おおば比呂司をご存知ですか?1921年札幌生まれの漫画家&デザイナーです。

幼少から絵画・イラストの才能を発揮。1942年、徴兵で陸軍航空隊入隊して、この時の体験が、後の飛行機デッサン創作に活かされる事となります。除隊後、東京で漫画家として活動を始め、新聞各紙にイラストを描き人気を得ます。京都の和菓子「おたべ」は発売以来、彼のイラストを使用しています。

独創的な飛行機デッサンを十分に発揮した、ちょっとレアな「私の航空博物館」(東京堂出版/古書2500円)を入荷しました。函には、懐かしい複葉機とアポロ月着陸船が一緒に描かれています。ブルーの表紙には、航空ファンなら大喜びそうな戦闘機のデザイン、表紙をめくるとデフォルメされた羽田飛行場のイラストが登場します。以前、この本を古本市で見かけた時、心惹かれて買おうと価格を見て、えっ!こんな高いの?と諦めたことがありました。

この本は彼のイラストを集めていますが、後書きで「飛行機はまさに言うところのフライング・マシンだがそれにまつわる人々もお話はまさに”人生の航跡”であった」と書かれている通り、飛行機にまつわる人々の話、自身の体験をエッセイ風にまとめあげてあります。

「帯広に飛んだ。東亜国内航空の111便は朝の七時十分、帯広に向かってテイクオフする。 お尻がフックラしたYS-11型機が、ロールスロイス・エンジンをキンキンうならせて上昇するときは、ちょっとスピード感があってうれしい。

しかし、空に浮くと、まさに浮いたカンジがするのは、このフックラとしたお尻のせいか……..とおもうのだが地上の流れがのんびりと見える。」

飛行機好きの少年が、ワクワクした気分で空旅を楽しんでいる様が見えてきます。私自身も、彼の飛行機デザインを小さい時から見続けて、飛行機、そして飛行場好きになりました。また、メカニックなデザインばかりでなく、羽田からアンカレッジに向かう時に出る機内食を事細かく描きこんでいるのも面白いです。どちらかといえば、ジェット機よりも、双発のプロペラ機に、作家の愛着や思いが満ち溢れていて楽しめます。

 

♫トーク&ライブ決定 7月13日(土)澤口たまみ(かたり)石澤由男(ベース)

今年1月、当店で行われた「宮沢賢治愛のうた」(澤口たまみ著)出版記念イベントのお二人のトーク&ライブが再決定。澤口たまみがさんが岩手のイントネーションで賢治作品を朗読。ベーシスト石澤由男が伴奏を添えます。     朗読作品は、岩手の自然を見つめ、野原や林からおはなしを貰ってきたという「鹿おどりのはじまり」他を予定。

●18時会場18時30分スタート (2000円)ご予約ください

 

 

 

 

 

小学校の時、私は旅客機、軍用機を問わず飛行機オタクでした。今でも好きです。初めて、アメリカに行った時に搭乗したノースウエスト社のジエッット機の前で、スッチーと一緒に写真を撮らせてもらったりしました。

今、店内に第一次世界大戦時の複葉機を収めた写真(英国製)が何点か並んでいます。クラシカルなスタイル、どっしりした風格は、戦闘機であることを忘れてしまうぐらいの格好良さです。宮崎駿の「紅の豚」の世界を彷彿とさせてくれます。すべて販売しておりますので、飛行機フェチの方はご覧下さい。

蛇足ながら、イギリス空軍の第二次大戦の戦闘機「スピットファイー」って「あばずれ女」という俗語でした。こんな英語のお勉強も飛行機でさせてもらいました。

 

ところで、飛行機の登場する本と言えば、サン・テクジュベリの「夜間飛行」(新潮文庫200円)ですが、原田マハの「翼をください」(毎日新聞社500円)もお薦めです。

20世紀初頭、世界一周に挑戦した女性パイロット、アメリア・イアハートが太平洋で行方不明になった事件と、1939年、世界一周を遂行した毎日新聞社の「ニッポン号」の偉業を組み合わせて、そこに、アメリカ合衆国の陰謀を絡ませて作り上げたお話です。娯楽小説の王道をゆく起伏に富んだ物語は、一度読み出したら止まりません。

キャラクターも定番通りですが、世界一周に挑戦する飛行機の機長、中山は、魅力的な人物でした。文庫も出ていますが、ハードカバーをお薦めします。表紙には、実際のアメリア・イアハートと彼女の愛用機の写真が使用されていますので、飛行機オタクにはたまりませんね。

飛行機がらみの本で、一冊探しているものがあります。58年に発行されたボードウイ作の「風の王子たち」(岩波少年文庫)です。ここに登場するグライダーが、最高にかっこいいのです。古書市でも見ないし、ネットでは高価で取引されています。

確かこの本は、宮崎駿の「本へのとびら」(岩波新書700円)で、ご本人が推薦されていました。飛行機好きの宮崎らしいセレクションですね。

 

宮崎駿監督引退のニュースはどのマスコミもトップで伝えていました。新作「風立ちぬ」の社内試写終了後「初めて、自分の映画で泣きました」という発言を聞いた時、あっ、この人もう辞めるなと感じました。表現者が、自らの作品に涙するなんて……..。もうすべてやり遂げた時だけでしょうからね。

宮崎さんはかつてこんな事を書いています。

「飛行機もので初めて『あっ、これ本物だ』と思ったのがロアルド・ダールでした。サン=テグジュベリは格好つけて迷走しすぎてて、これでは飛行機が堕っこちゃう感じが読んでてどこかあるんですね。」

そして、彼が推薦しているのが「飛行士たちの話」と「単独飛行」でした。前者は読んでいませんが、後者は私も大好きな作品です。サン=テグジュベリが格好つけすぎかどうか、わかりませんが、ダール作品を彼が愛読していたのは理解できます。ダール作品ほど爽快なものはないと語っていますが、それは間違いありません。

私にとって、宮崎さんは飛行機好きの大先輩だと思っています。一見、飛行機が登場しない「魔女の宅急便」でも、巨大な飛行船は登場するし、ヒロインが箒にまたがり、飛ぶ瞬間、その箒の先が強い推進力を持った瞬間なんて、まるで飛行機のエンジンが全開になった時の描写でした。

「紅の豚」はそんな飛行機オタクの真骨頂作品でしょう。高高度から、翼を右に傾けて大きく旋回して急降下する瞬間を描くことこそ、彼の至福の時だったのではないでしょうか。そのずば抜けた描写で十分感じることができます。「もののけ姫」のメイキングを観ていると、作品をどう終わらせるかで苦しみ、のたうち回り、もがいていますが、「紅の豚」は結構、楽しんで制作されていたのではないでしょうか?

彼の著書「出発点1979〜1996」(徳間書店1800円)をぺらぺらめくると、各章の扉に、第二次世界大戦中の名戦闘機が描かれています。ほんとに、好きなんだなぁー。そう言えば、サン=テグジュベリの文庫版「人間の土地」、「夜間飛行」のカバー装画も彼の作品です。

因みに1979年は、初の劇場用長編アニメ「ルパン三世、カリオストロの城」完成の年であり、96年は「もののけ姫」制作開始の年です。

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