さて、何か文学に親しもうかなぁ〜と思った時、側に置いておくと良い(或は悪い?)のが岡野宏文と豊崎由美二人のコンビによる「百年の誤読」(ぴあ、海外文学編、日本文学編 各800円)です。本読みのスペシャリスト二人が、古今東西のベストセラーを丸裸にしていく楽しい文学案内です。武者小路実篤の「友情」を、岡野が「とりあえず文章のこんな雑な作家はいないだろう」と言えば、豊崎が「その珍妙さを丸ごと受け入れるとこから実篤くんの味わいがスタートするんだもの」と受け答えして、軽妙な実篤論が始まります。或は、「けた外れの怠け者」「駄目男ぶり爆裂」などと言いながら絶賛するのは、佐藤春夫の「田園の憂鬱」。ここまで言うなら読んでみようか、という気になってくる本が満載です。

モンゴル出身のバーサンスレン・ボロルマーが描くモンゴル遊牧民の四季を追いかけた絵本「ぼくのうちはゲル」(石神社700円)。宿営地のゲルで生まれた男の子ジルが、家族や家畜と共にモンゴルの大地を駆け巡るお話です。ゲルというのは、モンゴルの人達の組立て可能の移動式住居です。ゲルに住まいしながら、春夏秋冬、宿営地を羊とめぐっていく彼らの姿が、東洋的なタッチで描かれます。緑の大地に建つゲルの絵を見ていると、そこを駆け抜ける風が通過してゆくのが見えてきそうです。

 

 

淡谷のり子、と言われてもお若い方には??かもしれませんが、ある年代以上には、あの顔は、一度知ったら絶対に忘れられないと思います。1907年青森生まれの歌手で、日本シャンソン界の草分けであり、また、◯◯のブルースという題名の歌を連発して、『ブルースの女王』とも言われました。1937年に「別れのブルース」が大ヒット、スターダムへ登りつめます。ブルース的雰囲気を醸し出すため、吹込み前の晩は、酒・タバコを呷り、ソプラノの音域をアルトに下げて歌っていたそうです。また、戦時中の慰問には、もんぺを履かず、禁止されていたパーマをあて、ドレスに身を包み、禁止されていた英語の歌や、恋愛の歌を歌った根性の坐った女性でした。その彼女が自分の半生を物語った「ブルースのこころ」(新日本出版社900円)は、彼女が生きた昭和という時代が浮き彫りにされています。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!暑い日が続きますが、ぜひお立ちよりください。

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。