松岩達(文)、冨田美穂(絵)による「おかあさん牛からのおくりもの」(新刊・北海道新聞社1836円)が届きました。

当然ですが、日々口にしている牛乳、チーズ、バター等々は牛からの贈り物です。そんな牛たちを飼っている酪農家の毎日を追いかけた絵本です。牛をよく観察して描き込まれています。

この絵を担当した冨田美穂さんの個展が、来週火曜日から当店で始まります。東京生まれ、武蔵野美術大学卒業後、北海道に渡り酪農業に従事しながら、牛の木版画、絵画を制作されています。知床発のミニプレス「シリエトクノート」に掲載されていた作品に出会ったのをきっかけに、京都初の個展をしていただくことになりました。

リアルな牛の作品を制作されていて、右の作品展のような大きなものが特徴的です。こんな大きな作品、小さな本屋のギャラリーに飾れるの?と思いましたが、今回は、中サイズと小サイズの牛が並びます。

絵本では、反芻する牛とか、牛舎のお食事タイムとかに描かれている牛はリアルであり、また愛嬌たっぷりです。生まれてから、最後に屠殺場に送られるまでの牛と農場との生活が解りやすい文章で書かれています。小学校中学年以上に向けられて書かれた本ですが、大人にも読んでもらいたい内容です。

子牛は、生まれて14ヶ月程で、オッパイが大きくなり、発情期を迎えます。そうすると酪農場に人口授精師が来て、人工授精を行い、赤ちゃんを生ませます。そしてお乳が出ます。そのお乳を分けてもらっているのが私たちです。因みに酪農場にオス牛はいません。彼らは生まれた後、肉牛牧場に引越して、牛肉になるために育てられます。何度かの妊娠後、雌牛は、「おつかれさま」という言葉と共に解体牧場に運ばれていき、加工用の肉にされます。我々は、牛乳から、お肉まで牛にお世話になっているということです。

 

 

そんな牛について、冨田さんは、「初めて間近に見た牛は、とても大きくて。あたたかくて、ふわふわしていてとてもかわいいものでした」と語っています。そして、酪農家が大切に育て、獣医さん、授精師さん、工場の人達など多くの人が誇りを持って働いている姿をしってほしい。食卓に並ぶ肉や、牛乳のことを知ってほしい、とこの本ができました。

個展最終日の5月7日(日)には、知床から作家が来廊予定です。動物好き、北海道好きの方、彼女とお話してみてはいかかでしょうか。東京から北海道に住まいを移し、牛を見つめて暮らしている彼女のハートウォーミングな眼差し溢れる作品展に、ぜひお越しくださいませ。

★冨田美穂「牛の木版画展」 4月25日(火)〜5月7日(日) 月曜定休日

京都人ならだれでも知ってる「糺(ただす)の森」。1994年には、森のある下鴨神社全域が世界遺産に登録されています。毎年、夏の下鴨神社境内で行われる古本市の場所として知っておられる方も多いと思いますが、古本市の時は、暑いのと、本探しと、多くのお客様でごった返していて、この森の素晴らしさなんて味わうことはないかと思います。

森林生態学者、四手井 綱英が編集した「下鴨神社 糺の森」(ナカニシヤ出版 1950円)は、この森の魅力を余す所なく伝えた名著です。(新刊書店勤務時代には、店のロングセラーでした)

この本は、様々な人々が、様々な角度から論じています。樹木学の観点から、生物学の観点から、或は植物学の観点から。

哺乳類研究家の渡辺茂樹が「糺の森のけものと鳥」の章で、述べています。

「イヌ・ネコ以外の哺乳類は糺の森には何もいない。しかし多分それでよいのである。幸い、遠出をしさえすればそれらと出会う機会が未だに日本には残されている。一方で文明の媚薬にどっぷり浸りながら、お手軽に野生を求めるのは都会人のエゴというものである。(求められ側の身にもなってほしい)」

いや、ごもっともです。街のど真ん中にありながら、あの静かさ、風の心地よさ、木々のざわめきを楽しめばよいのです。

第三部「糺の森と私」では、さらにバラエティーに富んだ方々が登場します。俳優の藤田まことは、「必殺仕置人」をここで撮影していたことがありました。かつては、この森の西に松竹下鴨撮影所があり、私も何度か、この辺りのロケ現場を目撃しました。

或は、作家、高城修三が中上健次と夜の森を散策した話。中上は、真の闇は熊野にしかないと信じて、かの地を舞台にして小説を執筆していました。しかし、京都にも深い闇があると高城が持ちかけ、夜中の糺の森に行き、中上は絶句したとのこと。私も、夜にこの森を通過したことがありますが、暗闇の深さにぞっとした記憶があります。

何気なく通っている森の深さを知ることができる貴重な一冊です。ぜひ、本を片手に森へ入ってみて下さい。

★本日、店内イベントのため18時で閉店いたします。ご了承くださいませ。

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カナダ在住の写真家、上村知弘さんの写真展本日より開催です。2012年に続き2回目になる今回の写真展に向けて彼はこう語っています。

「極北で撮りためた自然写真に文章を添えて、写真展という形で発表します。野生の生物に惹かれるのは、彼らが自然という不確かな要素の中で、将来や自分自身に思い煩うことなく、懸命に生きているように見えるからではないでしょうか。その姿や生き方に潔さを感じ、その畏敬の念がシャッターを押させてくれるのだと思います。」大自然のカナダ・ユーコン凖州に暮らして10年目、極北の旅や暮しを通して撮った作品たちです。写真の下には、上村さんのステキな文章が添えられています。どれもが、京都に住んでる本屋には眩しいばかり。

子育て真っ最中の白頭鷲、南東アラスカで海で身体を休めるラッコの一群、厳冬を乗り切る為の栄養源であるシャケをじっと待ち続けるクマ、そして夏の終りと共に戻ってくるオーロラの幻想的な美しい輝きなど、厳しく、美しい自然に身を置いて、撮り続けた12点。

ジャコウウシが、大平原の向こうからこちらに向かってくるところを捉えた一枚は、堂々たる風格。しかし、どこかで観た記憶があるなぁ〜と考えていると、モーリス・センダックの絵本「かいじゅうたちのいるところ」の表紙にいるウシであることがわかりました。マンモスのいた時代から生きてきたのですが、乱獲により一度は絶滅しかけた種です。内毛は、なんと羊の8倍の暖かさ、カシミヤよりも暖かいのだそう。子どもを守る為に、子どもを囲んで円になり動かないので、人間に銃撃されやすかった、などという話を聞いてから、この写真に対峙すると、その威厳ある姿にひれ伏したくなります。

私たちが、上村さんを知ったのは、レティシア書房を始める前、北海道に行った時のことでした。ちょうど先週金曜日に、当店でトークショーをしてくれた、安藤誠さんが経営するロッジ「ヒッコリーウインド」でお会いしました。上村さんは、ネイチャーガイド修行中で、一緒にカヌーに乗ったりしました。彼の写真がヒッコリーに置いてあり、その素晴らしさに見入ってしまいました。

レティシア書房をオープンした2012年、彼が追い続けているドールシープ(高山に住む羊です)の写真展を開催してもらいました。今回の個展にも、雪の中に立つ真っ白なドールシープを捉えた作品が展示されています。マイナス40度の世界で、首を傾けた表情が、なんとも素敵な作品です。(写真集「Dall Sheep/ドールシープ」1620円も販売中です)

大きな作品の手前の平台には、極北の旅の様々なシーンを撮影したものを文庫サイズの本にまとめたフォトブックが十数冊並べてあります。販売はしておりませんが、ご自由にご覧下さい。

ぜひ、個人的に行ってみたいと思われた方は、上村さんと奥様のタミーさんが経営する少人数制の自然ツアー会社“Nature Connections”もあります。またユーコン準州の観光チラシやパンフレットもありますので、お持ち帰り下さい。(店長&女房)

 

★上村知弘さんは11月6日(日)は終日在廊されています。

 

 

 

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恒例になった、ペンション「ヒッコリーウインド」オーナーで、ネイチャーガイドの安藤誠さんの「安藤塾」を昨夜開催しました。安藤さんは、毎年10月の下旬に北海道鶴居村を出発して、依頼のあるところで、北海道のこと、自然とともに生きていくこと、などについて、講演をして回られます。レティシア書房では数えて5回目になりました。

彼が撮影した写真を観ながら、北海道の自然の魅力と、動物たちの生き方に驚かされました。

左の写真のこの虫、ご存知でしょうか。「トビケラ」という虫です。幼虫時代を水中で過ごし、水上で羽化します。とても小さな昆虫なのですが、トビケラにレンズを向けたのは、「彼のあまりにもかぼそく優美なさま、とくにオーロラのような羽のグラデーションと輝きを見つけることができたから。自然ガイドをしていて、自分自身が毎日いただいている発見と感動に、ただただ感謝」と言う理由です。この写真ではよくわかりませんが、画面を拡大した時に、羽の中にまさにオーロラを見出しました。

右の疾駆するウサギは、夏毛の「エゾユキウサギ」です。飼われているウサギとは全く違う逞しい足。疾走している姿はまるでカンガルーのようです。このウサギ、安藤さんがタンチョウの子育てを撮影していたときに遭遇した雄ウサギで、恋に夢中。撮影者の向こうにいる雌ウサギ目ざして、すぐそこに居る人間などお構いなしに、一直線に走って来たというわけです。安藤さんは、このウサギを前に、こう呟きました。

「北海道の自然界において弱者に位置する彼らが、毎日を必死で生きている様に、強い愛おしさを感じた。願わくは、この冬に真っ白になったエゾウサギに出会えたらと。」

プロ、アマを問わずアジア中のカメラマンが参加できる、アジアの自然にフォーカスをあてた写真コンテストNature’s Best Photography Asia2016で入賞したのが、サクラマスの飛翔(左写真)を捉えた一枚です。幻想的な滝の飛沫の中を飛翔する姿が感動的です。安藤さんは、この作品について「彼らは苦しく、困難な状況であっても決して諦めない。黙々と淡々と飛び続ける。このワイルドライフからのメッセージをどう受け取るかは、己の感性だけではなく自分自身の生き方次第なのかもしれない。」とフォトエッセイの中で書いています。(Nature’s Best Photography Asia2016は販売はしていませんが、店にありますので、ご覧になりたい方はどうぞ)

こんな風に、驚きの写真と楽しいトークで、「ヒッコリーウィンド」を訪れた人もそうでない人も、一緒になって和やかに夜は更けていきました。12〜3人で、狭い店内はいっぱいなのですが、この本屋のあたたかな雰囲気が好きだと言って下さるので、毎年旅の日程に入れてもらっています。トークの前後に、音楽好きの安藤さんは、CDの棚の前に座り込んで、「まいったな〜」と言いながらお気に入りのCDを手にしてニコニコ顔。私自身は、この顔見たさにさらにがんばって、CDコーナーを充実させているようなところがあるように思います。

 

★ 11月5日(土)は店内イベントのために18時にて閉店いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお  願いします。

えらくタイトルの長い雑誌ですが、北海道の自然を様々な角度から捉えた「ファウラ」のバックナンバーが数十冊入ってきました。2004年から10年にかけて出版されたもので、今は絶版状態です。毎号特集が魅力的なので、少しご紹介します。

北海道を代表する動植物の各号の特集は、「エゾモモンガ」、「エゾナキウサギ」、「オオワシ・オジロワシ」、「タンチョウ」、「エゾリス」とけっこう揃っています。知床羅臼にて撮影された鷲の勇姿、堂々たる飛翔姿は王者の風格です。しかし、この雑誌は、単にその姿を捉えているだけでなく、彼らの現状、例えば風力発電用風車に巻き込まれる事例や、鉛弾薬中毒死問題も取り上げ、その環境の危うさに言及しています。

エリアの特集号としては、「奥尻島へ行こう!」、「北の”二つ島”礼文・利尻」、「知床」、「洞爺湖・有株山」、「北海道の『冨士』」、「渓流、渓谷」、「摩周・屈斜路」など、魅力的な地域が並んでいますが、観光案内でないことは言うまでもありません。

思わず読んでしまったのが「ブラキストン線」の特集号です。1880年、函館で貿易商を営んでいたトーマス・W・ブラキストンが、津軽海峡の北と南では動物相が変化していることを提唱しました。後に、この海峡が動物分布境界になっていることが判明、ブラキストン線と命名されました。その境界線のあちらとこちら側を写真と文章で見つめています。へぇ〜、そんなもんがあったのか………です。

お気に入りの写真は「北国の冬を生きる」という号で、オジロワシが、絶命した子鹿の死体に食らいついている作品です。子鹿が正面から撮影されていて、まさに絶命した子鹿の表情が明確です。ワシは鹿の肉を喰らうことで、自らの命を保っているという、命の連鎖をはっきり表現しています。

こんな風に、どのページも見所満載も雑誌です。ネットでは、一部数千円で取引されているものもありますが、良心的?レティシア書房では、オール500円です。

 

 

 

 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

以前にも紹介しましたが、「Spectator」は、年に数回発行される雑誌で、再びバックナンバーが入荷しました。「バック・トゥ・ザ・ランド」(自然に戻ろう)をテーマに掲げていて、

「何の気なしに消費してきた食べ物や電気や水が、どうやって作られているか、それさえ知らなかったことへの反省や、安全な暮しを取り戻そうとする新たな意志があるように思われます。新しい世界のかたちとは?そんなことを考える一旦を担えたら幸いです」と書かれているのを今一度読むと、やはり共感します。

取材の対象も、そのコンセプトに最適な方が登場します。「ぼくは猟師になった」(リトルモア900円)の千松信也へのインタビューは、ボリューム満点で中身も濃い記事です。

「やりたくない仕事をして稼いだ金で石油を買ったりするよりも、自分の時間を使って薪を手に入れたり肉を手に入れるほうが、身体はしんどいかも知れないですけど、やっぱり気持ちは楽です」と語る千松は、理念もないし、自給自足でなくてはならぬという固定観念もありません。「自分にとって楽なほうへ進んでいったら結果としてこうなった」と語っています。

もう一人、当店で人気の作家、内澤旬子も登場します。三匹の豚を飼って、最後に屠殺し、肉を食べるまでのルポルタージュ、「飼い喰い」(岩波書店1400円)の面白さは類を見ない一冊でした。元々は、世界の屠殺現場を訪ね歩く「世界屠殺紀行」(角川文庫600円)や、有名作家の書斎を紹介する「センセイの書斎」(河出文庫500円)、おやじの生態を見事に捉えた希有な一冊「おやじがき」(河出文庫300円)等のイラストルポライターです。

38歳の時、乳がんを宣告され、その後の身体の変化を描いた「身体のいいなり」(朝日新聞出版400円)で、様々な苦しみの中から、これは「意志と身体との戦いだった」と表現しています。

「今まであまりにも身体を無視して、意志だけで生きてきた結果、身体を怒らせてしまった」

だからこそ「身体のいいなり」になるのだと。

ガン告知され、闘病生活を経て、豚を飼うに至る人生についてたっぷりと読めます。

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

春は、何かと変化をする季節・・・。DARUMAさんの絵『My little turn』とは、そんな風に、少しずつ変わっていく感じを表しているのだそうです。色合いでいえば青からピンクへ、作家の気持ちの変化のままに描かれた女性は春を楽しんでいるようです。

青いドレスを着た女性が、こちらを見ながら佇んでいる絵は、澄み切った孤独感が漂います。何を見ているのだろう、何を求めているのだろう、ちょっと聞いてみたい気がします。そのほか青色がポイントに使われている絵が何気に寂しさを感じさせるのに対して、後の絵はピンクを巧みに使い分けた作品が並んでいます。こちらは桜をイメージするようなフンワリした感じが、希望を感じさせてくれます。思い思いに細長い板やキャンバスに描かれた女性は、作家の夢にでもでてくるのでしょうか。個展は4月10日までです。

さて、やっと冬が去り春めいてきたこの頃、ちょいと野外に出たくなります。でも、忙しくて時間がない方のためにお薦め本を2冊。

一冊目は渡邊耕一著「Moving Plants」(青幻舎新刊4104円)。これ、シーボルトが長崎滞在時代にヨーロッパに持ち帰ったタテ科の植物イタドリ。これが、恐ろしい繁殖力で世界中に蔓延、もう生態系を破壊し、建物にも侵入するという悪玉植物になりました。が、こんな植物に魅せられた著者が全世界を巡って撮影した写真集です。人間の情熱って面白いものですね。

もう一冊は「きのこ絵」(PIE新刊2376円)こちらは18世紀〜20世紀に描かれた「きのこ絵」二〇〇数十点を収録した図録です。ヨーロッパのボタニカルアート、日本の最近図鑑、ファーブルに南方熊楠に至るまでよく集めました。オマケに「日本の菌類図譜」付きです。しかし、キノコって奇妙なスタイルですね。

臨時休業のお知らせ 

勝手ながら、3月31日(木)休ませていただきます。

 

北海道のネイチャーガイドで写真家の安藤誠さんの、トークショーを10月23日夜に開催しました。

狭い店内に、多くの方にお集り頂きありがとうございました。

当日朝、静岡県焼津から「今から京都へ向かいます」と連絡があり、夕刻無事到着。今年で4回目になりますが、常連さん、初参加の方など我々を含めて、18名が、スライドを使った安藤節に酔いました。

北海道の大自然に生きる動物達の写真をメインにして、自然大系の微妙なバランス関係の事、「危険な動物」というレッテルをマスコミによって貼られた野生の熊のこと、毎年アラスカで見るオーロラツアーの事など、興味深いお話でした。

私たちは、人間だけが、食とは関係なく他の生物を殺す。動物は、ただ食べるためにだけ補食すると思っていますが、そうではありません。例えば、シャチのグループは、クジラを追いかけ殺害することがあります。一つには、狩りの訓練のためですが、ここにはもう一つ大きな意味があって、クジラが増えすぎて、主食するオキアミの量が極端に減らないようにするためだ、というのです。別にシャチにそんな意識があるのではなく、太古の昔から、そうやってバランスを保ってきたのです。聞けば聞く程、自然大系の深さに驚きます。

さて、数多い安藤さんの作品の中で、昨夜一番受けた写真は、これ(下)。

ルンルン気分で、上がってきたアカリスの目の前には、なんと大きなアメリカワシミミズク。リスはやばい!と思ったに違いないのですが、ずーっとここに泊っていたミミズクの方は満腹だったみたい(何しろ補食関係です)で、命拾いしたアカリスでした。カメラを構えていた安藤さんも、おもわず吹出したそうです。

自然の中ににこそ学ぶべきことが沢山ある、という思いで一杯になった夜でした。

この作品の入った作品集「Ordinary People」最新号(CD付き2200円)は、11月3日から始まる彼の写真展で販売します。写真展では、北の大地に生きる動物達の力強い姿を楽しむことができます。

安藤誠写真展は11月3日(火)〜15日(日)

 月曜定休日 12時〜20時  レティシア書房にて

 

 

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梨木香歩の最新作「岸辺のヤ〜ビ」(福音館1200円)は、明らかにファンタジーのスタイルの児童文学です。

だからといって、大人が読んで面白くないかと言えば、全くそんなことはありません。前作「丹生都比売 」もファンタジー小説の大人版でしたし、純文学の看板をかかげている「海うそ」にしても、主人公が島の中を彷徨い、何かに遭遇する辺り、ファンタジーの香りが漂っていました。

舞台は、イギリス(実際にイギリスとは明言されていませんが)の田舎の豊かな自然の広がる森です。その森近くの学校に勤務する女性教師が、ボートで沼地に出た時のことです。そこで彼女は、カヤネズミ程の大きささの直立二足歩行する小動物に出逢います。

「モグラでも、ネズミでもない。何よりもやはり、一番の特徴は、顔に表情があったことでしょう。」と彼女は思います。そして、目と目があった時、こう感じています

「おどろきと、ちょっとこまったような、それでいてたじろくことのない、いいかえれば、今までの人生を、お日さまの下ではたっぷり汗をかき、月明かりの下ではたっぷりさまざまなことを考えてすごしてきたような、そんな男の子の顔をしていました。」

彼は言葉を話しました。こうして物語は始まります。彼の名はヤービ。この豊かな森に一族で住んでいます。彼女は、ヤービからこの森で行きている多くの種族のことを知ります。

多彩な登場人物を登場させながら、豊かな物語を展開してゆくところは、作者の真骨頂です。読者はヤービに導かれるように緑豊かな森での彼等の生活を知っていきます。メアリー・ノートンの「床下の小人たち」(岩波書店 1100円)の描く世界に近いものがあります。

しかし、このシリーズ1作目のラストは決して、明るい未来ばかりではありません。大きい人達(つまり私たち人間のこと)の自然破壊の影響で、彼等の環境に異変が起きているのです。

「若いミツバチのなかには、巣を出て行ったままもどってこないものがあります。ぜんぶではありませんが、巣の近くまで還ってきたミツバチたちも、まるで巣の中への入り方を忘れてしまったかのように、とほうにくれてうろうろ飛んで、それから力つきて死んでしまうものもあります。ミツバチの子の数も、ずいぶんへりました」

と、いずれ住めなくなる可能性のあるこの森から、新しい住処を求めて旅立つ可能性さえあるエンディングです。

ぜひ、ヤービ達の暮らすマッドガイド・ウォーターに遊びに行ってみてはいかがでしょう。

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取り扱いを開始した雷鳥社発行の「島いぬ」(1620円)は、そこら辺の可愛いだけの犬本ではありません。

これは、日本ってこんなに美しく輝いていた国だっだんだ、ということを思い起こさせる一冊です。

島で暮らす阿部高嗣さんの家にやって来たワンコ、アロちゃんの成育日記風の写真集として構成されていますが、写真家は、今日を精一杯生きている阿部家の3人の子供たちと、ワンコの姿を通して、日々の輝きをみせてくれます。

子ども達の目線で日々の生活を捉えながら、躍動する身体の動きを生き生きと映し出します。夏、それっと海へ飛び込む子供たちと、一緒にダイブするアロちゃん。岩壁をキックする彼等とアロちゃんの力強さ、子どもの一日が、こんなに楽しいものだったという遠い記憶が甦ってきます。あるいは、銛で、小魚を捕まえた阿部さんちのお姉ちゃんの笑顔には、小さな狩人の逞しさが光ります。

子どもと動物の写真集って、「微笑ましい」だけに終始しているものが多くて、ちょっと退屈していましたが、この写真集は先ず、子供たちの島の生活を撮っています。サッカーボールを奪いあう少年とアロを目前で捉えた写真、きっと、この撮影の後、撮っていたお父さんはボールが顔面に飛んできたか、避けきれなかったアロちゃんと正面衝突したか、一緒に遊んでいる楽しさがはじけて迫力一杯です。大人も一緒になって、かけがえのない今、この一瞬を楽しんでいる。明日のために生きるのではなく、今日にすべてを出し切る、そんな気持ちが伝わってきます。

ページを捲っていくと、泳いでいるアロちゃんをアップで捉えた写真に出会いました。泳げるでぇ〜と自慢げなアロちゃんを、真横で見ているお父さんの喜ぶ顔が浮かんできます。

島の春夏秋冬を巧みに切り取りながら、自然とともに生きる子どもと犬。ここには余計なものは一切ありません。ただ、一瞬一瞬を無心に生きていけることの素晴らしさだけがあります。

「雷鳥社」は新刊出版社です。山登り初心者のための「山が好きになる練習帳」(1620円)、製本のテク

ニックを解説した「雑貨屋さんの製本教室」(1728円)、がんばってる様々な女性店主を取材した「20代でお店をはじめました」、「30代でお店をはじめました」(各1728円)等、素敵な本を入荷しました。

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