話題の日本映画「アルプススタンドのはしの方」を観ました。「笑点」の大喜利風に言えば、座布団10枚!と声を掛けたくなるセンス。

夏の高校野球予選。地元公立高校と、優勝候補校の一戦の応援に駆り出され、いやいややって来た高校生4人。アルプススタンドの端っこでグタグタと話しをしている中、グランドで試合は進行していきます。けれども、映画には一切、野球のシーンがありません。必死で応援する応援団とブラスバンドの掛け声とアナウンス、そして、カーン、コーンと時折聞こえてくる打撃音だけが試合の進行を教えてくれます。

元々、この映画の原作になっているのは、東播磨高等学校が全国高等学校演劇大会で最優秀賞を獲得した戯曲です。

この四人、落ちこぼれでも、不良でもありません。まぁ、いたって普通の、どちらかと言えば真面目な男子高校生と女子高校生です。演劇部に所属する二人の女子高校生、元野球部の男子高校生、エースピッチャーに恋心を抱く優等生の会話が続きます。何かと言えば、「しょうがない」を連発して下向きな彼らが、試合経過とともに、ちょっと上を向くという、よくある青春映画です。でも、野球のグラウンドを見せずに、野球の経過と共に、変化してゆく四人の様を描いた映画の作り方に拍手です。監督は城定秀夫。なんとポルノ映画や、Vシネマ(レンタル屋にあるアクション映画)を多数作ってきました。少ない予算、セットなしのロケ撮影という過酷な制作条件に対応してきた人だからこそ、こんな自由な映画ができたのかもしれません。