昨日に続き、古い雑誌のご紹介です。

伊丹十三が編集した「mononcle/モノンクル」(1981年創刊)。編集長曰く、「雑誌『モノンクル』をして知の世界と生活者の交わるパフォーマンスの広場であらしめたい」。確かに、登場する執筆陣や内容を見ていると、伊丹らしいひねりの効いた作りの雑誌です。創刊号に登場するオジサンとして、岸田秀、南伸坊、村松友視、寺山修司、田中小実昌、糸井重里、山口昌男、ますむらひろし、赤瀬川原平、萩尾望都、そして YMOにタモリと硬軟入り混じった布陣です。

YMOと、民族音楽を研究する小泉文夫がインドを巡って二時間にも及んだ対談は、音楽ファンには貴重な資料です。 YMOが中心に使っていたシンセサイザーという楽器が世間から感情のない音楽と言われてきたことについて、そうではなくて無機的な感情の音楽であり、「シンセサイザーという楽器が、かえって人間の様々な不合理的な面をゆたかにすくい上げられる」と坂本龍一が語っているのが興味深いです。

高橋幸宏も、糸井重里がラジオで「 YMOのことを無機的な音楽、感情のない音楽って、いう人が世の中にいるというー感情のない音楽、そんなものが存在するなら見てみたい」と言っていたと語っています。さすが糸井重里だなぁ〜と感心しました。

伊丹らしいひねりが最も利いているのが、三人の文筆家が三人の漫画家と組んで、人文系の書物と対峙する企画です。『糸井重里+マルス鈴木』VS『栗本慎一郎「幻想としての経済」』、『岸田秀+長谷川集平』VS『フロイト「夢判断」』、そして『村松友視+ますむらひろし』VS『ロラン・バルト「表象の帝国」』。

ますむらひろしファンにも見逃せない企画ですね。哲学者のバルトが60年代にフランス文化使節の一員として来日、数ヶ月の滞在で日本各地を訪問。その印象を基に記号論の立場から独自の文体で展開した日本文化論が「表象の帝国」です。手強さでは随意一のバルトの書物をこの二人がどう料理していくのかという、面白い企画です。

アタゴオルの森にやってきた仮面の男が「おのれ自身の独特の表現体をうち立ててバルトの森に近づくのさ」と口走った途端、主人公の大猫ヒデヨシガ「わけのわからんことを言う奴だ。一種の馬鹿だな…..」と小馬鹿にしながらも、バルトの世界を解釈してゆきます。これらの企画は3号をみるとまだ続いているので、その後も連載されていたかもしれません。

才人伊丹らしい雑誌は、貴重かもしれません。創刊号〜3号まで3冊セットで2000円です。そんなに安いの?実は1号が本誌と表紙が外れているのでこの価格です。2号、3号はそこそこ美本です。(以前4号までのセットを京都の書店が8000円近い価格で販売していました)

因みにこの読み応えのある雑誌は、6号で廃刊になってしまいました。

大阪の動物保護施設「ARK/アニマル・レフユージュ関西」が発行する2020年のカレンダー販売中です。

壁掛けタイプ(1000円)。机上タイプ(800円)があります。売上は、全てARKにお渡しいたします。当施設に保護されている動物たちのために使われます。

 

 

「このところ、1920年代が脚光を浴びている。ファッション、インテリア、映画、美術と。色々なジャンルに渡って。」という言葉で始まる「モボ・モガの時代』(平凡出版/古書1500円)。アン・アン&ブルータス共同編集という、今では考えられない企画で発売されたのは、1983年9月です。そうか、この時代は1920年の頃がトレンドになっていたんだ、ということか。

「ベストセラー『生きていく私』の宇野千代さんは60年前はモガだった。1920年代、東京の街はモボとモガは闊歩した。彼らの生き方と美意識は、いま、時間を超えて私たちに迫ってくる!」と気合いの入った宣伝文句ですが、そう言うだけあって、執筆陣は超豪華です。VAN創始者石津謙介、吉行淳之介の母で「吉行あぐり美容室」の吉行あぐり、俳優の益田喜頓、そして淀川長治などが登場します。

1909年神戸生まれで、当時は中学生だった淀川さんは、この時代を「映画でいうたらサイレントからトーキーになるまでの間ね。今みたいにテレビがないから、映画がモダンボーイ、モダンガールの教科書でしたね」と話しています。

モガ・モボ達の溜まり場だったフルーツパーラーの物語が登場します。お店で使っていたマッチのデザインの洒落ていること!そのほか先端トレンドをファッション、建築、映画と様々なジャンルに分けながら、紹介しています。スタイリスト原由美子の担当する20年代のファッションページもいい感じです。1985年当時の雑誌は、今のものとは印刷技術や紙質などは比較できないぐらいの程度なのですが、センスあふれる紙面作りは、失われていません。レイアウトや写真など、その後様々の雑誌で一時代を作った出版社らしい感覚です。

本好きに注目して欲しいのが、龍膽寺 雄が昭和3年、雑誌「改造」に掲載された著者27歳のデビュー作「放浪時代」が読めることです(挿し絵・ペーター佐藤)。龍膽寺の本は、かつて高価な価格が付いていて見つけるのも困難でした。彼はサボテン研究者としても多くの本を残しています。

こういうのが読めるのも、古い雑誌ならではの特典ですね。ちょっと楽しいので雑誌特集、明日も続けます。

 

大阪の動物保護施設「ARK/アニマル・レフユージュ関西」が発行する2020年のカレンダー販売中です。

壁掛けタイプ(1000円)。机上タイプ(800円)があります。売上は、全てARKにお渡しいたします。当施設に保護されている動物たちのために使われます。

 

 

そんなに古くもなければ、最近でもない、ビンテージモノにはなれないけれど、まぁこれはいいよね、という雑誌が、数点まとめて入りました。

先ずは、2006年6月発行の「ブルータス」で、特集は「国際空港」。世界中を旅する写真家などが、お気に入りの空港をそれぞれ上げています。写真家大森克己が推薦した飛行場というのが、ケニアのマサイマラ国立公園内発着場。広大なサバンナの中、キリンやゾウが走り回る草原の一角にある待合所には、ウソでしょう?!と声を出したくなりますが、いい写真です。冒険家石川直樹はベスト1に南極飛行場を上げていて、これも飛行場とは呼ばんだろうという場所。でも美しい。そして写真家木寺紀雄が撮ったブータンのパロ国際空港は、これまた物語に登場しそうな美しい場所。

で、この号、音楽ファンは探している人も多いはず。藤原ヒロシと大沢伸一によるCD が付いているのです。「ファーストクラス・ラウンジ・ミュージック」(未開封)が楽しめます。さらに、飛行機ファンには、コレクターアイテムの「エアライン61社尾翼ステッカーが付属しています。値段は800円。

 

次は、2012年10月発行の「ポパイ」です。こちらは、丸ごとニューヨーク特集。アメリカ映画、音楽、小説好きの方はぜひ。12年発行なので、情報としては古いですが、この街の魅力を十分に伝えています。音楽を聴きながら眺めるといいかも。もちろん、NYの本屋特集もありますよ。全160ページ、ほぼNYです。値段は400円。

 

大橋歩が責任編集をして、ミニプレスとして発行していた頃の「Arne/アルネ」の14号と16号もあります。やはりこの頃のアルネは、いい!レイアウト、写真、構成、そして出てくる人たちのセンスの好さ等が、上手くクロスオーバーしていて、上質な生活雑誌になっています。16号に登場するイラストレーターの柳生まち子さん夫婦の、黒姫の仕事場兼自宅の空間の素敵なこと。本好きなお二人の書架を見ているだけで楽しくなります。

このスタイルを、その後、多くの出版社が真似て雑誌を発行していますが、どれも似たり寄ったりです。発行されたのは、14号が2005年、16号が2006年。大橋歩の優れた感覚が如実に出た雑誌でした。今、この時代のアルネを集めるのは、かなり難しいかもしれません。値段は各800円です。

 

 

これからの生き方を考える雑誌「ちゃぶ台」(1620円)2号入荷中です。

今回の特集は三本。『「食×会社」を考える、』、「会社の終りcompanyの始まり」、「百姓のすすめ」です。難しい話が並んでいるわけではありません。ま、ちょっと、ここらで一休みしながら読んでみませんかというノリですね。

例えば、同社から出ている「小商いのすすめ」(1728円)「消費をやめる」(1728円)の著者平川克美さんのインタビューはのっけから笑えます。これからの会社像をにお伺いしたところ、こんな答えが返ってきました。

「実はぼくがやっている会社のひとつが、もうじき解散することになりまして。で、来月には、会社の借金精算などで、家がなくなり貯金が全部なくなるんです。とほほでしょ。でも、なんか気持ちいいんですよね」

この脱力感!でも、ここから、株式会社というシステムが、何かあった時に、誰も責任をとらない組織だ、という話へ持っていきます。(詳しくは本誌で)

当店の近所に「坂ノ途中soil Annex」というオーガニック野菜を販売する店がオープンしました。ここは、「環境負荷の小さい農業を実践する農業者を増やすこと」を目的に設立した(株)坂ノ途中とタイアップしている店舗です。(株)坂ノ途中のオーナー小野邦彦さんが「ブレのある野菜を流通・販売する」というテーマで書かれています。有機農業や化学肥料への依存を下げた農業に挑戦する人達を支援し、彼らの作った農作物がより多くの消費者の元に届くよう販売している会社です。

低コスト、安定大量生産型農業は、農薬、化学肥料に頼らざるを得ません。結果、環境への負荷は増大し、水質汚染や土壌劣化を招きます。低コストは将来残しておくべき環境資産を食い潰して実現されている、という現状に危機感を持ったオーナーは、この資産を「未来からの前借り」と捉え、

「未来からの前借り、やめませんか」とメッセージを投げかけます。

これが、(株)坂ノ途中社のスローガンになっています。戯れ言を繰り返す農林大臣には、ぜひお読みいただきたいものです。

どこから読んでも、興味深い話満載です。その中に、やはり同社から「何度でもオールライトと歌え」(1620円)を出版した後藤正文さんが、選挙に行くことが政治的行為だが、日々の日常生活で何を買うかということも政治的だと発言されていますが、これは十分説得力がありました。

一緒に紹介した本もご興味があれば、当店ミシマ社コーナーに置いています。

 

 

★他店のイベントお知らせ

銀閣寺「古書善行堂」にて。11月13日(日)「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の小山力也さんが来店されます(12時〜17時)。古本を巡るお話が出来そうです。何やら、特典も有りそう。詳しくは善行堂075−771−0061まで

浄土寺「ホホホ座」で開催中の「PANKICHI個展『本屋と女の共犯関係』」展には、PANKICHIさんが書いた本屋さんのイラストと物語が一緒になった作品展です。その本屋の中に当店も入れて頂きました。13日(日)まで開催です。

13日の日曜は、善行堂→ホホホ座→レティシア書房という本屋巡りで決まり(!?)ですね。

 

 

えらくタイトルの長い雑誌ですが、北海道の自然を様々な角度から捉えた「ファウラ」のバックナンバーが数十冊入ってきました。2004年から10年にかけて出版されたもので、今は絶版状態です。毎号特集が魅力的なので、少しご紹介します。

北海道を代表する動植物の各号の特集は、「エゾモモンガ」、「エゾナキウサギ」、「オオワシ・オジロワシ」、「タンチョウ」、「エゾリス」とけっこう揃っています。知床羅臼にて撮影された鷲の勇姿、堂々たる飛翔姿は王者の風格です。しかし、この雑誌は、単にその姿を捉えているだけでなく、彼らの現状、例えば風力発電用風車に巻き込まれる事例や、鉛弾薬中毒死問題も取り上げ、その環境の危うさに言及しています。

エリアの特集号としては、「奥尻島へ行こう!」、「北の”二つ島”礼文・利尻」、「知床」、「洞爺湖・有株山」、「北海道の『冨士』」、「渓流、渓谷」、「摩周・屈斜路」など、魅力的な地域が並んでいますが、観光案内でないことは言うまでもありません。

思わず読んでしまったのが「ブラキストン線」の特集号です。1880年、函館で貿易商を営んでいたトーマス・W・ブラキストンが、津軽海峡の北と南では動物相が変化していることを提唱しました。後に、この海峡が動物分布境界になっていることが判明、ブラキストン線と命名されました。その境界線のあちらとこちら側を写真と文章で見つめています。へぇ〜、そんなもんがあったのか………です。

お気に入りの写真は「北国の冬を生きる」という号で、オジロワシが、絶命した子鹿の死体に食らいついている作品です。子鹿が正面から撮影されていて、まさに絶命した子鹿の表情が明確です。ワシは鹿の肉を喰らうことで、自らの命を保っているという、命の連鎖をはっきり表現しています。

こんな風に、どのページも見所満載も雑誌です。ネットでは、一部数千円で取引されているものもありますが、良心的?レティシア書房では、オール500円です。

 

 

 

 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

マガジンハウスが出している月刊誌「Ku:nel」(クウネル)のバックナンバーが、30冊程入荷しました。2004年11月発行の10号から、2014年3月発行の66号まで、全て揃っているわけではないですが、綺麗な状態です。(各300円)

一応女性向けの暮しの本ですが、新刊書店員時代、必ず読んでいました。その濃い内容の一部を紹介します。

10号には日本の動物イラストレーションの先駆者、薮内正幸の60年の軌跡が紹介されています。15歳の時に作ったという「鷲鷹科の種類」の私家版を初めて拝見しました。描いた絵は1万点以上。多くの絵本に使われています。収集されている方もおられます。

46号では、「大切な本はありますか」という特集で、何人かの方の大切な本が紹介されています。エッセイスト宮脇彩さんは、73年アメリカで出版されたマーナ・ディヴィス著、伊丹十三翻訳の「ポテトブックス」を紹介していました。「アメリカからやってきた料理の本であります」という伊丹らしい文章で始まる料理本です。この本の序文は、あのトルーマン・カポーティだったんですね。

と、こんな具合に紹介していけばきりがありませんが、もう一つ。月刊誌のカルチャーコーナーには、必ず書籍、音楽、映画が取り上げられていますが、この雑誌のコーナーはとても充実しています。手当たり次第に本を紹介するのではなく、一人の作家が、毎回紹介され、インタビュー記事をメインに構成されていて、この部分だけ切り取ってファイリングしておくと、面白いものになりそうです。音楽もしかり。基本的にミュージシャンがセレクトするのですが、渋いラインナップとなっています。映画に至っては、毎回毎回、著名な方が担当しています。例えば、44号では、酒井駒子が「ちいさな主役は、ひとりぼっちでよるべない」というテーマで映画を選んでいます。カルチャー欄充実ですね。

「ストーリーのあるモノと暮し」が雑誌のコンセプトで、お金をかけてモノに囲まれて、というスタンスの全くない誌面作りが、新しい豊かさを作り出そうとしています。

ところで、児童文学者石井桃子の有名な「山のトムさん」の1957年発行の初版の装幀を、雑誌の中に見つけました。本好きならではの、こんな探す楽しみも満載です。

 

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

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以前にも紹介しましたが、「Spectator」は、年に数回発行される雑誌で、再びバックナンバーが入荷しました。「バック・トゥ・ザ・ランド」(自然に戻ろう)をテーマに掲げていて、

「何の気なしに消費してきた食べ物や電気や水が、どうやって作られているか、それさえ知らなかったことへの反省や、安全な暮しを取り戻そうとする新たな意志があるように思われます。新しい世界のかたちとは?そんなことを考える一旦を担えたら幸いです」と書かれているのを今一度読むと、やはり共感します。

取材の対象も、そのコンセプトに最適な方が登場します。「ぼくは猟師になった」(リトルモア900円)の千松信也へのインタビューは、ボリューム満点で中身も濃い記事です。

「やりたくない仕事をして稼いだ金で石油を買ったりするよりも、自分の時間を使って薪を手に入れたり肉を手に入れるほうが、身体はしんどいかも知れないですけど、やっぱり気持ちは楽です」と語る千松は、理念もないし、自給自足でなくてはならぬという固定観念もありません。「自分にとって楽なほうへ進んでいったら結果としてこうなった」と語っています。

もう一人、当店で人気の作家、内澤旬子も登場します。三匹の豚を飼って、最後に屠殺し、肉を食べるまでのルポルタージュ、「飼い喰い」(岩波書店1400円)の面白さは類を見ない一冊でした。元々は、世界の屠殺現場を訪ね歩く「世界屠殺紀行」(角川文庫600円)や、有名作家の書斎を紹介する「センセイの書斎」(河出文庫500円)、おやじの生態を見事に捉えた希有な一冊「おやじがき」(河出文庫300円)等のイラストルポライターです。

38歳の時、乳がんを宣告され、その後の身体の変化を描いた「身体のいいなり」(朝日新聞出版400円)で、様々な苦しみの中から、これは「意志と身体との戦いだった」と表現しています。

「今まであまりにも身体を無視して、意志だけで生きてきた結果、身体を怒らせてしまった」

だからこそ「身体のいいなり」になるのだと。

ガン告知され、闘病生活を経て、豚を飼うに至る人生についてたっぷりと読めます。

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

連日「暮しの手帖」創刊号のお問い合わせをいただいておりますが、すでに売切れです。スミマセン。

NHK朝の連ドラで、「暮らしの手帖」の発行に至る経緯と、編集長花森安治という人物に改めて興味を持たれた方が多いのかもしれません。創刊号から100号までの第一世代は手元にもうありませんが、64年秋号から、隔月発行になった発行分までなら、すべてではありませんが在庫があります。

まだ、この頃は表紙も挿画も花森が担当していた事がわかります。(写真撮影は別人です)そして、号によっては彼の長文のエッセイを読むことができます。64年秋号では、巻頭に「「もっと美しく着るために」という「おしゃれ」への確固たる思いが綴られています。今読むと、当然古くさい部分もあります。しかし着るものが、自分というもののレッテルであり、中身を変えるより、レッテルを変える方が容易いことに対して

「服というものは、人間が暮らしてゆくための、大切な道具である、自分にレッテルをはるような気持ちだけで着ていたのでは、いつまでたっても、文字通り<身丈の合わない>ものを借り着しているわけで、それが美しいわけではないのである」と説得力のある文章で結んでいます。

これらの号は、それぞれ読み応え十分な記事や、レポート満載なのですが、思わず目を見張ったのが、67年夏号の「男が家にいるとき」という、男性の家着の写真です。わざとらしさに笑えてくるのですが、その色使い、レイアウトにはほとほと感心しました。男が部屋着等にこだわるのは沽券にかかわる、とか思われていた時代に『すくなくともステテコ一枚、よれよれ浴衣よりは一歩前進しているようだ 試してみたまえ』と見出しに書かれています。

現在これらの号以外にも、79年から84年にかけてのものが、十数冊あります。表紙は藤森清治で、花森は挿画で一部参加しています。花森のセンスのいい表紙も魅力的ですが、藤森の描いた女性たちも、ビビットで、ステキな映画を見ているようです。部屋に飾っておきたいと思う絵です。83年ぐらいから目線に力強い意志を反映させた作品が増えてくるのは、女性が社会へと飛び出した時代を象徴しています。

バックナンバーはすべて500円です。

★夏の一箱古本市のお知らせ 8月9日(火)〜8月20日(土)20数店が店内に出店します

平凡社の出している「太陽」は、古本市定番の雑誌です。

今回も350円〜400円前後で十数冊出ています。2000年7月「キャパ」、88年10月「泉鏡花」、1999年12月「ヒコーキ野郎」等々。

「太陽」の他にも、面白い雑誌が沢山出ています。やはり、出たかと思ったのは、筑摩書房が出している小冊子「ちくま」です。これ、実は私も出版社からまとめて買いました。その理由は、表紙が絵本作家の酒井駒子が描いているからです。今回出ているのは2014年1〜4月号の四点セットで、価格は300円です。酒井駒子の表紙シリーズは今でも続いています。ファンの方はぜひ。

神戸の出版社が出しているミニプレス「ほんまに」の15号と16号もあります。15号の特集は「街の本屋海文堂閉店に思う」、16号は「続・神戸の古本屋」で、若手古書店オーナー同士の対談や、老舗店店長のお話、さらに神戸の古書店地図まで付いた保存版で(版元品切れです)どちらも200円です。

書店がらみの本なら、「東京人」が特集する「神田神保町の歩き方」の2002年版、2004年版が各200円で出ています。どちらも資料として持っていたい雑誌です。書誌関係では、1975年に創刊された「本の本」の創刊号から最終号まで全16冊セットで3200円というものあります。作家別に特集を組んだりしていますが、面白いのは76年発行の日記文学の特集号です。十数名の文学者の日記が論じられています。

常連雑誌の「WAVE」 からは、ボリス・ヴィアンの特集号です。ヴィアンや、その当時の最先端をゆくアーティストが夜ごと集まった「サンジェルマン・デ・プレ」を中心に解説している内容の濃い一冊です。巻頭文はヴィアン自身による「サンジェルマン・デ・プレの定義」です。こちらは400円。

最後にレアな一冊を。「Coyote/コヨーテ」が特集した2004年11月発行「星野道夫の冒険」です。これ、星野がどんな本を読んで、旅に出たかが書かれています。また、アラスカの自宅に持ち込んだ700冊の蔵書リストが掲載されています。左棚1列目「宮沢賢治の彼方へ」右棚1列目「路上にて 開高健全ノンフィクション」といった具合に、彼の書架を眺めている雰囲気です。こちらは絶版で1800円。探している人も多いので、お早めに。

★レティシア書房一箱古本市は、23日(日)までです。

尚24日(月)〜27(木)まで休業いたします。

★イベントのお知らせ

当店のお客様の作家、中村理聖さんが23日、「もりのみやキューズモール」で読書会をされます。詳しくはHPをご覧下さい。

入ってきた「暮しの手帖」バックナンバー等の雑誌の中に、レトロな冊子を見つけました。昭和33年開催の「第一回きもの乃祭典」のパンフレットです。日本の敗戦が、昭和20年8月。そこから、まだ10年ちょっとで、こんなに美しく、中身も面白いパンフレット作って、バラまいていたんですね。

各シーンごとの着物姿の女性の写真が掲載されているのは、今の着物ファッション誌と一緒です。「クリスマス」にぴったり!というので紹介されている着物では、その派手さにびっくりしました。すでに、戦後は終わっていたのかもしれません。

そして、多くの著名人が、この祭典に文章を寄せています。作家の小島政二郎は、「上布を素肌に着て、角帯をキリッと締めて、時計はもちろんのこと、できれば紙入れもなんにも持たず、家を出る時の楽しさなんていうものは、今日では味わえない夏の楽しさの第一だった。」と書いています。

他にも、森田たま、猪熊ふみ子(猪熊弦一郎夫人)等が魅力的な文章を寄せています。さらに「私の好きな”きもの”」コーナーでは、高峰秀子、尾上松緑、徳川夢声、藤間紫、そして小津映画で、お馴染みの大人の男を演じてきた菅原通済等が、一言を寄せています。さらにさらに、武原はん、花柳章太郎らが参加する座談会の様子まで網羅してこの祭典を盛り上げています。

最後にはずらり、デパートの宣伝で、三越、伊勢丹、高島屋、大丸等が並びます。中でも松阪屋のデザインは、モダンです。

昭和30年代の、豊かで明るい日本を垣間みるパンフレット。500円で販売しております。

 

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