国も違えば文化も全く違う、それぞれのバックグラウンドを背負った9人の女性たちの海への深い愛情を綴ったドキュメント映画「シー・イズ・オーシャン」(京都アップリンクにて上映中)は、オーシャンブルーが心に染み込む映画でした。

ハワイを代表するサーファー、サメ保護活動家、救急救命士資格を持つマウイ島在住のサーファー、チリを拠点に活動するフリーダイバー&水中バレエダンサー、世界的に有名な海洋生物学者、クリフダイビングのチャンピオン(おそろしく高い崖から飛び込むダイバー)などが登場します。

それぞれのアプローチは違いますが、彼女たちを育てた海への深い尊敬は皆一緒です。映画は、自分を鍛え、育て、癒し、時には悲しみを与える海と彼女たちの関わりを見つめていきます。

先ずは、高度な技術を持つサーファーが、ビッグウェーブに挑戦する姿を超高速撮影で捉えたシーンで海へ引っ張り込まれます。そして、クリフダイビングなんてスポーツがあって、最初は参加もできなかった女性ダイバーが、チャンピオンにまで上り詰めたという事実に驚きました。断崖絶壁から一直線に荒波が待ち構える海に飛び込むなんて想像できません。

またカメラは、無残に殺されていって頭数が激変しているサメの保護活動家が、群れの中で一緒に泳いでいる姿を捉えます。映画「JAWS」で悪者扱いになってしまったサメのイメージを変えようと、一般のダイバーと共に海に潜り、友人ですよというようにサメに紹介するのですから驚きです。

映画の中で、きっと彼女たちは海の声を聴いているのだと思いました。海の声、それは波の音であり、吹きつける風の音であり、そこに生きる動物の気配、時にはプラスチック製品を飲み込んで死んでゆくウミガメや海洋汚染で死に絶えてゆく海鳥の叫びです。

監督はドイツ人のインナ・ブロヒナ。ロシアテレビ局と提携し、ロシア初の長編サーフィン映画を監督した女性です。

海が女性的なルーツを持ち、人々が海を” She”と命名したインドネシアの伝説に触発されて、この映画の撮影を開始しました。「母なる海」とは言いますが、「父なる海」とは言いません。だから海には女性がふさわしい。監督の思いはそこにあったのだと思います。

これはTVの小さな画面で観る映画ではありません。劇場の大画面で見てこそ理解できる映画です。