765ページ、本の幅約5cm!ほんまに、なんや、この分厚すぎる本は!と初めて箱から出した時に思わずぼやきました。

柿内正午著「プルーストを読む生活」(H.A.B/新刊3245円)が、それです。帯の裏に曰く「うっかり神保町で『失われた時を求めて』ちくま文庫版全10巻セットを買ってしまった」。「うっかり」プルーストの「失われた時を求めて」を買うか??

20世紀、フランス文学を代表するプルーストの代表作ではありますが、途中で脱落する人が多いとか。大学時代、仏文科の友人が、これは地獄だと漏らしていたのを覚えています。

「せっかく買ったので毎日読んでいる。せっかく読んでいるので、読みながら毎日ものを書くことにした。毎日読んで、毎日書く。それだけを決めて、ほとんどプルーストではない本ばかり引用し、役にも立たなければ、読んだ端から忘れていくので物知りにもならない、ただ嬉しさがある読書日記」

ということで、はっきり言ってプルーストの研究本でもなければ、真面目な文学研究本でもありません。

「さいきんプルーストについての言及も1日に読み進めるページも減っているのは、『私』が道行く女の子たちにいちいち気を取られて、あの身体がどうだ、あの鼻筋がどうだとうるさく、なかなかノリきれていないからのようだった。」

おいおい大丈かと思いつつも、道行く女の子たちが気になるのはよくわかる。

著者がいうように、多くの本が登場します。そこが面白い。「プルーストも脱線しまくる。とにかく話が長い。」とは著者の言葉ですが、あんたも脱線しまくってるやろ!

そうしているうち、あぁ〜脱線しまくるってこんなに爽快なのね、という気分になってきます。私も、どんどん吹っ飛ばして読んでは、また戻ったりして、けっこうこの本で遊んでいます。そういう意味では全然退屈しない本です。

で、なんでプルーストなの、という素朴な疑問に著者はこう答えています

「僕にとってプルーストは、労働の日々に磨耗する精神の、それでもよき生を希求する抵抗の象徴であったからだ。」

先日、インスタにこの本のことをアップした夜、ひょっこり著者が来店されました。名古屋でトークショーの帰り、京都で販売している本屋さんへの挨拶とのことでした。全部この本読まなくてもいいんだよね、そんな読み方もありだよね、というと、そうですよと微笑まれた様子がとても素敵な方でした。

★レティシア書房 年末年始の休み

12月28日(月)〜1月5日(火)休業いたします。よろしくお願いいたします。