ミニプレス「1/f」(エフブンノチ)の1号が出たのは、昨年の8月。「おやつの記憶」という特集でした。編集者が直接届けてくれたのですが、どれだけ売れるか予想がつかないまま、取りあえず販売スタート。ところが、あっという間に持ち込みの数冊完売!追加分もやはり売れていきます。その後、2号、3号と、順調に売上げを伸ばしてきて、今回4号が昨日入荷しました。

4号の特集は「乙女のあそび」。いにしえのお姫様の遊びとして、「貝あわせ」「石名取」、「ことばあそび」「耳香」などが紹介されています。後半は、大正時代京都で活躍したデザイナー、小林かいちの特集です。西洋的なものと、京都的なものを融合して、細身の女性がうつむき加減で佇んでいる姿の作品を、三条新京極にあった土産物店「さくら井屋」が発行し、全国から観光で集まって来る乙女たちの手に渡りました。谷崎潤一郎の「卍」の登場人物たちが交わす、手紙を入れた封筒の意匠が、かいちのデザインに酷似していることを、編集者が指摘していて、なかなか読み応えがありました。

現在、「1/f」は1号からすべて揃えています。1〜3号は734円。4号は885円です。

 

えっ、そんなに早く売れたの??と、驚いた(失礼しました)のが、出版ユカコが出した「別人帳」(600円)です。「あなたの今日これから(あるいは近日中)の一日を、『最良の一日』になると仮定して教えてください。フィクションを交えてくださって構いません。起こりうる範囲での理想や希望を交えて、ご自由にお答えください。なお、個人的な興味により、食べるものについてはとくに執拗にお伺いします。」という質問に答えた方々が、匿名で原稿を寄せた、全く写真のない文章だけの本なのですが、即売り切れ! すぐに追加発注し、昨日再入荷しました。こういうアプローチの食の本は珍しいですね。

いまがわゆいさんの「ドーナツのあな2号」も出ました。たまたま、著者が当店に遊びに来られていて、1号を置く事になりました。可愛い!と表現するしかないミニプレスなのですが、ファンがおられたみたいで初回完売。2号も順調に販売中です。当店のみの限定ペーパー付きです(1200円)。2号と一緒に「おきらく書店のまいにち」(800円)も出ました。こちらは、いまがわさんが仕事されている大型書店での日々を描いています。休日も書店回りを欠かさない、本好きの女性です。

というふうに、女子たちのミニプレス新刊がただいま元気です。

食品産業の大手、ハウス食品の文庫ってご存知でしたでしょうか。昭和63年に「ハウスポケットライブラリー」として5点発行されました。編集はエッセイストの向笠千恵子。カバー裏には発行理由がこんな風に書かれています。

「日ごろおなじみの料理および素材にあらためてスポットをあて、独自の取材調査をもとに、『食』をさらに楽しくいろどる話題を提供させていただきたいと存じます。」

出版されたものは「水の美味帖」、「わさび讃歌」、「グラタンの食卓譜」、「唐辛子遍路」、「ゼリーぷるるん論」です。昭和60年代の本なので、料理本としては少し古い部分があるのは否めませんが、内容的には面白い読み物が一杯で、貴重な写真もありそうです。

例えば「水の美味帖」では「水と日本人と日本語と」というテーマで、水に恵まれた日本人の生活の中での、「水」を使った多くの言い回しが紹介されています。「関西の水事情」では、京都市の南にある御香宮の「御香水」が取り上げられていますが、ここの初詣姿はちょっと変わっていて、水の入るポリタンクや鍋など持参してお参りに来られます。水を汲んで、その水でお雑煮を炊くのが習わしだとか。今もその習慣って残っているんでしょうか?

「唐辛子遍路」は、唐辛子を巡る世界史、日本史、そして内外の地理を知ることができる一冊です。日本では江戸中期に全国に普及。平賀源内の著書「番椒譜」には、多くの七味唐辛子の品種があったことが記載されています。(その図案も見ることができます)また、この時代、江戸の街角で商いをしていた唐辛子売りの商売道具を入れた「かつぎ函」の貴重な写真を見ることができます。この号の後半は、国内外の唐辛子を使った料理のオンパレード。思わずビールが欲しくなってきます。昭和末の食文化を知るのには最適な文庫かもしれません。(各々500円)

そして、素敵な食文化を伝えるミニプレス「1/f」の3号が入荷しました。特集は「祝いと食卓」。「お祝いごとには、いつも食卓の風景が一緒です。その習慣やかたちは人それぞれ。いろんな場所から祝いの風景を切り取ったとき、食卓はどんな風景を見せているのでしょう。」という思いから、両者の関係を改めて見つめ直していく企画です。

その中に楽しそうなエッセイを見つけました。鈴木容子さんの「国分寺クッキーミュージック」。国分寺のある中央線沿いの面白い店が集まっている駅に降りてはウインドウショッピングをして、そしてリッキー・リー・ジョーンズ、ヴァシュティ・バニヤン、ノラ・ジョーンズなどの女性シンガーを聴いていた頃の思い出です。私も大好きなシンガーばかりなので、機会があったら彼女たちの音楽を聴きながら中央線に乗ってみたいです。

 

 

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