春爛漫。

本日から片山陽子さんの染色展「感じる・話す」が始まりました。

蒲公英(たんぽぽ)を描いた一連の小さな作品は、いつの間にか花が近くで咲いていて、気がついて目を留めたと思ったら、またいつの間にか綿毛になって飛んで行った、というような時間の経過を感じます。

空を駆け上がる龍も、黒い雲の間から稲妻とともに勇壮に飛ぶイメージとは違い、どこからともなく目の前にフワリと現れたと思ったら、すーっと消えていく夢の世界にいるような不思議な生き物のよう。橘からイメージした「あの日の精霊」という三作品も、そこにいたはずの花の精が、風に舞って目の前からいなくなって、本当に見たのかどうかわからない儚い感じがします。いずれも、静かな時の流れの中で、頬に当たる風や、目の前を横切る暖かな光のような不思議な優しさ。

片山さんは、岡山県出身。倉敷芸術科学大学工芸学科染織コース卒業後、京都市内の工房で10年間友禅の仕事に従事しました。現在は地元で、別の仕事の傍ら作品制作を続けておられます。キャンバスに絵の具で絵を描く代わりに、染めならではの、滲み、ぼかしの特長を生かして、布地に描いていきます。布地は、糸の捻りによって滲み方や味わいが変わっていき、下絵通りにならないところも面白みになったりするそうです。

今回の個展では、手描き友禅の技法をベースにした片山さん独特の、ふわりとした浮遊感のある美しい作品が並びました。人が生きていく上で、周りの大切な人たちとの交流、側にいる動物や植物に対する愛情など、「活きている」ものたちと自分との間にあるやりとりを決して大声ではなく、小さな声で優しく語るように染め上げられた片山さんの初めての展覧会になりました。ギャラリーもすっかり春の空気で満たされています。お花見のついでにお立ち寄りいただければ幸いです。(女房)

 

●片山陽子染色展『感じる・話す』は4月9日(火)〜21日(日)12時〜20時(最終日は18時まで)月曜定休日

 

 

 

 

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