Knit-K発行のミニプレス「K」は、0号で「遠くの親戚より地区の他人」と題して、沖縄・台湾の特集を組みました。地図で見ると沖縄と台湾はホントご近所さんです、この二つのエリアを、民俗学的、文化史的な視点で捉えたインディーズマガジンとして刊行されました。そして、0号に続き第1号が発行されました。特集は「イタク 言葉をつなぐ」(1430円)です。イタクとは、アイヌ語で「言葉」を意味します。

明治36年、登別に知里幸恵というアイヌ女性が生まれます。アイヌ語も日本語も堪能だった彼女は、15歳の時、言語学者の金田一京助に出会います。彼のアイヌ文化への尊敬を知った知里は、アイヌ口承の叙事詩「カムイユカラ」を文字にする作業に取り掛かります。しかし彼女は、重い心臓病を持っていました。それでも、翻訳作業を続け、「アイヌ神謡集」は完成します。が、その日、19歳の若さで、この世を去ります。時は流れ、生誕百年を過ぎた頃から再評価の声が高まり、TVで特番が組まれたりして、彼女の訳した「アイヌ神謡集」も世界各国へと翻訳されました。

「K 001 号」では、この本の序の部分を、初めてアイヌ語に翻訳した(もちろん日本語も掲載)が載っています。訳したのは、アイヌ文化交流センターの木原仁美さん。知里幸恵は彼女の大伯母にあたります。

この雑誌は、知里幸恵を通じてアイヌ文化を解説し、私たちにその奥深さを伝えていきます。これは学術系の雑誌ではありません。私たちと文化も社会も異なりながらも、すぐそばに生きている人たちを知るための雑誌です。ご近所さんのことを知ることが、差別のない社会への第一歩ですね。

なお、「特集を読むにあたって」というコーナーでキーワードになるアイヌ用語の解説が載っているので便利です。