連休明けのある日、中須俊治さん著の「Go to Togo」(烽火書房/1650円)を持って、出版社の嶋田翔伍さんが来られました。アフリカのトーゴ共和国へ向かった青年が、この国の織物の美しさに惹かれて、京都の伝統工芸の技と融合ささせようと奮闘したプロセスを描いた本です。著者も京都、版元も京都。う〜ん、これは置くしかないと店長が判断したそうです。

ちょうどギャラリーも空いているし、出版記念の展覧会の話がまとまりました。急遽決まったことでしたが、嶋田さん、著者の中須さん、お友達の協力で素敵な展示になりました。トーゴの街角のウキウキするような鮮やかな布地屋さんの写真が中央に飾られています。一方の京都の職人西田さんの写真は、窓から差し込む光の中で作業されている姿が渋くてかっこいい。

本の中で中須さんは、生まれたばかりの娘さんに「お父さん、それかっこいい」と言ってもらえるような仕事をしていきたいと述べていましたが、京都の職人さんもトーゴの女性の顔も輝いています。

中須さんは京都信用金庫に勤務しておられた経験から、若い情熱だけで無謀にもアフリカと京都をつなげる、と言った冒険ではなく、作り手の顔が見えるしっかりした商品を届けたいという思いで起業されました。そのプロセスが軽快な文章で綴られています。自分一人で乗り越えられない苦労も、仲間や先輩に支えられて一つ一つ解決していきます。それもただ夢のような話ではなく、人と人がつながるリアルな描写が心地よい本です。この気持ち良さは、きっと著者の人柄でしょう。

現在トーゴもロックダウンされていて、美しい布の展示はできませんでしたが、ブックカバー(3500円)、名刺入れ(4000円)、蝶ネクタイ(4000円)、ペンケース(3000円)、パスポートケース(4000円)、ミニマット(1000円)などの雑貨を展示販売しています。見たことのないトーゴという国を想像しながら手にとってみてください。

トーゴ共和国は、チョコレートで有名なガーナ共和国の隣で、周辺国に比べると経済資源の少ない世界最貧国の一つだそうですが、アフリカンプリントと呼ばれる布にはトーゴで生産されているものが多いのです。そしてその中でもケンテという布は王族に献上される一級品。そういう「ものづくり」をリスペクトし、京都の技術と融合させて新しい価値を生み出し「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ことを目指す取り組みにご注目いただけたら幸いです。

この本の仕様は変わっていて、日本での話は縦書きで、トーゴで起こる様々なことは横書きになっています。その度に読み手は本をひっくり返しながら読まなくてはなりません。面倒くさいな〜と、敬遠していたのですが、読み始めるとちょっとした気分転換という感じで面白く読み進むことができました。本の製作過程の展示パネルもありますので、ご覧ください。

前日の展覧会の準備は、仲間と一つのものを作り上げる楽しそうで、少し懐かしく羨ましく見ていました。人が繋がっていく輪の中に、本屋もちょっと入れてもらえたとしたらこんな嬉しいことはありません。(女房)

『中須俊治「Go to Togo 一着の服を旅してつくる」 アフリカ布と京都のものづくり展』は6/24(水)〜7/5(日) 13:00〜19:00   (6/29  6/30は休み)