昔、京都発の三人組フォーク・クルセイダーズというバンドがありました。

「帰ってきたヨッパライ」、「戦争を知らない子供たち」等のヒット曲が、ラジオから毎日流れてきていました。メンバーは加藤和彦、はしだのりひこ(お二人とも故人となりました)、そして、今は精神科医として有名な北山修。北山のエッセイ集「戦争を知らない子供たち」(390円/出品・大黒屋)は、私も高校時代だったかに愛読した一冊です。奥付けを見ると、初版の発行が昭和46年3月。手元にある本は、同年5月に第17版!!当時の若者たちの愛読書だったのです。

「私は昭和21年6月19日に生まれた。純粋戦後派・戦無派と呼ばれるどうしようもない世代の一人である。大人たちが、どうわめこうと、<戦争を知らない子供たち>は明日の日本を台無しにするために、その果てしない行進をつづける。」と書かれています。

経済大国へのまっしぐらの日本で、その時代のゆがみ、見捨てられた真実に向かい合った音楽家の青春の記録です。

同じシンガーで、今なお現役の加山雄三が、自分の子育てを描き綴った「この愛いつまでも」(300円/出品・古本ハレクモ)は、北山の本の10年後の昭和56年発行で、奥付けによると11版という、やはりベストセラー。明るく健康で、ある意味能天気そうな、この表紙の写真通りの育児エッセイです。挿絵も加山本人が描いています。今も、「若大将」のままギター弾いているなんて立派です。

音楽関係で貴重な一冊、日本のコマーシャル音楽50年のあゆみを論じた田家秀樹「みんなCM音楽を歌っていた」(600円/ママ猫の古本やさん)は、日本の音楽シーンの違った側面をみせてくれます。

わずか数十秒のギリギリの時間枠の中で、より新鮮に、商品の魅力を伝えてゆくかが問われる音楽。CM音楽の父と呼ばれた三木鶏郎の門下生として登場したのが、大森昭男というCM音楽プロデューサーが、この本の中心人物です。 「サクセスサクセス』(宇崎竜童)、「時よ止まれ』(矢沢永吉)、「君のひとみは10000ボルト」(堀内孝雄)などの資生堂黄金時代を創り、西武百貨店の「おいしい生活」を矢野顕子、糸井重里たちと生み出した人物です。お洒落で豊かな生活の彼方に未来がある、と信じていた時代です。因みに、企業と音楽業界のタイアップは70年代後半から始まりました。大森が資生堂で手掛けた最初は、76年の「オレンジ村から春へ」で、歌っていたのはりりィでした。

なお巻末には、大瀧詠一と大森の座談会「『三ツ矢サイダー』での出会いから『熱き心に』まで」も収録されています。大瀧ファン必読です。