全卓樹著「銀河の片隅で科学夜話」(朝日出版社/古書1300円)を買ったのは、しばらく前のことでした。これは良い本だと思い、いずれブログに書くつもりでした。が、先々週の京都新聞日曜版の読書欄に掲載された「本屋と一冊」(京都文芸同盟)で、恵文社の鎌田さんが紹介記事を書いているのを発見。一歩先んじられました。こらぁ、鎌田なに書いとんねん!と言ってやりたいところでしたが、さすが恵文社の書籍担当者やなぁ〜と感心しました。

著者は京都生まれの物理学者で、専攻は量子力学、と書くと、科学者らしい理路整然とした文章を思い浮かべて苦手と思われる方、大丈夫です。理科系センスの全くない私でも80%楽しめました(20%は??でしたが)

宇宙の話、原始世界の話、人間社会の話、倫理の話、生命の話の五章に分かれていますが、え?この人ホントに理系のヒト?と思うほど詩的な文章です。最近の研究成果を元に、現代科学が解き明かした、あるいは解き明かそうとしているテーマもわかりやすい。それぞれ独立した話で、スラスラ読んでいけます。

どれも面白い。特に「世を広く見渡すと、実は意外なところに、人間以外で農業を行い牧畜を行う生物が、王国を共和国を大帝国を築く生物がいる。それはアリだ。」で始まる第19章「アリたちの晴朗な世界」は興味深いです。「晴朗」という言葉を引っ張り出すところが素敵です。

ここでは、アリの社会が徹底的な分業制と身分制度で保持されながら、領土を守り、広げてゆく様が描かれています。人間のニューロン(脳にある神経細胞のこと。情報伝達と処理を司る)は10億。対してアリは100万で、今の人工知能が持っているニューロンは、まだ数万の量でしかありません。アリが結構な数量であることが理解できます。

「その100万ニューロンの脳で、個々のアリは自分の持ち場をわきまえて職務を果たす。すべての個体は、仲間のアリとよそ者のアリ、味方と敵を区別し、仲間の職能を区別し、冒険をして良いえさ場を探し当てる。」

こんな文章に出会うと、アリを見る視線も変わってきます。余程アリが好きなのか、続く第20章でも「アリと自由」というテーマで語られます。奴隷アリの反乱などという映画みたいなお話が登場します。

「科学夜話」というタイトルに相応しい一冊です。

★注目!当ブログでも何度か紹介した内田樹氏の「コロナ後の世界」と題した論評を、ネットで読むことができます。ご一読をお勧めします。

 

お知らせ コロナウィルス感染拡大の緊急事態下、これ以上感染者を出さないために、4月23日(木)より当面休業中です。予定しておりましたギャラリーの個展もしばらくの間お休みいたします。この「店長日誌」は毎日更新していきますので、読んでいただけたら嬉しいです。ご希望の本があれば、お取り置き、または通販も対応させていただきます。(メールにてご連絡ください。)

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