来週8月8日(水)から始まる古本市に出る本の紹介第2弾です。

これは面白そう!と表紙だけで、読みたくなったのが「謎のマンガ家・酒井七馬伝」(700円/出品 本は人生のおやつです)です。手塚治虫の単行本デヴュー作は「新宝島」ですが、その後、この作品は多くの漫画家に賞賛され、追い越そうと多くの作家が努力してきました。しかし、「新宝島」には共作者がいました。現在、手塚全集に収録されているのは、手塚がリメイクしたもので、どこにも共作者の名前はありません。まるで封印されたようなその共作者の名前が、酒井七馬なのです。

「新宝島」の作画を大学生だった手塚が担当し、原作構成を関西マンガ界のベテランだった酒井が担当しました。出版社に、無名の手塚を売り込んだのも彼でした。しかし、その後二人の間に確執が生じ、マンガ界の頂点目指して脚光を浴びる手塚に対して、酒井は全く売れず、紙芝居業界に転じ、あげくはコーラを食料にして、寒さに震えながら餓死同然にこの世を去ったという伝説だけが残りました。でも、それは真実なのか?それを探ってゆくのがこのノンフィクションです。我が国のマンガ黎明期の歴史もよく解る力作です。

池澤夏樹の娘、池澤春菜の書評集「乙女の読書道」(500円/出品 本は人生のおやつです)も、読んでおきたい一冊です。声優、歌手、ガンプラ女子など多彩な顔を持つ春菜は、SF小説にも深い造詣があります。海外のSFを中心にして、多くの書評が載っているのですが、ファンタジー、耽美小説、幻想文学と広い範囲をカバーしています。書評の間に、「向こう岸の父と祖父」という、自分の家族を語った文章もあります。「私の父は作家、池澤夏樹。 私の祖父は作家、福永武彦、私の祖母は詩人、原條あき子。」という書出しで始まります。著名な作家に囲まれて育った、彼女の思いが綴られています。巻末には父娘による「父と娘の読書道」も入っています。

昨日紹介した夏葉社の新刊「庄野潤三の本 山の上の家」の主人公、庄野潤三の作品もあります。「紺野機業場」(500円/出品OLD BOOK DANDELION)です。雑誌に掲載された長編小説を単行本化したもので、発行されたのは1969年。「ふとしたことから私は、北陸地方の海ばたの、さびしい河口の町で小さな織物工場を経営している紺野友次という人と知り合った。それからもう四年になる。」という風に始まる物語は、紺野という人物を通して、この地方の織物文化、歴史等が語られていきます。古本市では庄野の作品はよく見るのですが、これは初めて見ました。レアなの?

 

 

★レティシア書房恒例「夏の古本市」は、8月8日(水)〜19日(日)開催です。なお、準備のため6日(月)7日(火)は連休いたします。