2014年「ふたりのねこ」で絵本作家としてデビューしたヒグチユウコは、グロテスクさと可愛らしさをブレンドしつつ、奇妙な世界を、これでもかという過剰な描きっぷりで人気急上昇です。

しかし、奇抜な発想と画力だけではないとう事が、今回入荷した3冊の絵本を通してわかりました。2015年に発表された「せかいいちのねこ」(白泉社1512円)は、深く心に染み込む物語です。

本物の猫になりたいと願う、ぬいぐるみニャンコと、旅先で出会う本物の猫との交流を描くハートウォーミングな絵物語。登場する猫たちは、当然細かいところまで描き込まれていますが、ぬいぐるみニャンコが見せる様々な表情は、擬人化されたようなものではなく、ヒグチの猫だから出せる独特の魅力があります。そして、ニャンコをいじめる、一見イヤミな猫が、実はそうではなかったことが明らかになる所は、この絵本のクライマックスで、映画なら儲け役と呼べるキャラ。

 

「おれたちねこは、人間より寿命が短いからたいてい先になくなるんだ。でも、おまえはずっといっしょにいられるじゃないか」と、本物の猫になろうとするぬいぐるみ猫を説得して、泣かせます。

その翌年、発表した「ギュスターブくん」(白泉社1512円)は、作家の奇抜な発想力満開の一冊です。上半身は猫で下半身は、ヘビのような、蛸のような、グロテスク極まりない奴なのですが、猫の無邪気な可愛らしさと、底知れない不気味さを持ち合わせて、実にチャーミング。その他の奇妙な動物も、ここまで書き込まれるとアートですね。

そして同年出版された「すきになったら」(白泉社1512円)には、猫は登場しません。少女とワニの恋愛物語です。ワニは極めてリアルに描かれているのですが、とても優しい感情が伝わってきます。このワニ、前作の「ギュスターブくん」にも登場していますが、今回は少女と愛し合う二枚目の主役でした。とても素敵な恋する絵本です。

摩訶不思議な世界に遊ばせてくれるヒグチユウコは、これからも目の離せない作家の一人でしょう。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。

個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)


 

Tagged with:
 

なんの変哲もない門と時計台、そして奥に見える平屋建ての建物。門の前をドッジボールで遊ぶ少女。どこにでもありそうな風景を描いた「時計のある門」(1935年)から伝わってくる透明な静寂感は、観るものに様々な物語を投げかけてくるようです。

画家長谷川潾二郎が、パリに旅立つ直前のこと、麻布にあるこの赤煉瓦の堀のある建物(正確には東京麻布天文台ですが)を見た瞬間に、その素敵な雰囲気に魅了された彼は描こうと思いたちますが、諸事情で断念。しかし、パリから帰国して三年、この風景が心に浮かんできます。

「塀は私が描きに来るのを待っていたようだった。そして私はこの塀を描くために巴里から帰ってきた。そんな気がした。……」

画家が、やぁ、待たせたねと挨拶して塀の向こうへ消えてゆく姿を想像しました。

或は、夕暮の荻窪を描いた「荻窪風景」(1953)。初夏らしいある日の夕暮れ。道の向こうに女の子が誰かを待っています。画面のこちらから、仕事を終えたお父さんが帰って来る。手を降る女の子。並んで家路に就くのだろうか、と思いをめぐらせる小さな幸せが満ちた作品です。

長谷川の静物も魅力的です。この画文集の中からなら、私は「洋燈のある静物」が好きです。赤い縞のテーブルクロスの上に乗ったランプと洋書、そしてパイプと植物を入れた小瓶。まるで「暮らしの手帳」の表紙絵みたいな雰囲気です。日曜日の静かな午後のゆったりした幸せが漂ってくるようです。

猫好きの長谷川だから描けた「猫」(1966)。午睡に耽る猫の細やかな表情。赤い絨毯のぬくもりが伝わってくる作品です。この愛猫タローを描くのに、5年の歳月をかけたみたいです。画文集には長谷川自身の「タローの思い出」という文が載っています。ある時、彼はタローの履歴書を作ろうと決心します。これが傑作。姓名に始まり、現住所、本籍(エジプト)、職業(万国なまけもの協会日本支部名誉顧問)と続きます。体重は「ずっしり重し」には笑えます。

タローが死んで、庭に埋葬した後、どこからともなく現れた白い猫の話は、ペットを飼われている方、あるいは見送った方には涙ものです。

「長谷川潾二郎画文集−静かな奇譚」(求龍堂)は2400円で販売しています。

 

 

Tagged with:
 

2月22日はニャンニャンニャンの日!偶然にも今日から「猫」の絵の展覧会が始まりました!

『ねこのように』というタイトルがついていますが、その意図をお尋ねしたところ、

「彼ら(猫)は、とくに野良なんかは、自分のやるべきことをよくわかってて、風のふくまま・気の向くまま・なるようになる、そんな彼らみたいに、僕もとにかく今やるべきことをやって、気持ちよく生きて行きたいなあ、というような意味合いを込めています。」とのお答え。

猫は飼っているとよくわかりますが(うちにもふてぶてしい奴が一匹おります)、本当にわがままで、マイペース。言う事もきかないし!と思いながら、時に甘えるしぐさは可愛く、寝顔は極上。飼主は言いなりです。高原さんは、実はアレルギーで猫と住んだことはないのだそうです。その分、じっくり観察して絵に仕上げていかれるのではないかと思いました。猫の造形そのものが、好きなんですね、きっと。だからでしょうか、高原さんの猫たちは、甘いところがなく、すっきりとした佇まいで、こちらとの距離を測っているように見えます。

 

世の中、猫ブームとかで可愛い猫があふれていますが、ぜひ、クールで美しい高原啓吾の猫に会いにきて下さい。

 

 

なお、作品はすべて販売しております。今回の個展に合わせて「手ぬぐい(640円)」「ポストカード各種(162円)」「トートバッグ(1944円〜)」など、ステキなグッズもあります。(女房)

「ねこのように」展は、2月22日(水)〜3月5日(日) 月曜定休

Tagged with:
 

絵本作家、町田尚子さんの個展を観に行った時、いやぁ〜人を食った顔だなぁ〜と拍手喝采したのが彼女の新作絵本「ネコヅメのよる」(WAVE出版/新刊1512円)でした。この表紙を見ればわかりますよね。昨今猫ブームとかで、大量に猫本が出版されていますが、この本がピカイチだと思っています。

 

主人公は家猫ですが、人間が一人も出て来ません。そして、極端に少ない言葉。「おや?」「あれ?」「もしかして」「そろそろかもしれない」なんてフレーズに絵が一枚づつ付いているのですが、猫を見つめる視線が、まるで映画のカメラを覗いているみたいです。ローアングル、ロングショット、超アップ、大俯瞰と変化していきます。そしてある夜、猫達が行き着くステキな場所へと我々を誘ってくれます。妙に擬人化を施さないとこがいいです。猫に興味のない人もフフフと笑えてきそうな一冊。玄関に立てかけておいたら、この顔ですから厄払いもしてくれるかもしれません。

 

 

さて、もう一冊、やはり素晴らしい絵本の紹介です。酒井駒子(絵)、LEE(文)による「ヨクネルとひな」(ブロンズ新社/新刊1620円)です。仔猫のヨクネルのかよわい表情、女の子ひなちゃんの素直な感情が、酒井駒子さんらしい繊細なタッチで描き込まれていて、高いクォリティーの絵本に仕上がっています。ひなちゃんの顔、手の動き等隅々にまで、仔猫への愛しさが溢れています。ぐっすり眠っているヨクネルの表情も、よく猫を観察されているなぁ〜と感心します。駒子ファンなら、必読の一冊です。古書では、「金曜日の砂糖ちゃん」(850円)、「BとIとRとD」(1300円)、「ビロードのうさぎ」(1250円)、「くまとやまねこ」(1050円)もあります。

さて、こちらも新刊ですが、五味太郎「絵本図鑑」(青幻舎3024円)も見逃せません。1973年から2016年までに発表された、五味太郎の作品が網羅されています。全作品の表紙を収録、またエポックメーキング50と題して本人のコメント付きで中身が紹介されています。後半には五味太郎覚え書きがあります。

また、メリーゴーランド店主、増田喜昭さん他の方々が、五味太郎について語っていますが、その中で、編集者の小野明さんが興味深い指摘をされています。

「五味太郎は垂直好きだ。ビル、煙突、立木、塔、灯台、殿中、旗、信号、標識、杖…….。 絵本のそこかしこに立っている。」

絵本はページをめくる行為が水平方向の動きを促進するので、そちらに強い。だから垂直なものは、水平方向の動きに対して読点を打ち、画面全体をリズミカルにもする。画面がはずみ、軽快にする作用を持っている、との指摘です。これから五味太郎の絵本を見るときには、この点を注意して見てみるのも面白いかも。

★レティシア書房では、新刊書・古書の色々な絵本を置いています。

 

画家・絵本作家のミロコマチコさんちには、「ソト」と「ボウ」という名の猫が居ます。外房線地域に捨てられていた、彼ら2匹とのまったりした日常を描いたカレンダー(540円)が入荷しました。これが、実に面白い。女房は、このカレンダーの大ファンで毎年部屋に掛けています。

2012年に死んだ先代ネコ、「鉄三」にマチコさんが語りかけるような形で、「鉄三、ソトがね。冬は猫みたいだけど、夏は宇宙人みたいになるよ」なんて、不思議な言葉を散りばめながら、猫を飼った事がある人には、なんとなく思い当たる行動が、彼女の独特の自由奔放なイラストで描かれています。

なお、このカレンダーの影の主人公、”暴れネコ”として名をとどろかせた鉄三を主人公にした絵本「てつぞうはね」(ブロンズ新社)も、近日再入荷予定です。

さて、ほっと人を和ませるこのカレンダー同様に、気持ちの良い朝には鳴らしておきたいイ・ランの「ヨンヨンスン」(Sweet Dreams Press1500円)のジャケットの猫も素敵です。

彼女は2010 年韓国ソウルの学生街ホンデを中心とする、新しい自主独立音楽シーンの活況の中にあっても格別に大きな注目を浴びて登場したマルチ・アーティストで、このアルバムが処女作。ホームレコーディングされたアルバムで、ギター一本で、自分の日常のことをとっかかりにして、様々なことを語っていきます。透明な歌声は、朝聴けば、今日がいい日であるように思えるし、夜聴けば、良くなかった一日でも、ま、新しい朝が来れば、いい日になるよねと思わせてくれます。

「私はアパートに住んでいた/我が家は702号室/兄貴と私はひとつのベッドで眠った/父さんは貧乏で母さんは優しかった/私は兄貴の乳首を触りながら眠った/学校に行きたくなかってけど/先生がきらいだったけど/毎日小さな部屋で遊んで眠った/私は背が小さかったけど暑かったけど/つま先立ちでも窓は高く/ある六月廊下の向こうから吹いてくる風/その風 風 風 風 風 風 風 風 風/私はラッキーアパートに住んでいた」

私の一番好きな「ラッキーアパート」という曲の歌詞です。すっきりした風が部屋に入ってくるようです。

 

漫画家大島弓子が描いた絵本「森のなかの1羽と3匹」(白泉社1200円)。1羽とはカッコーのことで、3匹とは、トンボ、蝉、蛙です。もちろんキャラは大島らしい可愛らしい少女のかたちをとっています。そして、どの話もあっけない生と死を描いていて、切なくなってきます。

ふ化したトンボはこう呟きます。

「誰かが飛び立った わたしも行って 山裾の秋の中で 結婚して産卵して 一生を終えなければならない」

そして、最後の瞬間に、思います。

「わたしは羽をたたみ目をとじて思う。良い人生だったと そして永い眠りにつく」

地上に出るまで7年間、じっと地下に生きる蝉もまた、生の短さを語ります。「7年地中で暮らした後8年目にわたしは羽化して成虫になり、交尾相手を見つけて産卵し、数日間の命を終わる」と。

そして、地上に出てからふと、こんな考えが去来します。

「またあの地中の生活に戻りたいと 木の根のジュースとクッションと昼寝 イマジネーションと頭上の贈りもの 誰かが水を汲む動力の音 長く美しい休暇の時に」

ストイックな彼女たちの佇まいは、やがて果ててゆく命に抗うことなく、受け入れる姿があり凛として清々しい。この本、すでに絶版になっています。

もう一点、彼女の「キャットニップ」(小学館1100円)という大島らしいコミックも入りました。これ傑作「グーグーだって猫である」の続編としてスタートします。グーグー亡き後の大島家と十数匹の猫達のドタバタをコミック化してあるのですが、猫達も短い生を楽しんで、天国へ旅だっていきます。その一部始終をコミカルに、しかし、ここでも一直線に死を見つめます。作者自身が、病を得て死と向かい合ったせいかもしれません。

「おしっこも出すんだよ うんちもね それが生きるってことだから」と語りかけながら、小さな動物に様々なことを教えられてゆく、大島の可愛らしいキャラが楽しめる本です。一匹の猫とでさえ、動物と暮すと、ホント教えられることが多いと実感しています。

 

猫の写真がいっぱいのミニプレス”MILL”1号と2号(各1296円)が入ってきました。とは言っても「うちの子、可愛い〜」みたいな作りではありません。海外で猫と暮らす人達のご家庭で、静かな日常の一瞬を捉えていきます。

先ずは、保護施設にレスキューされたチョコレート・ポイント・シャム猫のアルフィー君、作家と写真家のカップルのリビングで幸せな日々を送っています。猫が案内する、主人の自宅拝見という感じでページを捲ってみて下さい。本好きには気になるのが書架、インテリアに興味がある人には、壁に掛けられたアートも素敵です。2号では、NYアッパーイーストにある本屋のLogos Bookstoreの看板猫、タキシードキャットのブーブーが、来店するお客様を迎える写真も入っています。猫の持つ、人を和ませるウェイブ満載です。

猫の登場する本のコーナーも面白い。登場する猫の種類、名前、性別まで記載されています。私の好きな松屋仁之「優雅なのかどうか、わからない」に登場するキジトラのふみちゃんが載っていましたが、的確な解説で、この小説の良さを紹介しています。

「48歳で離婚し一人暮らしをすることになった主人公が新居に選んだのは井の頭公園に面した古い一軒家。大家からの条件の一つは、のら猫のふみの世話をすること。老猫と適度な距離を取りつつ、家も改装しながらようやく慣れてきた頃、昔の恋人に再び出会う。家の暖かさや人が集う安心感、そういったものに背をむけつつも、最後にこっそりと戻ってきて地下室でひっそりなくなっているふみの姿が、主人公の人生と淡く重なる。」

家と猫というテーマでは、保坂和志の「カンバセイション・ピース」(新潮文庫400円)という優れた作品もあります。

ベタベタの猫可愛がりの本ではなく、ちょいクールで、デザイン的にもスタイリッシュな仕上がりなのがオススメポイントです。

かつて我が家にいた猫の名前「レティシア」を店名にしている本屋としては、これは置かなければならんでしょう。

 

Tagged with:
 

遺棄されたペットのことを、もうちょっと考えようという意図から始まった「ペットショップに行く前に」イベントの協賛企画として、今年も「アニマルレフユージ関西」(通称ARK)の素敵な写真展を開催します。ARKは、保健所からガス室に送られたり、虐待によって命を落とす動物の多さを見かねて、イギリス人エリザベス・オリバーさんを中心に設立され、大阪で犬猫の救助、保護そして里親探しを運営しています。阪神大震災で行き場の無くなった600頭を保護し、東日本大震災でも200頭を受け入れました。

この写真展に登場する犬、猫達は人間の身勝手などの犠牲になった悲しい動物達なのですが、彼等の表情は驚く程豊かで、見ているだけで生きる幸せを感じさせてくれます。

店のCDの棚の上に飾った猫(写真右)は、なんだかとてもジャージーで、渋い表情が魅力的。始めからここに居たみたいで、そのままCDのジャケットに使用できそうです。ARKの動物たちを撮り続けている写真家の原田京子さんも、一緒に並べながら「この子はレティシアさんにぴったり。」と、笑っていました。

この老犬(写真・下)は、悟りの境地に達したような静かな表情で、悲しい半生などすべて受け入れたような気高さに満ちています。実際、この写真を撮った数日後、天国へ旅立ったそうですが、原田さんと、ARKスタッフの平田さんは、一つ一つの写真の思い出を語りながら、展示してくださいました。

さて、今回も、ARKのグッズを沢山ご用意いたしました。毎年恒例のカレンダー(来年のもとてもステキです)、お散歩バッグやエコバッグ、バッジ、クリアファイル、そしてARK創設者のオリバーさんの著書が並んでいます。また「ペットショップに行く前に」からは、どいかやさんの小冊子「ねこだっこしたら」と「ポストカードセット」(こちらは明日17日よりの販売になります)もあります。

13歳になる我が家の老犬マロンは、8年前 ARKからやってきました。当初はあまり表情のない子でしたが、今では暢気な癒し系と、ご近所や友人達の人気者です。たった一匹の動物から教えられることは、沢山ありますが、何より彼等は側にいる人間を幸福にしてくれます。その恩恵にあずかった私たちとしては、ちょっとだけでも恩返したくて、この写真展を企画しました。すべて売上げは、そのまま ARKにお渡しいたします。募金箱もご用意してますので、よろしくお願いいたします。(女房)

なお、京都三条「nowaki」さんでも下記日程で展示会が開催される予定です

会期:9月19日(金)ー28日(日) ※23日(火)のみ休み open 11時ー19時

【出展作家】

石黒亜矢子 大畑いくの 軽部武宏 スズキコージ ダイモンナオ どいかや とりごえまり

中野真典 nakaban はやしますみ ひろせべに 町田尚子 mississippi

Tagged with:
 

本日より、三重県上野市で創作活動をされておられる陶芸家、星一平さんの「ねこ絵展」が始りました。

猫を、毎日(きっと)描いて、描いて、いっぱい描いた中から、40点余り飾って頂きました。ギャラリーの壁一面、星さんの猫たちが誠に楽しそうに動き回っております。

踊っている猫、車を運転している猫、じゃれあっている猫、ペンや水彩、パステルなどを使って、迷いのない線で描かれた絵はどれも生き生きしています。

作品はすべて販売しています。作家が作られたダンボールの額縁にはいったものや、机の前にちょっと置いておける小さな額などプレゼントにもぴったり。お気に入りの猫を探してみて下さい。

なお、お買い上げの作品を入れる袋にも、サインペンで猫が(全部違います)描かれています。ともかく猫だらけ。ふわっと肩の力が抜けること請け合いです。

 

 

 

 

 

 

さて、絵本新刊の販売をぼちぼちと始めました。今回入荷してきたのは、「ねこ絵展」にまるで合わせたようにタイミングよく、ミロコマチコの愛猫・てつぞうを綴った「てつぞうはね」と、圧倒的エネルギー爆発の「オオカミがとぶ」。さらにジョン・クラッセン作の絵本に、絵本作家長谷川義史が大阪弁で翻訳した「ちがうねん」、「どこいったん」。そしてジョン・クラッセンの絵に、レモニー・スニケットがお話をつけた「くらやみこわいよ」です。

少しづつですが、国内外の絵本を増やしていくつもりでいます。

 

Tagged with:
 

父は武田泰淳、母は武田百合子そして、娘が武田花というクラクラするご一家ですが、本はそれぞれ面白い。

泰淳さんの小説ってなんだか難しそう、と敬遠しがちですが、「目まいのする散歩」(中央公論社500円)のようなエッセイは気楽に読める一冊です。「目まいのする散歩」「あぶない散歩」「船の散歩」など、作家の散歩中に見た事、考えた事が語られています。

「地球上には、安全を保障された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない」(「安全な散歩?」より)

なんて言われたらそれまでです。

一方、百合子さんは「富士日記」が有名です。文庫で三巻ですが、全編献立表みたいなものです。例えばこんな風です。

「朝 ごはん、うなぎ(主人) 昼 とろろそば(花子) 山芋天麩羅そば(主人と私) 夜 きゅうりと赤貝の三杯酢」

こういう日記を読んでいると心地よくて、お腹がへってきたりするから不思議です。どこから読んでも気楽に読めるのがいいですね。(3巻で1500円)三巻読破するのはなぁ〜とお思いの方には「日々雑記」(中央公論社500円)があります。これ、すべて「ある日」という文章で始って、日々のことを書いてあるのですが、どこか飄々とした感じがあって、楽しい本です。映画評も出てくるのすが、これが面白い。「砂の器」や、ハエ男の奇妙な映画「フライ」なんて笑ってしまいます。植草甚一の散歩本のテイストとは違いますが、ちょっと街へ出かけよう的気分になります。

そして、娘の花さん。写真集ですが「猫」(中央公論社2500円)があります。大都会の片隅を生き抜く野良猫たちを捉えた写真ですが、きびしいはずの都会生活が、どこかノホホンと見えてきたりして飽きない本です。巻末にはエッセイも載っています。お父様、お母様の文章と比べてみるのも一興です、

Tagged with: