住宅のもじゃ化(緑化)を推進する設計事務所「もじゃハウスプロダクツ」が作る、「House “n”Landscape」の最新4号がリリースされました。ちなみに「もじゃハウス」というのは、緑でもじゃもじゃした家のことです。

今回、初の海外取材?ということで、フィリピンのもじゃハウス一泊体験記が、大きな特集が組まれ、気合いの入った写真がたくさん掲載されています。

マニラ市内にお住まいのダニーロさんご一家。古民家付きの土地を買い上げ、増改築を重ねた家は、つる植物が巻き付くフェンス越しからは、家の外観は判別できません。まるで、森の中にある家、いや、家の中の森?とでも表現したらいいのでしょうか。3階の屋根を突き破って伸びるスターアップルの木の写真には驚かされます。

一年を通して常夏の国なので、こんなに緑があれば、蚊がワンサカと出てくるのでは、と恐怖に捉われますが、それほど被害はないとのこと。庭との仕切りの建具にはガラスが入っておらず、風が通り抜けて、極めて涼しいらしい。写真を眺めていると、晴れの日もいいけど、雨の日もいいだろうな、という気分にさせられます。

その後、取材班は、フィリピンから台湾に移動して、緑に覆われた家を探索。台湾には、本屋や図書館に行けば、「緑建設」というジャンル(エコロジーな建築と言う意味があるらしい)の棚があるぐらい、ポピュラーな存在になっているのだとか。もじゃハウスの干潟さんは、思わずここに事務所を構えたい、とつぶやきます。レトロなビルの屋上からだらりと伸びている植物は、まるでビルを侵蝕しているみたいです。次から次へと飛び出すもじゃ建築!

「もじゃハウス豊作状態の台湾!日本だと、もじゃもじゃ過ぎて近隣住民から距離を置かれそうなほどの植物たちとその主を、多くの方が抵抗なく受け入れていらっしゃるこの国は、まさにもじゃハウスにとってのユートピアです。」とコメントが書かれています。

で、もじゃハウスプロダクツが進めようとしている「みどりと共に生きる家」ってどんなん?という疑問に答えるべく、そのモデルプランが、今号の肝です。建物の上に植物が自生する大地を作ることが基本コンセプトで、都会にある20〜40坪のの四角い土地に立つミニマムなもじゃハウスを、具体的に図面で示しています。

眺望が良くて、庭が広くなきゃ植物と共に暮らせないなんてことはない。住まいの広さではなく、視点を変える事で、日々の暮らしに緑の楽しみを見つける。そんな家がこのプロジェクトの理想型です。

一例として、10坪のもじゃハウスの図面を提示しています。「読書好きのインドアな夫婦が2人で暮すには」という設定ですが、家の正面と奥、二階のベランダに木を植えることで、将来、家が緑が囲まれるというのです。読書に疲れた時、視線を見上げた時飛び込んでくる木は、目にも心にも優しそうです。まるで音楽が気持ちよく流れる空間みたいです。イギリスのトラッド系フォークか、アメリカのルーツミュージック系ロックか、チェロ主体のクラシックか、いや、レゲエもいいな〜と、勝手に想像してしまいました。

きっと幸せな空気が満ちた空間であることはまちがいありません。

 

★レティシア書房では「もじゃハウスプロダクツ」の展覧会を開催します。

『フレンドリー建築ショーin京都と題した、もじゃハウスと小嶋雄之建築事務所による建築展です。建築業界一匹狼系の二人が、どんな提案を展示されるかは、見てのお楽しみ!です。新築を考えている方も、全然その気がない方もお気軽にお越し下さい。

会期 5月10日(水)〜21日(日)レティシア書房にて

   (5月15日(月)は定休日です) 

マガジンハウスが出している月刊誌「Ku:nel」(クウネル)のバックナンバーが、30冊程入荷しました。2004年11月発行の10号から、2014年3月発行の66号まで、全て揃っているわけではないですが、綺麗な状態です。(各300円)

一応女性向けの暮しの本ですが、新刊書店員時代、必ず読んでいました。その濃い内容の一部を紹介します。

10号には日本の動物イラストレーションの先駆者、薮内正幸の60年の軌跡が紹介されています。15歳の時に作ったという「鷲鷹科の種類」の私家版を初めて拝見しました。描いた絵は1万点以上。多くの絵本に使われています。収集されている方もおられます。

46号では、「大切な本はありますか」という特集で、何人かの方の大切な本が紹介されています。エッセイスト宮脇彩さんは、73年アメリカで出版されたマーナ・ディヴィス著、伊丹十三翻訳の「ポテトブックス」を紹介していました。「アメリカからやってきた料理の本であります」という伊丹らしい文章で始まる料理本です。この本の序文は、あのトルーマン・カポーティだったんですね。

と、こんな具合に紹介していけばきりがありませんが、もう一つ。月刊誌のカルチャーコーナーには、必ず書籍、音楽、映画が取り上げられていますが、この雑誌のコーナーはとても充実しています。手当たり次第に本を紹介するのではなく、一人の作家が、毎回紹介され、インタビュー記事をメインに構成されていて、この部分だけ切り取ってファイリングしておくと、面白いものになりそうです。音楽もしかり。基本的にミュージシャンがセレクトするのですが、渋いラインナップとなっています。映画に至っては、毎回毎回、著名な方が担当しています。例えば、44号では、酒井駒子が「ちいさな主役は、ひとりぼっちでよるべない」というテーマで映画を選んでいます。カルチャー欄充実ですね。

「ストーリーのあるモノと暮し」が雑誌のコンセプトで、お金をかけてモノに囲まれて、というスタンスの全くない誌面作りが、新しい豊かさを作り出そうとしています。

ところで、児童文学者石井桃子の有名な「山のトムさん」の1957年発行の初版の装幀を、雑誌の中に見つけました。本好きならではの、こんな探す楽しみも満載です。

 

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

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「torio食堂」は、京都市内の西、等持院南町で、毎月一度だけ開いているごはん屋さん。三人のお母さんたちで運営しています。

今日から2週間、レティシア書房のギャラリースペースは、そんな食堂からの出張販売所になっています。

並んでいるのは、「雑穀みそ」(あつあつのごはんに乗せて食べたい)「かりんシロップ」「梅ジャム」「みかんジャム」「長崎の釜だき塩」「アレコレたれ」(煮物などに活躍しそう)「まこも茶」「黒米」「竹の箸」「あずま袋」「ガーゼの布巾」「torio食堂おすすめレシピ集」等々。日々の生活の中で役に立ちそうな、安全安心素材のものがいっぱい。私はまだ、お邪魔した事がないのですが、きっとそのごはん屋さんは、ゆったりほっこりした場所に間違いなさそうです。

そうそう、初日の今日は焼きたての「りんごのスコーン」が届いています。7日と11日にも焼き菓子が、そして8日(日)には店先でお善哉(12時から)の屋台も予定しています。

レティシア書房が開店したのは、2012年3月6日でした。ちょうど3月8日〜11日、近くの京都文化博物館で公募展「ヒツジパレット」が開催されました。これは、全国から染め・織り・紡ぎの手仕事をする人たちの作品が集結した大規模な展覧会でした。旧くからの知り合いであった主催者の本出さんが、「本屋さんをするならこの開催に合わせて、手紡ぎの雑誌スピナッツのバックナンバー展をしたら、人がそちらへ動いてくれるかもしれない。」と励まされ、開店日時を合わせました。おかげさまで、たくさんの方々がご来店くださいました。本当に人のつながりに感謝しています。

そして、開店当時、最初のギャラリースペースを飾ってくれたのが、torio食堂の伊藤サンと富永サンだったのです。その時、富永サンは二人目のお子さんを妊娠中、伊藤サンは赤ちゃんを抱いていらっしゃいました。

今年2月5日〜8日「ヒツジパレット2015 京都」が、再び開催されます。前にも増して多くの作品が集まり大きな祭典になりそうです。それに合わせて「スピナッツ」バックナンバー展をまたレティシア書房で開催します。そこでご縁のあった、伊藤サンたちに展示をお願いしました。あれからお二人の生活が少しずつ変化して、もう一人の仲間、酒井サンと共にtorio食堂を立ち上げられたと聞いて、私たちもとても楽しみにしていました。来し方を行く末を立ち止まって考える良い機会とも喜んでいます。ぜひお立ち寄り下さいませ。(女房)

torio食堂のだいどこしごと展 2月3日(火)〜15日(日)

 同時開催 SPINNUTS(スピナッツ)バックナンバー展

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ビジネス書の一つのジャンルに、働き方の本というのがあります。時間の効果的使い方やら、体調管理の仕方まで様々な本が溢れていました。そういう本にヘキエキしていた私が、なんと店内に「働くことを考える本」というコーナーを作ってしまいました。

こんな本が並んでいます。

堀部篤史著「街を変える小さな店」(1400円)、 辻信一編著「GNHもうひとつの<豊かさ>へ、10人の提案』(800円)、 早川義夫著「ぼくは本屋のおやじさん」(800円)、 久松達央著「小さくて強い農業をつくる」(1300円)、 渡辺格「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」(1400円)、 森健著「勤めないという生き方」(1200円)、 矢萩多聞著「偶然の装丁家」(1300円)、 島田潤一郎著「あしたから出版社」(1450円)。

そして西村佳哲の「自分をいかして生きる」(950円)、「ひとの居場所をつくる」(1600円)、「いま、地方で生きるということ」(1200円)。「自分の仕事をつくる」(チクマ文庫450円)

等々です。

これらは、方向性は違っても、幸せに暮らすことを考える本です。ありもしない贅沢で豊かな生活のなんかさっさとゴミ箱に捨てて、社会にも、環境にも迷惑をかけずに、好きなことやってノホホンと生きていくために、どうゆう働き方がいいのかを示唆した書物です。

レティシア書房を開店して、この春で4年目に入ります。その中で、地味だけれど、自分に出来る事を理解して、仲間を増やし、楽しいことをシェアする考え方で働いている人やお店を開いている人たちに多く出会いました。もう、上だけを向いて突っ走るのではなく、穏やかに生きて行くことをチョイスする人が増えたのかもしれません。

誰もが、すぐにこんな生き方が出来るわけではありません。けれども、かくありたいという気持ちを、そんな人生の選択が間違いではないことを、教えてくれるラインナップです。出たばかりの新刊も多いので、中古でもあまり安くはありませんが、すべてお薦めの本です。

色々な生き方を選べるのは、選択肢の多い大都会だからと思っていたところ、そうでないことが分かりました。焼津から京都に来る度、いつも立ち寄ってくださるお客様から「『静岡』本のある場所』という本を頂きました。この中に掲載されている書店も、多分、好きな本に囲まれていれば幸せ、と感じられるところばかりです。

もしかしたら、全国で広がっているのかもしれませんね。善きことです。

 

新刊書店で勤務し始めた頃から、本や本屋さんに関する本を読んできました。その中で、最も共感して、読んだ後に、心を軽くしてくれたのが松浦弥太郎でした。2002年に中目黒にオープンした彼の「カウブックス」まで足を運びました。そして、06年。彼は「暮しの手帖」の編集長に就任します。その後の活躍は、ご存知の通りです。

その「暮しの手帖」に連載していた「編集長の手帖」、「こんにちはさようなら」と、定期購読者対象の付録「編集長日記」が再編集されて「暮しの手帖日記」(暮しの手帖社900円)という書名で一冊の本になりました。

「『暮しの手帖』が新しくなりました。これからも、暮しにまつわる新しい工夫と発案で、少しでもみなさまの暮しに役立てるようにがんばります。」という挨拶で始まる4世紀26号から、58号までが掲載されています。

「今日もていねいに」

という文章でいつも終わるのですが、どの号も、その日、その日を慈しむ気持ちに満ちていて清々しい気分になります。私が好きなのは、「随筆とエッセイの違い」という文章です。エッセイ、随筆好きの老紳士との会話がメインの話で、丸ごと引用したいぐらいです。最後はこう締めくくられています。

「随筆とは役に立つ実用の文学。いい言葉です。」

彼が編集長をやり始めた頃からの「暮しの手帖」(各300円)も取り扱っています。こちらも合わせてどご覧下さい。

 

「健康のために、邪気を近づけず、溜めない。明るくはつらつとした、無邪気な暮しを努力しましょう。無邪気な暮しは、あらゆることを前進させてくれるでしょう。」

これは、「暮しの手帖」という雑誌の持っているポリシーなのかもしれません。

 

 

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最近、何やら安倍首相の顔が醜くなってきている気がします。ま、だいたい総理大臣になったら、途端にその権力の座の重圧と、素人には理解不能なプレッシャーで、顔の表情が「壊れていく」のかもしれません。民主党の野田さんも、ひどかったですね。小泉さんみたいに、全くそのままという無邪気さも如何なものか?と思いますが…….。

お疲れの大臣に、ぜひお読み頂きたいのが、田中優子+辻信一の「降りる思想〜江戸・ブータンに学ぶ」(大月書店1300円)です。田中さんは、江戸時代の専門家にして、「カムイ伝講義」(小学館950円)という白土三平のコミックを通して、江戸時代を論じた傑作があります。辻信一さんは、文化人類学者という肩書きの一方で、「ナマケ者倶楽部」世話人としてスローライフに関わる提言をされています。当店にもいくつか彼の本があります。

その二人がタッグを組んだ本がこれです。こう書かれています。

「本書は『下降』をテーマとしている。思えば、これまでこのテーマに感心を寄せる人はほとんどいなかった。人々がはるかに強い関心を示すのは、いつも『上昇』のほうだった。でも、考えてみれば、これは不思議なことだ。」

いかにして、降りてゆくかを、江戸時代、そしてブーダンを参考にして二人が討論していきます。3.11以降の世界を振り返ることから始まり、右肩上がりの世界の幻想から脱却して、降りる場所の創造に至るまでの果てしない、しかし、これしかもう私たちは未来に生きることができないことを論じていきます。

「ぼくたちは『さがる』のでもなく、『おちる』のでもなく、『おりる』のである。豊かさという幻想から、グローバル経済システムから、人間の本性へと、自然へと、いのちへと、愉しげに降りてゆきたい。」

なんて言葉、疲労蓄積気味の安倍さんの耳元に誰か囁いてみては如何でしょか? ま、効果ないか。

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先日のブログでご紹介しました最新号で「なじみの本屋」(レティシア書房も取材してもらいました)を特集している月刊誌「ソトコト」のバックナンバーが揃いました。知的好奇心をくすぐる特集が毎号組まれています。

2013年1月号(No/163) ソーシャルなギフト

2013年2月号(No/164) 新移住論!日本の地方に住んでみる

2013年3月号(No/165) 秘密公開!社会を変えるNPOのアイデア集

2013年4月号(No/166) 意見公開!みんなのエネルギー入門

2013年5月号(No/167) おすすめの図書館

2013年6月号(No/168) 野菜を作って未来を変える!

2013年7月号(No/169) 社会を身近に感じる楽しいローカル旅

2013年8月号(No/170) 社会を動かす女子

2013年9月号(No/171) 人とつながる家

2013年10月号(No/172) ソーシャル系大学案内

2013年11月号(No/173) おすすめの公園

2013年12月号(No/174) コミュニティデザイン術

2014年1月号(No/175) 世界をよくする会社

2014年2月号(No/176) なじみの本屋

毎号の特集が面白くて、画一的な紙面内容に、同じ様な付録ばかりの昨今の雑誌の中では孤軍奮闘のがんばりですね。8月号の「社会を動かす女子」では「ソーシャル女子84」という切り口で、ミニプレス「せとうち暮らし」でも取り上げられている小豆島女子が取り上げられています。店頭に過去一年間のバックナンバーを揃えました。パラパラめくって、これだ!という号をお探し下さい(各800円)販売は2月末までです。

 

ついに2号発売です!!

当店ミニプレス売上げトップ独走中の「気になる京都」2号が2月に発売されます。

1号は丸ごと「出町商店街」でしたが、2号は「三条商店街」が特集です。手づくり感100%の紙面で、楽しませてもらえそう。発行元は出町柳にある旅の情報サロン「風の駅」です。

 

 

 

 

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当店で大人気のミニプレス「murmur magazine」の最新号が入ってきました。

18号の特集は「弓田ごはん」です。なにそれ?という方のために解説します。パティシェ弓田亭さんは、渡仏していた時、フランスの野菜の力強さと、一方日本の野菜の力が弱っていることに気づきました。そして数年かかって研究し、弱々しい野菜を使って、たくましく、力強い味を出すルネサンスご飯=弓田ご飯を生み出しました。

「いりこ、昆布、鰹節など、昔ながらの日本の乾物をたっぷり使います。出汁に使った乾物も丸ごと、食べます。味噌、海塩、岩塩をおそれず、使います。あく抜き、下ゆで、油抜きはしません。砂糖、みりんも使いません。お米も洗いません。野菜は皮ごと食べます。電子レンジは使いません」

こうして食物の持つ力を最大限に引き出した料理法なのです。

その後、弓田さんへのインタビュー「いのちが元気になる食べ物のはなし」、「あなたにも必ずつくれる弓田ごはん きほんのき」、「編集部の弓田ごはん1週間」、「きほんの出汁のつくりかた」と盛り沢山の内容が続きます。

「自分もまわりの人も安心できる、しあわせにしてくれる、そういうものこそ大事。自分にとって何が一番大事か考えていかないと後悔する。」と弓田氏は指摘します。

「今ある価値を或る程度変えないと。大事に思っていることが、実はそんなに大事じゃないかもしれないって、ちょっと考えてみるといいと思うんですけれどもね。」

世の中を動かすのは経済だ、これ正しい。世の中の問題の95%は金で解決できる、これも正しい。でも、その価値観にだけぶら下がっていると、とんでもない負のスパイラルに落ち込んでしまいます。体験者が語る「わたしと弓田ごはん」という特集で、最初のうち、今までの料理の常識がまとわりついて、なかなか弓田ごはんに慣れなかった方が、とても楽で、自由な気持ちで料理することができたと前置きして、こう結論されています。

「弓田さんのごはんのつくりかたは、料理における解放だ」と。

先ずは、ごはんづくりから始めて、コチコチに固まった価値観を解放することにしましょう。

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今、レティシア書房で個展開催中の、5*SEASONさんが作られた絵本「けいこちゃんの夏いらんか絵?」は、「東京オリンピック」をリアルタイムで観た世代には、懐かしさいっぱいの絵本です。

クーラーはなく、打ち水と扇風機だけで結構涼しく暮せた夏の生活。と言っても、クーラーで冷えた部屋で過ごす世代には理解できないでしょうが、それは、もしかしたらめちゃくちゃ不幸なことかも。昨今の夏の暑さは、もう地獄の窯でゆでられるような、人に対して極めて攻撃的な暑さですが、この絵本に描かれている夏の暑さは、夏休みを過ごす子どものお友達でした。そして、元気に咲くひまわりも、祇園祭のお囃子も、パーフパーフと鳴りもの入りでお豆腐を売りに来るおっちゃんも、海も、川も、山も、みんな眩しく輝くお友達でした。

川でひと泳ぎして、縁側でお昼寝、BGMはせみの合唱。(この鳴き声も、今はBGMを通り越して騒音になりつつあるのは、こちらのせいか、環境のせいか)突然の雷雨、入道雲、池の蛙のコーラス、夜店の風船つりなど、夏は毎日素敵なイベントを運んできました。

昔は良かったね、と懐かしがっているのではありません。夏の暑さが友達だった時代が過去になってしまったことの悲しさを感じてしまいます。この絵本の中に、暑いので、服を着ず上半身裸のおばあちゃんが出てきます。実際、そういう女性は周囲におられました。今なら通報されかねませんが、当時は街も、社会も、誰も何も言いませんでした。だって、暑いんだもん。いつの間にか、夏の暑さは逃げるもの、撃退するものになってしまったみたいです。せめて、この絵本でその楽しさを味わっていただきたいと思います。(2000円)

5*SEASONさんから、奈良市内で無料配布されている小冊子「工房街道浮世噺」をいただきました。収められている永野春樹さんの小説「北風の画家」を読みましたが、ツボを得た小説というべき一編です。O・ヘンリーの短編を常盤新平が翻訳したものを読んだ感じです。よくあるお話ですが、物語を読む楽しさが味わえて、15分あれば読めます。奈良散策の時にでも、お探しください。

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福岡発のミニプレス「PERMANENT」が創刊されました。あとがきを読むと、3.11以降の放射能の脅威が続く中で、食べることの根源的な意味を思考することから雑誌はスタートしています。フツーの人の家の食卓に注目し、

「津々浦々の食卓で、その人の人となりや食卓の風景から、あらためて『考えること』について考えてみたいと思います」

そして、

「自分の身体の中に入れるものたちが、何処でどうやって育った食材をしっかりと把握し、大事に無駄なく食べたいと考えています」

だから、この雑誌自体がとても美味しそうな香りがして、思わず食べそう?になりました。(古書店のおやじが雑誌バリバリ食ってるシーンはもうホラーですが)

画家、牧野伊三夫さんのアトリエでの宴が紹介されています。「烏賊の南仏風炒め」、「バナナフランペ」、そして「画家の鍋」と、もう書いているだけで、雑誌バリバリになりそうです。この宴の場所がいいですね。古い掛時計、年期の入った本棚、古い食卓にやかん。参加された方、みなさん幸せそう。

次に登場するは、「たべものの素顔」という連載で「旬の魚と塩と水 青島の蒲鉾」。水揚げされた魚が蒲鉾になるまでを丁寧に写真で説明してあります。この島の蒲鉾は、卵白や山芋などのつなぎを一切使用せず、旬の魚と塩と水だけで作る贅沢なもの。そして、こう結んである

「魚と共存し感謝してきた人たちの手間隙と愛情がたっぷり詰まった、素朴な味だった」

食べてみたい!行ってみたい!という記事が続きますが、グルメ雑誌みたいに食べ散らかして、はい終わりではなく、それを料理した人の話を聴き、そして、そこに住んでいる人達の生活に触れてみたいという気分を盛り上げてくれます。

レティシア書房のすぐそばには、古いアパートの一室を利用した美味しい珈琲の「月と六ペンス」がありますが、福岡市中央区にある「MANLY COFFEE」も、古いアパートの中にある珈琲屋さんみたいです。こちらもお邪魔してみたい場所ですね。

丁寧に珈琲をたてる少年の写真の表紙と、おいしい〜って声の聞こえてきそうにおにぎりを前にした少女の写真の裏表紙が、素敵な雑誌のすべてを物語っています。価格は500円。方々取材されていて、この価格は立派です。

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