ウイスキー、日本酒、ワイン等々ジャンルを問わず、お酒には物語があります。お酒を飲むことは、その物語を聴くこと。だから、私はやけ酒を飲みません。お酒を作った人に失礼になりますからね。

お酒専門の雑誌、「たる」最新号(510円)は、「ウィスキーのブレンドの妙に触れる」という特集です。いまだにワインは、高かろうが、安かろうがさっぱり判別できずに何でも「美味しい!」と飲んでいますが、昔、友人のやっていたバーで、ウイスキーは勉強させてもらって、少しはその味がわかるようになったつもりです。

今回の特集で、ブレンデッドウイスキーの特集が組まれています。ウイスキーには、大麦麦芽だけを原料とするモルトウイスキーと、トウモロコシなどの穀類を主原料とするグレーンウイスキーがあります。どちらもそれぞれの個性があるのですが、その二つを微妙にブレンドしたものが、ブレンデッドウイスキーです。絶妙なテクニックで美酒を創り出すブレンダーや、バーのマスターが登場し、ウイスキーファンには必読の話が満載です。

その土地の風土、自然、職人の誇りが衝突することなく、芳醇な味わいが楽しめるブレンデッドウイスキー。個人的にはアイリッシュのお酒が好みですね。荒涼たる風土に吹き付ける荒々しい風と、冷たい海、そして黙々と働く職人の心意気が見えてきそうと言うと大げさかもしれませんが、一杯のお酒にはそれだけのものが含まれていまるように思います。そして、その酒を出すお店がいい雰囲気ならベストです。

吉田健一のエッセイ「新編酒に呑まれた頭」(ちくま文書400円)で、ロンドンの酒場のことに言及しています。

「どのような作りの店でもそこで飲んでいる気分に変りがないのは飲み屋というものが英国人の暮しに深く根を降ろしていることを示すものに違いない。それで飼い犬を連れたどこかのおかみさんが買いものに出掛けた帰りに一杯やりに入って来もすれば、老人が新聞を持って一朝を潰しに現れもする。又飲み屋に連れて来られる犬がおよそよく躾けられていることも外国人には珍しくて主人の席が決まれば直ぐその椅子か卓子の下に腹這いになり、そのままで主人が店又出て行くまでは身動きもしない。」

一杯のウイスキーをゆっくり飲み干し、家路に向かう光景が見えてきそうです。

★「たる」の「杜氏秘蔵の酒」プレゼント企画。京都からは、最近はお父さんもCMに登場の佐々木酒造「平安四神ブルー吟醸」が出品されています。詳しくは今月号P49に。

 

お酒専門の月刊誌「たる」を発行している大阪の出版社「たる出版」が、リニューアルを記念しての展示会が本日より始まりました。(2月7日まで)

判型も少し大きくなった最新号の特集は、「ようこそ!北新地、銀座へ」です。新地の魅力を米團治が語っていたり、銀座の安いお店が紹介されていたり、ぶらりぶらりの散策のお供にぜひ。お酒の話かぁ〜と思われ方には、お笑いコンビ「メッセンジャー」の黒田さんが紹介する「めし活パラダイス」とか、八尾に本社を置く「旭ポンズ」で有名な「旭食品」による「ポン酢づくり」なんて企画もあります。

店内にはバックナンバーも揃えました。また壁面に、1980年発行の創刊号(写真左)をはじめとして、いくつか記念号の表紙も飾っています。「お酒」だけの雑誌で30数年って凄いですね。16年1月号では「お酒とお漬物の美味しい関係」という特集で、東山八百伊の「千枚漬」の紹介やら、全国漬物マップ等々、ごはん派も見逃せません。

この出版社は雑誌の発行だけでなく、ユニークな単行本も出版しています。例えば、「藤本義一文学賞」です。

かつて人気深夜TV「イレブンPM」で、大阪弁の粋で軽妙な司会をされていた藤本義一と、一般公募の作家九人が「帽子」をテーマに書き上げた短篇集が、それです。「京の町の朝は早い」で始まる、最優秀賞「秋霖」を書いたのは、なんと80歳の女性です。そして、最後には義一の未発表作「樹になりたい僕」が掲載されています。私にとって、藤本は作家である前に、勝新太郎の悪名シリーズの脚本家でしたが、上方落語家の半生を描いた小説「鬼の詩」を読んで、小説家としての面白さも知るようになりました。

また今回の展示には、京都の植物園近くにある「酒器 今宵堂」さんから、素敵な酒器を出品していただきました。「樽猪口」(1944円)は樽の形をした猪口で、手に持った感じも良く、お酒が進みそうです(早くも、売れています)。「揺心猪口」はハート型のもので、ちょっと不安定に揺れる辺りが、春めいていて粋な作品です(1944円)。また「成駒箸置」は将棋の駒の形の箸置きで、片面に「素面」、裏面に「酩酊」と書かれてある遊び心満載の作品。540円)。こちらの作品は在庫がなくなり次第終了です。

なお「今宵堂」さんは、週末、祝日のみの営業です。

たる 記念ギャラリー展示会 今宵堂とのコラボ は1月26日〜2月7日まで

この後、2月17日〜29日まで、神戸元町古本屋「1003」で巡回展示。

Tagged with:
 

えっ、「たる」? と思われる方もあるかと思いますが、正確には「ほろよい手帖 たる」という全国に流通している雑誌の名前です。おわかりですね、そうです、一冊まるごとお酒の雑誌です。

最新号の特集は「今、飲みたい紅芋系焼酎」です。芋焼酎の魅力は、さつま芋の豊かな香りと甘みです。その芋を栽培する鹿児島県の農家の取材や、使用されるお芋の百科、飲み方指南、美味しい銘柄紹介など、読み応え十分です。

この雑誌は、ワイン、ビール、ウィスキー、そして日本酒と種類を問わず、酒を幅広く、時にはかなりディープに取り上げています。酒文化を知るのには絶好で、読んでいると、さてさて、今晩は何を飲もうか、とあれこれ思案してしまいます。

「麹」をテーマにしたバックナンバーもあります。日本酒、焼酎、泡盛等の日本酒は、麹を利用して造られますが、醤油、みりんも、やはり麹を使う醗酵調味料です。さらに、甘酒やべったら漬け等は、麹を直接使う食材です。和食、日本酒に欠かせない麹のことがわかったりします。

あるいは、「本を肴に」という企画もあります。知りませんでしたが、”酒飲み書店員”が選ぶ「酒飲み書店員大賞」なんてのがあったんですって。因みに、2014年の受賞作品は中野進「球団と喧嘩してクビになった野球選手」(双葉文庫)です。ちょっと面白そうです。

また、書店員が推薦する「お酒を飲みながら読みたい本」は、フツーの推薦本紹介とは一風変わっていて、次々読んでみたくなります。例えば、上野敏彦「神馬(しんめ)−京都・西陣の酒場日乗」(新宿書房)とか、プレモリ=ドルーレ「作家の家 創作の現場を訪ねて」(西村書店)、開高健「地球はグラスのふちを回る」(新潮文庫)など。もちろん、酒といえば、吉田健一「酒肴酒」(光文社文庫)は見逃せません。

という具合に、毎号毎号、素敵な企画が目白押し。お酒を飲む人も、飲まない人も、読んでほろ酔い気分。リラックスできます。価格は390円。

今月号より、バックナンバーも含めて販売していきます。

Tagged with: