京都の出版社英明企画編集(株)が、シリーズで「比較文化学への誘い」を出しています。比較文化学?って何と思われる方も多いと思いますが、これからの時代、重要な学問になってくるかもしれません。
「世界のどの地域に出かけても同じような『もの』があふれ、文化の違いがなくなりつつあると感じる一方で、文化による差異を思い知らされ、異文化理解に当惑することが少なくありません。」
お隣の韓国や中国、比較的多くの情報が入ってくるアメリカ合衆国のことでさえ、私たちには知らないことが沢山あります。ましてやイスラム圏の文化となると、もうほとんど知らないという方が多いと思います。
比較文化学とは「文化の相違と共通性を明らかにする学術的な学問領域です。比較文化学を学ぶことは、文化を相対化するまなざしを身につけ他者(異文化理解)を深めることにつながります」と、このシリーズ発行の意義が本の扉に書かれています。ヘェ〜、あの国ではこんな風に考えるんだ、行動するんだということを分かった上で、仲良くしましょうという手助けをするシリーズだと思います。「食からみる世界」、「弔いにみる世界の死生観」、「比較で捉える世界の諸相」、「文化が織りなす世界の装い」、「祭りから読み解く世界」が出ていて、今回6冊目として「人のつながりと世界の行方 コロナ後の縁を考える」が出版されました。山極寿一京大総長の論考に続いて、「『つながり』の変容から考える日本の未来」という座談会で、人類学のスペシャリストたちが、人がつながってゆく重要性について議論が行われています。さらに、世界各国では人と人はどうつながっているのか、フィールドワークによる検証論文が掲載されています。
大阪にある国立民族学博物館の藤本准教授は、「困難に直面している今だからこそ、多様な地域に暮らす人々が環境の変化に適応しながらつながりを築いている様子に、改めて目を向ける必要がある。異なる文化のなかで育まれた人のつながりについて学ぶことは、これからの社会の可能性を拓くことにも結びついていくだろう。」と結論付けています。このシリーズは、今後ますます重要になっていくと思います。