以前、サントリーミュージアムで開催された「THE ドラえもん展」の図録は、かなり凝った内容です。ページをめくると武蔵野美術大学教授で、デザイン評論家の柏木博が、当展覧会アドバイザーとして「消えてしまった風景への夢」という文章を寄せています。ドラえもんの連載が始まったのは1970年。60年代の高度経済成長時代は終焉を迎え、それまでの産業社会、あるいは消費社会に疑問が出てきた時代です。

「そこに描かれている風景、そして、のび太やしずかちゃんやジャイアンといった子どもたちは、60年代の『高度経済成長』の経過の中で、次第に消えていった存在であり、それが、この漫画の中で生き返っているのである。」と書いています。

遊び場としての空き地がなくなり、集団で遊ぶことが失われていった時代に登場したドラえもんというキャラクターを巡って、様々な表現ジャンルで活躍するアーテイストたちが、ドラえもんへのオマージュを表した作品が図録に収録されています。奈良美智の「シャイアンにリボンをとられたドラミちゃん」は有名な作品ですので、ご存知の方も多いと思います。

美術家の森村泰昌も参加しています。曰く、「ドラえもんをイメージしたドレスを作り、それを『私=モリムラ』を形どった人形に着せます。といってもドラえもんの着ぐるみを作るのではなく、ドラえもんを優雅に演出したドレスを作ります。ドラえもんのドレス。ですから、『ドラス』です。宇宙的でありながら、かわいく、そしてエレガント。」

エレガントかどうかはさておき、宇宙的であることは間違いありません。

デザイン的にいいな〜と思ったのが、グラフィックデザイナーの松下計が製作した「すべての階層のドラえもん」。ビルのあらゆる階にドラえもんらしきシルエットが出没しています。なんの違和感もなく溶け込んでいるところが、さすがドラえもんです。

そして最も微笑ましかったのは、写真家蜷川実花が、他の仕事ほっとらかしにして取り組んだ「ドラちゃん1日デートの巻」。この後ろ姿を見て、微笑まない人は、いないでしょう。

どのページにもアーティストたちの才能が開花した作品が一杯。(古書/700円)

 

 

 

大阪の動物保護施設ARK関西アニマルレフユージュの2020年カレンダーが入荷しました。

壁掛けタイプ1000円、卓上サイズ800円です。なお当売上は、保護活動費に当てられます。