フェルト作家の鈴木オリエさんの絵の展覧会が本日より始まりました。

2012年3月に京都で開催された「羊パレット」で、初めて鈴木さんのフェルト作品を見て、その色の美しさと、スックと立った造形に惹かれました。ご縁があって2016年11月、レティシア書房でフェルト展を開催することができました。店長の選書、例えば宮沢賢治や池澤夏樹などを読んで、作品を作っていただくというワクワクする展覧会でした。鈴木さん独特のビビッドな色をまとったフェルトの立体作品、男の子やクマなどがギャラリー一杯に物語を運んでくれました。

それから3年、念願の第2弾。美術大学でデザインを専攻されていて、絵は子供の頃から大好きで描かれていたのですが、フェルト作家としてずーっと活躍されていたので、今回は作家にとって初の「イラスト展」となりました。アクリル絵の具や色鉛筆を使った深い色合いが、書店に馴染んで落ち着いた雰囲気が漂います。フェルト作品を作り出すのと同じように、丁寧なタッチで一つ一つ愛おしむように描きこまれています。最近、猫を飼い始めたとのことで、どうしても目の前にいる同居人(?)がテーマになるとか。本好きの彼女が描く童話のような世界が広がっています。

二度と描けないということで、残念ながら作品は全て非売です。ゴールデンウイーク中、この辺りは比較的静かで落ち着いていますので、お時間があればぜひお立ち寄りくださいませ。鈴木オリエの新しい魅力をぜひ見ていただきたいと思います。(女房)

「鈴木オリエ イラスト展」は4月24日(水)〜5月5日(日)12時〜20時 月曜日定休

 

レティシア書房はゴールデンウイーク中も通常営業しております。(4月29日は定休日)

 5月6日(月)〜8日(水)は連休いたします。

 

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先月、当店でトークショーをしていただいた「宮沢賢治愛のうた」(夕書房/新刊1944円)の著者、澤口たまみさんの絵本「わたしのこねこ」(福音館書店/新刊1296円)を入荷しました。

小さな女の子の家に、友達の家で生まれた子猫がやって来て、クロと名付けられます。女の子や、お母さん、この家の先住猫レオと仲良くなって、段々と家族の一員となるまでを、ほのぼのと描いています。絵を担当しているのはイラストレータのあずみ虫。安西水丸に師事し、アルミ板をカッティングする技法で作品を制作しています。カットして貼り込んだ絵がスッキリして、生き生きとした猫の表情がとても可愛いです。

本の最後に「猫を飼ってみたいと考えている方へ」と題して、こんな文章が書かれています。

「飼う人のいない猫を保護したり、飼い主をさがしたりしている団体が全国にあります。そこには、子猫や大人の猫、年をとった猫、そしておなかの大きなお母さん猫など、たくさんの猫がいます。お近くの保護団体と連絡をとり、大切な家族となる猫と出会ってもらえたらと、願ってやみません。」

もう一点、不思議な絵本を。ニール・カーティス絵、ジョーン・グラント文による「ネコとサカナ」(アールアイシー出版/古書900円)です。ある夜、公園で出会ったネコとサカナ。全く違う世界に生きているのに、妙に気が合い、二匹で冒険の旅へと出かけます。寒い夜、ストーブにあたって暖をとっているシーンとか、ボートに乗った二匹が海を進むシーンとか、不思議な雰囲気に、なんだかこちらもリラックスして来ます。ニールの絵は、版画の伝統を意識しながらも、大胆な構図で楽しく、冒険を終えた後、海辺で昼寝を貪るラストがなんとも微笑ましい。翻訳をしているのは、文化人類学者の辻信一。「ナマケモノ倶楽部」代表として、数々のスロー運動でお馴染みの方です。

さて、昨日当店にも猫さんがご来店。みいこちゃんと言います。飼い主の方は、羊毛で作ったウサギさんが超人気の「棚からうさもち」さん(レティシア書房ギャラリーで開催中。31日まで)のお知り合いです。と、そこへ俳優の栗塚旭さんがご来店!栗塚さんは猫好きで、猫の絵が飾ってあるのを見て、前に立ち寄ってくださいました。80歳をすぎておられるとは思えないほど大きな素敵な声です。と、いうわけでめでたく(?)ツーショットとなりました。因みに、栗塚さんは、中島貞夫監督新作「多十郎殉愛記」(高良健吾主演)に出演されています。

松本大洋がルーヴル美術館に暮らす猫を描いた「ルーヴルの猫」(上下巻/古書2200円)は、切ない物語です。ルーヴル美術館の奥、誰にも知られていない屋根裏部屋に、昔から猫たちが住みついています。それを世話しているのが、ルーヴルで生まれ育ったような老人マルセルです。物語はマルセルと、ここで働くセシルという女性と、猫たちが絡み合いながら進行していきます。

猫同士が話している時は、擬人化された姿で描かれて、人間の視線で彼らを見ている時は、猫の姿で描かれています。さてあるとき、セシルは、マルセルから不思議な話を聞きます。彼にはアリエッタという姉がいたのですが、他の子どもとなじめず、絵を見ている時だけが幸せでした。そして「絵の声が聞こえる」と言い残して、マルセルの前から姿を消しました。

「この館に大量にある絵の中のどこかで……姉は暮らしている…..ずっとな。」と、マルセルは信じています。絵の中で生きているなんていう話を信用しなかったセシルも、やがて一緒に探そう とします。それまで、下向きに生きてきた彼女のうつろな視線が、徐々に光を持つようになってきます。そして、アリエッタが子どものままで生きているのは、 アントワーヌ・カロンの「アモルの葬列」の絵の中であるらしいことが分かってきます。後半では、この絵をめぐって様々な物語が展開していきます。(この不思議な絵は、上巻の最初に掲載されています)実は、猫たちの中にいる白猫”ゆきのこ”も、ふっと姿を消して絵の中に入ったりできるのです。どこか孤独な影を引きずるゆきのこもまた、絵の中に自分の幸せを求めているのかもしれません。マルセルは果たしてアリエッタと再会できるのか…….。この結末は、切なく迫ってきます。映画だったら、きっと泣けてくるシーンです。

ラスト、立派なオス猫になったゆきのこは、危険があるのは承知の上で、外の世界を見ようと旅立ちます。その彼の背後で囁くアリエッタの声。「ゆきのこさん、今はもう….わたしの声はあなたに届かない。(中略)天高く尾を上げてたたかっていらっしゃい。わたしはいつでもここにいるわ。」別れと旅立ち、そして希望。見事にブレンダされた秀逸なエンディングです。何度も読み返したくなりました。

 

京都御苑の梅林が、やっと咲きそろいました。季節外れの雪が降ったり妙に暖かい日が続いたりと、何かと不順なお天気ではありますが、今朝の散歩は春を間近に感じました。

さて本日よりギャラリーは高原啓吾さんの「猫描」展が始まりました。「猫」と「描く」という漢字が似ていて、「ネコネコ展」と言いそうですが、NEKOKAKUと読んでくださいね。

高原さんの描く猫は、何だか少しクールな印象がありました。2017年の個展の際に聞いたところによると、本人は猫アレルギー、したがって同居不可、でも猫は好き、とか。友だちのところの猫や近所で出会う猫たちをよく観察して、べったりくっついて猫可愛がりしていない分、絵にもちょっと距離をおいた感じが表れているのかもしれません。やたら可愛いだけの甘い猫には、決してならないのだと思います。

今回はいろんな手法を試しながら、猫にアプローチしています。キャンバス地に柔らかいタッチで描いたものは、猫をなでたときの安らかな気持ちが伝わってきます。ややぼかして、一気にかきあげるので、何枚も失敗を重ねて、やっとしあげた仔猫の愛らしい姿(写真上)をぜひご覧下さい。すーっと手を伸ばしている、黒い猫の精悍な風情(写真右)もとても美しい。

一方、黒い輪郭線を生かした正方形の作品群は、猫たちの一瞬の表情を捉えようとしていて、ユーモラスで楽しい。毎日つきあっている我が家の猫のしぐさにも似ていて、笑ってしまいます。そして、15センチ四方のドローイングの作品は、プレゼントにも喜ばれそう。新作も含めたカード(162円)、手ぬぐい(540円)、布製トートバッグ(1080円〜2592円)なども販売しております。

 

何枚も何枚も描き続けたからこそ生まれたシンプルな猫の形は、スッキリと爽やかです。高原啓吾のステキな猫たちに会いにどうぞお越し下さいませ。

レティシア書房もおかげさまで7年目に入ることができました。今後ともどうぞよろしくお願いもうしあげます。(女房)

★高原啓吾個展「猫描 NEKOKAKU」は、3月18日(日)まで  12時〜20時(最終日は18時まで)月曜定休日

 

 

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今年、正月一番に観た映画は、「猫が教えてくれたこと」(トルコ映画/京都シネマにて上映中)です。昨今の猫ブームのせいなのでしょうか、なんと満員で、立ち見の盛況ぶり。しかし、この映画、可愛らしい猫が登場するだけの映画ではありません。

トルコの古都イスタンブール。ここに住む猫たちは、街の中で日々の食料や安心な寝床を得ることできています。そして、心に傷を負った人にとっては生きがいとなったり、お店の人と適当に距離を取って仲良く付き合ったりと、様々なスタイルで生きています。

地面スレスレのカメラが、猫の目線で古都の姿を捉えていきます。7匹の猫と、それぞれに関わっている男たち、女たちのインタビューを交えながら、日常を追いかけます。猫と暮らす彼らは、そんなに裕福な生活を送ってはいませんが、どこにも暗さがないのです。いや、現実には大変なことが続出し、それぞれに苦しいのかもしれません。しかし、猫と共にいる時間だけは、穏やかに流れています。なんか日々の暮らしの小さな幸せを見つけ方が上手なのです。

猫でも犬でも、動物と暮す最大のメリットは何かと言えば、欲がなくなることではないでしょうか。おいしいものを食べたいとか、気持ちよく過ごしたいとかの欲求はありますが、分不相応な贅沢への欲は少なくなると思います。まぁ、一緒に生きてりゃ、いいかみたいになってくるのですね。もちろん、すべての飼い主がそうとは言えませんし、とんでもないお金をつぎ込んで、ペットを飾り立てている方もおられますが。

ところで、この映画に登場する人達は、ペットととして家の中に囲い込むことなく、共に、この街に生きる仲間として猫と暮らしています。「日々是好日」あるがままに、身の丈にあった日々を生きていければ、それは素晴らしいものだ、とこの街の猫たちは教えているのかもしれません。

 

★当店ギャラリーで現在開催中の「ネコヅメのよる」展(1月21日まで開催)で販売中のカレンダー「Charity Calendar2018」はあと数冊で完売です。また、著者の町田尚子さんの”ご当地サイン入り”絵本も十数冊で終了です。お早めにどうぞ。

 

あけましておめでとうございます。本日よりレティシア書房通常営業いたします。本年もなにとぞよろしくお願いいたします。

2018年ギャラリーは、町田尚子「ネコヅメのよる」原画展で幕開けです。

ある夜、古い家に住んでいるネコが、「ん?もしかして今夜か?」と気づくところから始まります。一体何が起こるのか?

あちこちの露地から、ネコたちがぞろぞろと出てきて、お互い「いよいよですね。」などと挨拶しながら、ある場所に集まっていきます。そこで大勢の猫たちが楽しみにしていたのは、何年かに一度夜空に上がる「月」だったのです。人は全く登場しません。ネコたちだけで成り立っている、ネコだけが知っている世界。

初めてこの絵本をみたとき、表紙のなんとも不敵な面構えに私はぞくっとしました。素敵!!!カワイイ猫は巷に溢れていますが、こういう、昔の映画に出て来る悪役のような、味のある顔にはなかなかお目にかかりません。この猫様を原画で観ることが出来たら、という願いが叶いました。本屋で原画展を巡回中の、WAVE出版さんからお話があり、町田尚子さんと親しいギャラリーnowakiさんのお口添えで、わがレティシア書房で開催されることになったのです。こいつぁ、春から縁起がいいわい!!

インパクトのある構図で様々な姿が描かれています。原画で見ると、夜の空気感や、細かいタッチ、深い微妙な色彩にみとれます。

 

町田さんは、8才のネコを引き取りました。「白木」という名前のネコがこの物語の主人公だと、絵本のあとがきに書かれています。そして、保護猫の活動にも参加されている様です。年末から販売中の町田さんの猫カレンダー「CharityCalendar2018」の売上げの一部も、動物保護活動に当てられています。

原画展開催を記念して、”ご当地サイン”入りの絵本「ネコヅメのよる」(WAVE出版1512円)、「CharityCalendar2018」(500円)、「手ぬぐい」(1300円)、「ポストカード」(2種類各162円)、「シール」(302円)など販売しています。(数量に限りがありますので、お早めに)

このブログを書いている最中に、町田さんのTwitterで知ったという図書館司書のお客様が来店されて「きっと関西でも原画展が開かれると楽しみにしていました。」と言って頂きました。本当に幸せなことです。「この絵本を子供たちに読聞かせしたら、すっごい喜ぶのですよ。」とも。ミステリー調に話して、怖い物語かと思っていると、最後に楽しいところで終るのがとってもいいのだそうです。

町田さんの猫世界にぜひ浸ってみて下さい。(女房)

 

 

 

2014年「ふたりのねこ」で絵本作家としてデビューしたヒグチユウコは、グロテスクさと可愛らしさをブレンドしつつ、奇妙な世界を、これでもかという過剰な描きっぷりで人気急上昇です。

しかし、奇抜な発想と画力だけではないとう事が、今回入荷した3冊の絵本を通してわかりました。2015年に発表された「せかいいちのねこ」(白泉社1512円)は、深く心に染み込む物語です。

本物の猫になりたいと願う、ぬいぐるみニャンコと、旅先で出会う本物の猫との交流を描くハートウォーミングな絵物語。登場する猫たちは、当然細かいところまで描き込まれていますが、ぬいぐるみニャンコが見せる様々な表情は、擬人化されたようなものではなく、ヒグチの猫だから出せる独特の魅力があります。そして、ニャンコをいじめる、一見イヤミな猫が、実はそうではなかったことが明らかになる所は、この絵本のクライマックスで、映画なら儲け役と呼べるキャラ。

 

「おれたちねこは、人間より寿命が短いからたいてい先になくなるんだ。でも、おまえはずっといっしょにいられるじゃないか」と、本物の猫になろうとするぬいぐるみ猫を説得して、泣かせます。

その翌年、発表した「ギュスターブくん」(白泉社1512円)は、作家の奇抜な発想力満開の一冊です。上半身は猫で下半身は、ヘビのような、蛸のような、グロテスク極まりない奴なのですが、猫の無邪気な可愛らしさと、底知れない不気味さを持ち合わせて、実にチャーミング。その他の奇妙な動物も、ここまで書き込まれるとアートですね。

そして同年出版された「すきになったら」(白泉社1512円)には、猫は登場しません。少女とワニの恋愛物語です。ワニは極めてリアルに描かれているのですが、とても優しい感情が伝わってきます。このワニ、前作の「ギュスターブくん」にも登場していますが、今回は少女と愛し合う二枚目の主役でした。とても素敵な恋する絵本です。

摩訶不思議な世界に遊ばせてくれるヒグチユウコは、これからも目の離せない作家の一人でしょう。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。

個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)


 

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なんの変哲もない門と時計台、そして奥に見える平屋建ての建物。門の前をドッジボールで遊ぶ少女。どこにでもありそうな風景を描いた「時計のある門」(1935年)から伝わってくる透明な静寂感は、観るものに様々な物語を投げかけてくるようです。

画家長谷川潾二郎が、パリに旅立つ直前のこと、麻布にあるこの赤煉瓦の堀のある建物(正確には東京麻布天文台ですが)を見た瞬間に、その素敵な雰囲気に魅了された彼は描こうと思いたちますが、諸事情で断念。しかし、パリから帰国して三年、この風景が心に浮かんできます。

「塀は私が描きに来るのを待っていたようだった。そして私はこの塀を描くために巴里から帰ってきた。そんな気がした。……」

画家が、やぁ、待たせたねと挨拶して塀の向こうへ消えてゆく姿を想像しました。

或は、夕暮の荻窪を描いた「荻窪風景」(1953)。初夏らしいある日の夕暮れ。道の向こうに女の子が誰かを待っています。画面のこちらから、仕事を終えたお父さんが帰って来る。手を降る女の子。並んで家路に就くのだろうか、と思いをめぐらせる小さな幸せが満ちた作品です。

長谷川の静物も魅力的です。この画文集の中からなら、私は「洋燈のある静物」が好きです。赤い縞のテーブルクロスの上に乗ったランプと洋書、そしてパイプと植物を入れた小瓶。まるで「暮らしの手帳」の表紙絵みたいな雰囲気です。日曜日の静かな午後のゆったりした幸せが漂ってくるようです。

猫好きの長谷川だから描けた「猫」(1966)。午睡に耽る猫の細やかな表情。赤い絨毯のぬくもりが伝わってくる作品です。この愛猫タローを描くのに、5年の歳月をかけたみたいです。画文集には長谷川自身の「タローの思い出」という文が載っています。ある時、彼はタローの履歴書を作ろうと決心します。これが傑作。姓名に始まり、現住所、本籍(エジプト)、職業(万国なまけもの協会日本支部名誉顧問)と続きます。体重は「ずっしり重し」には笑えます。

タローが死んで、庭に埋葬した後、どこからともなく現れた白い猫の話は、ペットを飼われている方、あるいは見送った方には涙ものです。

「長谷川潾二郎画文集−静かな奇譚」(求龍堂)は2400円で販売しています。

 

 

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2月22日はニャンニャンニャンの日!偶然にも今日から「猫」の絵の展覧会が始まりました!

『ねこのように』というタイトルがついていますが、その意図をお尋ねしたところ、

「彼ら(猫)は、とくに野良なんかは、自分のやるべきことをよくわかってて、風のふくまま・気の向くまま・なるようになる、そんな彼らみたいに、僕もとにかく今やるべきことをやって、気持ちよく生きて行きたいなあ、というような意味合いを込めています。」とのお答え。

猫は飼っているとよくわかりますが(うちにもふてぶてしい奴が一匹おります)、本当にわがままで、マイペース。言う事もきかないし!と思いながら、時に甘えるしぐさは可愛く、寝顔は極上。飼主は言いなりです。高原さんは、実はアレルギーで猫と住んだことはないのだそうです。その分、じっくり観察して絵に仕上げていかれるのではないかと思いました。猫の造形そのものが、好きなんですね、きっと。だからでしょうか、高原さんの猫たちは、甘いところがなく、すっきりとした佇まいで、こちらとの距離を測っているように見えます。

 

世の中、猫ブームとかで可愛い猫があふれていますが、ぜひ、クールで美しい高原啓吾の猫に会いにきて下さい。

 

 

なお、作品はすべて販売しております。今回の個展に合わせて「手ぬぐい(640円)」「ポストカード各種(162円)」「トートバッグ(1944円〜)」など、ステキなグッズもあります。(女房)

「ねこのように」展は、2月22日(水)〜3月5日(日) 月曜定休

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絵本作家、町田尚子さんの個展を観に行った時、いやぁ〜人を食った顔だなぁ〜と拍手喝采したのが彼女の新作絵本「ネコヅメのよる」(WAVE出版/新刊1512円)でした。この表紙を見ればわかりますよね。昨今猫ブームとかで、大量に猫本が出版されていますが、この本がピカイチだと思っています。

 

主人公は家猫ですが、人間が一人も出て来ません。そして、極端に少ない言葉。「おや?」「あれ?」「もしかして」「そろそろかもしれない」なんてフレーズに絵が一枚づつ付いているのですが、猫を見つめる視線が、まるで映画のカメラを覗いているみたいです。ローアングル、ロングショット、超アップ、大俯瞰と変化していきます。そしてある夜、猫達が行き着くステキな場所へと我々を誘ってくれます。妙に擬人化を施さないとこがいいです。猫に興味のない人もフフフと笑えてきそうな一冊。玄関に立てかけておいたら、この顔ですから厄払いもしてくれるかもしれません。

 

 

さて、もう一冊、やはり素晴らしい絵本の紹介です。酒井駒子(絵)、LEE(文)による「ヨクネルとひな」(ブロンズ新社/新刊1620円)です。仔猫のヨクネルのかよわい表情、女の子ひなちゃんの素直な感情が、酒井駒子さんらしい繊細なタッチで描き込まれていて、高いクォリティーの絵本に仕上がっています。ひなちゃんの顔、手の動き等隅々にまで、仔猫への愛しさが溢れています。ぐっすり眠っているヨクネルの表情も、よく猫を観察されているなぁ〜と感心します。駒子ファンなら、必読の一冊です。古書では、「金曜日の砂糖ちゃん」(850円)、「BとIとRとD」(1300円)、「ビロードのうさぎ」(1250円)、「くまとやまねこ」(1050円)もあります。

さて、こちらも新刊ですが、五味太郎「絵本図鑑」(青幻舎3024円)も見逃せません。1973年から2016年までに発表された、五味太郎の作品が網羅されています。全作品の表紙を収録、またエポックメーキング50と題して本人のコメント付きで中身が紹介されています。後半には五味太郎覚え書きがあります。

また、メリーゴーランド店主、増田喜昭さん他の方々が、五味太郎について語っていますが、その中で、編集者の小野明さんが興味深い指摘をされています。

「五味太郎は垂直好きだ。ビル、煙突、立木、塔、灯台、殿中、旗、信号、標識、杖…….。 絵本のそこかしこに立っている。」

絵本はページをめくる行為が水平方向の動きを促進するので、そちらに強い。だから垂直なものは、水平方向の動きに対して読点を打ち、画面全体をリズミカルにもする。画面がはずみ、軽快にする作用を持っている、との指摘です。これから五味太郎の絵本を見るときには、この点を注意して見てみるのも面白いかも。

★レティシア書房では、新刊書・古書の色々な絵本を置いています。