1990年に自死した北海道出身の作家、佐藤泰志が、最近再評価され、認知されているのは、作品が映画化されて、優れた作品になっているからに違いありません。

2010年「海炭市叙景」が公開され、劇場で観た深い感動が忘れられず、原作に手を出したのは私だけではないはず。88年から連載の始まった原作を熊切和嘉監督が、資金を集めて函館で撮影しました。

「待った。ただひたすら兄の下山を待ち続けた。まるでそれが、わたしの人生の唯一の目的のように。今となっては、そう、いうべきだろう。」で始まる原作の一文は、映画ではエンディングに持ってきているのですが、人々の希望と絶望を北国の冷たい風に託して描ききりました。もうすぐ定年を迎える路面電車運転手、家庭に問題を抱えるプラネタリウム職員等の、男たちの人生の悲哀が見事でした。

続いて、2011年、「そこのみにて光輝く」が呉美穂監督によって映画化されました。私は、これについては原作もまだ読んでなくて、映画も観てないので、なんとも言えません。

そして、今公開中で期待の映画、山下敦弘監督の「オーバーフェンス」。もちろん、観に行きます!佐藤最後の芥川賞候補作品で、作家に挫折しかけた時代に、通っていた職業訓練 学校の体験を元にした作品の映画化です。レビューは、後日このブログに載せる予定です。

さて、佐藤のデビュ−作「移動動物園」は、私の好きな作品で、暑い日々、幼稚園やらデパートの屋上に出張しては、小動物を見せる小さな会社を舞台にした小説です。登場人物は三人の男と女。うだる様な暑さの中、ひたすら動物の世話に明け暮れる姿を描いていて、読んでいると咽喉の渇きが襲ってきます。そして、虚無感がじわじわと浸透してくる気分の悪い小説なのですが、逃れられないんですよね、この世界から。

ぜひ、映画も原作も観て欲しい、希有な作家です。蛇足ながら、この三人の映画監督、皆さん大阪芸術大学出身です。

文庫版「移動動物園」「海炭市叙景」は各400円、「そこのみにて光輝く」は500円にて販売しております。

 

 

 

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)