山田洋次監督「男はつらいよ お帰り、寅さん」を観ました。若い頃、私は寅さんシリーズが大嫌いでした。ロードショー公開されていた時、何本かは映画館で観ましたが、全く受け付けませんでした。日本的情緒たっぷりの登場人物たち、湿り気のあるユーモアセンス、そして何より渥美清演じる寅さんの行動が陳腐すぎて、何でこんな映画観るんだ!と怒りまくって映画館を出た記憶があります。

しかし、年を取るというのは恐ろしいというか、素敵というか。何年か前にBS放送で全作品を放映していた時、何気なく観たら、なんと完全に引き込まれてしまったのです。寅さんて粋だなぁー、カッコイイと思ってしまい、全作観たその上に、再放映されるごとに観るという熱心なファンになってしまいました。(もともと寅さんファンの女房は呆れ顔)

渥美清亡き後、再度寅さんをスクリーンに戻そうとして企画された本作品、最初はかなり??でした。かつてのマドンナが大挙登場して、同窓会みたいなお祭り映画になってしまうのでは、という懸念がありました。

いやぁ〜、流石に山田洋次監督は凄い!脱帽です。むやみと寅さんの映像を出さずに、きちんと一本の映画にしているのです。抑制が効いています。あくまでもさくらの息子満男を主人公にした物語として仕立てていました。小説家になった満男が、かつて結婚の約束までした初恋の人・イズミ(後藤久美子)と偶然出会うことから物語は始まります。彼女との過去を思い返すとき、そこに寅さんの姿が一瞬蘇ります。ストイックな演出が冴え渡ります。

私が感心したシーンがあります。イズミがお母さんと一緒に、老人ホームにいる父親に会いに行った帰りに、過去の母と娘の関係を巡って言い合いになり、母親が車を飛び出します。その背後に夕闇迫る空が広がります。暗闇とほんの少しの夕焼け。親子の行く末を象徴している風景のようでした。

そしてわずかな出番でしたが、やっぱり寅さんを演じた渥美清はかっこいい存在でした。こんな着こなしは、台詞回しや所作も含めて誰も出来ません。

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