブのボックスで一心不乱にする女子学生の姿を捉えた「練習中」、あぁ〜今日も客が来ねえなぁ〜、とため息混じりの飲み屋の親爺の後ろ姿を撮った「今日も坊主」等。私が思わず笑ったのは、「気分は銅像」。これ、三条大橋にある銅像につながれたワンちゃんの微笑ましい姿をおさめたもの。もうひとつ、横転した車を起こそうと、必死になっている警官たちを捉えた「よっこいしょ」も、「頑張れ」と声を掛けたくなります。

さて、もう一冊京都関連本のご紹介。絵本「市電22番」(文理閣1800円・初版)です。タイトルにあるように、京都市内を走っていた市電22番系統を主人公にした絵本です。市電に乗って、通学、通勤された方には、あのパンタグラフ、つり革、正面から見た面構えなど、懐かしいなぁ〜と思われるのではないでしょうか。

表紙をめくると北大路橋を往く市電と、鴨川で遊んでいる子供たちを捉えた写真が載っています。かつてここにも市電が走っていたんだなぁ〜という感慨に耽ってしまいました。絵本は、交通渋滞の一因にもなりかねない市電の撤去を描いています。

「バスのほうが好きや 早いもん そやかておいこせるやん 電車はレールの上 走ってるしおいこせん なんで しでんなくなるや 車はしるのに じゃまになるしかな」

という子供のモノローグ通り廃止になりました。ラストカットは、どしゃぶりの雨の中を、遠くに消えてゆく市電を描いてあります。市電が泣いていたのかもしれません。

なお、この絵本ほ発行は1978年。一応ビニールで保護していますが、表紙カバーに破損があることをご了解下さい。

呑海龍哉さんの写真展は、2017年1月31日(火)〜2月5日(日)レティシア書房にて開催予定