店内のギャラリー展示がしばらくのあいだ中止になっているので、この場所を使って単行本100円、200円、300円バーゲンコーナーを作りました。本日は300円本から。

★300円コーナー

300円コーナーには、函入り全集の端本が何点か並んでいます。金子光晴全集15卷(中央公論社版)の内、評論と詩を扱った六冊が、そして永井荷風の随筆を全五冊にまとめた岩波書店版「家風随筆」(定価3000円)の内の二冊が出ています。特にこの二冊は超お買得です。文章の美しさ、達者な筆運びなど、明治から大正にかけて書かれた荷風の真髄が散りばめられています。

庄野潤三の「文学交友録」(新潮社)は、1994年から1年間雑誌「新潮」に連載された庄野の文学的自叙伝で、私もかつて近代日本文学史の勉強のために読みました。島尾敏雄、佐藤春夫、三好達治、吉行淳之介、井伏鱒二など多くの文人が登場します。最終章で実兄、庄野英二について語られていますが、この本を読むまで、恥ずかしながら児童文学者庄野英二が兄弟だと知りませんでした。

「昭和三十年、兄が四十歳のときに『朝潮のはなし』ほか十篇を収めた最初の童話集が京都のミネルヴァ書房から刊行された。自費出版であった。」

処女作「朝潮のはなし」は、戦争に召集され戦地に駆り出されて、帰ってこなかった朝潮という馬と、この馬を育てた少年の悲しい物語です。英二の代表作「星の牧場」でも愛馬が登場するので、その原点です。

「ぬかみそを漬けるとわかる 毎日がゆっくりとちがってみえる 手がはっきりとみえる」

とは、詩「ぬかみその漬け方」の最後の文章です。お料理をテーマに66編の詩を収めたのが長田弘の「食卓一期一会」(晶文社)です。全編全て食べ物の詩という画期的な詩集で、私も好きな一冊です。

「こころさむい時代だからなあ。自分の手で、自分の 1日をふろふきにして 熱く香ばしくして食べたいんだ。 熱い器でゆず味噌で ふうふういって。」

引きこもっている今こそ、こんな詩を読んで、ちよっとホッとしたい。

ジャズトランペッターの帝王マイルス・ディビスを論じたり、作品を紹介した本は沢山存在しますが、この本がベスト。信頼できる一冊というのが、中山康樹「新マイルスを聴け」(径書房)で、マイルスの全作品(いわゆる海賊版まで含んでいる)を紹介。500ページにも及ぶ大作です。アルバムごとに紹介、批評が簡潔に書かれているので、この本を読みながらマイルスの作品を集めるには絶好の一冊です。中山は、日本のジャズ評論家の中で、フラットな感性と新しいサウンドも熱心に紹介してきた、個人的には最も信頼できる音楽評論家でした。大阪出身、若い時に梅田のレコードショップでお見かけした記憶が………。

2015年63歳で亡くなりました。惜しい!なお、本書は若干の汚れがあります。だから300円です。

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