大空に、一羽、また一羽とハゲタカが現れてきます。そして、それが数十羽、もしかしたら100羽以上、地上に舞い降りてきます。そこには解体され、バラバラになった遺体。ハゲタカ達は一斉に肉に、骨に食らいつきます。その様子を遺族たちが眺めています。

チベット高地に住むチベット人にとって、最もポピュラーな葬儀が「鳥葬」です。チベット仏教では、魂が解放された後の肉体は、単なる抜け殻でしかありません。その亡骸を天へと送り届けるための方法として、こういった葬儀がとり行われています。日本語では、「鳥葬」と訳されていますが、中国語では、「天葬」というとか。多くの生き物の命を取り込んで、生命を全うしたのだから、せめて抜け殻同然の肉体ぐらい、他の生命のために与えようという思想が流れているみたいです。死体の処理は、鳥葬を仕切る専門の人が行い、骨も石で細かく砕いて全て鳥に食べさせるので、ハゲタカがいなくなった後には、ほとんど何も残らないのです。

そんな鳥葬の様子を捉えた吉田亮人写真展「鳥葬」を、店から歩いて行ける「gallery SUGATA 」(無料)まで観に行ってきました。

どこまでも広がる青空と、大地で繰り広げられる葬儀は、清いものがあります。風の強い高地は、天に近く、なにもかも風が運んでいってくれます。これ、当然のことながら、スモッグで汚れた大都会の郊外でやったら、説得力のない、単に残酷な儀式でしかありません。

布切れがくくり付けられた多くの竿がたっています。布には経文が書かれていて、お経も風に乗って世界中に広がっていくのだそうです。ハタハタと風になびく音が聞えてくるようです。

骨をついばむハゲタカ達を見つめる人々の静謐な顔を見ていると、人の生も、死も大いなる大地の時の流れの中では、一瞬でしかないと思いました。私たちは、地球に生きる所詮は小さな存在でしかないことを、改めて思いださせてくれる写真展です。(8月6日まで)

もし、宮沢賢治が生きていたら、きっと観に行ったような気がしました。

 

★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 夏の古本市」を店内で開催します。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!(14日は休み)

暑い日が続きますが、お立ちよりください。

 

★★お詫び。こちらの手違いで27日(木)〜31(日)のブログが更新されていませんでした。申訳ありませんでした。

 

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