アイドルだと思っていた原田知世は、今や立派な女優さんになりました。彼女が、オールドファッションな曲を、オリジナル言語でカバーしたアルバム「カコ」(廃盤2200円)が入荷しました。

ジャケットに、まるで彼女の幼少の時かと思わせる写真が使われていますが、これ植田正治のお嬢さんの和子さんを撮った作品なのです。和子さんの愛称”カコ”をアルバムタイトルにしています。アルバムが発表されたのは1994年。自分の写真を使用しないで植田の作品を使った彼女のセンスに、アイドルから脱皮していく気持ちを感じました。

さらに、CDのインナースリーブの写真は植田正治が撮影しているのです。まさか、こんなところで植田の作品で出会うとは驚きです。彼は出身地の鳥取県境港市を拠点にして、いわゆる「植田調」の写真を撮り続けました。とりわけ、鳥取砂丘に人物を並べたポートレイトは、独特の、不思議な世界が立ち現れていました。彼の全貌を知りたくて鳥取にある「植田正治写真美術館」まで行き、素敵な時間を過ごしたことを思いだします。

さて、原田知世は、プロデュースに「ムーンライダーズ」の鈴木慶一を迎えて、62年、スキータ・ディビスのヒット曲「この世の果てまで」(あぁ〜あの曲と思いだす、あの曲です)、64年、イタリアの歌手ミーナが歌った「砂に消えた涙」、ご存ジョニ・ミッチェルの名曲「青春の光と影」等7曲を歌っています。裏ジャケのスタッフの名前のところに、”Language Master”というクレジットで三人の名前が入っています。英語、イタリア語、フランス語の歌詞をきっちり歌うために、発音をしっかり学び、発声したという気合いの表れです。これも、アイドル脱皮第一歩だったのかもしれません。

植田の撮った彼女のポートレイトは、きっと被写体と相性がいいのか不思議な浮遊感を醸し出しています。

 

ところで、京都は朝から雪。犬の散歩コース御所も雪景色でした。犬たちはもう大喜び。写真は「楽しいなぁ〜」会話する我が家のマロン(15歳)と後輩犬のラッキー(7歳)です。

 

★2月8日(水)〜19日(日)レティシア書房恒例「女子の古本市」を開催いたします。

東京、岐阜、神戸、大阪、滋賀、京都から20数店の女性店主がセレクトしたステキな本が、所狭しと並びます。ご来店お待ちしています。

 

 

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児童書専門の出版社福音館が発行している月刊誌「たくさんのふしぎ」は、えっ!と思う人が担当していることがあります。

例えば2003年12月号「好奇心の部屋デロール」は、今森光彦が文を書き、写真を撮っています。取り上げられているのは、フランスにある動物の剥製を販売するお店「デロール」です。1831年に創設され、当初は理科実験の道具を販売していましたが、多くの人に野生の美しさ、気高さを知ってもらおうと標本販売を手掛けることになりました。ライオン、シマウマ、クマ達がお出迎えしてくれるワンダーランド。動物だけでなく、机の引き出しを開けると、蝶や虫、貝、さらにはアンモナイト等の化石まであります。この不思議で、楽しそうな世界へと、著者が誘ってくれます。子供だけに読ませるのは惜しい一冊です。著者サイン入りで500円。

2005年12月号は「かくれんぼ」が特集です。写真を担当しているのは、植田正治。これは、もう彼の写真集です

「これから写真の世界でかくれんぼしよう」という言葉を合図に、様々なかくれんぼの姿が登場してきます。お馴染み、植田のバックグラウンド、鳥取砂丘をバックにトランペットを吹く女性。楽器で顔が隠れています。写真に付いている言葉は「音にかくれる」。

今まさに、海に向かってダイブする男性を背後から捉えた写真には「ぼくは一番深いところにかくれるよ だれにも見つからないように。息もとめる。」という文章が添えられています。

児童文学者、岩瀬成子の詩的な言葉がピタリと植田の世界を表現します。古い大きな建物の前にたたたずむ、白いワンピースの少女。「何かがこっそりかくれている気がする」という言葉通り、ちょっと怖い感じで迫ってきます。

海辺付近の古い家の軒先でかくれんぼしている少女の後ろ姿を捉えた作品が、表紙を捲ってすぐに登場します。

海辺の上に広がる雨雲と朽ち果てていくような家屋。鬼さんに見つからないように隠れながら、ちょっと覗いている表情が絶妙のバランスで配置された、モノクロ写真の妙味を見せてくれる植田作品。写真集として持っていても損しません。(1000円)

 

臨時休業のお知らせ 5月9日(月)〜11日(水)

哲学者の鷲田清一は、「てつがくを着て、まちを歩こう」(ちくま学芸文庫400円)で、こう言っています。

「センスというのは一種のバランス感覚である。しかし、センスは、どこか力んでいないというか、ほころびがあってこそのセンスで、完璧なコーディネーションというのはちょっと不気味なものである」

「力んでいない」という言葉を「遊んでいる」という言葉に置き換えて、この本を読んでいると、最近とても気に入っている写真集を思いだします。青幻舎から出版された「植田正治のつくりかた」(3150円)です。

鳥取砂丘を舞台に、独特の人物配置で、凝りに凝った写真を撮っていた植田正治の作品を見ていると、ホント、「センスいいねぇ」と呼びかけたくなります。多分、この人の撮影現場は、「はい、そこの人もっと砂丘の奥まで走ってね」とか、暑い昼間にスーツ着せて砂丘に立たせたりと、スタッフはさぞ大変だってでしょうが、次から次へとわき出す遊び心で、本人はニンマリしていたことでしょうね。(左・ご本人の写真)

そんな砂丘での代表作以外に、初の写真集「童暦」に載っている作品も収められていますが、これがまた、「センスいいねぇ!」なんです。シルエットで捉えられた幼子と少女が道路を横切る「妹のお守り」や、運動場で仔牛を押している農夫をロングショットで捉えた「運動に出された仔牛」など、ほのぼの感満載で、何回見ても飽きません。

後半には、珍しいカラー写真も多数収録されています。東京タワーとその後ろに広がる雲を、俯瞰気味に捉えたセピア画調の作品からは、秋空の清々しい空気が漂ってきて、思わず深呼吸したくなります。

年始年末、何が楽しいのかわからん騒がしいTV番組より、この写真集をゆっくりと見ている方が、精神衛生上極めて良き事と思いますが。

■年始年末営業案内  年末は29日まで、年始は4日から通常営業です。12時〜20時。月曜定休。

 

□1月28日(火)〜2月9日(日) 「一箱古本市」開催します。

 

 

 

 

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行ってみたい!とかねてから思っていた「植田正治写真美術館」へやっとこさ行って来ました。

鳥取県米子駅から車で20分。な〜んにも無い所に建ったコンクリート打ち放し堂々の美術館(高松伸設計)。中に入ったら、たくさんある矩形の窓から大山が見えます。その風景の切り取られ方が、モダンで植田正治的!と、展示もさることながら建物に感激しました。窓を背景に、ポーズを決めて写真が撮れるように工夫されている場所もあったりして大いに楽しめます。

さて、1階の展示は生誕100年の記念の展覧会で、写真を志した10代の頃から晩年まで簡潔に並んでいました。植田さんは写真店をしながらあくまで「アマチュア」にこだわり、つまり撮りたいものを撮るという姿勢を崩さず独自のスタイルを確立しました。戦後欧米から入って来た写真雑誌に夢中になり、自由に「写真する」を楽しんだ様子が作品から伝わって来て、見ているこちらもすごく嬉しくなります。作品をみて幸せになれる作家って本当に素敵です。

写真の作品と同じ様なセンスのよい美術館で、並べられた写真作品をゆっくり見て、そこで緩く過ぎて行く時間を楽しむ、というのは贅沢な休日。周辺をあちこち巡らないで、バタバタしないという遠出を時々やってます。実は休みが、なかなか続けて取れないというのが、ホントのところなのですが、まあ、それならそれで一カ所ずつ攻めるか、というわけです。京都から米子「植田正治写真美術館」まではけっこうな時間を要するのですが、車窓もまた楽し!です。

と言いながら、お城があると上ってしまう癖で、米子城跡もついでに行きました。お天気に恵まれて境港まで見渡せ、季節の変わり目をじっくり堪能いたしました。米子のタクシーに乗ったら「な〜んもないところでしょ?」と言われましたが、そんなことない。住んでる人は地元の魅力を案外わかってないかもしれません。米子城跡もご近所の散歩コースみたいで、観光客向けのものは皆無で、ほっこりしました。京都に住んでいて、京都のこと何も知らない私が言うのもなんですが・・・・・。(女房)

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