スズキコージと長谷川集平の絵本がまとめて入いりました。

スズキコージの「絵の中のどろぼう」(パルン舎 2500円)は、シンガーソングライターの友部正人が文章を書いています。映画「第三の男」で、夜の街角に映る男の影のシーンのような冒頭の絵が楽しい。全体にフランス映画のようなしゃれたお話ですが、スズキさんの絵が力強く、大人が楽しめます。これは、モノクロの作品ですが、かんざわとしこの文章に絵を付けた「やまねこぼうや」(童心社・初版 2800円)では、弾け飛ぶような色彩で描かれたやまねこがヤンチャで、スズキワールド全開です。

もう1冊、ナンセンスで笑えるしりとりと、スピード感のある絵が魅力の「とさかにごはん」(理論社 700円)があります。

「たらばがに なったつもりで せんろを あるきだし」「だし だし あるきに あるきに つぎの えきに つくと」「くとうてんのような〜・・・」と、まあどこまで続くやら・・・。

 

さて、もう一人の長谷川集平の方は、彼が翻訳をした、アメリカのイラストレーター、スーザン・メドーの絵本「こまった鳥の木」(あすなろ書房 2000円)が珍しい一冊です。

長谷川さんといえば、森永ヒ素ミルク事件(昭和30年台に製造された森永のミルクに含まれていたヒ素で、多くの子どもたちが苦しんだ)を題材にした「はせがわくんきらいや」(温羅出版 800円)でしょう。今、手元にあるのは絶版状態にあったこの本を、岡山の小さな出版社が復刻させた版ですが、久々に見るとやはり迫力ありますね。この出版社が復刊した「とんぼとり」もあります。

私が好きだったのは、「トリゴラス」(文研出版 1400円)。少年の妄想を描きながら、とても切なく、悲しい物語。姫路出身の長谷川さんの関西弁がぐっと突き刺さる絵本です。ラストの少年の視線は、女の子への淡い憧れと妄想に悩んで全うな少年時代を送った貴方や私には、よく理解できます。この絵本について草森紳一がこう書いています。

「少年の鬱屈した凶暴にして性的な想像力が描かれている」

怪獣トリゴラスは、その象徴的存在です。

長谷川の本は、ほかに「あしたは月曜日」(文研出版600円)、「すいみんぶそく」(童心社・初版1300円)、「パイルドライバー」(温羅出版 1400円)、「日曜日の歌」(好学社 700円)、「たんぽぽのこと」(温羅出版 2000円)と入荷しました。

 

 

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大人になってからのこと、ある日、武井武雄と聞いて、忘れていた「キンダーブック」という名前を思い出しました。子ども向けの薄い雑誌です。そうしたら、小さい頃、部屋にあった木製の小さな本棚の色や形までも甦りました。ただし、キンダーブックがその本棚に並べてあったわけではなくて、きっと幼稚園の本棚だったかと、儚い記憶・・・・。

古本屋を始めてから、改めて武井武雄と出会い、この人は童画だけの人ではなかったと認識しました。どこかで古くさいと思っていた色合いのモダンな事!店にある「ラムラム王」(銀貨社1000円)のページをもう一度めくりました。

今回「「武井武雄の世界展」に行き、画家武井武雄のすばらしい絵の数々に感動しました。「風曜日」「星曜日」をはじめとする作品群の中で私は「青の魔法」の青い色が好きです。そこには

『青の魔法をかけられて   昔の空は青かった。

青の魔法をかけられて   昔の海も青かった。

魔法使いの居ない今    空と海は灰色だ。

地球は廻っているけれど  青の魔法を知る人は

みんな僕らを見限って   月の世界へ行ったのだ。』

とリズミカルな詩が添えられていました。ユーモラスで怖い、そして優しくて辛辣。繊細で大胆、わかりやすく、懐かしくて新しい。生と死がいつも重なりあう。

一緒に展覧会を見た店長は、やはりというか、武井さんの作った本に、感動していました。本の装丁とか挿絵だけでなく「本」そのものを美術品のように、こんなにたくさん作っていた人だと初めて知りました。

そして私は木版画に魅かれました。木目の美しさを生かした何とも言えないいい色合いの、素敵な木版画にいっぱい出会えました。感謝です。

ちなみに、もう一冊「父の絵具箱」(900円六興出版)という、娘の三春さんが書かれた本も在庫しています。

武井武雄の世界展〜こどもの国の魔法使い」は京都高島屋で5月19日まで。お薦めです。(女房)

 

 

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酒井駒子さんの絵本が10冊ほど揃ったので、ギャラリースペースに並べました。

小川未明原作「赤い蝋燭と人魚」(偕成社1150円)は、ご存知のように悲しいお話ですが、酒井さんの深い美しい色合いに魅かれて最後まで読んでしまいます。(そしてまた泣きそうになります。)

須賀敦子の文による「こうちゃん」(河出書房新社1250円)にこんな文章があります。

『こうちゃん、灰いろの空から降ってくる粉雪のような、音たてて炉にもえる明るい火のような、そんなすなおなことばを、もう わたしたちは わすれてしまったのでしょうか。』

そんな言葉に呼応するように、酒井さんの絵は深く静謐な画面をつくりあげていきます。けっして明るい絵本ではありませんが、大切にしたいことがいっぱい詰まっています。

「くまとやまねこ」(河出書房新社950円)は一番のお気に入りです。大切な友である小鳥を失った哀しみから立ち直れないクマは、じっと殻に閉じこもったまま、暗い心を抱いていました。ある日、山猫と出会い、小鳥の死と向き合いそして受け止めます。メデタシメデタシの終わり方のない絵本には、死を背負いながら生きていく切なさに満ちています。

 

絵本の他に、酒井さん装丁の本もあります。糸井重里「夜は、待っている」(糸井重里事務所1200円)小川洋子「最果てアーケード」(講談社1100円)川上弘美「七夜物語」(上下セット2100円朝日新聞社)。また、雑誌「Pooka+」の酒井駒子特集号(1000円)など。お見逃しなく。

 

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「かいじゅうたちのいるところ」でお馴染みの絵本作家、モーリス・センダックが挿画を書いている児童文学を2冊探してきました。

一冊は、アイザック・B・シンガー「やぎと少年」(岩波書店1900円)。シンガーは、ポーランド出身のユダヤ系作家で、ノーベル文学賞を受賞していますが、文章はすべてユダヤ人の言葉イディッシュ語で書かれていて、日本人には馴染み深いものではありません。しかし、この七編の短編集に込められた鎮魂歌は、ナチスのポーランド侵攻で虐殺された故国の多くの子どもたちに捧げられていて、静かに迫ってきます。そして、やはりワルシャワからアメリカに移住してきたのがセンダックの両親でした。センダックは、この同郷人の文学に見事な絵を描いています。約20点程の作品を見るだけでも楽しいですね。

もう一点は、オランダ生まれの児童文学作家マインダート・ディヤング作の「コウノトリと六人の子どもたち」(岩波書店1900円)です。墨絵でセンダックが描いたかのような、素晴らしく上手い絵です。

ところで、吉田篤弘の「空ばかり見ていた」(文芸春秋700円)という連作小説の中に「彼女の冬の読書」という素敵な作品があります。「本さえ読めれば、あとのことはどうでもいいの」といって、秋の終わりに本を抱え込んで、冬眠する女性が登場します。多分、ここに紹介したこの二冊もきっと、彼女が抱え込むに違いないと思います。

「最初は『何が冬眠だよ』と思っていたのだが、いつのまにか僕は彼女の冬の読書に引き込まれていた。左目が涙でにじむほどに。」

本好きには、ちょっとウルウルする短篇です。

 

 

 

 

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大阪貝塚市にある精肉店を舞台にしたドキュメンタリー映画「ある精肉店のはなし」の原作が入荷しました。

江戸時代から続くこの精肉店は、ただ肉を売るだけでなく、子牛を育て、その牛を屠殺して、大きな肉を固まりに切り分けて売るまでをされています。「食べる」ということの、根幹を追い求めたドキュメンタリー映画ですが、写真家であり映画監督でもある本橋成一さんが、そのまま子ども向けに文章を構成し、写真も撮影されて本になりました。(農文協1680円)

もちろん、大人が見ても、その内容の濃さには驚かされます。牛が解体されてゆく様は、一流の職人の技を見ているみたいです。

「いのちをいただく、というその瞬間に、牛に対する思いというかな、ひとつだけあるのは、一発で倒してあげないと、という思いはある。苦しませたくない、苦しませたら自分が危ない、そういう、ひとつのやりとりがある」

お肉だけではありません。牛の皮を使って太鼓を製作されています。貝塚は、岸和田とならんでだんじりの盛んな町。きっといい音で祭りを盛り上げていることでしょう。

これから、少しづつですが新刊の絵本も増やしていきます。今回、この本以外に、いまいあやのさんの二作品「ベルナルさんのぼうし」(BL出版1575円)、「くつやのねこ」(BL出版1575円)、バーバラー・クーニー「ルピナスさん」(ほるぷ出版1365円)、セーラ・L・トムソン「終わらない夜」(ほるぷ出版1680円)が入荷しました。

「ベルナルさんのぼうし」は今年2月に出たばかりの新刊です。

ひとりぼっちのクマのベルナルさんの唯一の楽しみは、お気に入りの帽子をかぶっての散歩です。ある日、キツツキがその帽子に穴をあけ、巣にしてしまったとことから始る素敵なお話です。最後のページには、春の暖かな風が吹いています。御所や、鴨川での、これからの散歩のお供にいかがでしょうか。

次週には酒井駒子さんの絵本が(古本ですが)数種類入ってきます。

♫ 臨時休業のお知らせ 3月17日(月)、18日(火)連休いたします

 ♫今月の「はちはち」パン販売 28日(金)午後4時くらいからです。

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本日より、三重県上野市で創作活動をされておられる陶芸家、星一平さんの「ねこ絵展」が始りました。

猫を、毎日(きっと)描いて、描いて、いっぱい描いた中から、40点余り飾って頂きました。ギャラリーの壁一面、星さんの猫たちが誠に楽しそうに動き回っております。

踊っている猫、車を運転している猫、じゃれあっている猫、ペンや水彩、パステルなどを使って、迷いのない線で描かれた絵はどれも生き生きしています。

作品はすべて販売しています。作家が作られたダンボールの額縁にはいったものや、机の前にちょっと置いておける小さな額などプレゼントにもぴったり。お気に入りの猫を探してみて下さい。

なお、お買い上げの作品を入れる袋にも、サインペンで猫が(全部違います)描かれています。ともかく猫だらけ。ふわっと肩の力が抜けること請け合いです。

 

 

 

 

 

 

さて、絵本新刊の販売をぼちぼちと始めました。今回入荷してきたのは、「ねこ絵展」にまるで合わせたようにタイミングよく、ミロコマチコの愛猫・てつぞうを綴った「てつぞうはね」と、圧倒的エネルギー爆発の「オオカミがとぶ」。さらにジョン・クラッセン作の絵本に、絵本作家長谷川義史が大阪弁で翻訳した「ちがうねん」、「どこいったん」。そしてジョン・クラッセンの絵に、レモニー・スニケットがお話をつけた「くらやみこわいよ」です。

少しづつですが、国内外の絵本を増やしていくつもりでいます。

 

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元旭山動物園飼育係、現絵本作家のあべ弘士さんが、なんと21mのヨットで北極海へ出かけました。ホッキョクグマを求めて3000キロの旅の始まりです。その旅をスケッチと文章で綴ったのが「こんちき号北極探検記」(1400円)です。

こんちき号のクルーは日本人8名と外国人クルー3名の11名で、一路ノルウェーを目指します。到着して、先ず買い込んだのがお酒。買える量に制限があるため、大丈夫かと不安になる。他に、もっと心配することあるだろうに、と笑ってしまいます。そして、著者の誕生日に目出たく、北極へ向かって出航。(ここでも笑ってしまう事件あり)

その後、航海の間、ひたすらスケッチを続けていきます。シロクマのデッサン、上手いなぁ〜と見ほれてしまいました。いや、さすが絵本作家の第一人者。どの絵にも飄々とした味わいと、クスクス笑えるユーモアが絶妙で、ドンドン読んでしまいます。そして、北緯80度を超えます。悪天候の中、みんなゲロゲロ状態ですが、作家はスケッチブックを離しません。極地探検の本は沢山出ていますが、これ程、ユーモアとホイホイ気分と、酒の話に満ちたものはないでしょうね。なんせ、後書きにもこう書かれているぐらいですから。

「いまは静かに旅のあれこれを心の中で熟成させ、香り豊かな日本酒に醸し」

本にも出てくる、スコッチの名酒「フェイマス・グラウス」でもちびちび飲みながらゆっくり楽しみたい一冊です。

彼の絵本も何点か集めました。表紙がかっこいい宮沢賢治の「なめとこ山の熊」(1850円)はお薦めです。ラスト、死んだ主人公の狩人を見送る熊たちの場面、狩人の周りに集まる熊を大きく描く絵本が多いのですが、ここでは、遥か山の彼方から見ているようなロングショットで描かれています。澄み切った悲しみが見事に表現された絵だと思います。

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7月・・・ってことは2013年も半分終了しました。

だんだん時間が速く過ぎて行く!これは歳を重ねると、み〜んな言いますが、2週間毎にギャラリーが入れ替わるせいでしょうか、特に最近、時間の束がズンズンと飛んで行くのが目にみえるようです。

祇園祭の行事が始まると、京都の夏も本格化してきて、ギャラリーに来て下さる方も、出歩くだけでバテそうと敬遠されます。こういう季節だからこそというわけでもないのですが、暑さに負けずレティシア書房ではご案内している通り『夏の時間割』を組みました。

★その1 7/2(火)〜7(日)   絵本フェア

★その2 7/9(火)〜21(日)  せとうち暮しと島のおみやげ展

★その3 7/23(火)〜28(日) 青幻舎ビジュアルブックフェア

★その4 7/30(火)〜8/4(日)Pie in the skyコレクション レトロな紙もの展

★その5 8/6(火)〜18(日)  夏の一箱古本市

★その6 8/23(火)〜9/1(日)生活がちょこっと楽しくなる本&グッズ                    フェア

で、本日から★その1が始まりました。nowakiさん、ロシナンテさん、山椒文庫さんにご協力して頂き、こどもの友、懐かしい絵本、洋書、絵本雑誌等々ずらっと並びました。

全体的に価格もお安くしました。ぜひ手に取ってゆっくりご覧下さい。(写真は「なぞなぞあそびうた」角野栄子作・スズキコージ絵/各350円)

洋書の絵本は、アメリカ・カナダ・スイス・ノルウェー・ニカラグア・ドイツなど。美しい色合いのページを繰っているだけでシアワセな気分になりますね。

新しいものだけではなく、昭和10年3月発行の「子供之友」(800円)なんて古い雑誌もあります。もちろんタイトルは右から左に読みます。古い雑誌なんで袋に入れてありますが、お読みになりたければお申し出ください。

 

 

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韓国の絵本が届きました。韓国語表記が出来ないので、本のタイトルが書けませんが、面白そう。

例えば、多分、犬のウンチだと思いますが、その子?が産み落とされてからを描いた絵本があります。一体、僕はどうしてこの世に送り出されたんだろうと悩みながら、生きていく物語だと思う(推察)のですが、結構切ない気分になります。雨にうたれたり、雪の中で眠ったり、先輩ウンチに話を聴いたりして、最後のページは、成る程ね、という素敵な終わり方です。

一方こちらは、ポップなセンスが光る絵本です。ちょっと歪んだ線とデフォルメされた人物や動物の表情が一杯で、今にも絵本から主人公の少女が飛び出しそうな感じです。3D絵本とでも言いましょうか。絵を書く少女を俯瞰で捉えたページの不思議な感覚が私は好きです。表紙の少女のフォルムも極めて歪んでいるのですが、それがかえってなんか楽しいリズムを感じます。

そしてもう一点「ロクと八九郎狼」。こちらは、日本語表記の絵本です。色彩が見事な一冊ですが、装丁が凝っています。なんと、蛇腹形式になっています。作パン・ジュイソン 絵リャン・ユです。

ところで、ハングル語って面白い形ですね。これらの絵本、当然ハングルで表記されていますが、極めて絵画的なんです。絵を盛り上げる、もう一つの絵みたいです。全く理解出来ない分だけ、そう見えてくるのかもしれません。

一緒に、フランス語とアラビア語併記の絵本も入荷しました。「アラビアンナイト」だと思いますが、その絵本の中のアラビア語が、また絵本の世界を見事に演出しています。読めないので意味は皆目わかりませんが、エキゾチックな世界を盛り上げてくれます。アラビア語の流れて行くような表記の感覚が楽しい一冊です。

理解不能な言語で書かれた絵本は、想像力の力が増す分余計に楽しいのかもしれません。10点程置いています。輸入ものだからといって高い絵本ではありませんので、手に取ってみてください。

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